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鈴木 麻優 騎手(岩手)

『岩手競馬10年ぶりの新人女性騎手』として、また東日本大震災では気仙沼・鮪立(しびたち)で被災して、被災地から生まれた騎手としてデビュー前から注目されていた鈴木麻優騎手。4月19日にデビューし、ちょうど1カ月後の5月19日に初勝利を挙げてその注目ぶりに応えた。今回はその初勝利の話を中心に鈴木騎手のインタビューをお伝えする。

 

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4月19日のデビュー戦

最初はやはり初勝利の話からいきましょう。5月19日(盛岡第1レース、ホヤラー騎乗)に待望の初勝利を挙げました。

ホヤラーには調教にもずっと乗せてもらっていて、最初の頃は引っかかったりしていたんですけど最近はうまく乗れるようになって、もう"以心伝心"なんですよ。ホヤラー、いい仔なんですよ。大好きなんです。

レースの時は、調教師さんからしっかりと指示を受けていたと聞きました。

スピードがあるから前に行けるんですけど、行きすぎると最後に止まってしまう馬なんですね。だから前回の騎乗時には(佐々木由則)調教師から「無理に行こうとしないで我慢して、周りの動きをよく見て乗ってこい」と。自分も勝とうとか思わないで指示通りに周りの馬の動きを見て進んでいたら、そうしたら勝てる位置に来ていた......という感じでした。

最後の直線とかゴールの瞬間とか、覚えてますか?

覚えてます。村上騎手の馬(ドクトルバロン)を追いかけている間はずっと手応えが良かったので"あっ、もしかしてハナ(1着)獲っちゃうかも!? でもまだまだ(仕掛けるタイミングが)早いよ"って。南郷さんの馬(ラッキーアスム)が来ていたの分かっていて、間に入られないように詰めようかどうしようかちょっと迷ったんですが、詰めに行って。そうしていたら忍さんが動いたんで"ここで動けばいいんだ!"。そこも合わせて動いていったら最後まで馬の手応えが良くて......って感じでしたね。

 

suzuki_20140530_02.jpg

 

初勝利のゴールへ(5月19日)

あのレースはホヤラーとしては完璧な乗り方だったよね。良いレースでした。

まだまだですよ。もっとうまく乗らないといけない所がありましたから。でも、ホヤラーには調教とかレースとかいろいろ教えてもらったから、これからも乗る機会があれば一緒に頑張っていきたいです。

ひとつ勝ったことで見えてきた課題、みたいなものはありますか?

そうですね、まだまだ追えないですね。追う力が足りないのは自分でも自覚しています......。

最初の頃なんか、直線でもう息があがってる感じだったものね。でも徐々に力も増してきたように見える。

先輩方がいろいろアドバイスしてくれるんです。ビデオを見ながらどこでどう動いたらいいかとか、どういうコースを取ればいいかとか。先輩方が本当に丁寧に教えてくれるので、自分も少しでも早く進歩しようと思っています。

初勝利のことは、ご家族はなんて言っていましたか?

「おめでとう」って。レースはネットで見ていたそうです。その日は地元でウニの開口があって来れない日だったから。

 

suzuki_20140530_03.jpg

 

次の目標は?

まず自厩舎の馬で勝つことです。伊藤先生には実習中から心配ばかりかけていたので良い結果を出して恩返ししたい。

もうひとつくらい。もうちょっと大きめな目標を立てるとしたら?

そうですね~。10勝したいです! 今シーズン中に。勝って自分の力で減量が取れるようになりたいです。

 

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デビューの日はたくさんのマスコミが取材に。新人騎手の囲み取材は前代未聞

さて、今回の初勝利でもそうだったと思うのですが、デビュー前からデビュー後、これまでと、マスコミの取材がね、引きも切らないじゃないですか。そういうのは自分でどう思っていますか?

岩手競馬をアピールする機会になっているから、凄く嬉しいです。

嬉しい?

そうですね。これで岩手競馬を知ってもらって、もっとたくさんのお客さんに来ていただけるようになればいいなと思っています。

あとは、何というか"被災地の復興のシンボル"みたいな扱いに、どうしてもなってしまうじゃないですか。震災から起ち上がる被災者......みたいな。そういう位置づけ方はどうですか? 鈴木騎手的にOK?

うーん、私よりももっと苦労している方のほうがずっと多くて、自分の苦労なんかは比べるとホント小さくて。それに自分はちょっと前向きなだけで、それでここまでやって来ただけだから、"こんなに大々的に取り上げられていいのかな?"と思ったりもします。それも岩手競馬とか地元の宣伝につながるならいいのかな、って。

 

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4月の初騎乗の際もマスコミが"殺到"と言ってもオーバーではないくらい多数訪れ、今回の初勝利のニュースも「全国ニュースで見ました」という声が多い......というほど鈴木騎手のことは各種媒体で取り上げられている。
しかし彼女はそんな扱いに特に舞い上がるでもなく、ソツなく取材をこなす。被災地とあわせて取り上げられること、それが「岩手競馬の宣伝になればいい」という言葉も、分かってそういう役目を演じて、狙って言っている......というわけではなさそうで、ごくごく自然な彼女のスタンスから出てきているようだ。
競馬のこと、レースのことも大事だけど、「もうちょっと、ほっぺのあたりが痩せてスッキリ見えるようになったらいいな~って」「髪を伸ばしたいんですよ。伸ばしたくても伸ばせなかったから、"フワッ"ってなるくらい伸ばしたい」と気にするあたりは年相応の女の子。変に形にとらわれることなく"公・私"を使い分けられるのが彼女の他にない持ち味なのだろう。
競馬は厳しい勝負の世界......ではあるが、願わくばこの自然さを、いつまでも保ち続けてほしいと思う。既存の形に囚われないスタンスは競馬にもきっと活きる......と思うのだが、どうだろうか。

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※インタビュー・写真 / 横川典視

2014/05/29
岩手

陶 文峰 騎手(岩手)

今年がデビュー15年目になる陶文峰(とう ぶんほう)騎手。昨シーズンはドリームクラフトとのコンビで重賞4勝を挙げ、同馬を2013年度の岩手競馬年度代表馬に導きました。また、2004年にトキオパーフェクトで2勝を挙げて以来、久しく遠ざかっていた重賞制覇でもあり、昨シーズンは陶騎手にとって記念すべき1年となりました。

 

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まずはですね、"ドリームクラフトって陶騎手から見てどんな馬?"という質問からいきましょうか。

レースがよく分かっている馬ですね。どこから動き出してどこで脚を使うか自分で知っていて毎回3~4コーナーで伸びてくれる。乗っている僕が邪魔しなければ力を出してくれる馬ですよ。

勝った重賞は全部水沢で、"盛岡は苦手なのか?"とも言われていますが?

いや、盛岡も決して苦手ではないと思うんですよ。クラスターカップ(7着)の時も上がり34秒6とかで走っていて上位の馬がもっと走ったというだけだし、シアンモア記念で2着になった時も走りや手応えは凄く良かったんで、あれで盛岡は走らないという感じはしないんです。勝った馬が強かったとか上手く走ったとかそんな感じで、ドリームクラフト自身はそんなに悪い走りだったわけじゃないと思います。

確かにシアンモア記念の2着はレース内容が良かったし、それに水沢でだって負けた事があるわけだしね。

盛岡で勝ててないのは距離もあるかな。マイルはちょっと長い。長いというか脚の使い所が難しいですね。短すぎる距離だと忙しくて合わない。1400mがやっぱり一番良くて、この距離なら馬が自分で動いてくれるし捲っていく時の手応えも凄いからね。

盛岡が芝もダートもイマイチだったのは、盛岡のコース形態だとこの馬が動きたいところに必ず坂があるからかな?とか想像しているけど?

そういうのはあるかもしれませんね。3コーナーからずっと下ってきてすぐ登りですからね。あと、58kgとかの重い斤量をちょっと気にするのかもしれない。

 

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ドリームクラフトでトウケイニセイ記念を制してガッツポーズ

 

ドリームクラフトの転入初戦、去年の3月の開催で勝った時から「これはかなり走る」って言ってましたよね。

最初はダートの1800mでね。調教師からも「芝の方が良いんじゃないか」って言われてて自分もそのつもりで挑んだけど、3コーナーあたりからガツンとハミを取って、あれっ?と思った時にはもう周りの馬が止まって見えるくらいの脚。これはダートでも走るなと。その頃は芝馬っぽい素軽い走りって言うんですか、そんな走りだったけど徐々に変わってきて。馬体重も440kg台でしたがその後は450kg台後半になって。パワーが増してきたんじゃないかな。

陶騎手はトーホウエンペラーとかデンゲキヒーローとかも知っているわけだけど、そういう馬たちと比べた時はどう?(注:トーホウエンペラーは千葉四美厩舎に所属していた時に調教を付けていたことがある。デンゲキヒーローはキャリア終盤にコンビを組み、04年の名古屋グランプリGIIで3着がある)

トーホウエンペラーやデンゲキヒーローはパワー型でしたよね。重賞を勝ったトキオパーフェクトはスピード型。そんな馬たちに比べるとドリームクラフトはちょっと違いますね。短い距離で勝っているけどスピードで押す馬ではなくて、そういう距離でキレる脚があるタイプ。コウギョウデジタルと似ているところがあるなと感じるんですよ。レース中に気を抜く時は抜きすぎるくらいなのに何かのきっかけでスイッチが入ってグッとハミを取ったり。同じアグネスデジタルの産駒だからかな?と思ったりしますね。

 

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デンゲキヒーローで挑んだ2004年12月の名古屋グランプリは3着

 

陶騎手は中国の生まれ(中国黒竜江省生まれの中国籍。数少ない日本で免許を取得した外国人騎手)で、日本に来たのはいつでしたか?

12歳の時ですね。日本に来た時にはもう中学生の年齢だったけど、日本語がよく分からないという事で最初は妹と二人で小学校に入ったんです。妹が小五の年齢だったので二人で小学校5年生ね。で、妹と一緒に小学校を卒業して、妹は普通に中一だけど自分はすぐに中二に飛び級みたいな感じで上がったんです。

水沢農業高校で馬術部に入ったわけですが、それは馬が好きだったから?

いや、最初はサッカー部に入ろうと思っていました。友達に誘われて馬術部を見に行って、それで入ったんです。中国時代は家に農耕馬がいたけど、大きくて怖かったからあまり近寄ったことがなかったですからね。

水農馬術部から競馬の世界...って、岩手競馬では出身者が多い路線だよね。

馬術部の頃にアルバイトってことで水沢競馬場でポニーを引く係をやったことがあって、競馬を見て凄いなと思って。そんな時に千葉四美調教師(当時)に誘われたんです。日本に来ていろいろな仕事に興味があったけど馬の仕事もいいな...と思って騎手を目指すことに。でも長期過程を二度落ちたんです。当時は体重も増え始めていたからどうしようかと思ったけど、短期過程があるからということで受けて合格しました。

陶騎手もベテランの年になったから水農出身の後輩も増えてきたと思うけど、先輩風吹かしたりしてないの?

いや、ないですよ(笑)。俊吏(菅原俊吏騎手)が一つ下、皆川(麻由美元騎手)が二つ下になるけど、もっと上の先輩もたくさんいますからね。伊藤和調教師や瀬戸幸一調教師、吉田司調教師、高橋純調教師。自分はとても威張ったりできない。

 

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重賞初制覇をもたらしたトキオパーフェクト(2004年OROカップ)

 

えー、ではドリームクラフトに戻って。今年はどんな成績を残したいですか?

年度代表馬を2年連続で取る、というのはめったにないことだろうし、それができるのは年度代表馬を取った次の年なので、今年も狙っていきたいです。勝つべきレースをきっちり勝てるようにしたいですね。あとは盛岡で勝ちたいですね。さっきも言ったように盛岡がダメだとは思ってないので、盛岡でも強いドリームクラフトを証明したいです。

自分自身は?

この年になると毎年"今年はどこまでやれるかな?自分はあとどれだけやれるのかな?"って感覚になってくるんです。でも、これまでも自分が苦しい時に良い馬に出会って助けられてきた。トキオパーフェクトとかデンゲキヒーローとかね。今はドリームクラフトがそうなんだと思う。良い馬で必ずしも良い結果を出せなかったとも思うから、ドリームクラフトではきちんと結果を出して、期待に応えたいですね。

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※インタビュー・写真 / 横川典視 

2014/05/21
岩手

太田 陽子 騎手(岩手)

太田陽子騎手はオーストラリア・ヴィクトリア州にベースを置いて活躍している、いわゆる『外国で騎乗する日本人騎手』。その中でもかなり初期の一人だ。
今年9月に日本で騎乗する短期免許を取得、10月5日から岩手競馬で騎乗を開始して実質3週間で10勝を挙げる"太田旋風"を巻き起こし、一躍ファンの注目を集める存在になった。
実は10月26日のレース中に落馬・負傷して現在は治療休養中。免許期間を延長して復帰を目指している段階なのだが、その辺も含めてお話をうかがった。

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横川:太田さんは普通の家庭の出身と聞いたのですが、競馬や騎手に興味を持ったきっかけは何だったんですか?

太田:小学生の頃、親に連れられて中京競馬場に行ったんですよ。ちょうどその頃、親が転勤で名古屋に移って、引っ越した先が競馬場の近くだったんですね。ちょうど競馬ブームの頃だし"じゃあ競馬というものを見てみるか"という事だったみたい。そこで見た騎手に憧れて......が最初ですね。競馬自体は、その頃はちょっと荒っぽいおじさんとかがあちこちにいて最初は怖かったんですけど(笑)、騎手はいいなと。

横川:そして高校では馬術部に入ったんですね。

太田:親からすれば私を試したんでしょうね。「本当に馬が好きなのか、馬の仕事でやっていけるのか、3年間考えてみなさい」と。それまでは馬に触った事もなかったわけですからね。鳴海高校の馬術部に入って初めて馬房の掃除をやったとき、「これだ!」って思ったんですよ。楽しくてしょうがなかった。この世の中にこんな楽しい事があっていいんだろうか?って。馬術部の練習を中京競馬場でやっていたんですよ。練習の後にコースを見せてもらったことがあって、コースからスタンドを見上げた時、「こんな凄い所で走れるのか」と感動したのを覚えていますね。

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岩手での初騎乗はやや緊張気味(10月3日・盛岡第5レース)

横川:オーストラリアで騎手になろうと決意したのはその頃ですか?

太田:当時は自分も親も競馬の事に詳しくないですから、騎手になるにはJRAや地方競馬の競馬学校に入らないといけない......くらいは知っていましたが、どっちがどうとかよく分かってなかったんですね。その頃の自分はちょっと体重が重くなりそうな感じがあったんです。今から思えば、少し様子を見ながら、体重を調節しながら合格を目指す......という方向もあったかも。でも当時は良く知らなかったから、"じゃあオーストラリアで騎手を目指そう"みたいな。

横川:と、さらっと言いますが、当時(90年代後半)はオーストラリアで騎手に......という情報も今ほどには豊富じゃなかったですよね。

太田:これも今から思うと不思議なんですけど、何かのきっかけでそういう情報に気付いたんですね。好きな事とか関心がある事ってどんなに小さい記事でも目が惹かれるじゃないですか。"オーストラリア・騎手"という情報に、何かひっかかるものがあった。"海外で騎手か。英語も苦手だけど、まとめて挑戦してみよう"そんな風に思ったんですね。

横川:そしてクイーンズランド州の養成学校に入った。学校ではスムーズに進んでいったんですか? 騎乗の授業とか。

太田:学校に入って1週間目くらいかな、学校の近くにある調教場で朝の調教を見ていたんです。日本人の先輩たちは学校以外にも厩舎で働いたりして覚えていると聞いたから、自分もどこかの厩舎に見つけてもらおうと思ってうろうろしていた。すると、あるトレーナーさんから声をかけられた。「働きたいなら厩舎に来な」って。それっぽい事を言っていた......と思うんですよ。その頃は英語全然分からないから(笑)。それから毎日、厩務員さんに仕事や英語を手取り足取り教えてもらいながら覚えていった。

横川:学校の授業以外にもそうやって仕事をしていたんですね。

太田:むしろそれが普通でしたね。他の生徒もそうだったし。本当にいろいろ教えてもらえました。しばらくそこで働いて、その後は調教に乗せてもらえる所に移ったりして。もちろんそれは無給ですよ。でも学校の勉強だけじゃなくて厩舎で実際に働きながら覚える事ができたのが、今にして思えば大きかったですね。

横川:学校は1年間だったんですか?

太田:初級コースが1年、その後に上級コースが半年ですね。その後にジョッキーコースの授業が4ヶ月くらい。そこで3人だけ残りました。私と、富沢希君と、それから池主貴秀君。ジョッキーコースに入ると競走馬を1人1頭与えられるんです。それを全部自分の判断で世話して、調教して、トライアルレースをする。2回やって2回とも2着でしたが面白かった!

横川:そこからアプレンティス、見習い騎手になっていくわけですね。

太田:卒業の時に校長に言われたんですよ。「ヨーコ、君の身体は騎手には向いてないから止めた方がいい」って。体重が重いだろう、という事なんですが、今さらそんな事で止めるくらいなら最初からオーストラリアに行ってないですよね。だから"諦めないでやります"と。そしてサンシャインコーストに行って騎乗をはじめました。
これも今にして思えば自分の決心を確かめられたのかもしれない。でも自分は、あそこで諦めなかったし、そこで言われたように体重が重いからって辞めるような騎手にはならない、と心に決めた。それが今まで続けて来れた原動力かもしれません。

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10月6日・盛岡第3レース、岩手4戦目での初勝利

横川:日本、岩手で乗る事になったいきさつはもうあちこちにでているから、そうですね、10勝できたのをどう思いますか?っていう質問で。

太田:これはもう予想以上ですよ。オーストラリアでやって来た事を全部ぶつけてやってみる。それで0勝で終わっても仕方がないと思っていましたから。

横川:最初は乗り方とかレースの流れとかにちょっと戸惑っていた感じですが、すぐに慣れましたしね。こっちの騎手たちも最初は「?」だったようですが、徐々に見る目が変わりました。山本聡哉騎手なんか、太田さんをすごく高く評価してて、レースで太田さんをマークしたり潰しに行ったりし始めましたからね。

太田:最初は「ここで動かないの?」「え~?ここで動くの!?」って戸惑いながらでしたね。他の騎手の皆さんにはいろいろ教えてもらって、もちろん菅原右吉先生にもいろいろと面倒を見ていただいて良い馬も乗せてもらっています。そのおかげですよ。

横川:ところで怪我の具合はどうなんでしょうか?

太田:最初の検査で見つかっていた骨折はもうだいたい良くなったんですが、実は最近になって別の剥離骨折があったことが分かったんですね。そこが、気付かなかった分ちょっと治りが遅くて。だから、免許の期間を延長しましたが、騎乗できるかどうかギリギリなんです。

横川:最初の活躍は盛岡のファンに強い印象を残したし、水沢のファンにもぜひ一度見ていただきたいとは思うんですよね。

太田:私も水沢の、日本の地方競馬らしい小さいコースのレースを経験したいし、もちろん実戦に乗ってこその騎手ですから1日も早くレースに乗りたいと思うんです。
一方で「騎手なら万全の状態で乗るべきだ」「しっかり直してまた来年来れば......」とも言われて、それもその通りなんですね。でも今回のようなチャンスを逃すと次また巡ってくるとは限らないじゃないですか。今回も本当にいろいろな方にお世話になって実現した事ですから、また次もこんな風にうまく進むとは思えない。もしかしたら一生に一度だけのチャンスかも......と思うとね、手放したくないと思っちゃうんですよ。
ここ何日かのうちにじっくり考えてみて、無理だという結論になれば潔く帰って、また出直して来ようと思っています。

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太田騎手の免許期間は12月16日まで。実戦に復帰することを思えばそれほどの余裕はなく、そこが太田騎手の悩み所になっているようだ。
なんとか1レースだけでも水沢のファンの前で騎乗ぶりを見てもらいたい......とは自分も同じ気持ちだが、ただ乗るだけで気が済むような太田騎手ではないのも確か。
このインタビューが掲載される時には、もしかすると期間切り上げ・帰国ということになっているかもしれないが、その時はいつかまた太田騎手の"ミラクル騎乗"を見ることができる日を、ファンの皆さんにも待っていていただきたいと思う。

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※インタビュー・写真 / 横川典視

2013/12/05
岩手

高松 亮 騎手(岩手)

6月3日に行われた岩手ダービーダイヤモンドカップをヴイゼロワンで制し、念願のダービージョッキーとなったのは、デビューして今年が10年目となる高松亮騎手。そのダービー制覇の喜びや、今後のことについてうかがいました。

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横川:まずは『岩手ダービーダイヤモンドカップ』を制した時の、感想から聞かせてください。

高松:ゴールの瞬間は本当に興奮しました。ヴイゼロワンの陣営からは“この馬はダービーを勝つために連れてきたんだ”と言われて。そういう馬に自分を信頼して乗せてくれて、そして勝つ事ができましたからね。

横川:少しレースを振り返りましょう。道中は先行策、ハカタドンタクらライバルと見なされた馬たちを後ろに置いての戦いになりました。

高松:自分の考えではライバルを前に見ながらがいいのかなと思っていたのですが、相手の行き脚がそれほどでなくて、一方自分の馬は抜群のスタート。だったらヴイゼロワンのリズムを崩さないようにしようと。

横川:その先行策から積極的に動いて直線は自ら先頭に。

高松:それもあくまで馬のリズムを守って、ですね。スムーズな流れを作って自然に加速させてやるのがヴイゼロワンには一番いいと思って乗っていましたから、あそこはそれまでの流れのまま動いていった形です。

横川:最後の直線ではハカタドンタクが迫ってきて、いったんは前に出られたりもしました。あのあたりはかなりヒリヒリしたんじゃないですか?

高松:そうですね。これで負けたら“お前の仕掛けが早かったから”と言われるかもしれない…そう思わないでもなかったですけど、でも自分の馬の手応えはずっと良かったし、そこまでも思った通りに進んできていた。相手はずっと脚を使い通しで上がってきていたのが分かっている。それでもし交わされ突き放されたりしたとしたら、それはあっちがバケモノなんだ…。腹は括っていましたね。

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横川:これで重賞は3勝目ですが、“ダービージョッキー”はやはりちょっとこれまでとは喜びの質が違うんじゃないかと思うけど?

高松:なんというか、少し時間が経ってから“こんな大きな出来事だったのか”と感じましたね。

横川:それはどんな事で?

高松:たくさんの人にネットやメールとかでメッセージを貰ったんですよ。もちろんいままでもいただく事はありましたが、今回はその数が段違いだったんです。それもこれまでにもいただいていた人ばかりでなく、初めての方なんかからもたくさん。自分は、正直それほど手放しで喜んではいなかったんです。自分のキャリアからすれば満足しちゃいけないですから。でももの凄くたくさんの方から祝福されて、自分はこんなにたくさんの人に支えられていたんだ…と改めて実感しました。

横川:今年は騎手生活10年目。区切りらしい勝利になったのでは?

高松:10年という区切りは、自分ではあまり気にしてないです。いや気にした方がいいのかもしれないけど、騎手としてまだまだだなと感じているから“10年やって上手くなった”とか“騎手としてのポジションが固まった”とかは思ってないですね。毎年同じように挑んでいるつもりですよ。

横川:でも今年は既に重賞2勝。順調なスタートを切ったように見えるけども

高松:今年は、そうですね、ここ何年かの中では、なんというか腹が据わったというか競馬に向かう気持ちが違う…とは自分でも思っていますね。

横川:それはどういう点で?

高松:今年の1月1日にケガをしちゃって、自分的にはちょっとキツいケガだったんですね。前もケガでシーズン終盤を棒に振ったこともあったけど、気持ち的には今年の方が数段重かった。いろいろ悩んだんですが、そんな中で馬に乗れる、レースに出ることができるのが自分はやっぱり好きなんだ…と再確認できたように感じるんです。

横川:“騎手・高松亮”的には2年前もけっこうなピンチだったと思うけど(※2011年終盤、高松騎手はケガで戦列を離れていたが、治療休養中に所属厩舎が解散してしまった)、あの時よりもキツかった?

高松:あの時もピンチでしたね。鎖骨を折ったんですが、あれだけ大きなケガをしたのは初めてだったからショックもあった。でも今年は、気持ち的にはあの時以上だったかも。ケガをしてしまうとどうしてもゼロからの再スタートになるんですが、今年はゼロよりもさらに“どん底”で、そこからはい上がっていくしかないのか…という気分でしたから。ただ、さっきも話したようにそれで逆に吹っ切れたというか。いい意味で悩まなくなりました。変なことで悩んでる場合じゃないだろ、って。

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横川:そんな今年の“騎手・高松亮”はどんな目標を立てている?

高松:通算500勝が間近。とりあえず手近な目標なのでこれはしれっと達成しておきますよ。あとは年間100勝。毎年言っている目標なんですけどね。

横川:100勝というのはリーディング上位を争うために…ということ? 最終的に1000勝とか2000勝とかまで辿り着きたいから、そのための最低ラインだ…とかそんなことなの?

高松:ん~。それもないことはないけど、ちょっと違うんです。この先、自分で考えていることがあって、100勝達成はそのために必要なことなんですよ。

横川:んん~。気になるなあ。それは100勝できたらその理由が明らかになるの?

高松:いや、明らかにしないですよ。話さないと思います(笑)。

横川:気になるけど、100勝達成した時の高松騎手を見たら理由が分かる…ということにしておこう。それから高松騎手は過去によく他地区で期間限定騎乗していましたが、またどこかに行かないのか?と楽しみにしているファンも多いと思いますが。

高松:ここ2年くらいはケガのせいもあって行けなかったし来年もまだちょっと時間が取れそうにないんですけど、行きたい気持ちはあります。それに行くとなったら腰を落ち着けてまとまった期間乗りたいですからね。また行きますよ。

横川:楽しみにしています。

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※インタビュー・写真 / 横川典視

2013/07/01
岩手

坂口 裕一 騎手(岩手)

昨年は61勝を挙げ、岩手リーディング10位。今年デビュー11年目を迎えた坂口裕一騎手に、これまでのこと、また今後の意気込みについてうかがった。

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横川:川崎競馬の厩舎で育ったんだってね。

坂口:父が川崎競馬の厩務員だったので厩舎で暮らしていました。生まれた頃は競馬場の厩舎で、自分が小3の頃に小向に移りました。同期の山崎誠士騎手なんかは学年は違いますが同じ小学校・中学校でしたよ。

横川:じゃあ小さい頃から競馬や馬に慣れ親しんで暮らしていた?

坂口:それが全然興味がなかったですね。厩舎の2階で暮らしていたのに高校くらいまでは全く競馬に関心がなかった。子どもの頃に喘息になった事もあって"馬と一緒の生活は合わない"とずっと思っていましたし、馬が傍にいるからって触りに行ったり乗ってみたりしようともしなかった。だいたい厩舎から普通の高校に通っていたんだから、つまり(騎手に)なる気はなかった......という事でしょ(笑)。弟の方がよっぽど関心があって、騎手になりたいんだろうなって思っていましたから。

横川:それがどうして自ら騎手を目指す事に?

坂口:そんな頃、父がラハンヌという馬を担当していたんです。父の自慢の馬だったんですけど、デビュー戦でぶっちぎりで勝ってその後もけっこう活躍した。それを見ていて"競馬もおもしろいのかな"って思うようになったんです。

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2000年スパーキングレディーカップ出走時のラハンヌ(月刊『ハロン』2000年11月号より)

横川:今調べると、デビューから3連勝、それも佐々木竹見騎手が手綱をとって......だから期待馬だったんだね。重賞もリリーカップとトゥインクルレディー賞で2回2着。

坂口:レースを競馬場に見に行ったりするようになって、それまでは行った事がなかったけど牧場に遊びに行ったりとか。茨城の牧場でセイウンスカイの引き運動をした事もありますよ。その時は知らずに"ずいぶん白い馬だな"と思っていたくらいでしたが後で聞いたらセイウンスカイだった。しかし、そのトゥインクルレディー賞2着の直後に父が急に亡くなったんです。それが自分が高2の時。それで自分は岩手に移ってきた。

横川:じゃあ、お父さんが亡くならなかったらそのまま南関東で騎手を目指していた?

坂口:いや、騎手になるよう勧めてくれた馬主さんの紹介もあって、志望は最初から岩手でしたよ。

横川:そういうきっかけがなかったら、騎手を目指してなかったんだろうね......。

坂口:父自身も騎手になりたかったけどなれずに諦めていた人でしたから。中学生の時に鹿児島から出てきて、騎手を目指したけど体重が重くてなれなかったそうなんですね。じゃあ自分がその跡を継ぐのも有りかな......と。

横川:坂口騎手って、そんな熱いエピソードがあるわりには『醒めた』イメージがあるよね。

坂口:馬主さんにも言われた事がありますよ。"お前は勝って嬉しいと思わないのか?"って怒られ気味に。

横川:いや、レースで勝った時は喜んでいる方でしょ。ゴールしながら笑顔になってる時もあるし。

坂口:そうですかね?

横川:よくあるよ。凄く嬉しそうにゴールしてること。

坂口:うーん。人気のない馬とか、自信があるのに印が薄い馬とかで勝つと嬉しいけど......。でもまあ、あまりそういう、勝って派手に喜んだり騒いだりするのって、周りから見てて格好悪いんじゃないかな~?って思うんで、意識的に抑えようとしている所はありますね。そういうのがさっきみたいな"嬉しくないのか"って怒られる原因になる。

横川:ガッツポーズとかもしないものね。

坂口:やってもいいかな~?と思う時もあるんですけどね。でもゴールの瞬間になると"ん?待てよ?"って。でも去年白嶺賞を勝った時はやっておけば良かったな。勝つ自信があって勝てたレースだったし、あの時くらいは思い切りガッツポーズしてみても良かった。

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2012年12月22日、白嶺賞をクレムリンエッグで勝利

横川:基本的に『冷静』に振る舞っている方?

坂口:熱くなると空回りするタイプなんですよ。騎手になった当初なんかそうだったし。自分自身でそうだと分かっているから余計に"冷静に冷静に"というところはありますね。

横川:普段はどんな生活をしているの? いや、若い騎手が次々結婚しててさ、若手の中で"最後の独身の大物"といわれているのが坂口君だからさ。知りたい人も多いと思って~。

坂口:え~? 最近はタバコも止めたし、お酒もあまり飲まないし。引きこもり......ですかね...。

横川:競馬がない時は?

坂口:調教→ご飯→寝る。

横川:え(笑)。じゃあ競馬がある時は?

坂口:競馬→ご飯→寝る。ですね。

横川:変わらないじゃないか(笑)。

坂口:後は撮りためたビデオを見るとか......。車を買った時はドライブに行ったりしたけど今はあまり...だし。

横川:えー、坂口騎手はこんな人です。興味がある女性は、覚悟してください(笑)

坂口:こんな話でいいんですかね?

横川:いいよいいよ。掴みはOKだしね。"亡き父の遺志を継いで騎手になった男"なんて、ドラマだよ。普段こんなにクールな人にそんな熱い背景があったなんて、本当にいい話。

坂口:ラハンヌって、父が担当していただけじゃなくて、馬主さんも父の後輩の厩務員だった人で、その人が自ら外国で探しあててきた馬なんですね。脚元がそんなに良くなくて手をかけながら走っていたのが印象深かったですからね。

横川:思い切って聞くけど、"坂口裕一"にとって騎手や競馬はどんな位置づけ?

坂口:昔は話した通りですが、今は馬に乗るのもレースも好きですよ。でも"騎手はこうあるべき"みたいなのは、あまり考えないですね。考えすぎて熱くなるとダメなんで、無心で乗る方がいいなと思っていたりして。

横川:"5年後の坂口裕一"はどんな騎手になっていると思う?

坂口:あまりそういう将来イメージを考えた事がないんで......。あ、こう見えても1日1日、調教もレースも全力でやっているから、けっこう精一杯なんですよ。将来は調教師になる...とか考えられないから、乗れるだけ乗り続けている、でしょうかね。

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とまあ、ややのらりくらりとした会話になってしまったが、話していて何となく合点がいくところがあった。一見すると競馬からちょっと距離を置いているような、第三者的な視線を向けているような態度に見える。競馬に過剰にのめり込む事はなく仕事と割り切って、仕事とプライベートはきっちり分けている。しかしいざ実戦になると、例えばそのレースの流れの中心にいる馬がどれなのか? そこをかぎ分ける嗅覚は鋭いし、強い相手にも臆さず喰らい付いていってあわよくば負かす事に喜びを感じているかのような騎乗ぶりを見せるのが彼だ。

生活スタイルはあくまでも今風の若者。古い言葉だが『新人類』という言い方が当てはまる。一方の競馬に関しては、立ち向かう姿勢は今風ではなく、ひとまわり・ふたまわり上の世代の騎手たちに近い雰囲気を感じる。意外に昔気質の勝負師な所があるのだ。競馬に関心がなさそうな姿勢にしたって、彼自身があえてそういう風に見せているだけだろう、と思う。

坂口騎手は怪我や病気で思うように乗れなかった時期が何度かあるが、その度、何事もなかったかのように復帰してくるし、そんな事があった事自体、自分から言い出す事はない芯の強さがある。そもそも人並み以上に根性が据わってなければ、普通の高校に進んでいた人生をひっくり返して騎手になる......なんて決断ができるわけがない。本人は競馬に興味がなかったという幼少時代なのだが、亡くなったお父様はじめ競馬界の住人の、それも80年代~90年代前半の全盛期の南関東競馬の世界で生まれ育った事が、坂口騎手に"その時代の競馬人"の思考パターンのようなものを刻み込んでいたのではないか? そんな風に感じる。

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※インタビュー・写真 / 横川典視

2013/06/10
岩手

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