2010年に4月にデビューした山下裕貴騎手は、昨年は通算200勝を達成し、S2重賞を3勝しています。ここまでの5年間を振り返ってもらい、今年にかける意気込みをうかがいました(インタビューは4月4日)。
デビューから丸5年が経ち、4月から6年目に入りましたが、ここまでの5年を振り返ってみていかがでしょうか。
今の厩舎(九日俊光厩舎)で勝たせてもらってるんで、ぼちぼち伸びてきているとは思うんですけど、まぁ最初の3年目。そこから成績がちょっとずつ落ちてきているんで、挽回したいという気持ちはあるんですけど。自分の腕がまだ、足りないところがあるんで、そこを努力して直していきたいですね。
その3年目は67勝でしたけど、この年にデビューから所属していた山下清厩舎が廃業したため、今の九日俊光厩舎へ移籍することになりましたが、環境の変化というのはあったのでしょうか?
うーん、自分的にはそこまで気にしたことはなかったんですけど。まぁいい馬に乗せてもらっていたんで、それで成績が上がっていたんだと思いますけど。
4月4日第4レース、シゲルリュウキュウで勝利
佐賀で目標とされている騎手はおられますでしょうか?
やっぱり、山口勲さんですね。自分たちではちょっと動かせないような馬でも、結構動かしてくるんで、追い方とかもやっぱり迫力があるし、見習いたいところは一杯ありますね。
山下清厩舎時代の兄弟子にあたるんですよね。
そうですね。はい。
デビューしたときは、どんな先輩でしたか?厳しい方だったのでしょうか。
厳しいというほどではないですけどね。自分が言ったら、教えてくれるみたいな感じですかね。やっぱり自分からわからないところは聞かないとですね。
同期の石川慎将騎手とは、どちらも父がジョッキーの二世騎手、父の厩舎の厩務員から騎手に転進と共通点があるのですが、対抗心のようなものはありますか?
いや別に、それは無いですね。そんなのは気にしてないですね。自分の成績を伸ばせるように、自分は自分で頑張るつもりなんで。
最近の騎乗馬では、タガノブリガデイロが佐賀での4戦のうち、山下さんが騎乗されて、1勝、2着1回、落馬競走中止が1回です。初戦の2着もオープンが相手でした。
あのとき(1月25日、鶴見岳賞・2着)は相手が強かったですね。2戦目も自分が落馬しなければいいとこもあったんでしょうけど、自分のミスですね。
4月19日第9レース、タガノブリガデイロで勝利
園田では1400mで強い馬でした。このまま行けば吉野ヶ里記念あたりも視野に入ってくるのではないでしょうか?
そうですね。そこらへんを狙っていきたいと思っています。
昨年通算200勝を達成されました。今年の目標や意気込みというのはありますか。
とりあえずは3年目の67勝を超えるように。だんだん成績が落ちてきているのを挽回するのが目標ですね。毎年10勝ずつ落ちてきてるんでね。
今年は今日(4月4日)2つ勝って15勝。単純計算なら60勝ペースです。
うーん、それでもまだちょっと足りないんですけどね(笑)。
2014年サマーチャンピオン出走のオヤビン
佐賀競馬場は4月から馬場の内側を軽くしたそうです。今日2勝されていますが、ここまで乗ってみていかがでしょうか。
やっぱり、最内はまだ重いと思うんですけど、逃げ馬よりは、2頭目3頭目の方が有利なんじゃないかな、とは感じますね。
今日から佐賀では3名の騎手(山口以和騎手・新人、兒島真二騎手・名古屋から移籍、三村展久騎手・大井から復帰)が加わりました。
新人の子もいるんですが、ほかの2人はベテランですからね。それでもやっぱり、負けないようには頑張ります。
-------------------------------------------------------
※インタビュー・写真 / 上妻輝行
2010年にデビューし、佐賀では鮫島克也騎手以来30年ぶりとなるデビュー戦での勝利を飾った石川慎将騎手。一昨年は門別での期間限定騎乗を経験し、昨年はリーディング5位と今後ますますの飛躍を期待されています。現在の心境と意気込みを伺いました(インタビューは2月28日)。
まずは、去年はどんな1年だったでしょうか。
去年はどこにも行かずに、こっちでずっと1年間乗ったんですけど、 まぁいい馬にも一杯乗せてもらっているんで、もうちょっと物足りなかったかなぁというところはありますよね。
昨年は63勝でリーディング5位でしたが、もっと上が狙えたという感じですか。
いやー、上には上がいるんで、なかなか追いつけないですね。けどまぁ、僕ら若いもんがちょっとずつ、壊して行かないとですね。盛り上がりも欠けてくるだろうしね。
デビューからこれまで、今まで一番印象に残っているレースとはなんでしょうか?
一番最初、自分の親父(石川浩文調教師)の管理する馬でデビュー戦勝てたし、それが未だに一番嬉しいし、やっぱり今でも自分とこの馬で勝つと嬉しいですね。
2010年4月10日、デビュー戦をハードリベンジで勝利
お父様は中津で騎手をされて、佐賀へ移籍されましたが、石川さんご自身が騎手になりたいと思ったのは中津の頃でしたか?
そうですね。もうずっと子供のころから親父が騎手だったんで、ずっと土日の休みのときは競馬場で応援して、自然と自分も騎手になりたいなぁとは思ってましたけどね。ただ、体重が重たかったのがあったし、学校に行くときも、かなり減量して試験を受けてたんで、若くて意思も弱かったんで一旦は挫折したんですけども。やっぱりずっといろんな所で競馬を見ても、騎手は一番花形だし、活躍できるし、応援してくれる人は多いし。こっち(佐賀)で親父が調教師になったときに「受けてみるか」と言われて、そう言ってくれなかったらもう一度火は付いてなかったですけどね。それで、騎手になれることができました。
12年にマカオでの招待騎乗。13年に門別での期間限定騎乗。外のレースを体験することはやはり刺激になりましたか?
いや、やっぱ全然違いますね。初心に帰れますし、コースも、レースの流れも違うしですね。かなりの刺激になるし、またこっちに帰ってきてからも、2カ月、3カ月いた所とまた違ったレースがあるんで、それもまた刺激になりますね。
それが昨年63勝と勝ち星を伸ばしたところに繋がったのでしょうか。
なったかな、とは思ってはいますけど、もうちょっと成果が、出て欲しいかなぁ、と。
佐賀競馬の中で、ライバルという存在はおられますか?
いや、ライバルっていうのは、皆がライバルなんですけど、上の人はやっぱりそうだし、下の人も「こいつのこういう所は良い乗り方をするなぁ」というのはあるし、それじゃぁこういう乗り方をしてみよういうこともあるし。上の人は上の人でそれを盗むことができるし。やっぱり教えてはくれないのでね、レースで後ろに付いて行って「この人が勝つときはこうなんだなぁ、この馬に乗ったときはこうなんだなぁ」って。その辺はずっと勉強です。
2014年九州大賞典はアドマイヤツバサで3着
重賞競走ですが、S2重賞はもう勝たれてますが、S1重賞はまだですね。
そうですね。やっぱり(S1)重賞勝ちたいですね、やっぱりそれが一番ですね、今。まぁ力んでいるつもりはないんですけど、なかなか結果が出ないんで。そこらへんがやっぱり自分の腕、精神力。そこらへんがまだ新人かな(笑)
アラブが無くなり、荒尾が無くなりで(S1)重賞の数自体が減った、というところもあります。
数が減ったといっても、乗り役の数も少ないし、勝たないとですね。重賞でもそこそこいい馬に乗せてもらってるんで、なかなかそこで結果を出し切れないとね、それが課題というか、1個勝ったら楽にはなるかなとは思うんですけど。
先日の飛燕賞を勝ったダイリンザンにはデビューから3戦乗られてましたが。
そうですね、たまたま真島さんが騎乗停止だったり、自厩舎の馬(カシノマラドーナ)に乗ったりして、代打で乗ったんですけど、その時から「この馬は走るな」と思ってました。2戦目(シリウス特別)であそこまで結果出してくれたんで、やっぱり能力はかなりあるなと。それでチャンスもらって、重賞(九州ジュニアチャンピオン)まで乗せてもらったんですが、勝ってもおかしくはないレースだったのに、ゲート出た瞬間から、最後終わるまで自分では全くひとつも納得のできないままレースで終わってしまいました。でもまぁ、その後活躍してくれているんで、自分的にはそれもいい刺激だし、普段から真島さんの調教とかみているんで、それを自分でもできるように心がけていますね。
九州ジュニアチャンピオン、ダイリンザンは3着
2015年の目標や、意気込みというのは。
そうですね、(S1)重賞勝ちたいですね。重賞1つぐらい勝ちたいし、チャンスがあるなら他所でも乗ってみたいというのもあるし、まぁ目標は小さいのも大きいのも一杯あります。
300勝まであと16勝ですが。
300なので、100勝したときも200勝したときも、後で聞いて、あ、そうなのって感じだったんで。そこはまぁあんまり自分の中では気にしてないんですけど、それほどの馬に乗せてもらっているので、結果を出せれば。何勝したとかいうよりも、(S1)重賞を勝ちたいですね。
-------------------------------------------------------
※インタビュー・写真 / 上妻輝行
佐賀の若手の有望株として活躍している田中直人騎手は、昨年はズンダモチとのコンビでS1重賞の九州大賞典を制覇しました。九州大賞典を振り返ってもらうとともに、兄である田中純騎手への思いを伺いました。
まずは、2014年を振り返ってみて、どんな1年だったでしょうか。
最初が良すぎたからですねえ、後のほうで少し乗れなくなったんですけど、まぁ年間を通しては良かったかなぁと思っています。重賞タイトルも勝たせてもらえましたし。
そのズンダモチでの九州大賞典はスローに落としての逃げ切り勝ちでした。調教師さんは「ハイペースで逃げて我慢する競馬もよかったのではないか」とレースの後に仰られてましたが。
いやー、その前走がハイペースで止まっていましたからね。あの時は単騎で行けたから良かった感じはするんですけども。結果論ですからわかんないですが、そんな感じがします。(スローにしたのは)まぁ判断というよりは、他の馬が競ってこなかったんで、って感じですかね。
ズンダモチで制した九州大賞典(2014.11.9.)
そのレースでズンダモチは故障していまいましたが、故障したのはレース中だったのでしょうか?
かもしれないですね。向正面でちょっと歩様が変わってしまったので。その時かなとは思います。
故障していなければ佐賀記念、という可能性もあったのですが、そのまま引退となり、乗馬になられたそうですね。
そうですね。もし無事だったら、という考えだったらですけど、そこはしょうがないですね。(無事乗馬になれたのは)よかったですね。
初重賞勝利はロータスクラウン賞(2011年)のリネンハイブリットでしたが、その前の栄城賞では長田騎手のコスモノーズアートに交わされて2着でした。あのときに「直線が長かったー」と仰られていました。
あー、それは思い出したくないですね。あれだけは忘れられないですね。今でもちょっとやっぱり、申し訳ないなと思うのがあのレースなんで。
ロータスクラウン賞では、4コーナーでまた長田騎手の馬(クールラウンジ・4着)が迫ってきましたが。
あの時は、前とは状況がまた違ったんで、あの馬に交わされることはないなとは思っていたんで、気にしてはいなかったんですが、あとは後ろからどれがくるかな?という感じでしたね。馬が辛抱してくれて助かりました。
ロータスクラウン賞を制したリネンハイブリット
その後のマツノヴィグラス(2013年九州ジュニアチャンピオン)、ズンダモチと(S1)重賞勝ちはいずれも逃げ切り勝ちでした。
それは乗ってた馬が強かった、というだけで。俺はただ乗ってただけなんで、乗せてもらったことに感謝ですね。
お兄さんが田中純騎手ですが、騎手を目指されたときにお兄さんの影響はあったのでしょうか。
そうですね。少なからず自分が見ていたこともありますし、無いといえばウソになりますね。見ていて「いいな」と思ったことは事実ですし、影響はあったと思います。
兄弟ジョッキーということで、レースなどでお兄さんを意識することはありますか。
そこはまた、意識というのは違うかなぁと。でも他の乗り役と比べたら、意識するなら兄貴の方がするかな、というのはありますね。もし(自分が)比べられるとしたら兄貴かな、というのはありますので。
お兄さんが荒尾で乗っていたときと、同じ佐賀の所属になってからでは違いはありますでしょうか。
荒尾で乗っていたときは、まだ自分が騎手じゃなかったんで、意識が全然違って、話が変わってくるんで、そういうことはなかったですね。騎手になって、見方が違ってみて初めて解る難しさもありますし、また「すげーな」と思う部分もありましたね。
今日(2月7日)は、9レース、10レースとお兄さんが1着で直人さんが2着でした。
それはまぁ、たまたまですね。レースの流れもありますしね。
1月に2勝を挙げたエーティーランボーですが。
(1月17日、サイネリア賞の後に)故障してしまいました。一度橈骨を骨折して、そこから復活して頑張ってくれていたのですが。いろいろ助けられましたし、感謝しています。
今乗られている馬で、期待馬というのは
今度うち(井樋明正厩舎)に新しく入ってきたオープン馬(ケージーヨシツネ)がいるんですけど、まだまだ先になりそうですね。期待、ではないですけども、走ってくれればいいなと。コスモウィローは、賞金ゼロから中島記念(8着)に出るまで成長してくれたんで、あの馬から学んだことも多かったですし、助かってますね。A級では相手も強くなって、距離もありますが、まだ成長してくればいいかな、と思っています。
コスモウィロー(2014.11.8.A2戦・1着)
-------------------------------------------------------
※インタビュー・写真 / 上妻輝行
キングシャークこと、佐賀の鮫島克也騎手。昨年はスーパージョッキーズトライアルのワイルドカードで見事優勝を果たし、本戦でも第2位と健闘しました。デビューから35年の大ベテランに、昨年の振り返りと、今後の夢を語っていただきました。
2014年は、振り返ってみるとどんな年でしたか?
そうですねぇ...、一番に思い浮かぶのはケガですね。去年は2回も入院したので、それが辛かったです。特に最初の入院はひどかったんですよ。馬が転んで落馬して、すぐに病院に行ったんですけど、打撲っていう診断で。打撲ならっていうことで、その後も調教に乗ったり小倉に遠征に行ったりしたんですけど、もう体が痛くてどうしようもないんですよ。小倉の時なんか、レース中は集中しているし、気持ちも高ぶっているから大丈夫でしたけど、ゴールした後に力が入らなくなって、馬が全然止められなくて...。結局、もう1度病院に行ったら肋骨が5か所も折れてるって言われて、即入院になりました(苦笑)。
5か所も骨折?! よく乗っていましたね。
まぁケガは何度もしていますから、痛みには慣れているつもりですけど、それでも今回はめちゃくちゃ痛かったですよ。2回目の入院は、前に鎖骨を骨折した時に入れたプレートを取るためだったんですけど、もうケガも入院もイヤです。これが一番辛いですから。今年は1年、ケガなく過ごしたいですね。
では、レースに関してはいかがですか?スーパージョッキーズトライアル(SJT)のワイルドカードでは、見事優勝しましたね。
ああいうレースは、乗っていて本当に楽しいですね。地元開催ということで、自分の乗る馬も周りの馬も、能力や脚質がある程度はわかっているじゃないですか。アドバンテージは大きかったと思います。プレッシャーという感じではなかったですけど、地元でやるからには、勝って当たり前だと思っていました。実際に優勝できて嬉しかったです。
SJTワイルドカード第2戦
SJT本戦は惜しくも第2位でした。
盛岡の時は、ちょっとクジ運もなかったかなと思うんですけど、名古屋の時にはいい馬が当たりました。第3戦で勝てた時は、「これは行けるんじゃないか?」と思ったんですけど...。第4戦のクビ負けが大きかったですね。あと一歩だったので本当に悔しかったですけど、でもやっぱり楽しかったです。
鮫島騎手は、ワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)で優勝したご経験もあります。WSJSへまた出場したい!というお気持ちは、強いんじゃないですか?
そうですね。あの時は人生分のツキを全部使い果たしたんじゃないかっていうくらいでした(笑)。絶対に忘れられない経験をさせてもらいましたね。またあの舞台に立ちたいですし、そのためにはまず地元で頑張らないと。昔は佐賀もJRA認定競走が多かったですから、WSJSの他にも中央へ遠征する機会はけっこうあったんです。でも今は認定レースが減ってしまったし、権利を獲ってもなかなか遠征に行かないんですよ。中央へ行って乗るっていうのは、ジョッキーにとってすごく刺激になることですから、今年も目指したいです。
最近の騎乗馬についてはいかがですか?
今はやっぱりエスワンプリンスですね。去年は『園田FCスプリント』を勝つことができたし、『JBCスプリント』にも参戦させてもらいました。中央勢には歯が立たなかったですけど、ゲートのタイミングが合った時にはめちゃくちゃ速い馬で、ダッシュ力がすごいんです。ずっと脚元と相談しながら大事に大事に使っているので、明け6歳ですけどまだまだ若いですよ。ただ、最近喉が気になるようになったので、今は北海道で手術をしているんです。帰って来てどのくらい走るか、また楽しみですね。この馬と一緒に、今年もいろいろな場所へ遠征に行きたいです。
エスワンプリンス
長男の良太騎手はJRAで活躍中ですが、もうすぐ次男の克駿(かつま)くんも、JRAでデビューしますね。
そうなんですよ。先日東京競馬場へ行って、模擬レースを見て来ました。騎乗に関しては、まだまだまだまだ...。コーナーで膨れていたので、その辺りのこととか、いろいろ注意しました。競馬学校卒業で一区切りですけど、騎手はデビューしてからが勝負ですからね。長男は苦労しているみたいなので。減量があった時はけっこう乗せてもらっていたんですけど、その後がね。厳しい世界だということは僕自身もわかっていますから、心配な気持ちもあります。でも、次男はおしゃべりで明るい性格なので、上手くやっていけるんじゃないかなとも思ってます。
息子さんがお2人も騎手になるというのは、嬉しいんじゃないですか?
まぁそうですよね。嬉しいことは嬉しいです。自分の背中を見ていてくれたのかなって思いますから。いつか3人でレースに乗ってみたいですね。なかなかJRAに行く機会がないですし、難しいかもしれないですけど。今はそれが夢です。そのためには、1つ1つのレースを大切に乗って、人馬ともに無事に走り続けていきたいです。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 赤見千尋
デビュー28年目に突入した、佐賀の真島正徳騎手。今年は地方通算2000勝も達成し、すでに前年を越える勝ち星を挙げるなど(11月18日現在)、ベテランの力を存分に発揮しています。区切りの勝利を挙げた今、これまでのこと、そしてこれからのことを語っていただきました。
今年は2000勝達成(8月31日)、すでに昨年の勝ち星を越えるなど、いいリズムですね。
そうですね。この1年は無難に来ている感じです。2000勝は、数字としてはもちろん嬉しいですけど、自分としては通過点というか、特に意識はしていなかったですね。これだけ乗ってたら、自然と通過する数字ですから。
8月31日佐賀第9レース、カシノマラドーナで地方通算2000勝達成
デビューから丸27年が経過しましたが、振り返ってみていかがですか?
もうそんなになりますか。まぁ何て言うか、自分の考えを曲げずにこれていることが有難いですね。競馬場の人付き合いというのは、かなり特殊ですから。僕は「乗せて下さい」って営業するのが苦手なんですよ。今はそんなこと言ってられない時代ですけど、それでもポリシーを曲げずにこれたことは、兄(真島元徳調教師)のお蔭です。
所属調教師でもある真島先生の存在は大きいですか?
大きいですねぇ。兄がいなかったらもっと早く辞めていたと思います。兄というよりも、師匠という感じですね。10歳離れてますから、飲みに行ったり、細かいこと話したりすることはないですけど。まぁ照れもありますから、2人で何かするっていうことはないです。兄も感情をあまり表に出さない、昔かたぎの人間ですから。
騎手を目指すきっかけも、お兄さんだったんですか?
そうです。物心ついた時には、兄はもう競馬場に行ってて家にはいなかったですね。どちらかというと親戚のおじさんという感じです(笑)。僕は勉強が嫌いでしたから(笑)、高校へ進学しようとは思ってなかったし、早い時期から兄に憧れて騎手になりたいと思ってました。だから、馬が好きとかで入ったわけじゃないんです。馬に乗ったこともなかったですから、最初は全然乗れなくて本当に大変でした。
デビューした頃はどんな感じだったんですか?
兄は現役の騎手でしたから、別の厩舎の所属になったんです。でも全然乗れなくて、何度も辞めようと思いました。その度に兄が、怒りながらも「頑張れ!」って言ってくれて。なんとか続けていたんです。その後、兄の所属厩舎だった山下定文調教師に引き取ってもらって、その辺りから乗り鞍も増えていって。兄が調教師になったタイミングで、また移籍して今の形になりました。ただ、僕はデビューした頃に本当に上手く行かなくて、色々悩んだりもしましたから、兄の厩舎の所属になったからといって、絶対に甘えてはいけないと思いました。今でもそうですけど、勝負の世界ですから、努力して認めてもらって、それで乗せてもらいたいと思ってます。
2000勝を達成した佐賀プリンス賞で、兄の真島元徳調教師と
真島騎手の勝負服は、紫と黄色ですけど、大井の真島大輔騎手(真島元徳調教師の息子)と近いデザインですよね。
兄が騎手をしていた時の勝負服が、大輔が着ている勝負服なんです。騎手を引退する時に、「お前、継ぐか?」って言ってもらったんですけど、少しアレンジして、袖の黄色をストライプにしました。
甥っ子である、真島大輔騎手の存在はいかがですか?
同じ場所で乗っているわけではないので、今でも甥っ子という感じが強いですね。南関東で頑張っているし、成績が上がったら素直に嬉しいです。夏に『里帰りジョッキーカップ』という九州出身の地方騎手招待競走があって、その時に僕が勝って大輔が2着だったんです。2人でワンツーが出来るなんて滅多にないですから、嬉しかったですね。
真島騎手というと、逃げ切り勝ちが多いイメージなのですが、ご自身ではいかがですか?
よくそう言われるんですけど、好きなのは差し切りです。やっぱり、乗っていて気持ちいいですから。逃げ切りのイメージが強いのは、佐賀はどうしても先行有利なコースなので、自然にそうなっているんだと思います。今乗せてもらっている馬も、基本的には逃げ・先行馬が多いですね。前に行けないと、なかなか勝ち切れないですから。
最近の注目馬は?
この時期はやはり2歳が気になりますね。この仔たちがどれくらい成長してくれるかで、来年が変わって来ますから。牝馬だと、ちょうど2000勝を挙げさせてくれたカシノマラドーナ。『九州ジュニアチャンピオン』は6着に負けてしまったんですけど、まだ体質が弱くてきちんと追い切りが出来ない中で、ここまでよく頑張ってくれてると思います。今は休養に出ているので、どれくらい成長して帰って来てくれるか楽しみですね。
では、今後の目標をお願いします。
具体的な目標は特にないんですけど、これからも体が続く限り乗っていたいと思っています。僕はこれまで、骨折したことがないんですよ。落馬しないわけじゃないんですけど、丈夫なんですかね。周りからは"不死身"って言われてます(笑)。これからもケガをしないよう気を付けながら、地道に頑張って行きますので、応援よろしくお願いします!
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 赤見千尋(写真:佐賀県競馬組合)