永森大智騎手は2017年の高知競馬でもっとも多くの勝利を挙げ、2015年から3年連続で高知リーディングとなっている。今年も狙うのは当然、その地位のキープです。
2017年も高知リーディングになりました。ただ、勝ち星(高知のみ)は一昨年の238から190に減ってしまいました。
賞金が上がったことで、いわゆる"いい馬"が入ってくることが多くなりました。その関係で以前より競馬が難しくなっています。数年前は、力の差がわりとハッキリしているメンバー構成のレースが今より多かったと思うのですが、最近は同じレースに勝つチャンスのある馬が何頭も出走している感じですからね。そのおかげで騎手が積極的に乗るようになっているので、レースの流れが変わったようにも思います。ただ、一昨年の238勝は、こう言ったらナンなのですが、ちょっとでき過ぎだったような気もしますね。
それでも高知での勝利数は高い水準を保っています。
でも振り返ってみると、去年は取りこぼしが多かったように思います。リーディング厩舎(雑賀正光厩舎)の所属騎手としてたくさん乗せてもらっているわけですから、勝てるレースを落とさないようにしていかないと。今年の目標はまず、去年達成できなかった年間200勝ですね。
それでもリーディングの座をキープしたことで、今年もいろいろな舞台が待っていると思います。
やはりスーパージョッキーズトライアル(SJT)には出たいですね。今年も出られるのかどうか、まだわからないわけですが(2017年は、前年4月1日から3月31日までの所属場での勝利数1位の騎手が出場騎手に選定)、ワールドオールスタージョッキーズのあの味、あの空気を知ってしまったら、また行きたくなりますよ。
リーディングジョッキーになると、盛岡競馬場で行われるジャパンジョッキーズカップなどの騎手交流戦に呼ばれることも多くなります。
盛岡のあのイベントは本当に楽しいので、何回でも行きたいですね。JRAの騎手とも話ができますし。SJTはかかっているものが大きすぎて、なんていうか、ピリピリとした感じがあるんですけれど、ああいった純粋な騎手交流戦はまったく違いますからね。普段と違う舞台で楽しく乗れて、刺激にもなります。レース後の飲み会も含めて(笑)。
2016年ジャパンジョッキーズカップ(盛岡)でも優勝
となると200勝という数字とともに、高知リーディングの継続も目標ですね。
そこはキープしていきたいと思っています。ただ、だんだんと勝つのが難しくなってきているのは間違いなくて。それをなんとかするために最近とくに心がけているのは、その日の馬場の変化に注意すること。第1レースから始まって、その日の天気やコンディションでインコースが使えるようになってくるとか、馬場の状況が時間とともに変わっていきます。その変化に誰よりも早く気づきたいんですよ。そして早く気づいたぶん、1レースだけでもいいから自分を有利にしたいんです。当然、ほかの騎手も同じようなことを思っているのでレース後のVTRをみんな見ていますが、それでもその一歩先を進めるようにしたいと考えているんです。
そして、重賞勝利も増やしていきたいのではないですか?
そうですね。去年はカッサイだけでしたからね(黒潮スプリンターズカップ、建依別賞)。でもそういうのはめぐりあわせもありますから。そういう意味では、これまで高知を代表する馬で大きなレースを勝たせてもらった、その経験には大きいものがあります。
そういえば永森騎手って、まだ31歳なんですよね。もっとベテランかと思っていました。初めて重賞を勝ったのが2011年。それから急上昇してきた感じがするのですが、ご本人としてはいかがでしょう。
もちろん、そのころはこんなふうになるなんて少しも思っていませんでした。赤岡さんをはじめ、巧い人がたくさんいる競馬場ですし。それでも初めて重賞を勝たせてもらったリワードレブロンから始まって、エプソムアーロン、グランシュヴァリエといった存在は、自分のなかでは特別なものですね。
最近は高知競馬でデビューした馬たちの活躍が目立っています。そういった馬との出会いにも期待したいですよね。
それもめぐりあわせですよ。ひとつひとつのレースを大切にして、その延長線上にそういう馬が出てくればと思います。そのうちに、ですね。自分自身、これまで「そのうちに、そのうちに」という気持ちでやってきました。自分なりに最善を尽くしていくということを、これからも続けていきたいと思います。
赤岡騎手は他の競馬場の重賞で乗ることも多いですが、そこも今年の目標のひとつでしょうか。
そこまではちょっとどうかなあとは思いますが(笑)、でももっと全国に名前が売れるように、ほかの競馬場から声がかかるような騎手になりたいという思いはあります。地元では自厩舎はもちろんですが、ほかの厩舎からも信頼してもらえるように。あとはケガをしないことですね。そこに気をつけて、今年も頑張っていきたいです。
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※インタビュー・写真 / 浅野靖典