デビュー4年目にして高知所属騎手のリーディングで3位につける多田羅誠也騎手。高校までサッカーを12年間続けたのち、ジョッキーに転身するとデビューイヤーから大活躍し、重賞制覇も2022年だけで7勝と勢いに乗る若手です(データは2022年11月10日現在)。
怪我なく1年を通して騎乗するのは初めて(デビュー年を除く)となる今年、地元リーディングで宮川実騎手、赤岡修次騎手に次ぐ3位につけています。
4位の永森大智騎手とは勝利数で並んでいて、何とかギリギリです。これまでと変わらずいい馬に乗せてもらっているわりには取りこぼすレースもまあまああるので、本命や対抗の印が付けられた馬でしっかり勝てるようになれればと思います。勝率も去年より少し下がっているんですけど、1年を通して乗れているので、勝ち鞍は納得かなという感じです。
遠征での重賞制覇も今年は目立っています。中でもアンティキティラは年明けに佐賀・花吹雪賞、名古屋・若草賞と重賞を連勝しましたが、5月以降はそれまでの輝きが見られず。何があったのでしょうか?
若草賞の後に怪我をして、休ませたりしている間にちょっとずつ歯車が噛み合わなくなってしまいました。遠征が予定されていた時期もあったのですが、それはやめて間隔を空けて黒潮皐月賞に行ったんですけど、それでも少し時間が足りない感じでチグハグになってしまいました。
名古屋・若草賞(3月1日)を制したアンティキティラ
高知優駿など一生に一度のレースが続く時期でしたが、本来の走りができなかったのは陣営としても悔しかったでしょうね。夏は生まれ故郷の下河辺牧場で休養しました。
帰ってきてからの雰囲気はすごく良かったです。精神的にも大人になったかな、という部分もありますし、体の状態も良くなったと感じました。これがレースでも出てくれればいいなと思いました。
その感触通り、休養明け2戦目の名古屋・秋の鞍で重賞3勝目を挙げました。3コーナーで先頭に立ったと思ったら、4コーナーでは3番手まで下がってヒヤッとしましたが、結果的に強かったです。
元々、先頭に抜け出すとふわっとする馬で、気にはしていたんですけど、手応え的にどうしても先頭に立つ形になってしまいました。でも、外から他馬が来るともう1回反応してくれました。名古屋のレースを見ていると、みんな4コーナーから直線では結構外に出していましたけど、そこまで外に出す必要もないかなと思って、4コーナーは内目を回りました。
その後、初の古馬との重賞・兵庫クイーンカップは2着。
できれば番手を取りに行きたかったんですけど、距離も1700メートルで長かったので序盤から仕掛けすぎても、と考えました。外の馬も速かったですし、別府先生の指示もあって一歩控える形になったんですけど、スローペースでこの馬には合わない形になりました。
馬群の中でレースをする姿はこれまであまり見ませんでしたが、かなり力んで走っているように映りました。
元々がハミに乗っかってくるような感じでああいう走り方をするんですけど、それにしてもちょっとハミを取っていました。馬群での競馬自体はもう少し慣れれば、上手いこと乗れるんじゃないかなと思います。
直線ではいい差し脚を見せましたが、進路を求めて外に切り替える時に少しロスがあったのが悔やまれます。
ちょうど前の馬が少し外に出てきてスピードが半減しましたが、それは競馬ですし仕方ないです。そんな中でも成長は感じられました。
ダノングッドでも今年だけで重賞4勝を挙げ、うち2勝が遠征での勝利。それゆえ、多田羅騎手は遠征で強いな、という印象です。
「遠征に行く馬」が強いんです(笑)。馬のおかげです。ダノングッドは最近3戦続けて2着と惜しいレースが続いているので、盛り返したいなと思っています。
園田FCスプリント(6月23日)を制したダノングッド
初めて行く競馬場だと戸惑いや緊張などありませんか?
普段と景色が違うので、どうしても違和感はありますけど、ある程度の特徴を把握していれば、特にやることは変わりないと思っています。
この先、ご自身のビジョンはどう描いていますか?
今年すごく重賞を勝たせていただいて、これ以上勝てる年はなかなかないのかなと思うほどですけど、来年も重賞を獲りないなと思っています。平場ではちょっと満足できない内容なので、もっと勝ちたいなと思います。
アンティキティラで若草賞制覇後、別府真司調教師と
最後に、オッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
高知でも県外でも、もっと活躍できるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
ガルボマンボに騎乗して高知優駿を制した林謙佑騎手。初ダービー制覇のお気持ちを伺いました。
高知優駿制覇、おめでとうございます。
ありがとうございます。素直に嬉しかったです。
全国交流戦ということで強力な遠征馬もいましたが、レース前はどんなことを考えていたのですか?
南関東からの遠征馬は強いかなとは思っていたのですが、自分自身はヴェレノだけを意識して乗っていました。人気はそんなになかったですし、特別緊張もしなかったです。ガルボマンボの競馬が出来ればと思っていました。
レースは先行した3頭を見る形で4番手を追走していました。
最初からあの位置が欲しかったんです。スタートで出たら、あれくらいの位置に付けたいと思っていて、思い通りに運ぶことが出来ました。ガルボマンボはある程度前についていって、直線また徐々に伸びて行くというタイプで、切れ味だったらヴェレノの方が切れますから、そこは意識しました。2周目の向正面でヴェレノが内から見えたので、それで動き始めて。本当によく頑張ってくれましたね。ゴールした瞬間は「勝ったんだ」みないな感じで、意外と冷静でした。周りから「おめでとう」と言ってもらって、ジワジワ実感が沸きました。
ガルボマンボで高知優駿制覇
結果的には高知所属馬のワンツーでしたね。
他の競馬場でやったらわからないですけど、高知は砂が深くて特殊な馬場なので、走り慣れているというのは大きいと思います。
林騎手はもともと船橋競馬所属としてデビューし、高知に移籍したわけですが、高知優駿に参戦した南関東の関係者から「移籍して良かったな」と声を掛けられたそうですね。
僕自身もそう思います。高知でたくさん乗せていただいているので、移籍する時は悩みましたけど、改めて良かったなと実感しました。
林騎手にとっては2018年のトレノ賞以来、久しぶりの重賞制覇になりました。
正直、あまり重賞を勝ちたい勝ちたいという思いはなかったというか、もちろん勝ちたいんですけど、それよりも目の前の競馬に集中しようという気持ちでやって来ました。だからここまで長かったとは感じていないです。高知に移籍する時はかなり悩んで、桑島孝春さんの勝負服のデザインを継がせていただいているのに、移籍していいのだろうかという気持ちもあって。でもいろいろ悩んだ末に決断して、今では移籍して本当に良かったと思います。それも、周りの方々のお陰です。
ガルボマンボにとっては初重賞制覇がダービー制覇となりました。初めて乗った時はどんな印象でしたか?
初めてレースに乗ったのは昨年の秋(2021年11月20日高知第3レース/4着)で、最初の頃から競馬が上手だなという印象がありました。まだその時は重賞までは頭になかったですけど、今年に入って準重賞の土佐水木特別を勝った時に、長い距離ならもしかしたら同世代で一番強いかもしれないと。ダービーもチャンスがあるんじゃないかと、細川忠義調教師や厩務員さんたちが意識し始めて、僕ももしダービーに乗せてもらえるなら頑張りたいなと思いました。
ガルボマンボはどんな性格ですか?
普段はびびりなところがあるんです。調教だと後ろから馬が来るとハミをすごく取ってカリカリして。レースでは落ち着いていて、逆にハミを取らな過ぎて不安なくらいなんですけど。調教はそういう難しいところがあるので、元騎手の三村展久厩務員が、所属厩舎は違うんですけどずっと攻め馬を担当しているんです。自分はレースに乗せてもらっているだけなので、三村さんが調教してくれているというのが大きいです。乗せてくれたオーナーはじめ、周りの方々に感謝しています。
今後の目標を教えてください。
自分自身の目標は、たくさん乗せていただいて、その期待に応えられるよう精一杯頑張ることです。ガルボマンボとの目標は、とても競馬が上手な馬なので、僕が邪魔をしないよう気をつけながら、また一緒に頑張りたいです。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願いします。
いつも高知競馬を応援していただき、ありがとうございます。今は高知の注目度が上がって、売上もすごく上がって、とてもありがたいです。これまで頑張って来た方々が築いてくれた高知競馬を僕らの世代で壊さないよう、これからも頑張ります。ガルボマンボはまだまだこれからも成長すると思うので、人馬ともに応援していただけたら嬉しいです。
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※インタビュー / 赤見千尋
昨年は206勝を挙げ、3度目の全国リーディング第1位に輝いた打越勇児調教師(高知)。今年もすでに98勝(2022年5月10日現在)を挙げ、全国リーディング独走中。快進撃が続いています。
まずは昨年全国リーディング第1位、おめでとうございます。キャリアハイの206勝を挙げ、3度目のリーディング獲得でした。
ありがとうございます。これもたくさんのいい馬を預けてくれるオーナーの皆さまのお陰です。ただ昨年は早い段階で数字的に少し抜けてしまったので、逆に変なプレッシャーがあったというか、ここからひっくり返されて負けたらどうしようという不安はありました。無事にリーディングを獲ることが出来て嬉しいですし、ホッとしました。
一昨年は1勝差で第2位でしたが、その悔しさというのもありましたか?
所属の競馬場が違うので、そこまで意識はしていないですね。もちろんリーディングを獲りたいという気持ちはありますけど。一昨年は11月の段階で角田(輝也)先生に離されていましたから、正直よく1勝差まで追いつくことが出来たなという気持ちです。
例年、調教師リーディングは接戦になるイメージでしたが、昨年はキャリアハイである206勝を挙げ、圧倒的な差をつけました。この要因は何でしょうか?
先ほども言いましたが、やはりオーナーの皆さまがいい馬たちを預けてくれるということが大きいです。それから(宮川)実、妹尾(浩一朗)、(井上)瑛太という所属の騎手たち、スタッフも含めて周りのみんなに恵まれているなと思います。
昨年の全日本2歳優駿でお会いした時に、「今年は実とダブルで獲りますよ」と仰っていました。その言葉通り、ご自身は全国リーディング第1位でNARグランプリ・最優秀勝利回数調教師賞を受賞、そして宮川実騎手は勝率28.3%で最優秀勝率騎手賞に輝きました。
実が勝率を獲れたことが何より嬉しかったですね。周りの方々の応援もありましたし、実自身の頑張りが大きかったですから。ただ、目黒雅叙園での表彰式がなくなったのは本当にショックでした。一緒に表彰式に出席したかったですね。
それは本当に残念でした......。宮川騎手は1月9日に地方競馬通算2000勝を達成されましたね。こちらの記録に関してはいかがですか?
この数字をずっと目標にしていたので、僕としてもとても嬉しかったです。
2000勝を達成した時の騎乗馬ララメダイユドールは、その後に二十四万石賞を制しました。高知では3連勝と底を見せていませんね。
相当な能力の持ち主ですが、なかなか順調に行かない面もあって、調整するのが大変なんです。実と一緒に試行錯誤をしながらやっています。レースに行けば圧倒的な力を発揮してくれますから、これからも馬の様子を見ながら大事に育てて行きたいですね。
二十四万石賞(4月17日)を制したララメダイユドール
御厨人窟賞を勝ったブラックランナーもスピードのある馬で、逃げ馬が2頭揃いました。
意識しているわけではないですが、そういう風になりましたね。どっちもスピードのある馬で、どっちも普段とてもうるさいです(苦笑)。大変な部分もありますが、だからこそあのスピードが出せるというのもあるかもしれません。距離的にはブラックランナーが短め、ララメダイユドールが長めとある程度傾向が違うので、それぞれに合ったローテーションを考えています。
御厨人窟賞(3月27日)を制したブラックランナー
ララメダイユドールもブラックランナーも、主戦は宮川騎手が務めています。宮川騎手はどんな存在ですか?
もともと実はうちの父の厩舎所属だったので、私が厩務員になった当初からずっと一緒にやって来ました。なんというか、ある意味では家族みたいなものじゃないですかね。(宮川)真衣(調教師)の立場とは違いますけど、想いは強いです。改めて聞かれると難しいですけど。なんだか不思議な関係ですね。
打越調教師といえば、調教師同期の菅原勲調教師(岩手)との繋がりも深いですよね。
(電話インタビュー中)今、ちょうど隣にいるんですけど(笑)。セールの馬を見るために、一緒に北海道に来ています。勲先生のことは調教師試験を受けるまでは、まったく面識がなかったですし、TVの中でしか見たことない方でした。それが、一緒に調教師課程を受けたことでご縁が出来て、仲良くさせていただいています。馬のことなどいろいろ教えていただいて、本当に感謝しています。
それでは、今後の目標を教えてください。
高知競馬場ではもちろん、他の競馬場でも重賞を勝ちたいです。以前はけっこう遠征に行っていましたが、ここ何年か行く機会がなくて、昨年全日本2歳優駿で久しぶりに遠征に行って、改めて他場で勝ちたいと思いました。あとは高知生え抜きの馬で、他場で勝ってみたいです。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願いします。
いつも高知競馬を応援していただき、ありがとうございます。私が開業した2012年に比べると、大きく様変わりして、正直怖いくらいに良くなりました。注目度も上がって、馬の質も上がっていますので、これからも面白い競馬をお見せ出来るよう、一生懸命頑張ります。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:高知県競馬組合)
1月9日高知競馬第8レースをララメダイユドールで勝利して、地方競馬通算2,000勝を達成した宮川実騎手(高知)。昨年1年間の勝率は28.3%でNARグランプリ最優秀勝率騎手賞を受賞しました。2009年の落馬事故により左目失明という大きな怪我を負いましたが、復帰後も進化し続ける宮川騎手。現在の胸の内を伺いました。
まずは2,000勝達成、おめでとうございます。
ありがとうございます。目標にしていた数字なので、達成することが出来てホッとしました。自分にはハンデがあるのに、復帰当初からたくさん乗せていただいて、周りの方々に感謝しています。自分自身も嬉しかったですが、特に(打越)勇児先生が感極まっている姿を見て、いろいろな想いが込み上げて来ました。
所属の打越先生とは長年一緒に歩んで来られた間柄ですね。
もともと僕は勇児先生のお父さんである打越初男先生のところでデビューさせていただいて、勇児先生は厩務員さんでした。2012年に調教師になって、初男先生の代から引き継いだこととか、いろいろな想いがあったのかもしれません。2,000勝を達成した時には、枠場の引き取りのところまで来て下さっていて、「おめでとう」と声を掛けてくれました。勇児先生が感極まっている姿を見て僕も胸が熱くなりましたし、自分以上に想いが強かったように感じました。
1月9日、地方競馬通算2,000勝を達成
そして昨年は打越調教師が206勝を挙げて全国リーディング、宮川騎手は勝率ナンバー1で、NARグランプリ同時受賞となりました。
自厩舎がすごい厩舎なので、自分がミスしなければおのずと出る結果だったと思います。全国で勝率1位というのは嬉しかったですね。
どのあたりから意識しましたか?
11月に入る前くらいに、「一緒にダブル受賞したいな」って勇児先生が言ってくれて、そこから意識するようになりました。意識し過ぎて空回りしてもいけないなと思いながら、なんとか踏ん張ることが出来ました。最後の1か月くらいはいい馬だけに乗せていただいたので、周りの方々の応援も本当にありがたかったです。
周りには応援している方がたくさんいらっしゃると思いますが、奥様の宮川真衣調教師の存在も大きいのではないでしょうか。
それは本当に大きいですね。しんどい時も支えてもらっていますし、真衣がそばにいてくれることはすごく大きいです。
以前お話を伺った時、自分の中で葛藤があるけれどもあまり表に出したくないというお話をしていましたが、奥様には見せられる面もありますか?
そうですね。いろいろなことを自然と言っていると思います。真衣も乗り役でしたし、大変な部分をよく分かってくれるので、感謝しかないです。
2月8日高知第7レースで宮川真衣調教師の初出走(チョウライリン・6着)に騎乗しました。調教師としていよいよスタートを切りましたね。
よく厩舎に行くんですけど、今は5頭入りました。大変そうではありますが、乗り役だった時の目線とはまた違うようで、馬たちを我が子のように可愛がっています。先日はデビュー戦だったので、まずは無事に終わってホッとしました。これから早く初勝利を挙げて欲しいですし、そこに貢献したいと思っています。
ご夫婦で表彰台に立つ姿を楽しみにしています。
そうですね。ゆくゆくは重賞も一緒に勝ちたいです。兄(宮川浩一調教師)も頑張っていますし、真衣がやっていることをそばで見ていると、騎手とは違う大変さを感じます。僕は騎手としても家族としても、一緒に頑張っていきたいです。
赤岡修次騎手が、「怪我から復帰してさらに上手くなった」と仰っていましたが、ご自身で感じることはありますか?
以前は勝ちたいという気持ちが強くて、自分本位になっていた面もあったと思います。もちろん今でも勝ちたい気持ちは強いですが、馬の気持ちが一番という風に考えるようになりました。それに、自分にはハンデがあるので、そのことで周りに迷惑をかけたくないという気持ちも強かったですから、いかに落ち着いて乗るかということを大事にして来ました。怪我から復帰したことで、いろいろな面でプラスになった部分はあると思っています。
そこまでの想いに持って来られたのはすごいですね。
僕が怪我をした時、ちょうど高知でナイターが始まる時だったんですよ。売り上げもどん底で、これでダメだったらもう潰れるしかないという状況でした。あのまま高知競馬場が潰れていたら、今の自分はなかったですし、復帰することも出来なかったのではないかと思います。高知が続いていたからこそ復帰出来たし、今こうして2,000勝も達成することが出来ました。関係者の方々には感謝していますし、高知を応援してくれるファンの方々にも心から感謝しています。
現在の高知競馬は売り上げがものすごいことになっていますね。
ありがたいですね。売り上げの数字を見ていつもびっくりします。競馬場自体にはお客さんは少ないんですけど、インターネットでどれだけの人が見てくれているんだろうと思うと嬉しいです。ファイナルが一番売れているというのが、高知らしいですよね。
一発逆転ファイナルレース、乗る側としてはいかがですか?
乗る方は本当にキツイですよ。誰が逃げるかもわからないですし、とにかくみんながいつも以上にやる気満々で乗っていますから。4コーナーあたりでは行き場がないこともしょっちゅうで、直線は横一列で誰が抜けて来るかわからないですよね。配当もつきますし、自分も見ている時はすごく面白いです。乗るのはキツイですけど(笑)。
今年は3歳馬マリンスカイとのコンビも楽しみにしています。
全日本2歳優駿の後は休養に出ていて、まだ若い馬ですからこの休養が成長に繋がってくれたら嬉しいです。性格はとても素直で、まだ高知では本気で走ったことがないですけど、かなり能力が高いと思います。全日本2歳優駿はスタートの不利が痛かったですが、初めての遠征で砂を被っても大丈夫でしたし、向正面で僕が行き過ぎた分、最後はいっぱいになりましたが、マイルの距離もこなせると感じました。
マリンスカイで黒潮ジュニアチャンピオンシップを制覇
高知優駿の舞台、1,900mはいかがですか?
そこはまだ未知ですね。キャリアもそれほど多くないですし、地元だとスピードの違いで逃げていますが、これからいろいろな競馬をして成長させていきたいです。ゆくゆくは県外でも通用するように育てて行きたいです。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願い致します。
いつも高知競馬を応援していただき、ありがとうございます。これからも面白いレースをお見せできるよう頑張りますので、よろしくお願いします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:高知県競馬組合)
今や高知競馬を象徴するレースのひとつとなった福永洋一記念。今年は5月3日に行われ、1番人気スペルマロンが初制覇。コンビを組む倉兼育康騎手にお話をうかがいました。
福永洋一記念制覇、おめでとうございます。
ありがとうございます。福永洋一記念にはみんな特別な思い入れがありますし、僕自身は2度目の制覇ですけど毎年本当に勝ちたいレースなので、勝つことができて嬉しいです。去年(スペルマロンで)3着に負けていたので、今年は絶対に勝ちたいという気持ちが強かったですから。状態が良くて自信もありましたし、馬もよく頑張ってくれましたね。
昨年と比べると、さらに強さが増した印象です。
そうですね。気性的に難しい部分があるんですけど、以前と比べると先頭に立ってからやめなくなりました。だからこちらとしても、早めに先頭に立つ強気な競馬ができるようになったというのはありますね。
スペルマロンで福永洋一記念制覇(写真:高知県競馬組合)
どんなところが難しいんですか?
調教でも追い切りでも、イヤになると全然行かなくなってしまうんです。だからそういうところを出させないように、気を使って工夫しています。黒船賞は2回とも結果は良くないですけど(6着、7着)、一度もしっかりハミを取って真面目に走ったことがないんですよ。今年はもうちょっとやれると思っていたんですけど、真面目に走らせることができなくて......。そこは今も心残りですね。ただ、去年よりは真面目になってくれたと思います。前は仕掛けどころが難しかったですけど、今はレースがしやすくなりました。
転機というわけではないですが、昨年8月のミッキーロケット賞でスタート直後に落馬競走中止してから後のレースは、成績が安定しているように感じるのですが。
正直、そこが転機だったと思いますよ。あの後からもう一段強くなりましたよね。ただ、馬というよりも僕自身の気持ちだと思います。先ほども言いましたけど、先頭に立つとやめてしまうところがあるけれど、逃げた方が強いんじゃないかと思っていて。なかなか試せなかったんですけど、あの時は「逃げよう」と思って出して行ったんです。そうしたらコケたんでね......。それからはゲートを出てから考えています。
距離の幅が広く、1,300mから2,400mまでの重賞を勝つというのは、なかなかできないことだと思います。
珍しいですよね。これだけ距離に幅があるというのはいないですよ。スペルマロンの後にもJRAからもっといい成績の馬たちが移籍して来ましたけど、同じようにはいかないですから。相当能力が高いと思います。
一番の適距離と言われたら、どの距離ですか?
長ければ長いほどいいと思います。長い距離で他の馬たちがバテていっても、この馬はバテないですからね。もちろん短い距離でも対応できますけど、乗りやすいのは長距離です。
高知の重賞の中で、1,400m戦だけ勝ってないというのは、何かあるのでしょうか?
僕自身は1,400mでもまったく問題ないと思いますけど、勝ってないというのは何かあるんですかね。前回の(地元同士で)1,400mの重賞は1月の大高坂賞ですけど、あの時は2,400m戦の後の1,400m戦で、1コーナーで遊ばれてしまって......。そこから全然ハミを取らなかったんです。集中し切れていない状況でしたがそれでも2着なので、ちゃんと走ったら負けないだろうなと。普段からやんちゃなので、いつ振り落とされるかと思いながら調教に乗っていますが、いろいろな距離で本当に頑張ってくれる馬ですよね。この後は1,300mのトレノ賞(7月18日)の予定で、今年はもう全部重賞狙っていきたいです。
オールマイティに距離をこなすスペルマロン(写真:高知県競馬組合)
今度は倉兼騎手自身のことを伺います。今年ここまで68勝(2021年6月22日現在)、リーディング2位と好調です。
なんだかんだで勝たせてもらっています。今年はとにかく怪我をする騎手が多くて、永森(大智)君、西川(敏弘)さん、(宮川)実君も怪我して休んでいた時期がありますから。怪我しないようにってみんなに言っています。僕自身もそこは気をつけていますね。
現在通算1,980勝と、2,000勝目前です。
今はとにかくそこが目標です。2,000勝したら、全国で一番下手な騎手が2,000勝するんですよ。僕が2,000勝なんてありえないという技術のレベルだと思っているので。
ご自身ではそう感じているんですね。
上手いと思ったことはないです。もちろん、勝ちたいとか、この子らには負けたくないとは思うけど、だから上手かといったら上手いわけではないですから。よく乗せてもらえるなと、周りの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。だからこそ2,000勝したいという気持ちも強くて。こんな下手でも勝てるんだよって、周りの子らが感じて頑張ってくれればいいなと思います。
高知は若い騎手も増えましたし、売り上げも好調でいい波に乗っていますね。
本当にありがたいです。注目度が上がって売り上げが伸びていることに感謝していますし、賞金が上がったこともありがたいです。ただ今の状況が当たり前ではないですし、現状に満足するのではなく、もっと欲を出して上を目指そうという若い子が出て来てくれたら嬉しいです。
では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願い致します。
いつも高知競馬を応援していただきありがとうございます。高知の関係者一丸となって頑張っていきますので、これからも応援よろしくお願い致します。
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※インタビュー / 赤見千尋