倉兼育康騎手がコンビを組んだタッチスプリントはグランダム・ジャパン3歳シーズンに参戦し、29ポイントを獲得。しかし最終戦の関東オークスで、大井のステップオブダンスに同点とされ、その最終戦の着順による規定で優勝を逃すことに。残念な結果となったが、その戦いを振り返っていただきました。
グランダム・ジャパン3歳シーズン最終戦の関東オークスは、消化不良という感じのレースでした。
関東オークスは初めての左回りで、返し馬のときに馬が戸惑って、ビタッと止まってしまったんですよ。後ろから別の馬が来たことでやっと動いたんですが、そういう不利もありました。それでレースでは1コーナーで他の馬にぶつけられましたから、さらに厳しくなってしまいましたね。しかし4つのレースに参加してコツコツとポイントを重ねてきたのに、なんというかねえ。ルールとはいえ、チャンピオンになれなかったのは悔しいですよ。
それでも最終戦まで行けたのは、若草賞での勝利があったからだと思います。
確かに、あのレースを勝ったからというところはありますね。でもあのときは馬の調子がけっこう悪かったんですよ。毛ヅヤはいまひとつでしたし、道中でものめりながら走っていました。エンジンがかかったのは最後の400メートルだけ。でもあの差し脚にはビックリしました。
若草賞(名古屋)を制したタッチスプリント(写真:愛知県競馬組合)
その前は高知の金の鞍賞で2着、佐賀遠征の花吹雪賞でも2着に入っていました。
高知に来てからの成績が良かったのは確かですが、若草賞は初めて対戦するメンバーですから、レース前はここでどのくらいまで頑張れるのかなという感じで考えていましたね。
若草賞を制したあとは、再び名古屋で東海クイーンカップに出走することになりました。
小柄なので、佐賀(ル・プランタン賞)よりも間隔が取れるほうを選んだということだと思います。ただ、東海クイーンカップは不良馬場になってしまったのが誤算。若草賞よりは前のほうでレースを進めたんですが、他の馬に被せられたところで馬が嫌気を出してしまいました。タッチスプリントは基本的に、砂をかぶることをきらうタイプなんです。
それでも400キロ前後の体でよく頑張っていると思います。
どこに行っても落ち着いているのが長所ですね。レース当日は、本馬場に入ってゲートに近づくにつれて、自分で気合を上げていってくれます。レース経験を積むごとにゲート離れもよくなっていますね。ただ、2着だったのじぎく賞もそうですけれど、あとちょっと着順がよかったらと思うとねえ......。
それでも2位という成績は残しました。管理する別府真司調教師は「夏になると走るタイプ」と話していましたが、グランダム・ジャパンの古馬シーズンはどうでしょうか。
地元だと上のクラスになってしまいますし、そういう点からもグランダムに行くと思います。まずは兵庫サマークイーン賞ですかね。その後は結果次第だと思います。
ソウル競馬場での倉兼騎手
倉兼騎手は韓国で騎乗する時期が長かったわけですが、高知に戻ってきておよそ1年。以前と変わったと感じるところはありますか?
賞金は上がりましたが、それ以外ではそれほどすごい変化というのはないかなあ。でも騎手の人数は増えましたし、馬の質も以前に比べると上がってきたとは思います。
高知に戻ってのご自身の成績はいかがでしょう。
自分の成績はまあ、いまひとつという感じですかね。日韓合計2000勝は達成できると思いますが(6月18日時点で1983勝)、日本だけでの2000勝は、今の状況だとどうかなあ。乗り鞍も今年はちょっと少ない感じがしますし、あまり勝てていないこともあってモチベーションも下がりぎみ。でもそういう状況のなかにタッチスプリントのような馬がいると、気持ちを上げることができますよね。ありがたい存在だと思います。
韓国では2007年に初めて短期免許を取得して、2014年にはソウルのMVPジョッキーに選ばれるなど活躍しました。韓国競馬を経験してよかった点はどこでしょうか。
いちばん大きかったのは、いろいろな人と話せるようになったというところでしょうか。以前はそれほど気さくに話ができるようなタイプじゃなかったんですよ。酒を飲めば別なんですが(笑)。韓国では通訳さんがついてくれているとはいっても、自分の意思をしっかりと伝えないとどうにもならないですからね。いちばんのプラス面はそこかなと思います。
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※インタビュー・写真 / 浅野靖典
ベテラン勢が活躍を見せている高知競馬で、デビュー8年目を迎えた岡村卓弥騎手も奮闘中。昨年の秋は門別競馬場で期間限定騎乗をするなど経験を重ねています。
最近の高知競馬でもっとも変化したところといえば、昨年12月18日から賞金額がそれまでよりおよそ倍になったこと。競馬に携わるみなさんの雰囲気はどうでしょうか?
確かに変化は感じますね。厩務員さんは特に。騎手はそれほどまではという気はしますが、でもモチベーションが上がっているのは間違いないです。
重賞の1着賞金額が27万円というレースもありましたから、それに比べるとぜんぜん違いますものね。
そうですね。重賞はみんな気合が入っていると思います。自分もそれにつられてヤル気が出てきていますから。そのほかのレースでも接戦が増えているように感じます。前でガリガリやりあうことが多くなったように思いますし、それからインコースを狙う騎手が多くなったかな。インは使える日と使えない日があるのですが。
そして高知では2歳新馬戦が復活しました。
僕自身はまだ2歳馬を一から育てたという経験はないですが、昨年9月から北海道に2か月弱、期間限定騎乗をしに行ったときに、調教が進んでいる1歳馬に乗せてもらいました。北海道のデビュー前の馬は年齢を感じさせないというか、背中がしっかりしていますね。驚きました。高知でもディアマルコが新馬復活の1年目から活躍しましたが、すごいことだと思います。ああいう馬と巡り会って、遠征してみたいです。
ということは、あまり遠征の経験はないということでしょうか?
期間限定騎乗は金沢と北海道がありますが、金沢にいたときに南関東の川崎に1回行っただけなんです。ウチの厩舎(雑賀正光厩舎)は騎手が4人いるので、自厩舎だけなら仕事的に多少の余裕がありますから、よその競馬場に行かせていただけているところがあると思います。普段はほかの厩舎の攻め馬も頼まれますから、だいたい朝は2時半から10時くらいまで、20頭くらいに乗っています。
地元での成績ですが、昨年も今年も勝ち星より2着3着のほうが多くなっているのですが。
そうなんですよ。ほんのちょっとだけ負けるというケースが多い気がするんですよね。すごく悔しいんですが、そこは技術の差なんでしょうね。本命の馬はもちろん勝つレースを心がけますが、それ以外の馬に乗っても最低でも3着は目指そうと考えています。以前と比べて変わったところといえば、いい意味であまり考えなくなったことかな。以前はレース前に展開などをいろいろと考えていましたが、思い通りにはいかないのが競馬ですし、考えすぎるといい結果は出ないように感じたんです。だから最近はゲートが開くまでは余計なことを考えないようにしています。
そのほかに、最近になって意識していることはありますか?
騎乗するときに、以前よりもくるぶしで馬の体を締めることを意識していますね。それからハミのかけかたも。以前から先生に「道中で手を動かしすぎ」と言われていましたが、それができることで、3コーナーあたりでハミをかけていくことをより意識できるようになったと思います。ただ、そのためには足の筋力が必要ですから、調教のときからアブミを短くして、楽乗りをしないようにしています。
そういったことも、今年の高知での騎乗数がトップを争っているというところにつながっているのかもしれないですね。
本当にたくさん乗せてもらえているのでありがたいです。ウチの厩舎にいたらチャンスは巡ってくると思うので、そのときにきちんとそれを掴めるようにしたいですね。それから最近は、自分が担当している馬がレースでカチ合ったとき、先生がどちらに乗るか、選ばせてくれるようになったんですよ。そこも以前とは違うところですね。そういう流れをもっと積み重ねていくことが今の目標です。結果がすべての世界ですから、実力がある馬に乗せてもらったときに結果を出せるように、そして人気になっても気負わないで乗れるようになりたいと思っています。
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※インタビュー / 浅野靖典
デビュー3年目の妹尾浩一朗騎手。2016年は28勝を挙げ、前年の勝ち星を大きく上回っています(12月27日現在)。急成長を見せるハタチの若武者は、どんな想いで日々を過ごしているのでしょうか。
デビューから3年が過ぎましたが、デビュー時から変わったことはありますか?
一番変わったのは自厩舎(打越勇児厩舎)の馬にたくさん乗せてもらえるようになったことですね。うちはいい馬がたくさんいるんですけど、今まではあんまり乗せてもらえなかったんです。でも2か月くらい前(2016年10月頃)から重い印の付く馬も任せてもらえるようになりました。
何かキッカケがあったんですか?
多分、セイマイスターっていう馬だと思います。ずっとお世話になっている馬主さんの馬なんですけど、JRAの未勝利から転入して来て、なかなか勝てなかったんです。でも僕が初めて乗せてもらった時に初勝利して、そこから3連勝して。その後取り消しがあったり、ゲートですべって負けたりを挟んで、また4連勝して。僕が乗って走るようになったって言ってもらえたんです。
セイマイスターと共に成長したんですね。
そうですね。最初はものすごくおとなしかったんですけど、2勝したあたりから馬が激変して、すっごいハミを取るようになったんです。馬って変わるんだな、良くなるんだなって教えてくれました。最近はずっと兄弟子(宮川実騎手)が乗っているんですけど(苦笑)。
でも、その結果打越先生に認められたんですね!
どうなんですかね。特に先生からは何も言われてないですけど。でも強い馬に乗せてもらえることは本当に嬉しいです。プレッシャーはありますけど、その中でいろいろな経験ができるので。でもけっこう人気馬を飛ばしちゃっているんですよ...。先月も単勝1.2倍くらいのグリグリの馬を飛ばしてしまって...。今まで先輩たちを見ていて、「強い馬に乗っていると勝てる」っていうふうに思っていたんですけど、いざ自分が強い馬に乗せてもらっても同じようにいかなくて...。勝つのは簡単ではないなと実感しました。しっかり結果が出せるようにもっともっと努力します。
目標としている騎手はどなたですか?
赤岡修次さんや、兄弟子の宮川実さんです。実さんとは同じ馬に乗る機会も多いんですけど、僕が乗るとすごく掛かる馬でも、全然掛からず乗って来るのでビックリします。2歳馬の乗り方とかも教えてもらっているので、少しでも早く近づきたいです。
打越先生は厳しいですか?
以前は調教のたびに怒られてましたけど、最近やっと怒られなくなりましたね。午後も作業に出ているんですけど、そういう時も特に何も言われなくなりました。
早朝からの調教があって、午後の作業も出るとなると大変ですね。
高知の場合は、リーディングの永森大智さんもやってますからね。僕みたいなペーペーは当然ですよ。それが嫌だとも思わないですし。朝は2時半から10時くらいまで調教して、午後は1時から馬房作業をしています。休みは月に1回ですけどたいがい寝て過ごしますね。でも今すごく楽しいです! やっぱり、勝負になる馬に乗せてもらえるっていうのは、こんなに楽しいのかって思います。乗せてもらえることがモチベーションになっているので、休みがほとんどなくても全然大丈夫です。
かなり充実しているようですね。妹尾騎手は同期の中でも一番最初に勝ち星を挙げ、ここまで順調に見えますが、ご自身ではいかがですか?
初騎乗初勝利をさせてもらって、本当に嬉しかったです。でも前は一発逆転ファイナルレースとか、ちょっとメンバーが手薄なところで勝つことはあっても、強いメンバーの中では全然勝てなかったんですよ。今は上に行ける馬に乗せてもらって、一緒に成長していけるので、そういうのが本当に楽しいです。
同期の存在は意識しますか?
しますね。金沢の中島(龍也)くんとかはたくさん勝っているのでいい刺激になります。こないだ教養センターで新人騎手研修があったんですよ。久しぶりに同期が集まってわいわい話して、本当に楽しかったです。新人騎手研修って特に作業したりもしないし、ただただ楽しかったです。話の内容ですか? 競馬の話はあんまりしなかったですね。女の子の話とか(笑)。学生のノリでわいわいやって来ました。
デビューした頃は妹さんに仕送りもしていたそうですが、自分自身で何か高価なものを買いましたか?
う~ん...。3万円の時計くらいですかね。車?車は中古で安いのを買ったので。もっと活躍してから、2台目でいい車を買いたいと思っています。
では、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
まだまだ経験不足ですが、皆さんに信頼してもらえるよう一生懸命がんばります! 高知競馬、妹尾浩一朗をよろしくお願いします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:高知県競馬組合)
高知の下村瑠衣騎手は、門別デビューから福山、高知と渡り歩いた苦労人。デビュー6年目、まもなく通算100勝の節目を迎えます。ご自身のこと、さらに現在開催中のレディスヴィクトリーラウンドについてお聞きしました。
現在97勝(2016年12月13日現在)と100勝目前です。
すごく時間が掛かってしまっているけれど、自分でもすごいと思うのが、勝たせてもらった馬全部言えるんですよ。まぁ、そこまで数がいないからっていうのもあるんですけど...。1頭1頭、1レース1レース想い入れを持ってやっているので、馬がケガをしたら泣いちゃうし、一緒に勝てたら本当に嬉しいし。それがいいのか悪いのかわからないですけど、わたしにはそういうふうにしかできないので。
1つ勝つことの重みを実感しているんですね。
そうですね。1つ勝つこと、1つのレースに乗せてもらうこと、簡単なことじゃないですから。わたしは門別でデビューして、なかなか上手くいかなくて、レースもほとんど乗れない時期がありました。あの頃は胸を張って「騎手です」って言えるような仕事ができていなかったんですけど、福山を経て高知に移籍してから、本当に周りの人に恵まれて、毎日楽しい騎手生活をさせてもらっています。
現在レディスヴィクトリーラウンドの真っ最中ですが、女性騎手のレースというのはいかがですか?
他場で乗ることがほとんどないので、本当にいい経験をさせてもらっています。他の女性騎手と会えるのも嬉しいですし。今回初めて(宮下)瞳さんと一緒に乗ったんです! あれだけ勝っている方なのでどんな感じなのか緊張していたんですけど、すごく優しくて、いろいろお話出来て嬉しかったです。
でもレースは、盛岡の最初のレースの時、馬場入りで落馬して放馬、競走除外になってしまったんです。レースに参加できなかったことが本当に悔しかったし、自分はそういう運命なのかもしれないって思いました。今年3月に佐賀競馬場で開催されたレディス&ヤングジョッキーズの第1戦で落馬して、大ケガをしているので...。だから、11月30日の名古屋ラウンド第1戦で3着に入れた時はすごくホッとしましたね。
あの時は5番人気のエアマニングに騎乗して3着という結果でした。
逃げれば勝てるって言われていて、スタートしてから精いっぱい追ったんですけど逃げられなくて...。でも道中手応えがすごく良くて、最後までがんばってくれました。ここまで総合で5位なんですけど、ラストの高知ラウンド第2戦は1着のポイントが倍なので、最後まで諦めずにがんばります!
先ほどお話に出ましたけれど、今年3月、佐賀で落馬した時はかなりの大ケガでしたね。
そうですね。何か所も骨折してしまって...。とにかく痛かったです。すぐに病院に運ばれて入院したんですけど、佐賀競馬場からちょっと遠いところだったんですよ。でも、あの時乗せていただいた山田勇先生が毎日お見舞いに来てくれましたし、福山時代からお世話になっている渡辺博文騎手の奥さんにも面倒をみていただきました。1か月近くいたんですけど、本当にいろいろな方に支えられて、振り返ってみれば楽しい入院生活でした。その後高知に帰って1か月半くらいまた入院したんですけど、その時もたくさんの方がお見舞いに来てくれました。気持ち的にはかなり落ちていたんですけど、みんなが来てくれた時、わたしのキャラ的に落ち込んでいるのは違うなと思って、「大丈夫です!」って元気に振る舞っていたら、本当に大丈夫って思えるようになりました。ケガは本当に辛い経験でしたが、改めてたくさんの人に出会えたことに感謝しましたし、そういう気持ちを忘れていたんじゃないかって、自分を見つめ直すキッカケになりました。
3か月近く休んだわけですけど、復帰してからはいかがですか?
前に頭蓋骨骨折をしているので、ケガからの復帰というのは経験しているんですよ。ただ、ケガから復帰してからは、所属の那俄性哲也先生とも話し合って、今の自分の力で全力で乗れる頭数に絞ることにしたんです。馬を選ぶっていうわけではないんですけど、1頭1頭に全力で向き合いたいなと思っていて。わたしは他の厩舎に営業に行ったりもしていなくて、自厩舎の馬をじっくり調教して育てて行くっていうスタイルが好きなんです。だから手入れとかもしているんですけど、好きだから全然苦にならないし、馬たちのそばにいたいんです。今までは少しでも多くの頭数に騎乗したいっていう気持ちが強かったんですけど、思い切って今のスタイルにして、乗り馬は減ったけどやりがいはありますね。
では、今後の目標をお願いします。
まずは100勝です! 1勝するペースがすごく遅いので、いつになるかわからなですけど、やっぱり早くしたいですね。女性騎手レースなどもあって、すごくいい経験をさせてもらっているので、少しでも上手くなれるようにがんばります!
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※インタビュー / 赤見千尋
今年4月に高知競馬からデビューした塚本雄大騎手。話をうかがった9月11日には7勝目を挙げています。デビューしてから現在までの心境をうかがいました。
騎手を目指したのは、お兄さん(船橋・塚本弘隆騎手、2014年5月5日初騎乗)の影響ですか?
兄と僕は騎手を目指したのが一緒くらいだったんです。僕が小学6年のときに、母から「身長が小さいから、騎手っていう職業があるよ」って言われて。母も競馬のことはあまり知らなかったみたいですけど、そのあと自分でいろいろ調べました。中学を卒業して、そのままストレートで合格しました。兄は3歳上ですけど、中学を卒業してから合格するまで1年かかったので、デビューは兄の2年あとです。
実際に、地方競馬教養センターに入ってみてどうでしたか。
今思えば、騎手になる心構えがぜんぜん足りなかったと思います。先生に同じことを何回も怒られました。体重は軽かったので、減量はしなくてもだいじょうぶだったんですけど。ただ、騎手になるという強い気持ちだけはあったので、卒業だけは絶対すると思ってやっていました。
所属する雑賀(正光)調教師はどうですか?
はい。かわいがってもらえるように頑張っています。
普段の生活のスケジュールを教えて下さい。
午前2時20分に起きて、2時半から攻め馬に乗っています。調教は毎日17~18頭くらい乗って、馬の手入れもしています。終わるのは10時から11時くらい。そのあと、最初のご飯ですね。昼寝をして、午後1時半くらいから、また厩舎作業に出てきます。3時半から4時くらいに終わって、夜は、8時から9時くらいには寝ています。
教養センターの修了式のあと、雑賀調教師とそのまま高知に来ましたが、その後は家には帰りましたか?
帰ってません。ここに身を埋める気持ちで来たので。親も、修了式を見に来ただけで、高知には来ていません。ぼくが学校(教養センター)で顔を骨折したときも、来ないって言ってたんですけど、全身麻酔の大手術になるということで、教官が話して母だけ来ました。でも直るのは早かったです。
教養センターを卒業する前に話を聞いた時に、目標は「1日1勝、月に8勝」と言っていましたが、今日(9月11日第2レースを)勝って、7勝目です。
ぜんぜんダメですね(笑)。考えが甘かったです。3キロの減量があればもうちょっと勝てると思っていたんですけど......。初勝利までも2カ月近くかかってしまいました。
初勝利のときのことは覚えてますか?
緊張しないように乗っていたんですけど、外に出せなかったんで、内から行くような競馬になってしまいました。それでも『やっと勝てた!』という気持ちでした。66戦目だったので。騎乗したエンジェルブレスは、その後、夏負けの症状があって、それ以来レースに出ていないんです。次の開催には使えると思うので、力はあると思うし、期待しています。でも、以前に乗っていた松木(大地)さんが金沢(の期間限定騎乗)から帰ってくるので、乗せてもらえるかどうか。
ほかに印象に残る勝利は?
ブイアールヒーローです(7月10日第4レースで勝利)。それほど人気がなかったので(6番人気)、気楽に乗ることができて、5着くらいを目指していたんですけど、気持ちが馬に伝わったのか、ゴーサインを出したらすぐにスッと先頭に立ってくれました。会心のレースでした。下手なレースをしたあとは、このレースの映像を見て思い出すようにしています。
思い入れのある馬は?
デビュー初騎乗のウイニングハートでは、逃げて行き過ぎちゃって......。今思えば、もうちょっと道中我慢させていけば、たぶん勝てたかもしれないなと(3着)。そのあと何回か乗せてもらって、選抜戦でも3着があったので、すぐに勝てると思っていたのですが、勝つことができませんでした。
今の課題は?
勝つことを意識しすぎて、ほかの人のじゃまをしてしまうことがあるので、そうならないようにということを一番考えながら乗っています。レースでは気持ちが強すぎて、危ないところに行ってしまうことがあるので、もうちょっと考えながら乗ろうと。
あとは追い方で、兄弟子の2人(永森大智騎手、岡村卓弥騎手)が上手いので、勉強しています。永森さんはスマートに追うんですけど、岡村さんは逆に迫力のある追い方をします。
直接教えてもらうことはありますか。
追い切りの時には、岡村さんには併せ馬をさせてもらっています。永森さんは、すごすぎて、ちょっと近づきがたいです(笑)。なので、映像とかで見ています。
あらためて考えている目標はありますか。
あまり大きいことを言うとアレなんで......今年、15勝を......いや、20勝にしとこうかな。20勝を目標にがんばります!
高知では、新人王争覇戦があります。
出られたときには、地元代表としてがんばります!
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※インタビュー・写真 / 斎藤修