昨年、ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)ファイナルラウンドへの進出を決めた長尾翼玖騎手(兵庫)。総合7位ながら、JRA中山競馬場では3着など結果を残しました。YJSの振り返り、そしてデビュー4年目を迎えようとするいま、課題をどう感じているのでしょうか。
YJSトライアルラウンドは振り返っていかがですか。
園田第2戦(ハナ差2着)は本当に悔しかったです。騎乗経験のある(田中)学さんから「いい意味で適当に乗ってこい」とアドバイスを受けていました。綺麗に乗ろうとしたら馬が動かないから、感じたタイミングで行った方がいい、という意味なんだと思います。学さんは僕が所属する橋本忠明厩舎の馬によく乗ってくださっていて、厩舎実習の頃からずっと可愛がってもらっています。だから、僕の乗り方を分かった上でそう言ってくれたのかな、と思います。
アドバイス通りに乗ってみて、レースはどうでしたか?
学さんの言った通りで、「おぉ、ホンマにハマってきた!」と感じながら4コーナーを回ってきました。勝てる手応えだったんですけど、そこで色気を持っちゃいました。右ムチを打ったら、大きく外に膨らんでしまって......。欲張りの右ステッキでした。あれがなければ、勝てていたレースでした。
次のレースが始まる頃になっても、一人パトロールビデオをじっと見て悔しさを滲ませていましたね。それをバネに笠松第1戦では2着と、着実にポイントを稼いでファイナル進出を手繰り寄せました。
僕自身、「仕掛けが早い」と言われてきていて、(橋本)先生から「待って待って、くらいでいいんちゃう。(笠松では)園田でたとえると向正面に入った1700mのスタート地点まで待って、そこから追い出すくらいでいい」とアドバイスを受けました。笠松第1戦では、しまいに動く馬だというのがレースを見て分かっていて、それがハマりました。トライアルラウンドはJRAジョッキーにばかり勝たれてしまって、本当は1つでも勝って、胸を張ってファイナルに行きたかったです。
ファイナルラウンドは1日目の川崎が7着、7着。
左回りは難しかったです。いつも乗っている右回りと逆だとは分かっていても、無意識のうちに右足に重心をかけてしまいました。第1戦はいい位置につけたんですけど、気づいたら後方になっていました。悲惨な結果で、あの日は早く帰りたかったです。
2日目は初のJRA騎乗でした。中山第1戦は2番人気に推されました。
過去にルメール騎手が乗った時などは外を回していたので、枠順はもう一つ外がよかったです。未勝利戦ではずっと上位に入っていたものの、勝ち切るのに8戦を要していて、気性とその枠と、ちょっと難しさがあるのかなとレース前に考えていました。せっかくだし、逃げて園田みたいにドスローに落とせばよかったかな、という後悔はあります。
初めての芝でのレースはどうでしたか?
なんだか変な感覚でした。レースは内々を回ってきたので、広いコースを体感できなかったですけど、返し馬は楽しかったです。あとは「芝が青いな」と思いました。
第2戦は差し脚を伸ばして3着。
タイプ的に得意な馬だな、と思っていました。でも、ペースが遅くて道中は行くところがなくてちょっとヒヤヒヤしました。2コーナーで動こうかなと思ってチラチラ周りを見たんですけど誰も動く気配がなくて、前も横もいて動くに動けませんでした。この馬はいつもしまいに動いて掲示板は確保していたので、それを信じて待っていました。最後は「勝てる」と思ったけど、離れた前方に勝ち馬がいましたね。
YJSファイナルラウンド中山第2戦
総合7位。YJSを振り返ってどうですか。
川崎で頑張っていたら、もう少し上の順位にいけていたのかな、と思います。JRAでの騎乗はいい経験になりましたし、また行きたいです。でも、YJS出場は今年で最後にしたいですね。早く100勝を達成してヤングから卒業したいです。
さらなる向上を目指して、高知競馬場で期間限定騎乗も行いました。2勝目のロンリープラネットはすごい追い込みでした。
あれは学さんの真似をして勝てました。学さんは向正面で馬場の真ん中くらいまで馬を外に出して位置取りを上げて、コーナーでグッと内に入っていく乗り方をする印象があります。ロンリープラネットは砂を被ったらダメな馬なんですけど出遅れてしまって、「そや。学さん、外に出していたな」と思って外に出すとすごく進み始めて、ハマりました。
高知での期間限定騎乗を通して変化は感じますか?
林(謙佑)さんに教えてもらって、ゲートはちょっとマシになったかなと思います。遅れなくなって、ちょっと自信がつきました。
自分の騎乗の癖は?
遠慮しがちなので、レース前はあんまり考えずに乗った方が上手くいくことが多いです。前日までにレースパターンを頭に入れて、直前は何も考えずにペースだけ判断して差しに構えたり、思いきって前に行った時の方が上手くいっているのかな、と。でも、考えないと成長しないので、今は考えるようにしています。
最後にオッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いします。
いまの目標は減量を取ることと、もっと騎乗数を増やすことです。今年4月には園田・姫路から4人の新人騎手がデビュー予定なので、負けないように1鞍ずつ集中して頑張ります。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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NARグランプリ2022年度代表馬を受賞したイグナイター。昨年は黒船賞、かきつばた記念とダートグレード競走2勝を挙げたことに加え、南部杯4着、JBCスプリント5着とJpnIの舞台でも上位争いを演じました。レース史上初の地方馬での連覇を目指し、今年も黒船賞に挑みましたが、3着。それでも悲観する内容ではなかった、と話すレースの振り返り、そして今後について新子雅司調教師に伺いました。
NARグランプリ年度代表馬受賞、おめでとうございます。園田・姫路からはケイエスヨシゼン(アラブ系)以来26年ぶりで、サラブレッドでの受賞は初でした。
ありがとうございます。南関東の馬が受賞することが多い中、兵庫のこの施設で年度代表馬になれたことは自信になりました。昨年はサルサディオーネも活躍していましたし、他にもダートグレード競走を勝った地方馬がいましたけど、南部杯とJBCで上位に入ったことも評価してもらえたのかな、と考えています。調教施設の違いで言うと、JRAには開業前に栗東トレセンへ研修に行き、逍遥馬道の存在が大きいなと感じました。山道を登ったり下りたりすることで体のつき方が変わるだろうなと思いました。でも、調教の負荷は乗り方次第でそんなに変わらないと思います。
年末の兵庫ゴールドトロフィーはまさかの5着でしたが、今年は始動戦の黒潮スプリンターズカップをレースレコードで圧勝しました。
兵庫ゴールドトロフィーは1年ぶりの地元戦で輸送がなかった分、プラス23kgと太かったと思います。こちらが思っているより輸送で減るタイプかもしれず、黒潮スプリンターズカップは調教でもちょっと絞りましたけど、輸送でも絞れたと思います。パドックではかなり落ち着いて歩いていて、デキとしても7~8割くらい。それでもあれだけのタイムで走れたのは1年間、JRAの強い馬と走ってきたからだと思います。
それだけに、黒船賞では連覇が期待されましたが、スタートでバランスを崩してしまって......。
去年同様、目一杯の仕上げで臨んだんですけど、装鞍の時点から若干テンションが上がっていて、その分、ゲートでタイミングが合わなかったのかな、と思います。イグナイターは直線でそんなに弾けるタイプではなくて、4コーナー先頭で押し切るような競馬が理想なんですけど、一番動きたい3~4コーナーで動けず、そのまま下がってしまうと思いました。それでも直線は内を突いて3着まで来たので、そこまで悲観するような内容ではないな、と思いました。GIに行ってもやれるんじゃないかなと感じました。
黒船賞出走時のイグナイター
昨年覇者、そしてNARグランプリ年度代表馬として挑む一戦でプレッシャーなどはありませんでしたか?
ぶっちゃけ、ありませんでした。昨年勝っていることが大きいと思いますし、これまではダートグレード競走は特別なレースで気負っていましたけど、ありがたいことに5勝させていただいて、この状況に慣れてきたこともあります。それよりも、南部杯とJBCスプリントの方が「JpnIでどこまでやれるか」というプレッシャーが少しありました。
これまでから一段上がって、JpnIに手が届くところまで来たことでの心境の変化ですね。開業時から目標に掲げている海外での勝利も少しずつ近づいているように思います。
今年、サウジの招待が届きました。昨年は申し込んだものの、補欠2~30番目くらいで全然入らなかったので、今年は黒船賞に行くつもりでいて検疫をどこでするかなど何の準備もしていなくて断りました。栗東トレセンで検疫を受けられるのであればいいんですけど、無理なら栃木県の地方競馬教養センターまで行かないといけないのはハードルです。それなら、園田競馬場に検疫馬房を建ててほしい、と主催者に話しました。1年かけて準備をして、来年に行けたら行こうかなと思います。私もパスポートを取らないと(笑)。
イグナイターでのGI/JpnI制覇も期待しています。
みんな「今年、イグナイターで!」と期待してくださっていると思いますが、イグナイター以外でも近いうちにうちの厩舎から他にもそういう馬が出てくるようになるんじゃないかな、と思います。それだけ入厩予定の2歳馬の質が上がっています。
NARグランプリ表彰式にて。田中学騎手(左)、イグナイターの馬主・野田善己氏(中)と
それは『全日本的なダート競走の体系整備』や園田・姫路の賞金増額などが関係しているのでしょうか。
そうですね。これは園田・姫路競馬全体の話ですけど、これまでだとセリで1000万円する新馬が入厩することはあまりありませんでした。それが、今なら賞金が高いのでちょっと走れば回収ができるようになって、今年は1000万円以上の2歳馬が競馬場全体で10頭くらい入厩予定です。全体的に馬の質は上がると思います。
早速、肌感覚として変化を感じているんですね。最後に、イグナイターの次走とそこへの意気込みをお願いします。
5月4日かしわ記念(JpnI、船橋1600m)を予定しています。何とか勝ちたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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小牧太騎手、岩田康誠騎手、木村健騎手など歴代の名ジョッキーが達成した1日6勝。1月11日、吉村智洋騎手が7勝を挙げて園田・姫路競馬における1日最多勝記録を更新しました。さらに翌週には地方通算3000勝を達成。また、2022年は2回目の地方競馬全国リーディングに輝くなど勢いに乗る吉村騎手に記録の数々ついて聞きました。
話題が豊富すぎる吉村騎手。まずは1日7勝おめでとうございます。
ありがとうございます。1日6勝は何回かしたことがあって(6回)、どこかで7勝ができるな、とは思っていました。
この日は最初の騎乗から直線入口で大きく外に進路を取るようなレースが見られました。
前日にインを狙ったレースを2~3回したんですけど、伸びないなと感じていて、最終レースで外に行ったらやっぱり伸びたので、「外やな」と気持ちが決まりました。
あそこまで外に出すのは勇気がいりそうですが、逃げたレースでも大外に誘導していましたね。10レースでは廣瀬航騎手との接戦を制して勝ちました。
直線で馬も脚が上がってふわっとしていたんですけど、乗っている感覚としてはアタマ差くらいで勝っていると思っていました。でも、ちょうど僕の馬が頭を上げて、相手は頭を下げたところがゴールだったので写真判定になりました。このハナ差の6勝目はかなり大きかったです。残り2レースで、最終レースはよっぽど下手に乗らない限り勝てるなと感じていましたが、メインレースは強い馬が1頭いたので、10レースを勝たないと7勝には届かないな、と考えていました。
ということは、このハナ差を勝ったことで「7勝はいける」と?
はい、7勝は来るなと思いました。さらにメインを勝てれば、もしかしたら8勝までもあるかもしれない、と思っていましたけど、順序があるんじゃないですかね。「1日7勝してからじゃないと8勝はダメですよ」っていう。
園田・姫路競馬は1日の騎乗数が8鞍までという制限があるので、1日8勝は全勝を意味しますが、吉村騎手ならいつか達成しそうです。1月17日からは開催が姫路に変わり、「姫路は苦手」と公言していましたが、園田と変わらぬペースで勝っていますね。
苦手は苦手なんですけど、コース形態ではなくて輸送があまり好きじゃないんです。厩舎や調整ルームのある園田競馬場と違って、姫路競馬場は毎日バスで約1時間かけて移動。姫路に着いてからは体重調整などの時間がなくて、あらかじめ園田で全てやらないといけません。
1年のうち8カ月以上は園田開催なのに対し、スケジュールがタイトになるんですね。そうした中でも、姫路開幕日にポンポンと勝ち3000勝も達成。おめでとうございます。
ついていますよね。開幕週3日間のうちに達成できればいいかなと思っていましたけど、まさか初日からポンポンと勝つとはね。流れがたまたま向いただけだと思うんですけど、流れは大事ですからね。
そして2022年は2回目の地方競馬全国リーディングで、NARグランプリの最優秀勝利回数騎手賞受賞も2度目となりました。
めちゃくちゃ嬉しいです。全国リーディングなんて、一度きりかなと思っていました。
2018年、296勝で初めて全国リーディングに輝いた後、ずっと300勝以上を挙げていましたが、森泰斗騎手(船橋)がそれ以上に勝つという状況でした。
森騎手のことは必然的に意識はしていました。去年は9月頃に20勝前後、森騎手に一度離されたんですけど、10月半ばくらいに僕が一気に勝って「ひょっとしたらまたリーディングが来るか!?」と意識していました。それだけいい馬に乗せていただいていて、このくらい勝って当たり前なんだと思います。むしろ、もっと勝たないといけなくらいだと思っています。それだけ「勝ってきてくれよ」という気持ちで騎乗依頼をいただいていると感じています。
長男・誠之助くんは現在、JRA競馬学校に在学中で騎手を目指しています。息子さんの存在は刺激になっていますか?
間違いなく刺激になっています。周囲の人から「お前の親父、全国リーディングやな」と言われた方が本人も嬉しいでしょうから、そういうところを見せていけたらいいなと思って、励みになっています。
お手馬の中では楠賞を勝ったエコロクラージュがいますし、今年も「親父すごいぞ」というところを見せられそうですね。
エコロクラージュはデビューから無敗で名古屋の秋の鞍に遠征した時、抜け出してからとんでもなく遊んでしまって、3着に負けました。連勝している時でも抜け出して遊ぶ面があったので馬具を変えたかったんですけど、やはり勝っている間はなかなか変えられないですよね。でも、名古屋で負けて、「何か考えないと、次の楠賞は勝てないぞ」となり、ブリンカーを着けることになりました。大目標にしていたのが楠賞で、秋の鞍と両方勝てれば一番良かったんでしょうけど、あの敗戦があったからこそ楠賞を勝てたと思っています。
11月2日、エコロクラージュで楠賞制覇
バンローズキングスも菊水賞での敗戦からチークピーシズを着けることになり、兵庫ダービーを勝ちました。無敗はもちろんすごいですが、負けて得られるものも大きいですね。
負けて学ぶこともたくさんあると思います。エコロクラージュはまさに分かりやすい例ですね。
最後に、オッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
レースではいつも人気ばかりが先行していますが、その人気にできるだけ応えられるように頑張っていきますので、これからも園田・姫路競馬共々、応援のほどよろしくお願いします。
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※インタビュー / 大恵陽子(写真:大恵陽子、兵庫県競馬組合)
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ファン投票によって出走馬が決まる園田金盃。ここを勝った馬が年度代表馬に選ばれることも多く、園田・姫路競馬の1年を締めくくる一戦でもあります。今年は、2年連続年度代表馬のジンギ vs ホッカイドウ競馬三冠馬ラッキードリームの2強ムード。ジンギは出遅れを跳ね除けて追い込みましたが2着まで。勝ったのはラッキードリームでした。移籍初戦から3戦続けて手綱をとる下原理騎手に聞きました。
ラッキードリームで園田金盃勝利、おめでとうございます。
ありがとうございます。ホッとしました。
スタートではジンギがまさかの出遅れ。それは分かりましたか?
逃げ馬のタガノウィリアムが内に、ジンギが外の枠だったので、両サイドを確認して乗ろうと思っていたんですけど、スタートして100mくらい行って、「あれ?あの2頭どこ行った!?」となりました。クリノメガミエースが最初のコーナーで先手を取りに来た時もジンギだと思ったんです。「あ、違うちがう。大丈夫、落ち着け」と言い聞かせていました。
そのクリノメガミエースが後続を10馬身以上離して大逃げを打ちました。道中はどんな心境だったんですか?
1周目のスタンド前では「めちゃくちゃ行くなあ」と思っていました。あの作戦はすごいなと思いましたけど、あの流れだったら後ろが相手かなと思って慌てませんでした。ある程度のところで前を射程圏に入れようと考えながら乗っていました。
園田金盃を制して園田で重賞2連勝としたラッキードリーム
前走の姫山菊花賞ではコーナーでモタついた点が課題として挙げられましたが、今回はどうでしたか?
姫山菊花賞ではシェダルが来るのは分かっていましたけど、いきなり来た時に対応ができませんでした。でも、今回は流れも位置取りも違っていて、自分のペースで全て運べたので競馬がしやすかったです。自分で淡々とレースを作る方がコーナーの動きなどを含め、この馬の味が生きると思いました。
園田・姫路で絶対王者だったジンギに2戦続けて勝ちました。いよいよ世代交代でしょうか。
ジンギに2回勝ちましたけど、正直、今回は幸運な面があったと思います。ジンギは前走は休養明けでしたし、冬場に強さが増す馬なので、まだまだやってみないと分からない部分もあります。
このあとは状態次第で南関東への遠征や2月の佐賀記念なども視野に入ってくるかと思います。楽しみは広がりますね。
ダートグレードで上位を狙えるかもしれない馬に乗れるって幸せですよね。姫山菊花賞の(ラッキードリームの)上り3ハロンが37秒0。この時計ってなかなか出ないと思います。スタートが決まればそれなりに行きたい位置を取れて、道中は折り合いもつきやすくて、この上がりの脚を使えるのが魅力です。4歳で年齢的にもまだまだこれからの馬ですし、走りもどんどん良くなっています。ジンギと一緒に園田の代表として頑張りたいので、2頭とも応援してほしいなと思います。
最後にオッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
2歳馬で、デビューから2連勝中のヒメツルイチモンジという馬も操縦性が良さそうで、大晦日の園田ジュニアカップでは楽しみにしています。ぜひ応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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混戦ムード漂った第23回兵庫ダービーをバウチェイサーで制した笹田知宏騎手。兵庫三冠の開幕直前は「ダービー最有力候補」と目された一方、菊水賞3着、兵庫チャンピオンシップ10着と敗れてしまいました。そこから見事な巻き返しに成功した喜びの声、そして若い頃はニュージーランドで騎乗し、地方競馬の騎手免許を取得して今秋で11年を迎える笹田騎手自身のことを伺いました。
兵庫ダービー、おめでとうございました。
ありがとうございます。
バウチェイサーは今春の早い段階から地元で「ダービー最有力候補」と囁かれていました。ここまでの経緯を教えてください。
昨年、2歳秋に新子厩舎に来て、移籍初戦を強い勝ち方をして兵庫ジュニアグランプリ(4着)でもいい競馬ができたので、「来年は大きなところを目指そう」という話をずっとしていました。でも、菊水賞は馬の反応があまり良くなくて、敗因もハッキリしませんでした。それを踏まえた上で兵庫チャンピオンシップでは前半から気合いをつけて出して行ったのですが、それが兵庫ダービーでは生きたのかなと思います。それに、僕らの想像以上に馬もしっかり成長してくれて、感謝しています。
改めて兵庫ダービー当日を振り返りたいのですが、返し馬の感触はどうでしたか?
いつもより落ち着いていて、それがいいのか悪いのかはよく分からなかったんですけど、笠松や川崎に遠征した時もすごく落ち着いていてゲートの出も良かったので、きっといい方に向くだろうと思いながら、自分も落ち着こうと思いました。
ニネンビーグミなど同型馬の存在もありました。レースプランはどう描いていましたか?
はじめから2番手につけるつもりでした。笠松でゴールドジュニアを勝った時も2番手外でいい形で走ってくれて、兵庫ダービーでも想像していた通り2番手で力を抜いてくれました。
そうすると、3~4コーナーの手応えは?
良かったですね。今までにないぐらいのいい手応えだったので、本当はちょっと仕掛けるのが早いんですけど、でも「この手応えなら!」と思って行きました。
ダービーの勝負所をいい手応えで回ってくる時って、胸の高鳴りとかどうでしたか?
どちらかと言うといつもより冷静でした。ダービーだからというわけじゃなく、大事なレースの時はいつもそうなんですけど、勝負所のタイミングだけは間違えないようにと思っています。いつもより冷静に、馬の呼吸と背中の感触を確かめてからゴーサインを出しました。
兵庫ダービーを制したバウチェイサー
ゴール後には関係者に向かって喜びの声を上げているのが聞こえてきました。
菊水賞が悔しい負け方で、それを踏まえてみんなでここを目指してやってきたので、そこを勝てたというのは大きくて、自然と「よっしゃ!」と言っていました。ダービーが終わってからもたくさんの人に「おめでとう」と言ってもらえました。栗東の地元の友人や、父の元にも祝福の言葉があったみたいで、本当にダービーは特別なんだなと思いました。
笹田騎手の父はオークスなどを制した笹田和秀調教師(JRA)、祖父は数々のビッグレースを制した伊藤雄二元調教師(JRA)です。勝利騎手インタビューでの「この業界に生まれ育って、ダービーの重みはすごく分かっていました」という言葉に重みを感じます。
ずっと栗東トレセンの厩舎に住んでいて、祖父が管理するウイニングチケットが勝った時は7歳でした。子供だったので、ダービー前のピリピリしている感覚はよく分からなかったですけど、中学生くらいになると競馬場の雰囲気が変わるというのが伝わってきました。それに、そういう時に武豊さんはしっかり勝っていた方なので、自然と「ああいう風になりたいな」と目指しました。
ウイニングチケットでは柴田政人元騎手が悲願のダービー制覇を果たしましたが、今年の兵庫ダービーでは新子雅司調教師が「笹田騎手をダービージョッキーにするのが目標」とおっしゃっていた夢を二人で実現されました。
先生がそうおっしゃっているのを直接は聞いていないんですけど、レース後に周りの人から聞いて、先生の偉大さを感じました。僕は勝たせてもらったという立場で、本当に感謝しかありません。
笹田騎手は園田・姫路競馬でデビュー時は重畠勝利厩舎の所属でしたが、2013年に重畠調教師逝去により新子厩舎へ移籍しました。そこから重賞を勝ったり年間100勝など、どんどん輝いていっているように感じます。
新子先生のところに所属になった当初は、ここまでしっかり「師匠と弟子」という関係ではなくて、籍だけ置かせてもらったんですけど、そんな僕を先生はずっと乗せてくださいました。先生の成績が上がるにつれて僕の成績も上がっていないと、周りからの先生を見る目もあまり良くないと思うので、僕もちゃんと成績を上げないと、という自覚が芽生えていきました。でもまだまだ未熟で、もっと上手なジョッキーはいるので、もっとしっかり任せてもらえるように頑張りたいです。
これからの目標はなんですか?
バウチェイサーはこれからも大きいレースを狙っていくと思うので、僕自身もしっかり力をつけてグレードレースで勝負ができるようになりたいです。厩舎にはイグナイターという大きな看板馬がいるので、少しでも近づけるように頑張りたいです。
最後に、オッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
今回こうしてダービーを勝たせてもらえて、周りの人のありがたみというのがよく分かりました。これからもその気持ちを忘れず、少しでも色んな人に還元できるようなジョッキーになっていきたいなと思います。これからも応援してもらえたらなと思います。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子