
今年4月5日に高知競馬場でデビューを果たした近藤翔月騎手。
初日から5鞍に騎乗し、最終レースで初勝利を挙げました。記念すべき初勝利や、騎手を目指したきっかけ、これからの目標などを伺いました。
まずはデビューおめでとうございます。実際のレースに騎乗してみていかがですか?
すごく難しいです。見ているのとは違って、なかなか自分が思っているようには乗れないですね。
そんな中でもデビュー初日に初勝利を挙げました。
強い馬に乗せていただいて、馬が頑張ってくれました。乗せていただいた関係者の皆さまに感謝しています。初日から5鞍乗せていただいて、初勝利の前に4鞍乗ったのですが上位に入ることができませんでした。勝った時はずっと馬の手応えがよくて、1着でゴールした時にはものすごく嬉しかったです。ファンの方々からの声援も聞こえましたし、あの光景は一生忘れないですね。
4月5日第11レース、ノーブルシェイドに騎乗して勝利
デビュー2カ月で9勝(6月8日現在)、ご自身ではどう感じていますか?
たくさんいい馬に乗せていただいて、順調に勝たせていただいていると思います。先ほども言いましたが、まだまだ難しいことが多くて、もっと成長しなければという気持ちが強いです。
具体的にはどんなところが難しいですか?
自分でイメージしたことを実際に競馬でなかなかできないことです。特にスタートしてからのポジション取りが難しいですね。今はそこが一番の課題だと思います。先輩方に質問したり、自分なりにいろいろ試行錯誤しているところです。
よく質問する騎手はどなたですか?
皆さん本当に優しいので質問すれば教えてくれる方ばかりです。その中でも年齢的に近いこともあって、聞きやすいのは井上瑛太騎手です。山崎雅由騎手にもよく質問しています。所属の宮川浩一先生や厩務員さんにもよく教えていただきますし、浩一先生の兄弟である宮川実さんともお話させていただいて、とてもいい環境でやらせていただいています。
勝負服のデザインは、厩舎カラーの紫と、兄弟子の妹尾将充さんのデザインを取り入れたそうですね。
将充さんは自分の中でお兄ちゃんみたいな存在なんです。毎日のように連絡を取っていますし、競馬開催中は将充さんがレース後コメントを取っているんですけど、そのコメントのやり取りだけではなくて、もっとこの辺りを走ってくれば良かったんじゃないかとか、もう少し早めに仕掛けたら良かったね、という風なアドバイスもくれるので、とてもありがたいです。
愛媛県出身の近藤騎手ですが、どんなきっかけで騎手を目指したのですか?
小学校1年生の時にたまたま阪神競馬場の近くへ行く用事があって、ちょうどその日に宝塚記念があるということで、本当にたまたま競馬場へ行ったのがきっかけです。その時ラブリーデイが勝ったのですが、レースを見て「これだ!」と思いました。最初は両親も驚いていましたが、自分が本気で目指したいと伝えたら本気でサポートしてくれて、小学4年生からは乗馬クラブにも通わせてくれました。けっこう費用がかかるのに通わせてくれて、とても感謝しています。愛媛には競馬場がないですから、騎手という仕事を知らない同級生も多かったのですが、自分の中ではまったくブレず、ずっと騎手になりたいと思っていました。諦めそうになったことは一度もないですね。
宮川浩一厩舎に入ったのはどんなきっかけですか?
教養センターに入った時には所属が決まっていなかったので、高知競馬所属を希望して、公募という形でどなたか所属にして下さる先生はいないか聞いていただいたところ、8名の先生が手を上げてくれて。各先生とリモート面談をした時に、浩一先生が競馬場実習からどういう風に育成していくかという計画を立てていてくれて、そのお話を聞いた時に自分の中でとても響いたんです。それで決めさせていただきました。
実際に厩舎に入ってみていかがでしたか?
競馬場実習で競馬場に行った時、最初は緊張していたんですけど、すぐに皆さんが話しかけてくれて、仲良くしてくださったので、すんなりと馴染むことができました。
競馬場実習の時には、ユメノホノオに跨ったことが印象深かったそうですね。
あの時は本当にいい経験をさせていただきました。僕の調教が全頭終わったタイミングでユメノホノオが馬場に行くところが見えたので、せっかくだからと思って調教を見ていたんです。馬場から帰って来た時に、「すごい馬ですね」って山頭信義厩務員に話しかけたら、「跨ってみるか?」って言ってくれて、整理運動をさせていただきました。常歩ですけど、背中ががっちりしていて跨った雰囲気も全然違いました。すごい馬の背中を感じることができて、とても嬉しかったです。
デビュー当日に行われた紹介式
今後の目標を教えてください。
浩一先生からは、5年でリーディング争いに食い込めるようになれと言われています。難しいことだとは思いますが、そのくらい期待してくれているということなので、その期待に応えられるよう頑張ります。目の前の目標としては、今は減量があるので、その減量を活かして積極的な騎乗をしたいです。
では、オッズパークユーザーの皆様にメッセージをお願いします。
まだまだ未熟ですが、これから高知競馬を盛り上げていけるよう全力で頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:NAR、高知県競馬組合)
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昨年、自身2度目の高知リーディングに輝いた宮川実騎手。プリフロオールインで高知三冠を達成するなど活躍した1年でした。
2度目の高知リーディングおめでとうございます。
ありがとうございます。数字が出るので、意識していなかったと言えば嘘になるんですけど、無事に獲れてよかったです。去年は所属の打越勇児厩舎がすごくて、いい馬をたくさん任されたので、いかに取りこぼさないかに必死でした。それを頑張っていれば、自ずとリーディングは獲れるのかな、と思っていました。
打越調教師は昨年、地方全国リーディングに加え、NARグランプリ最優秀勝率調教師賞も受賞しました。連勝馬がいたり、重賞になると多頭出しだったりで、強い馬が多かったので緊張感があったかと思います。
そのプレッシャーに負けていたらいけないな、という感覚で乗っていました。高知三冠とかいいことも色々あった年でした。
黒潮菊花賞を制して高知三冠を達成したプリフロオールイン
高知三冠を達成したプリフロオールインは2歳の頃、どんな印象でしたか?
デビュー前から調教に乗っていて、レースを使うたびに強さを感じていました。スピードもありますしね。デビュー戦はちょうどワールドオールスタージョッキーズに出場していて乗れなかったんですけど、10月にネクストスター高知で重賞を初めて勝ってから「目標は高知優駿を勝つこと」と決めました。自分もまだ高知優駿を勝っていませんでした。
一冠目の黒潮皐月賞が6馬身差の楽勝となれば、高知優駿の前にはプレッシャーを感じませんでしたか?
ないと言ったら嘘です。ただ、やることをしっかりやれば、結果がついてくるんじゃないかなという感覚でした。それまでに1600mの準重賞を2回使って勝っていて、まだ余力もあったので高知優駿の1900mならもつんじゃないかなと思っていました。3歳重賞で、馬にとっては1度しかない機会。25年間、ジョッキーとして乗ってきた中で勝っていなかったので勝てて嬉しかったです。打越調教師も高知優駿は初制覇で、終わってから「今までで一番緊張した」と言っていました。
その後は高知三冠に向けて、期待が高まりました。
高知三冠という目標ができて、色々とプレッシャーもあったんですけど、こういう経験はジョッキー人生でできるかできないか、運命だと思います。
三冠最終戦の黒潮菊花賞は驚異の単勝1.0倍でした。
これまでに単勝1.0倍の馬に乗った記憶はあんまりないです。高知優駿の走りを考えたら、これだけの人気になりそうと言えばなりそうですけど、あとから知って「みんな100円買って100円しか返ってこんがね」とビックリしました。
終わってみれば5馬身差の快勝でしたが、序盤のポジション争いや勝負所で他の騎手たちの「簡単には勝たせないぞ」という思いが伝わってきました。
序盤の先行争いが落ち着きかけたところで(赤岡)修次さんがもう1回来たのには僕も「うわーっ!」と思いました。(井上)瑛太と僕の間の見えない位置からスルスル~と来たのは予想外でした。その後はペースも落ち着いて馬もハミを抜いてリラックスして走れていたので、最後にしっかり脚を残せていたのだと思います。それにしても、序盤に競られてラップが速くなったのにあの走りはすごいな、と乗っている自分も思いました。
口取り撮影では高知三冠達成を祝う横断幕も掲げられましたね。
もし負けていたら、この幕どうしていたんやろ?と思いました(苦笑)。
黒潮菊花賞直後から高知競馬場は約1カ月の馬場改修に着手。プリフロオールインも休養に出て、復帰戦は11月の園田・楠賞でしたがまさかの10着でした。何があったのでしょうか?
状態はそんなに悪くないと感じていたので、楠賞はちょっと敗因が分からないんです。調教でまだ子供っぽい面があるので、初めての遠征競馬や馬場も影響していたんでしょうか。スタートしてからのスピードが明らかにいつもと違って、道中も気持ちが入っていなくて馬が走っている感じがしませんでした。その原因がどこか分からなくて、もし喋ってくれたら「何がイカンかった?」って聞きたいです。「お前がイカンかった」って言われるかもしれないですけど(苦笑)。
今年初戦の大高坂賞では古馬と初対戦。「こんなもんじゃない」という走りを見せたかったかと思いますが、先行争いが激化してハイペースで逃げることとなり、11着でした。
帰厩後は39秒台の追い切りを2本できて、乗り込みは十分できていると感じていました。今回は地元なので挽回したい気持ちはあったのですが、トモがしんどそうで、スピードに乗りませんでした。
立て直しての巻き返しに期待します。そして、今年も宮川騎手の活躍も楽しみです。
年齢的には若い子のように元気には乗れないと思いますけど、落ち着いて乗って、周りとの差をつけて頑張りたいです。吉原寛人騎手が打越厩舎に定着していて、修次さんと二人、日本トップクラスのジョッキーがいることはいい刺激になっています。追いつきたいと思いながら高知で乗っていたら、自ずと全国で通用する腕になれると思っています。
オッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いします。
今年の目標は、他地区の重賞に高知の馬で遠征して勝つことです。怪我無く、1年を通してファンのみなさまにいいレースを見せられるよう頑張るので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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9月7日高知第8レースを勝利して、地方競馬通算500勝を達成した林謙佑騎手(高知)。9月29日に行われた珊瑚冠賞ではガルボマンボとのコンビで、圧倒的人気だったユメノホノオを破って勝利を収めました。ご自身のこと、そしてガルボマンボについても語っていただきました。
500勝達成おめでとうございます。この数字は意識していましたか?
ありがとうございます。500勝できたことは嬉しいですし、周りの方々に感謝しています。ただ数字的には通過点なので、あまり意識はしていなかったですね。
2015年に船橋でデビューして、2018年に騎乗機会を求めて高知へ移籍。今年はここまで(2024年10月27日現在)58勝を挙げて高知リーディング7位につけています。今のご活躍をご自身ではどう感じていますか?
全然活躍しているとは思っていないです。自分より下の世代の子たちが活躍していますし、特に(多田羅)誠也はすごいですよね。移籍する時はかなり悩みましたが、今は受け入れてもらえて本当に良かったと思いますね。その辺りから売り上げがグングン上がって行って、強い馬もどんどん出てきていますから。
高知の馬たちは各地に遠征して結果を出していますが、どうしてこんなに強いのでしょうか?
一概には言えないですけど、他場のレースに行って感じるのは前半のペースの違いです。高知の場合はみんなが行って行ってのレースが多くて序盤から抑えていくようなことがあまりないんですよ。常にタフな競馬をしていますから、他の競馬場に行くと前半のペースが楽に感じることがあります。そうなると普段よりも脚が溜めやすいので、結果が出やすいのかなと思います。
上のクラスのレースだけではなくて、下級条件の馬たちで戦う一発逆転ファイナルレースもものすごく行け行けのペースになりますよね。
僕らでもどの馬が逃げるかわからないですから。いつも逃げている馬でも一発逆転ファイナルレースになるとわけわからない馬が前にいたりして。高知の騎手は先輩方も後輩も関係なく、誰が逃げても競って行ったり、みんながのびのびと競馬ができることも好循環に繋がっていると思います。
見ている方としては、馬場の変化も難しいです。
1日の中でもどんどん変化していきますから、1レースと最終レースでは伸びるところが全然変わってくることもありますね。ただ、差しが決まるような流れが続くとそこを逆手にとって前に行こうとする騎手もいたりして、展開の読みは単純にはいかないですね。
珊瑚冠賞をガルボマンボで勝利
9月29日の珊瑚冠賞は、ガルボマンボとのコンビで快勝でした。早めにリードを広げて行って、ユメノホノオの追撃を退けましたね。
枠(2番)が決まった時からいい枠だなと思っていましたし、当日の馬場もガルボマンボ向きの馬場になりました。返し馬は普段通りだったのですが、ゲートに行く時にいつも以上に力強さを感じたので、状態もすごく良かったんだと思います。レースでは内にグリードパルフェがいたので、同じような位置にいたくないなと思って、気合を入れて2番手3番手を取りに行きました。(多田羅)誠也(騎手のナムラボス)がペースを上げてくれたのも良かったです。
後ろは気になりましたか?
(最後の)直線で気になりました。リードはあったけれど、相手はキレるので怖いなと。先頭で直線を向くとどの馬も思いますけど、「ゴールまで長いな」って思っていました。
見事3馬身差の勝利でした。ゴールした時のお気持ちは?
ガルボマンボは1年くらい勝っていなかったので、すごく嬉しかったです。いつも頑張ってくれてずっといい競馬はしていたんですけど勝ち切れなかったですから。それに、ユメノホノオを相手に勝利したというのも嬉しかったです。
ガルボマンボとユメノホノオは、昨年の高知県知事賞が最初の対戦でした。1世代差の高知優駿馬対決は見ごたえがありました。
勝ちたかったですけど、半馬身差で2着......。あの時は来られてから動いたので、流れ的にも向こうが良かったのかなって。ただいつか逆転できる可能性はあると思っていたので、今回勝てて嬉しかったです。
ガルボマンボは重賞7勝目となりました。どんな存在ですか?
本当にすごい馬だと思います。乗せていただけることに感謝していますし、もう2度とこういう馬には出会えないんじゃないかって思っていて。強い馬というのはいると思うんですけど、オーナーとの出会いだったり、周りの方々と縁を繋いでくれた馬なので、唯一無二の存在です。
ガルボマンボの武器はどんなところですか?
心臓が強いですよね。ガルボ産駒ですけどマイルというよりも長い距離の方がしぶとさが活きます。スピード勝負になってしまうとキレ負けしてしまいますが、長めの距離でスタミナ勝負に持ち込めるとすごく強いです。
では、今後の目標を教えてください。
具体的にこのレースを勝ちたいとか、数字とかはないのですが、一つでも多く重賞を勝って、オーナーをはじめ周りの方々へ恩返しがしたいです。
オッズパーク会員の方々にメッセージをお願いします。
高知競馬をいつも応援していただき、ありがとうございます。毎年売り上げが良く、とても感謝しています。一発逆転ファイナルレースは特に面白いので、ぜひ注目してください。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:高知県競馬組合)
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昨年、園田競馬場での期間限定騎乗をきっかけに騎乗フォームや追い方が格段にパワーアップした濱尚美騎手。その成果はヤングジョッキーズシリーズ(YJS)でも表れ、初のファイナル出場を果たしました。
昨年のYJSトライアルラウンドは初戦から見せ場を作りました。高知第1戦を10番人気スズカノアイルで逃げ粘ってアタマ差2着。
マイペースで逃げられたことが大きいかなと思います。3コーナーくらいで後ろから来るかなと思っていたんですけど、意外と来なくて「あれ?あれ?」と乗っていてビックリしました。でも、あの着差は勝たせられたと思います。ステッキを持ち替えて内から打っていたら、きっと違ったと思うんですけど、馬上で人間がアップアップでした。
ムチを左右どちらから打つかだけでそんなに変わるんですね。
ちょっと内にモタれていたかなと思います。レース後には園田の期間限定騎乗でお世話になっていた新子先生からも「内から打てと思っていた」と言われました。
TR高知第1戦で騎乗したスズカノアイル
悔しさが残る一方、掲示板に載ることさえ少なかった過去のYJSから考えると、大躍進です。
園田に短期で行っている最中の地元でのトライアルラウンドだったので、いいところを見せたい気持ちはありつつ、結果を残せるか不安もありました。初戦で2着を取れたことで、すごく自信に繋がりました。「新子先生、ありがとうございます」って本当に感謝の気持ちです。
続くTR金沢では第2戦を最低人気馬で差し切り勝ち。
ペースが速かろうが遅かろうが、騎乗馬のペースでレースをしたいなと考えていました。3コーナーで前にいた騎手が外に切り替えて、サーッて道が開いたので「ここに行くしかない」と進んでいくと、上手くいきました。でも、あんなに弾ける脚があるとは思っていなくて、追ったらそのまま突き放したのでビックリしました。
TR金沢第2戦では最低人気ながら直線で抜け出した
名古屋も2着、3着でまとめて、地方西日本トップでファイナル進出を決めました。ただ、ファイナルは川崎が8着、7着、JRA中山が15着、8着で総合15位でした。
パッとしないまま4レースとも終わっちゃいました。中山競馬場で乗れることは楽しみにしていて、レース前の返し馬がめちゃくちゃ楽しかったです。でも、レースになったらいっぱいいっぱいで、勿体ないことしたなと思います。もうちょっと楽しんで乗りたかったですね。でも、YJS最後の年にすごく楽しめて結果も出て、良かったなと思います。
YJSトライアルラウンドもですし、昨年5月~7月は園田で騎乗して3カ月で前年を超える20勝。どんどん結果が出て、乗っていても楽しかったんじゃないかなと思います。
この世界は結果で判断されます。誰が見ても努力しているよねって言われても、結果が出ないとそれで合っているのか疑心暗鬼になってしまいますが、園田では着実に結果に繋がっていったので、余計に自信に繋がりました。
その期間限定騎乗は、トップトレーナーの新子雅司調教師に濱騎手が直談判して実現しました。園田に行って明らかに騎乗フォームが変わりました。改めてどんなことを教えてもらったか聞かせてください。
毎朝、調教終わりに新子先生に木馬で騎乗フォームを見ていただきました。馬と人の重心の位置について教えてもらったり、馬に乗る位置を前にする意識など、騎乗姿勢をゼロから作っていただきました。木馬でできないことは絶対に馬上でもできないから、と徹底的に体に覚え込ませました。
下半身も筋力アップして安定感が増したように感じました。
週2回くらいジムに行って筋トレをしました。園田に行って最初に木馬を全力で追っても30秒でアップアップだったんです。腕を動かすスピードも遅いし、お尻も上がってきちゃったんですけど、毎日続けることで全力で追える時間が長くなっていきました。ある時、過去の映像を見たら「よくこんなんで乗っていたね(笑)」って新子先生の奥さんと一緒に笑っちゃうくらいでした。これだけ変われるんだなと思いましたし、新子先生と奥さんのサポートがなかったら、ここまで成長できなかったと思います。
ジムも木馬も、日々取り組んだ方がいいと思っている騎手はたくさんいても、実際にトレーニングを継続できるかがまた難しいのでしょうね。
そうなんです。「ジムに行ってこいよ」と言われるだけだったら、私も甘い部分があるので、そんなにできなかったと思います。続ける難しさがありますよね。でも、先生や奥さんが毎朝、私の調教が終わるまで待ってくださって、一緒に木馬やジムに付き添ってくださいました。だからこそ、身に付いたのかなと思います。
向正面と最後の直線では乗り方が違うことを教えてもらった、とも話していましたね。
「ずっと同じ筋肉を使っていたら、人間も疲れるよね」と新子先生から聞きました。筋肉の使い分けをしたらもっと楽になるし、力も出せるよと言われて、向正面では足をちょっと開いて外側の筋肉を使って、追いはじめた時にグッと膝を締めて内腿で押すようにしました。ただ綺麗に乗ることだけじゃなくて、「わぁー!」と感動しました。
たしかにその発想はなかったです。
向正面では足を開いているので体を畳めて、胸を膝につけるイメージで乗っています。吉原寛人騎手がめちゃくちゃそういうタイプじゃないですか。向正面でああいう形を作りたいんですよ。でも、どれだけ意識しても「いや、まだちょっと筋力が足りひんな」と思います。毎週、レースを見直して、園田の期間限定騎乗が終わった後も新子先生からは時々連絡をいただいていて、「いい位置で乗れているけど、手綱がちょっと緩いよ」などアドバイスをいただいています。
これから目標は?
まず100勝を達成したいですね。そして、新子先生に教わったことを無駄にしないように、技術を大切にしていきたいなとは思います。高知に戻ってきてからもトレーニングとかはやっていても、勝ち鞍が減ってしまっているので、「高知では全然勝てないよね。園田ではいい馬に乗せてもらっていたから」という見方になってしまうと思うんです。でも、見てくれている人はいると思っているので、努力を続けていきたいです。
最後にオッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いします。
ファンの方々の応援が自分にとってすごく力になっています。恩返しできるように結果を出していきたいなと思うので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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ヤングジョッキーズシリーズ2023でファイナルラウンド(12月14日川崎、16日JRA中山)に出場した岡遼太郎騎手。2021年もファイナルに出場しましたが、初日の大井競馬場で落馬負傷し、中山競馬場での騎乗ができないまま終了......。今回2度目のファイナルラウンド出場で、念願の中山での騎乗を果たしました。
ヤングジョッキーズシリーズ(以下YJS)2023ファイナルラウンド出場、おめでとうございます。初の中山競馬場での騎乗はいかがでしたか。
まずは無事に騎乗することができてホッとしました。中山競馬場はものすごい広さと、ファンの方の多さに圧倒されましたね。コースも広くて入り口や待機所がたくさんあって驚きました。ありがたいことにエキストラ騎乗(第3Rセイウンマカロン/5着)で乗せていただいたのですが、先出しの馬だったんですよ。どこに行けばいいかわからないのに一番最初の先出しで、どうしたらいいかわからなくて......。いろいろな方に聞いて、なんとか馬場に出て、という感じでした。中山ダート1800mだったんですけど、普通ならば左回りで返し馬をして、3コーナーくらいで止めるんですけど、僕の馬は他の馬とすれ違うのもダメだと聞いていて、直線のうちに止めて、芝の方に出て芝の待機所で一人で待っていたんです。本当にここでいいのかな?って、ドキドキしながら待っていました。
レースに関してはいかがでしたか?
自分の技術のなさがもろに出てしまいました。エキストラ騎乗とYJSで2鞍乗せていただいて、結果を出すことはできませんでしたが(第7R芝2000mナンヨーアゼリア/11着、第9Rダート1800mエコルフリューゲル/9着同着)、川崎のレースも含め、とてもいい経験をすることができました。
デビューした年に出場したYJS2021ファイナルでは、初日の大井で落馬負傷、中山で騎乗できず悔しい経験をされましたね。
そうですね。幸いにも大きなケガではなく、すぐに競馬に乗ることができましたが、本当に悔しかったです。でもあの落馬があって、初めて競馬での怖さを知りました。そこから騎手の動きや馬の動きとか周りをよく見るようになって、2年目に少し成績が良くなって、3年目の昨年YJSでリベンジができて良かったです。
3回出場中2度もファイナル進出はすごいと思います。
運も良かったですし、昨年のファイナルは正直自分の力ではないというか、JRAの騎手がたくさん勝って、地方の騎手にあまりポイントが入らなかったですから。僕は最高着順が3着なので、結果を出したというような気持ちはなかったです。たまたま4位でファイナルに行くことができたので、運が良かったです。
YJSはどんな存在ですか?
デビューから3年間乗せていただいて、悔しいこともありましたが、他場で乗ったり普段一緒に乗らない騎手と騎乗することで、新たな経験をすることができましたし、それに伴って成長できたかなと。今年はもう出場できないですが(2023年7月29日地方競馬通算100勝達成)、もっともっと成長できるよう頑張ります。
勝負服を受け継いだ、所属調教師の中西達也調教師はどんな方ですか?
すごく尊敬しています。競馬に関しては厳しいですけど、1年目からずっと、すごく乗せていただいていて。今もまだまだですけど、1年目は本当に下手くそで、その中でもいろいろな調教師さんに頭を下げて、お願いしてくれたんです。それから、レースに対しての具体的な指示がないんですよ。もちろん馬主さんの要望があれば言いますけど、先生からの指示というのはないんです。「自分でしっかり考えて競馬をしろ」と。任せてくれるので、自分で一生懸命に考えています。
岡騎手の売りは何ですか?
高知競馬は内を開けて競馬をすることが多いですが、僕はあえて内を狙って競馬をする時があります。もちろん馬場状況にもよりますけど。これは倉兼(育康)さんにアドバイスをいただいたんですが、若手の僕が乗せていただくのは1番人気やたくさん印が付くような馬ではなくて、成績的には少し見劣りする馬だったりするんです。そのレースの中ではちょっと能力的に足りないかなという馬をどのようにして持っていくか考えたとき、ロスなく競馬をすることが大事だと思って、そこを意識しています。
岡騎手といえば、よく髪色を変えているイメージがあります。
そうですね、お休みもあまりないですし、気分転換でしています。去年の自分の流行は金髪でしたけど、そこから色落ちして茶髪になって、その流れで最近は赤茶色、そこから色落ちしていろいろ混じっている感じですね。今悩んでいるのがオレンジで。僕、BIGBANGに憧れていて、その中のメンバーの方にオレンジの髪色の方がいるので、挑戦してみたいなとは思っています。
では、今後の目標を教えてください。
今年は初めから減量がないので、勝負の年になると思っています。ここで成績を落とさないように踏ん張りたいですね。腕を磨いて、いつか重賞とか大きいところで勝てたらいいなと思っています。
では、オッズパーク会員の方にメッセージをお願いします。
いつも高知競馬を応援していただき、ありがとうございます。競馬ファンの方の声を聞くのが楽しみで、よくYouTube配信のコメント欄を競馬終わりに拝見しています。これからも一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:高知県競馬組合、NAR)
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