アジュディミツオー(船橋)以来19年ぶりの地方馬によるドバイ遠征となったイグナイター(兵庫)。西日本の地方競馬から初の海外遠征は、ドバイゴールデンシャヒーンGI・5着と、世界への道を切り開く結果となりました。自ら輸出検疫中やドバイでの調教にも跨り続けた新子雅司調教師は、海外遠征を振り返り、どう感じているのでしょうか。
イグナイターのドバイ遠征、お疲れ様でした。ドバイゴールデンシャヒーンはJRA馬を含め日本馬が未だ勝ったことのないGI。そうした中、直線で一度は3番手に躍り出て、見せ場ある5着でした。
昨年勝ったJBCスプリントくらいのデキにはあると感じていました。スタートだけですね。1番枠で最初にゲートに入って、中で待つ時間が長くて馬が落ち着きすぎました。一歩目が遅れているわけじゃないですけど、隣のタズが速すぎて、半馬身くらいそこで相手が抜けて前に入ってきた分の差かなと思います。
パドックから本馬場へ向かうイグナイター
レース2日前、チーム・イグナイターの会食の場でも「ゲートが隣のタズはどれだけ速いんだろうか」とみんなで気にしていました。
本当にそこだけでした。結果的にドンフランキーが逃げることができていたので、フェブラリーSの位置取りから考えると、ゲートを五分に出ていればタズのポジションは取れたのではないかなと思います。
序盤で後手に回りながらも、直線は3番手に躍り出る場面もあって、興奮しました。
あのまま直線は内ラチ沿いを走っていればもうちょっと上の着順もあったかも、と思いますけど、笹川(翼騎手)もちょっと焦ったのかな、と。他の馬にも迷惑をかけてしまいました。でも、あのレースで笹川自身のスキルは上がった気がします。
直線、3番手に抜け出したイグナイター(右)
ほろ苦さや悔しさも残る結果とはなりましたが、力は見せてくれました。
全てが上手くいかないと勝てないレースだと思いました。色々あっての5着ですけど、世界の5番目。世界に通用する仕上げはできたかなと思いますし、もっと強い馬を連れてきて、どうしても勝ちたくなりました。その時のために英会話も習おうと思います。
レース後は後肢に外傷が見られました。怪我の具合はどうですか?
レース直後に診てもらい、思ったよりも傷は浅く、血はすぐに止まって塗り薬だけで済みました。いまは輸入検疫が終わり、宇治田原優駿ステーブルにいます。5月はじめに血液検査をして問題なければ、園田に入厩させてさきたま杯を目指す予定です。
レース直前、ラチ沿いから見守るイグナイター関係者(新子調教師は右から2人目)
そこでは昨年のJRA最優秀ダートホース・レモンポップとマイルチャンピオンシップ南部杯以来の再戦となりそうですね。
一緒に走れることはもうないと思っていました。JpnIに格上げされたさきたま杯に来るということで、いまのダート界で一番強い馬だと思いますが、ビビッていても仕方ないですからね。
さて、今回は海外遠征にあたってJRA栗東トレーニングセンターを借りて、JRA馬と一緒に輸出検疫を受けました。新子調教師も毎日調教に跨っていましたが、栗東での日々はどうでしたか?
前回、栗東に来たのは厩舎開業前の研修で2011年12月の約1カ月。それ以来で、施設も分からないので、研修を受けた角居勝彦厩舎(解散)で当時一緒だった前川和也調教助手(現在は友道康夫厩舎でドバイターフに出走したドウデュースを担当)に事前に連絡をして「分からないので、ついて行かせてください」とお願いしました。それで、毎日ドウデュースの後をついて角馬場や坂路に行きました。
栗東トレセンには坂路や、脚元に負担がかかりにくいウッドチップコースやポリトラックコース、また起伏の激しい逍遥馬道など様々な施設があります。イグナイターに変化はありましたか?
逍遥馬道を歩くことは本当にいいトレーニングになると改めて感じました。イグナイターはデビューから2戦目までは栗東所属だったので、ここを歩くのも初めてではないでしょうけど、ドッシリ歩ける馬じゃないと海外遠征もできないだろうなと思いました。久しぶりの栗東で最初の頃はそわそわしていましたけど、時間と共に順応してくれました。慣れない環境で気疲れする人間とは対照的に、馬はケロッとしていました。だけど、運動時間は園田にいる時よりも長いですし、場所もいつもと違うので、ちょっとしんどそうにはしていました。輸出検疫は約1週間でしたけど、もう1週滞在することができれば、馬はもっと良くなるだろうなと感じました。
そういえば、新子調教師は自厩舎のほとんどの馬の調教に跨ります。栗東で騎乗した後、急いで帰れば園田の調教にも乗れるかも、と事前に話していましたが、実際にはどうでしたか?
車で約1時間の距離ですけど、検疫中の馬が馬場を使える時間が決まっていて、そこから園田に戻るともう調教が終わる時間なので、ハシゴはしませんでした。できるとしたら、調教時間が前倒しされる土日ですけど、土曜日は園田が全休日だったので結局戻らず、期間中の厩舎の攻め馬は所属騎手の笹田に託しました。
今回のドバイ遠征で新子調教師が得られたものは?
競馬場に隣接するメイダンホテルに滞在していたんですけど、部屋から調教を見ることができました。エイダン・オブライエン厩舎は集団でしっかり溜めながら乗っていて、理に適っていると感じました。馬の後ろで我慢することも覚えますし、しっかり負荷もかけられます。一方で、スピード重視で調教する厩舎もあって、馬によって変えることも大切だと思います。そういったのを直接見ることができて、もっと調教内容について考えて乗らないといけないなと思うようになりました。
最後に、オッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いします。
今回のドバイ遠征でイグナイター自身も厩舎も得たことがあり、これを糧にもう一段階上げていければと思います。秋はJBCスプリント連覇を目指すことになると思います。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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昨年、ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)ファイナルラウンドへの進出を決めた長尾翼玖騎手(兵庫)。総合7位ながら、JRA中山競馬場では3着など結果を残しました。YJSの振り返り、そしてデビュー4年目を迎えようとするいま、課題をどう感じているのでしょうか。
YJSトライアルラウンドは振り返っていかがですか。
園田第2戦(ハナ差2着)は本当に悔しかったです。騎乗経験のある(田中)学さんから「いい意味で適当に乗ってこい」とアドバイスを受けていました。綺麗に乗ろうとしたら馬が動かないから、感じたタイミングで行った方がいい、という意味なんだと思います。学さんは僕が所属する橋本忠明厩舎の馬によく乗ってくださっていて、厩舎実習の頃からずっと可愛がってもらっています。だから、僕の乗り方を分かった上でそう言ってくれたのかな、と思います。
アドバイス通りに乗ってみて、レースはどうでしたか?
学さんの言った通りで、「おぉ、ホンマにハマってきた!」と感じながら4コーナーを回ってきました。勝てる手応えだったんですけど、そこで色気を持っちゃいました。右ムチを打ったら、大きく外に膨らんでしまって......。欲張りの右ステッキでした。あれがなければ、勝てていたレースでした。
次のレースが始まる頃になっても、一人パトロールビデオをじっと見て悔しさを滲ませていましたね。それをバネに笠松第1戦では2着と、着実にポイントを稼いでファイナル進出を手繰り寄せました。
僕自身、「仕掛けが早い」と言われてきていて、(橋本)先生から「待って待って、くらいでいいんちゃう。(笠松では)園田でたとえると向正面に入った1700mのスタート地点まで待って、そこから追い出すくらいでいい」とアドバイスを受けました。笠松第1戦では、しまいに動く馬だというのがレースを見て分かっていて、それがハマりました。トライアルラウンドはJRAジョッキーにばかり勝たれてしまって、本当は1つでも勝って、胸を張ってファイナルに行きたかったです。
ファイナルラウンドは1日目の川崎が7着、7着。
左回りは難しかったです。いつも乗っている右回りと逆だとは分かっていても、無意識のうちに右足に重心をかけてしまいました。第1戦はいい位置につけたんですけど、気づいたら後方になっていました。悲惨な結果で、あの日は早く帰りたかったです。
2日目は初のJRA騎乗でした。中山第1戦は2番人気に推されました。
過去にルメール騎手が乗った時などは外を回していたので、枠順はもう一つ外がよかったです。未勝利戦ではずっと上位に入っていたものの、勝ち切るのに8戦を要していて、気性とその枠と、ちょっと難しさがあるのかなとレース前に考えていました。せっかくだし、逃げて園田みたいにドスローに落とせばよかったかな、という後悔はあります。
初めての芝でのレースはどうでしたか?
なんだか変な感覚でした。レースは内々を回ってきたので、広いコースを体感できなかったですけど、返し馬は楽しかったです。あとは「芝が青いな」と思いました。
第2戦は差し脚を伸ばして3着。
タイプ的に得意な馬だな、と思っていました。でも、ペースが遅くて道中は行くところがなくてちょっとヒヤヒヤしました。2コーナーで動こうかなと思ってチラチラ周りを見たんですけど誰も動く気配がなくて、前も横もいて動くに動けませんでした。この馬はいつもしまいに動いて掲示板は確保していたので、それを信じて待っていました。最後は「勝てる」と思ったけど、離れた前方に勝ち馬がいましたね。
YJSファイナルラウンド中山第2戦
総合7位。YJSを振り返ってどうですか。
川崎で頑張っていたら、もう少し上の順位にいけていたのかな、と思います。JRAでの騎乗はいい経験になりましたし、また行きたいです。でも、YJS出場は今年で最後にしたいですね。早く100勝を達成してヤングから卒業したいです。
さらなる向上を目指して、高知競馬場で期間限定騎乗も行いました。2勝目のロンリープラネットはすごい追い込みでした。
あれは学さんの真似をして勝てました。学さんは向正面で馬場の真ん中くらいまで馬を外に出して位置取りを上げて、コーナーでグッと内に入っていく乗り方をする印象があります。ロンリープラネットは砂を被ったらダメな馬なんですけど出遅れてしまって、「そや。学さん、外に出していたな」と思って外に出すとすごく進み始めて、ハマりました。
高知での期間限定騎乗を通して変化は感じますか?
林(謙佑)さんに教えてもらって、ゲートはちょっとマシになったかなと思います。遅れなくなって、ちょっと自信がつきました。
自分の騎乗の癖は?
遠慮しがちなので、レース前はあんまり考えずに乗った方が上手くいくことが多いです。前日までにレースパターンを頭に入れて、直前は何も考えずにペースだけ判断して差しに構えたり、思いきって前に行った時の方が上手くいっているのかな、と。でも、考えないと成長しないので、今は考えるようにしています。
最後にオッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いします。
いまの目標は減量を取ることと、もっと騎乗数を増やすことです。今年4月には園田・姫路から4人の新人騎手がデビュー予定なので、負けないように1鞍ずつ集中して頑張ります。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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NARグランプリ2022年度代表馬を受賞したイグナイター。昨年は黒船賞、かきつばた記念とダートグレード競走2勝を挙げたことに加え、南部杯4着、JBCスプリント5着とJpnIの舞台でも上位争いを演じました。レース史上初の地方馬での連覇を目指し、今年も黒船賞に挑みましたが、3着。それでも悲観する内容ではなかった、と話すレースの振り返り、そして今後について新子雅司調教師に伺いました。
NARグランプリ年度代表馬受賞、おめでとうございます。園田・姫路からはケイエスヨシゼン(アラブ系)以来26年ぶりで、サラブレッドでの受賞は初でした。
ありがとうございます。南関東の馬が受賞することが多い中、兵庫のこの施設で年度代表馬になれたことは自信になりました。昨年はサルサディオーネも活躍していましたし、他にもダートグレード競走を勝った地方馬がいましたけど、南部杯とJBCで上位に入ったことも評価してもらえたのかな、と考えています。調教施設の違いで言うと、JRAには開業前に栗東トレセンへ研修に行き、逍遥馬道の存在が大きいなと感じました。山道を登ったり下りたりすることで体のつき方が変わるだろうなと思いました。でも、調教の負荷は乗り方次第でそんなに変わらないと思います。
年末の兵庫ゴールドトロフィーはまさかの5着でしたが、今年は始動戦の黒潮スプリンターズカップをレースレコードで圧勝しました。
兵庫ゴールドトロフィーは1年ぶりの地元戦で輸送がなかった分、プラス23kgと太かったと思います。こちらが思っているより輸送で減るタイプかもしれず、黒潮スプリンターズカップは調教でもちょっと絞りましたけど、輸送でも絞れたと思います。パドックではかなり落ち着いて歩いていて、デキとしても7~8割くらい。それでもあれだけのタイムで走れたのは1年間、JRAの強い馬と走ってきたからだと思います。
それだけに、黒船賞では連覇が期待されましたが、スタートでバランスを崩してしまって......。
去年同様、目一杯の仕上げで臨んだんですけど、装鞍の時点から若干テンションが上がっていて、その分、ゲートでタイミングが合わなかったのかな、と思います。イグナイターは直線でそんなに弾けるタイプではなくて、4コーナー先頭で押し切るような競馬が理想なんですけど、一番動きたい3~4コーナーで動けず、そのまま下がってしまうと思いました。それでも直線は内を突いて3着まで来たので、そこまで悲観するような内容ではないな、と思いました。GIに行ってもやれるんじゃないかなと感じました。
黒船賞出走時のイグナイター
昨年覇者、そしてNARグランプリ年度代表馬として挑む一戦でプレッシャーなどはありませんでしたか?
ぶっちゃけ、ありませんでした。昨年勝っていることが大きいと思いますし、これまではダートグレード競走は特別なレースで気負っていましたけど、ありがたいことに5勝させていただいて、この状況に慣れてきたこともあります。それよりも、南部杯とJBCスプリントの方が「JpnIでどこまでやれるか」というプレッシャーが少しありました。
これまでから一段上がって、JpnIに手が届くところまで来たことでの心境の変化ですね。開業時から目標に掲げている海外での勝利も少しずつ近づいているように思います。
今年、サウジの招待が届きました。昨年は申し込んだものの、補欠2~30番目くらいで全然入らなかったので、今年は黒船賞に行くつもりでいて検疫をどこでするかなど何の準備もしていなくて断りました。栗東トレセンで検疫を受けられるのであればいいんですけど、無理なら栃木県の地方競馬教養センターまで行かないといけないのはハードルです。それなら、園田競馬場に検疫馬房を建ててほしい、と主催者に話しました。1年かけて準備をして、来年に行けたら行こうかなと思います。私もパスポートを取らないと(笑)。
イグナイターでのGI/JpnI制覇も期待しています。
みんな「今年、イグナイターで!」と期待してくださっていると思いますが、イグナイター以外でも近いうちにうちの厩舎から他にもそういう馬が出てくるようになるんじゃないかな、と思います。それだけ入厩予定の2歳馬の質が上がっています。
NARグランプリ表彰式にて。田中学騎手(左)、イグナイターの馬主・野田善己氏(中)と
それは『全日本的なダート競走の体系整備』や園田・姫路の賞金増額などが関係しているのでしょうか。
そうですね。これは園田・姫路競馬全体の話ですけど、これまでだとセリで1000万円する新馬が入厩することはあまりありませんでした。それが、今なら賞金が高いのでちょっと走れば回収ができるようになって、今年は1000万円以上の2歳馬が競馬場全体で10頭くらい入厩予定です。全体的に馬の質は上がると思います。
早速、肌感覚として変化を感じているんですね。最後に、イグナイターの次走とそこへの意気込みをお願いします。
5月4日かしわ記念(JpnI、船橋1600m)を予定しています。何とか勝ちたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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小牧太騎手、岩田康誠騎手、木村健騎手など歴代の名ジョッキーが達成した1日6勝。1月11日、吉村智洋騎手が7勝を挙げて園田・姫路競馬における1日最多勝記録を更新しました。さらに翌週には地方通算3000勝を達成。また、2022年は2回目の地方競馬全国リーディングに輝くなど勢いに乗る吉村騎手に記録の数々ついて聞きました。
話題が豊富すぎる吉村騎手。まずは1日7勝おめでとうございます。
ありがとうございます。1日6勝は何回かしたことがあって(6回)、どこかで7勝ができるな、とは思っていました。
この日は最初の騎乗から直線入口で大きく外に進路を取るようなレースが見られました。
前日にインを狙ったレースを2~3回したんですけど、伸びないなと感じていて、最終レースで外に行ったらやっぱり伸びたので、「外やな」と気持ちが決まりました。
あそこまで外に出すのは勇気がいりそうですが、逃げたレースでも大外に誘導していましたね。10レースでは廣瀬航騎手との接戦を制して勝ちました。
直線で馬も脚が上がってふわっとしていたんですけど、乗っている感覚としてはアタマ差くらいで勝っていると思っていました。でも、ちょうど僕の馬が頭を上げて、相手は頭を下げたところがゴールだったので写真判定になりました。このハナ差の6勝目はかなり大きかったです。残り2レースで、最終レースはよっぽど下手に乗らない限り勝てるなと感じていましたが、メインレースは強い馬が1頭いたので、10レースを勝たないと7勝には届かないな、と考えていました。
ということは、このハナ差を勝ったことで「7勝はいける」と?
はい、7勝は来るなと思いました。さらにメインを勝てれば、もしかしたら8勝までもあるかもしれない、と思っていましたけど、順序があるんじゃないですかね。「1日7勝してからじゃないと8勝はダメですよ」っていう。
園田・姫路競馬は1日の騎乗数が8鞍までという制限があるので、1日8勝は全勝を意味しますが、吉村騎手ならいつか達成しそうです。1月17日からは開催が姫路に変わり、「姫路は苦手」と公言していましたが、園田と変わらぬペースで勝っていますね。
苦手は苦手なんですけど、コース形態ではなくて輸送があまり好きじゃないんです。厩舎や調整ルームのある園田競馬場と違って、姫路競馬場は毎日バスで約1時間かけて移動。姫路に着いてからは体重調整などの時間がなくて、あらかじめ園田で全てやらないといけません。
1年のうち8カ月以上は園田開催なのに対し、スケジュールがタイトになるんですね。そうした中でも、姫路開幕日にポンポンと勝ち3000勝も達成。おめでとうございます。
ついていますよね。開幕週3日間のうちに達成できればいいかなと思っていましたけど、まさか初日からポンポンと勝つとはね。流れがたまたま向いただけだと思うんですけど、流れは大事ですからね。
そして2022年は2回目の地方競馬全国リーディングで、NARグランプリの最優秀勝利回数騎手賞受賞も2度目となりました。
めちゃくちゃ嬉しいです。全国リーディングなんて、一度きりかなと思っていました。
2018年、296勝で初めて全国リーディングに輝いた後、ずっと300勝以上を挙げていましたが、森泰斗騎手(船橋)がそれ以上に勝つという状況でした。
森騎手のことは必然的に意識はしていました。去年は9月頃に20勝前後、森騎手に一度離されたんですけど、10月半ばくらいに僕が一気に勝って「ひょっとしたらまたリーディングが来るか!?」と意識していました。それだけいい馬に乗せていただいていて、このくらい勝って当たり前なんだと思います。むしろ、もっと勝たないといけなくらいだと思っています。それだけ「勝ってきてくれよ」という気持ちで騎乗依頼をいただいていると感じています。
長男・誠之助くんは現在、JRA競馬学校に在学中で騎手を目指しています。息子さんの存在は刺激になっていますか?
間違いなく刺激になっています。周囲の人から「お前の親父、全国リーディングやな」と言われた方が本人も嬉しいでしょうから、そういうところを見せていけたらいいなと思って、励みになっています。
お手馬の中では楠賞を勝ったエコロクラージュがいますし、今年も「親父すごいぞ」というところを見せられそうですね。
エコロクラージュはデビューから無敗で名古屋の秋の鞍に遠征した時、抜け出してからとんでもなく遊んでしまって、3着に負けました。連勝している時でも抜け出して遊ぶ面があったので馬具を変えたかったんですけど、やはり勝っている間はなかなか変えられないですよね。でも、名古屋で負けて、「何か考えないと、次の楠賞は勝てないぞ」となり、ブリンカーを着けることになりました。大目標にしていたのが楠賞で、秋の鞍と両方勝てれば一番良かったんでしょうけど、あの敗戦があったからこそ楠賞を勝てたと思っています。
11月2日、エコロクラージュで楠賞制覇
バンローズキングスも菊水賞での敗戦からチークピーシズを着けることになり、兵庫ダービーを勝ちました。無敗はもちろんすごいですが、負けて得られるものも大きいですね。
負けて学ぶこともたくさんあると思います。エコロクラージュはまさに分かりやすい例ですね。
最後に、オッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
レースではいつも人気ばかりが先行していますが、その人気にできるだけ応えられるように頑張っていきますので、これからも園田・姫路競馬共々、応援のほどよろしくお願いします。
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※インタビュー / 大恵陽子(写真:大恵陽子、兵庫県競馬組合)
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ファン投票によって出走馬が決まる園田金盃。ここを勝った馬が年度代表馬に選ばれることも多く、園田・姫路競馬の1年を締めくくる一戦でもあります。今年は、2年連続年度代表馬のジンギ vs ホッカイドウ競馬三冠馬ラッキードリームの2強ムード。ジンギは出遅れを跳ね除けて追い込みましたが2着まで。勝ったのはラッキードリームでした。移籍初戦から3戦続けて手綱をとる下原理騎手に聞きました。
ラッキードリームで園田金盃勝利、おめでとうございます。
ありがとうございます。ホッとしました。
スタートではジンギがまさかの出遅れ。それは分かりましたか?
逃げ馬のタガノウィリアムが内に、ジンギが外の枠だったので、両サイドを確認して乗ろうと思っていたんですけど、スタートして100mくらい行って、「あれ?あの2頭どこ行った!?」となりました。クリノメガミエースが最初のコーナーで先手を取りに来た時もジンギだと思ったんです。「あ、違うちがう。大丈夫、落ち着け」と言い聞かせていました。
そのクリノメガミエースが後続を10馬身以上離して大逃げを打ちました。道中はどんな心境だったんですか?
1周目のスタンド前では「めちゃくちゃ行くなあ」と思っていました。あの作戦はすごいなと思いましたけど、あの流れだったら後ろが相手かなと思って慌てませんでした。ある程度のところで前を射程圏に入れようと考えながら乗っていました。
園田金盃を制して園田で重賞2連勝としたラッキードリーム
前走の姫山菊花賞ではコーナーでモタついた点が課題として挙げられましたが、今回はどうでしたか?
姫山菊花賞ではシェダルが来るのは分かっていましたけど、いきなり来た時に対応ができませんでした。でも、今回は流れも位置取りも違っていて、自分のペースで全て運べたので競馬がしやすかったです。自分で淡々とレースを作る方がコーナーの動きなどを含め、この馬の味が生きると思いました。
園田・姫路で絶対王者だったジンギに2戦続けて勝ちました。いよいよ世代交代でしょうか。
ジンギに2回勝ちましたけど、正直、今回は幸運な面があったと思います。ジンギは前走は休養明けでしたし、冬場に強さが増す馬なので、まだまだやってみないと分からない部分もあります。
このあとは状態次第で南関東への遠征や2月の佐賀記念なども視野に入ってくるかと思います。楽しみは広がりますね。
ダートグレードで上位を狙えるかもしれない馬に乗れるって幸せですよね。姫山菊花賞の(ラッキードリームの)上り3ハロンが37秒0。この時計ってなかなか出ないと思います。スタートが決まればそれなりに行きたい位置を取れて、道中は折り合いもつきやすくて、この上がりの脚を使えるのが魅力です。4歳で年齢的にもまだまだこれからの馬ですし、走りもどんどん良くなっています。ジンギと一緒に園田の代表として頑張りたいので、2頭とも応援してほしいなと思います。
最後にオッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
2歳馬で、デビューから2連勝中のヒメツルイチモンジという馬も操縦性が良さそうで、大晦日の園田ジュニアカップでは楽しみにしています。ぜひ応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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