デビューして4年目の金田利貴騎手は、自厩舎(金田勇厩舎)のトップホース、アオノブラックに今年度から乗り替わって1年。17日のばんえい記念に向かいます。
アオノブラックの手綱を任されて1年近くが経ちました。
レースではうまく行かないこともあったけど、道中の息の入り方など、だいぶわかってきたかなと思います。
自分が競馬場に厩務員として来た2018年は2歳Bクラスでした。そこから調子を上げてナナカマド賞3着。その後もメムロボブサップに負けることが続き、悔しい思いをすることが多かったです。自分は同期のコマサンブラックとコマサンエースを担当していましたが、いいレースができてもこの2頭には勝てない。差が縮まらなくて、強いな、と思いました。それから騎手になり、今、こういう馬に乗れるとは思わなかったです。
乗り替わりの時は。
えー! と思いました。ありがたい。プレッシャーはあります。ただ、コマサンブラックで肩掛けを取りたかった、という気持ちもありました。
1年振り返ってみていかがですか。
先に障害を下ろしたい、と思うと(今シーズンの)ばんえいグランプリや帯広記念のように負けてしまう。先に下ろすと楽だ、という騎手のエゴが出た結果でしょう。優勝したチャンピオンカップは障害を降りたあとに走れたので、負担なくレースを進められたのかなと思います。
夏が苦手な馬ですが、今年はうまく乗り越えられたようですね。
異常な暑さだったので、今年は厩舎全体で思いっきり休むなど対策を講じました。
休むのは怖いですよね。そして岩見沢記念、北見記念と連勝しました。
岩見沢記念はメムロボブサップがいなかったので、負けたら替えてくれというつもりでした(笑)。ほっとして、それからは乗りやすくなりました。北見記念はメムロボブサップに20キロハンデがあってコンマ7秒差。相手の強さを目の当たりにしました。チャンピオンカップはほかの馬も調子がよさそうでしたし、ばんえい記念に向けていいレースができれば、と思っていました。......今、自分で話していてステップアップしているな、と感じます。
岩見沢記念
それは馬がですか?自分が?
両方です。野球でいうバッテリーみたいな。ゲートの出が悪いこともありましたが、改善されました。
バッテリーとは、さすが甲子園球児。ポジションは捕手でしたが、それではアオノブラックは投手ですか?
この馬はそんな感じかな。
普段はどんな馬でしょう。
どっしり構えている。ボス的な......リーダーで、騒いでいる馬がいたら、メスでも怒ります。「うー」と声をだしたらみんな黙る。メスに騒ぐ若馬も一喝してくれます。
若い頃は調教でメムロボブサップを見るとかかっていきそうになったので、今は近づけないようにしています。でも、隣の枠に入ったチャンピオンカップでは道中噛み付きにいこうとしていました。闘争心があるので、隣になったのは良かったです。普段はおとなしく、無駄なことはしない馬です。餌のときはほしがってうるさいので、扉を頑丈にしています。
ばんえい記念は、昨年コマサンブラックで初騎乗(5着)でした。
普段との違いを感じました。夢の中......、ぼんやりとした感じ。甲子園もそうだけど、人の力を感じます。みんなが盛り上げてくれる感じがする。コマサンブラックは前走勝っていて人気になり(3番人気)、自分も期待していた。緊張しました。帯広記念を先頭でクリアした時のイメージがあって先行しましたが、1000キロ(の重量)は違った。差を感じました。
金田騎手が重賞で優勝すると、口取り撮影は家族みんなで撮られるのでほほえましいです。息子さんは、金田調教師(金田騎手の父)を大好きなのが伝わります。
昨年2人目が生まれたからか、長男は自分が調整ルームにいる間は親の部屋にいるそうです。厩務員も仲がいいですし、みんなアオノブラックのことを好きで、応援しています。ブラックが勝った時のみんなの笑顔が浮かびます。負けたときの葬式のような雰囲気も想像できます(笑)。
チャンピオンカップ。家族とともに口取り
あらためて、ばんえい記念に向けての抱負をお願いします。
今年は勝ち負けを期待される馬に乗るのでありがたいです。馬主さんをはじめ、周りの人たちが自分の騎乗に我慢してくれて、たくさんの人に支えてもらいここまで来られました。かみしめながら騎乗し、勝ちたいと思う。王者(メムロボブサップ)がいて、自分はヒールかと思うが、ブラックを応援してくれる人も多いので、みんなを笑顔にしたい。勝ちたいな、と思うほど失敗するので平常心で乗りたいです。枠には左右されませんが、雨が降らなければいいなと思います。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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今年のばんえい記念を勝ち、今期も北斗賞、旭川記念と古馬重賞を連勝したばんえい競馬の現役最強馬メムロボブサップ。その鞍上を務める阿部武臣騎手が、7月9日に通算2000勝を達成しました。
2000勝おめでとうございます。1998年にデビューして2017年に1000勝を達成。そして2023年に達成です。ペースが速まりました。
ありがとうございます。自分は気にしないように目の前のレースに集中していましたが、周りが「あと何勝」って言ってきました(笑)。昔は2000勝まで行けると思っていなかった。騎手がいっぱいいて、乗れない時代が長かったから。
転機はありますか。
先輩騎手の乗り馬が重なったため乗ることになった馬が、引っ張る(走る)ようになってから。調教をつけて、癖のある馬でも結果を出したことだと思います。負けてもレースの内容を良くすればチャンスが出てくる。いろいろな馬に触って身についたものもあります。
強い馬はいつか勝つが、弱いといわれる馬でも、1回は勝つチャンスが必ず来る。それをいかにつかめるようになるかです。能力を頭に入れて、ベストにもっていく。チャンスを逃したらなかなか勝てないから、このメンバーで勝てそうだな、と気づくようにならないといけない。馬主も調教師も、弱くても1回は勝ちたいんです。
2021年ばんえい記念 ホクショウマサル
その思いが信頼につながっているのですね。さて、ホクショウマサルの連勝や、メムロボブサップの三冠など、これまで多くのプレッシャーを経験してきました。2020年度は初のリーディングも取りました。
これらの経験で、大きいレースで本命でも余裕を持てるようになりました。
ホクショウマサルは、厩舎での体調管理が大変だった。気を配って小さな変化を見つけないといけない。調教も担当しているので、厩務員ではわからない変化もあります。えさの量、力量、くせ、すべて頭に入れている。生き物なので、体調が悪かったら引っ張れないから。(2021年の死は)急だったから......種馬にしてあげたかった。
メムロボブサップはいい相棒、かな。生まれて数か月の時に見ていたけど、小さかったし特別な印象はなかった。ただ、能力検査の前に、運動をしたあとでも走っていった。強い馬は調教後の回復が早いから、疲れても反応します。この時「もしかしたら引っ張るかな」と思いました。
2023年ばんえい記念 メムロボブサップ
ほかに期待している馬はいますか。
2000勝の区切りになったタイトルボスは、のちのちよくなってくると思う。カワノデッカーはもう少しスピードがつくといい。
ネオキングダムはマイペースなんだよな。2、3着が多いから上位クラスでレースをすることになってしまう。父のシベチャタイガーは牡馬はおっとりだけど、牝馬はそうでもない。
ジェイホースワンも似ているな。父はキタノオーロラだけど、シベチャタイガーの弟だから。
タイトルボス
現在、騎手会長です。ばんえいは若手騎手の活躍が目立ちます。
俺らの時代は今の倍騎手がいたので、今は乗る機会が多く恵まれている。数乗ればうまくなるから。上手になってくれないとね。昔の駆け引きはすごかった。
競馬場は、苦手な人もいるだろうけど、はまる人ははまる魅力がある。若い人が入るように競馬場全体で考えなくてはいけない。研修があるといいよね。厩舎の子の同級生で、昔から遊びに来ていた縁で入ってきた人もいる。研修をすれば自分に判断もできるから。
自分で馬を操れるようになったらおもしろい。調教を変え、えさを変え、考えていく。スポーツ選手がコンディションを上げていくのと同じです。
競馬場を訪れるファンも増えてきました。
観客が多いときは乗っていて楽しいです。帯広市民でもいまだに知らない人が多いから、いろいろな人に見てもらいばん馬の知名度を高めたい。
馬はものを言わないだけで人間よりも繊細です。粗末なことをすると体調に出る。傷や病気に弱いから一晩で死ぬ。だから手塩にかけて、家族以上に愛している。馬の魅力は、愛情をもって手を掛けたら、返してくれるところです。人間が育てないと太刀打ちできない大きさだから、きちっと手入れして、しかることも大切。共生です。競馬場の人間が、馬に愛着をもって接していることを理解してほしい。
今後の目標と、オッズパーク会員の方に一言お願いします。
馬に対して一番いいレースができるよう、心がけて乗ります。あと何年騎手を続けるかわからないけど、少しでも勝ち星を増やしていけたらと思います。
今年は長男が騎手試験を受ける予定です。一緒に乗れたら教えられるから、数年は一緒に乗りたいですね。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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今年度のばんえい競馬の最初の重賞、ばんえい十勝オッズパーク杯をインビクタで勝利した島津新騎手。昨年7月には通算1000勝を達成し、今季もリーディング2位(6月26日現在)と波に乗っています。
ばんえい十勝オッズパーク杯は見事な逃げ切りでした。昨年9月の岩見沢記念は最低人気での勝利でしたが、今回は3番人気と支持を集めました。
降りてからの踏ん張りがきくようになりました。道中行きたい気持ちの強い馬なので、練習でも我慢を教えてきた。これまでも落ち着かせたり、ハミを変えたりしてきましたし、成長してくれています。吉本芸人の方も来られていて、表彰式ではゲストでプレゼンターを務めたCOWCOWの多田さんが、賞金をなかなか手放さなくて笑いがおきました(笑)。
インビクタでばんえい十勝オッズパーク杯を勝利
最初の重賞を獲り、今後はハンディが重くなります。
先に獲っておいて、気が楽になったかも。ハンディがつくことでこれまでとは違う競馬になるかもしれないが、違う一面が見えてくるかもしれない。プラスに捉えています。
今年のばんえい記念にも出走しましたね(8着)。
ばんえい記念で重い荷物を引いてから、馬自身が自分でゴールが途中にあるのではない、とわかってきた。ちょっとは大人になったかな。
インビクタには勉強させてもらいました。3歳時にも乗っていて、止めてもすぐに出て行くし、行きたがって、後半失速するパターンが続きました。行き過ぎる馬をどう扱うか、コントロールする勉強になった。インビクタと出会ったことをきっかけに、成績が上がっていると思います。ターニングポイントかな。
昨年度は戒告、騎乗停止がなく、NPOとかち馬文化を支える会・ばんえいサポート推進会議の2022年度フェアプレー賞も受賞しました。騎乗する上で大事にしていることは。
受賞は無理をしない騎乗をするタイプだからだと思います。馬の気持ちを尊重しながら乗っています。馬の特徴、特性を知るようにして、どう競馬に生かすかを考える。そのためには、攻め馬やレース映像を見て、乗っていた人に聞くなどしています。癖のある馬は特にそう考えます。
癖のある馬といえば、昨年2歳重賞のナナカマド賞を勝ったタカラキングダムでしょうか。
わからない馬です(笑)。反抗心が強い。その反抗心を生かそうと思って乗るようにしていました。コースに来たらテンションが上がるんです。
大きいですよね。横に来たら、でかいなー、と思います。今年度から変わった砂に向いていないようで、結果が出ていません。
ナナカマド賞を制したタカラキングダム
これからですね。ほかの馬はどうでしょうか。
ノエルブラン(牡9)もインビクタ同様、行きたがる馬なので勉強になります。フェアリースズ(2021年ヒロインズカップ・引退)も、ハミをさわるとどんどん行くタイプの馬。ゴールドハンター(牡6)も、行きたい、行きたい、という馬ですね。
昨年7月に1000勝を達成したのもノエルブランでした。ちなみに、一番行きたがる馬は誰でしょう。
行きたがるのは、フェアリースズかな......。性格もきつくて、知らない人が馬房に来たら、扉を蹴っていました。
最近は若い騎手も増えてきました。
若い人たちには、活躍している姿を見せられれば、と思います。俺が騎手になった時よりは、皆追えています(笑)。昔よりは先輩騎手への緊張感がなくなって、輪に入りやすくなっていると思います。
最後にオッズパーク会員の方に一言お願いいたします。
家族層が多くなってきたと感じます。ふれあい動物園もありますし、馬を見に来る感覚で、競馬場に来てほしいです。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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2023年4月30日第10レースをアサゾラで勝ち、ばんえい競馬史上28人目、現役では8人目となる通算1,000勝を達成した。デビューして15年目、昨年度は133勝を挙げて過去最高のリーディング2位。信頼の置ける中堅騎手として、実績を積み重ねている。
1000勝おめでとうございます。意識はしていたのでしょうか。
みなさんのおかげです。周りに競馬関係者がいないところからスタートして、最初はここまで続けられないと思っていました。3月に昨年度の開催が終わった時点で990勝だったので、お祝い返しをどうしようかと考えていました。最近ばんえいでは自分の名前が入ったグッズを作ることが多いのです。かぶらないようにと悩みました。
現実的ですね(笑)。500勝まで約10年、そこから1000勝まで5年と、急速に勝ち星を増やしています。振り返って、転機はありましたか。
センゴクエースでしょうか。強い馬に乗せてもらえるようになって責任が増しました。うれしさより大変。下手なことできないな、とプレッシャーがあった。強いけどもろさのある馬で苦労しました。これまでの騎手が、もろさを隠して騎乗していたのはすごいです。
ばんえい記念から翌年のばんえい記念まで1年を通してのレースの運び方、重賞に向けた乗り方を学びました。
プレッシャーはどのように克服してきましたか。
それはもう、慣れですね。強い馬に乗れたのは大きかったです。
ほかにもさまざまな強い馬に乗ってきました。思い出はありますか。
サクラリュウは多くの重賞にも乗ったし、初めてばんえい記念で乗れたのはいい経験でした。気性の荒い馬でした。当時はそのような馬に多く乗っていたので、「あのような馬に乗れるなら」と騎乗依頼も増え、評価につながっていったと思います。
今年から種牡馬になりました。脚を痛めて休んでいたので良かった。よく助かりました。
キタノユウジロウは、2021年のばんえい記念で2着になったのが印象深いです。
急な乗り代わりでしたけどね。今思うと、獲れたかな......って思う。体が大きい馬で力があった。いい子を出してくれれば、と思います。
オーシャンウイナーは古馬戦線で戦うようになりましたが、まだこれからです。上の馬たちは強い。臆病な馬。キタノタイショウの子はそのようなところがありますが、その憶病さがいい。切れはあるが、我慢が効かない。
オーシャンウイナー
3歳のキョウエイプラスは、馬場が軽くなればいいかな。真面目で走りたがりな馬で、前に行く気持ちを制御しながらレースを進めています。走れるうちはいつも走っている。普段の練習の時は歩いているのにね。
ヤングチャンピオンシップを制したキョウエイプラス
コウテイも、乗りたいけど最近は乗り馬が重なってしまい、乗れていません。力はあるし、障害もいい。またばんえい記念に出てくれれば楽しみです。
騎乗するうえで、大事にしていることはありますか。
真っすぐ、ロスなく走らせることです。負担をかけないように。若い頃よりはいい意味で、力の抜き方を覚えました。若いときはとにかく乗りたかった。若い騎手の手本になれるように、と思う。
騎手になりたい人が増えているのはいいことです。騎手になりたいけど体重制限がきつい人もばんえいなら騎手を目指せる。厩務員も、生き物が好きな人はもちろん、背中に乗らなくてもいいから落馬の危険もない。女性厩務員もやりやすいと思います。
昨年お子さんが生まれて、変わったことはありますか。
稼がないといけないですね。しっかりやらなきゃ、と思います。妻の家族が応援してくれたり、職場で自慢したり、周りの親戚に騎手であることを喜んでもらえているのがうれしいですね。
ばんえいの認知度が高まっている証拠でこちらもうれしいです。では、オッズパーク会員の方に一言お願いします。
どんどん、帯広に来てほしいです。目の前で迫力あるレースを見せられれば、と思います。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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2月19日、小北栄一調教師が、ばんえい競馬歴代28人目(現役20人目)となる通算1000勝を達成しました。昨年のばんえいダービーを勝ったキングフェスタをはじめとする活躍馬や人気馬を送り出しています。
1000勝達成おめでとうございます。開業23年目での達成でした。お父様の定一(さだかず)さんは調騎会会長も務めた名調教師でした。馬の仕事を始めることになったきっかけを教えてください。
嬉しいの一言です。達成まで短いようで長かったです。高校卒業後、就職が決まっていたのですが、父がけがをしたので断って、競馬場に来て厩務員になりました。騎手を目指したが受からず、調教師を目指しました。
小北定一厩舎には1990年のばんえい記念を勝ったタカラフジがいました。
上背があって大きく、ごろんとした馬だった。スタイルが良かったな。担当は自分ではなかったけど、利口で、つなぎ場から勝手に馬房に帰っていった。
24年間厩務員を勤め、2001年に調教師デビューしました。お父様に教えてもらったことはありますか。
調教師試験に受かったのは福森浩厩舎に移籍してから。親のところにいると忙しくて勉強する時間がなかった。親とはいつも口げんか(笑)。教えてもらうことはなんも......厩舎経営の、金の回し方かな(笑)。市場や共進会で、馬のいいところも悪いところも教えてもらった。だいたいいいと思う馬は一緒だった。福森先生には結束力を教わった。そう思うと、結構調教師の仕事を見てきたんだな。開業当初はやり方がわからなくて七転八倒。わかっているようでできない。
でもすぐに、初年度からアサヒセンショウが活躍し、イレネー記念では2着でした。
アサヒセンショウはアサヒダケ系の青毛馬で、昔にしたら大きい馬だった。イレネー記念は、グレートサンデーに0.2秒差の2着。当時は中継もないから、みんなでゴールを望める場所に見に来た。自転車や車で集まってな。俺は負けたと思ったな。
以前、調整ルーム近くにあった建物ですね。ほかに思い出の馬がいれば教えてください。
2005年のばんえい記念4着のキタノスサノオも、おとなしくてあつかいやすい馬だった。
ナナノチカラは小さいけど牝馬戦で強く、(牝馬)重賞を総なめにした。コボウ抜きのレースだった。2015年のヒロインズカップではゴールまで少しのところで止まってクインフェスタに負けたな(3着)。翌年ヒロインズカップを優勝したんだ。
2016年ヒロインズカップを制したナナノチカラ
そのクインフェスタの子、キングフェスタを扱っているのは不思議な縁ですね。アサヒセンショウで勝てなかったイレネー記念も2022年に勝ってくれました。
キングフェスタは、だんだん大人になってきている。800キロ以上の荷物を積んでこれからどうなるか、だな。今は厩舎で休んでいます。
クインフェスタの2歳馬(キングブラザー)、いいと思うよ。牡馬ででかいぞ! ナナノチカラの子(カブノチカラ)は1回目(の能力検査)は受けない。メヂカラの子(オノレノチカラ)もいい感じ。
フクイズミの娘、イズミクィーンはスタイルが良かった。人に対して威嚇するところがあって、よく厩務員に怒られていたな。息子のイズミオーも、母親が大きいから、大きかったんだろう。
キングフェスタは2022年ばんえいダービーも制した
牝馬はかわいらしく、人気馬が多いように思います。
サカノチサトも、脚にソックス(四白)はいてな。めんこいのは......めんこいな(笑)。めんこくなってきたらダメだな。勝っても負けてもいいんだ、てなるからな。
暇な時は中央や南関東も見るよ。調教は違うが、小さいのも大きいのも馬は一緒。娘も馬には慣れちゃって、おっかながらなかったな。今は軽種の仕事をしています。
馬は、どのようなところを見るのでしょうか。
経験と感覚だな。そりの近くで逃げる馬や、カンが強すぎるのもダメ。人の言うことを聞いて歩く馬がいいな。軽種馬と一緒だ。甘噛み、口をカチャカチャもしない方がいい。種や肌馬も大事だけど、それだけじゃなく、引き方の案配を見る。トモ、前脚でしっかり、トコトコと歩く馬。四肢しっかりした馬。パドックは大事だ。
厩舎経営で大事にしていることを教えてください。
馬も人も大事にするってこと。結束力があった方いいな。俺だけでやるんじゃなくて、厩務員と相談する。何もなくていいから声をかける。馬の様子を教えてくれるから。馬も人もそれぞれ性格が違うから、それがわからないとけがになる。癖がわかるからね、しゃべらないと。厩務員は馬と同じくらい大切だ。
自分は、起きたら馬房を歩くのが癖になっている。まず見るのは目つきだな。疝痛の時は、目が艶っぽく光る。そういうのばかり毎日見ている。
さて、ファンの前での表彰式は2020年12月以来で、久しぶりでした。
22年長かったから。やってよかった。ファンにしゃべれるのはいいな。しゃべること考えてきたけど、話してみたらうまくしゃべれないもんだ。選挙やっているみたいだったな(笑)。
では最後に、オッズパーク会員に一言お願いいたします。
強い馬を見極めて、強い馬を作っていく。いつも変わりなく馬を観察し、状態を見ながらレースに出ていきたいと思います。今年度の競馬も、これから始まります。馬を見極めて、たくさん馬券を買ってください。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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