宮川実騎手は、高知競馬でリーディング上位を常にキープ。キャリア20年目の今年は、初めての高知リーディングが視野に入っています。
今年は所属する打越勇児厩舎が全国リーディングを狙える勢い。宮川騎手も順調に勝ち星を積み重ねていますね。
厩舎に良い馬がいて、その馬に乗せていただけて、本当にありがたいと思います。厩務員さんがしっかりと馬をつくってくれていますし、厩舎全体がひとつになっている感じがしますね。それはもちろん、以前から変わりないことなんですが、今年はその積み重ねが実を結んでいるように思います。
それにしても、打越厩舎はかなりの好成績です。
高知のローテーションだと連戦になりがちですが、調教で僕が乗って気になるところがあるとか、厩務員さんが馬の体調に不安があるとか、感じたことを先生に伝えると、馬を休ませてくれることが多いんです。馬は本当に調子が悪くなると、立て直すのはとても難しいこと。でも、そうならないうちに休ませてもらえるんです。たとえば次の週に開催がないときなどは"もう1回だけ"と出走させるケースが多いんですが、それをガマンできているというか。1開催休んだだけでもけっこう違うものなんですよ。
そういう厩舎の好成績に、宮川騎手も乗っているところがあるのでしょうね。ただ、高知での勝ち星は永森大智騎手と競っている状況です。
年末までは時間がありますから、まだそれほどの意識はないですけれど、リーディングを取れるくらいの馬にたくさん乗せてもらっていると思います。でもまだまだミスが多いとも感じます。それを減らしていくのが第一。そういったなかでも、自分が納得できるレースができればと思っています。
ゆくゆくは赤岡修次騎手のように、高知以外でも活躍できればいいですよね。
いやいや、そこまでの余裕は今のところないですよ。でも修次さんとか、巧い人の乗りかたを間近で見るのは勉強になります。見習いたいのは精神的な勝負どころや、瞬間の判断力などですね。道中の仕掛けがほんの少し遅れるだけでも結果はすごく変わりますし、自分がちょっと気負うだけでも悪いほうに違ってきます。僕が常に考えているのは、馬のリズムを壊さないようにすること。馬を気持ちよく走らせることがいちばんだと思っています。
それは現役でいる間はずっと課題になりますね。
負けたとき、『あの場所で馬が行きたいと言っていたのに、それに対応してあげられなかったな』とか感じることがありますね。結果が伴わないことが続くといろいろと考えてしまいますので、いつも自分に対して「レースを楽しめ」と言い聞かせているんですけれど。修次さんは控室では笑っていますが、レースになるとすごく集中している顔つきになるんですよ。そういうところも見習っていきたいです。
それでも大ケガがありながら、今年でキャリア20年になりました。
年とともに、だんだんと体が張ってくる、その間隔が早まっている気がしますね。以前からマッサージや整体にはよく行っていたんですが、その回数が増えました。若いころは腰がけっこうキツくて、でもしばらくしたらあまり気にならなくなったんですが、最近また張りが出てくるようになってきて......。それがあると体のバランスが悪くなってしまうんですよね。
となると、普段の生活も変わってきましたか。
そうですね。遊びに行く回数は減ったかなと思います。とくにサーフィン。無理してケガしてもしょうがないですし(笑)。
最近の高知競馬といえば、売り上げの上昇と賞金の上昇が目につきます。
2歳の新馬戦も始まりましたし、以前よりもいい馬が来るケースが増えたことは実感しています。デビュー前の馬の調教は危険が多いんですが、昔に比べればかなりマシですよ。厩舎にもデビュー戦から連勝したグローサンドリヨンとか、期待できる2歳馬がいます。高知の馬場で鍛えられて上のクラスまで行けた馬は、県外でも通用しますからね。騎手も増えてきましたし、以前よりも活気があるのは間違いないです。
一方で、騎手が増えるということはライバルも増えるということですよね。
自分としては、前の年よりも多く勝ちたいと思っています。ただ、この世界は上を見るとキリがないですからね。それでもこの春には福永洋一記念(ティアップリバティ)を勝たせてもらいましたし、今年は厩舎の勢いをジャマしないようにできればいいかな。
そしてこの9月には別府真衣騎手との入籍が発表されました。それもプラスになっているのではないですか?
生活のリズムが同じですし、僕の多趣味に付き合ってくれているうちに自然と......という感じです。一緒にいて気持ち的に楽ですし、この夏に行ったキャンプにもついてきてくれました。普段の生活が楽しければ仕事にもつながっていきますし、いい影響が出ていると思います。でもレースではライバル。お互いに高め合っていければと思っています。
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※インタビュー・写真 / 浅野靖典