2024年7月4日、笠松第8レースをヒナアラレで勝利し、地方競馬通算1000勝を達成した後藤正義調教師(笠松)。29歳という若い時期に開業し、45歳で1000勝に到達。ここまでの想いを伺いました。
地方競馬通算1000勝達成、おめでとうございます。
ありがとうございます。ここまで思い返すと感慨深いものがありますし、周りの方からも「おめでとう」とお声がけいただきました。頑張ってくれた馬たちや、関わってくれた方々に感謝の気持ちでいっぱいです。あまり数字にはこだわっていないので、目の前の1頭1頭を丁寧にという想いでやってきました。その積み重ねで今回こういう大きな区切りを迎えることができたんだと思います。
29歳で開業と、かなりお若い年齢で調教師になられたのですね。
祖父、父と調教師をしていまして、自分も競馬の道に進みたいと考えていました。ただ体が大きく騎手にはなれなかったので、厩務員としてこの世界に入って、やるからには調教師になりたいと思っていました。調教師試験を受けられる年齢になってすぐに試験を受けたので、20代で開業することになりましたが、当時を振り返ると親に甘えていたというか、すべて親父のおかげでスタートすることができたなと。人も馬も、今でもそのつながりがあるからやっていけるので、とても感謝しています。
調教師として大事にしていることはどんなことですか?
先ほども触れましたが、1頭1頭丁寧に接することです。競馬の世界は上手くいかないことの方が多いです。思い通りにいかないことが多いから面白いという部分と、だからストレスが溜まるという部分と。馬を育てるのもなかなか思い通りにはいかないですし、人を育てることに関しても思い通りにはいかないですね。
スタッフの方々に対しては、どういうスタンスで接していますか?
うちはベテラン厩務員が多く、経験豊富で任せられますから、あまり深く干渉しないようにしています。ただずっとベテランの方々に頼っているだけではダメなので、若手も育てていますが、なかなか難しいですね。1カ月前から24歳の子が入って来て、今頑張っていろいろなことを吸収しています。馬に接するのが初めてという子なので、本人も大変だとは思いますが、せっかくやる気を持って入ってきてくれたので、大事に育てていきたいです。
今後の目標というのはいかがでしょうか?
特に数字にはこだわらないので、具体的な目標というのは思いつかないですが、体調がベストな状態でレースに出す、ということを大事にしていきたいです。以前の賞金諸手当が安い頃は、どうしてもレースを使ってカバーするという状況がありましたが、今はおかげさまで賞金諸手当が上がって、馬のためにしてあげられることが増えています。とてもいいサイクルなので、馬のためにできることを最大限やっていきたいです。
最近の活躍馬に昨年の中京ぺガスターカップを勝ったスタンレーがいますが、どんな特徴の馬ですか?
性格はまあまあやんちゃです(苦笑)。だいぶ最近は落ち着いてきて、大人になってきましたね。これからという時に骨折してしまって、順調に行かなかった時期もありました。今も脚元に不安を抱えているので調整が難しいのですが、能力の高い馬なので、しっかりしてくればまた重賞を勝つ力はあると思います。
2023年3月14日、名古屋・中京ぺガスターカップを制したスタンレー(写真:愛知県競馬組合)
では、オッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
開催自粛期間があったにも関わらず、今また馬券を買っていただけること、とても感謝しています。競馬を続けられることが本当に幸せです。みんなで頑張ってやっていきますので、これからも笠松競馬をよろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:岐阜県地方競馬組合)
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2024年4月1日に笠松競馬場でデビューした明星晴大騎手。デビューから約2カ月(2024年6月5日現在)で7勝を挙げています。父は競輪選手の明星晴道選手。騎手を志した経緯や、デビュー後の心境を伺いました。
まずは初勝利(4月18日笠松第3レース、スングリダンダン騎乗)おめでとうございます。
ありがとうございます。ゴールした瞬間は「やっと勝てた...」とホッとして、周りの方々からも「おめでとう!」と言っていただいてすごく嬉しかったです。でもあとでレースVTRを見たら、人間が焦ってしまって追い方とかが不細工だったので、もっとかっこよく勝ちたかったです。
4月1日にデビューして19戦目での初勝利でしたが、ここまでの期間はどんなお気持ちでしたか?
同期が14人いて、どんどん初勝利を挙げていったので、焦る気持ちもありました。チャンスをいただいていたのに勝てなくて、実際のレースは難しいです。教養センターでは4頭5頭立てのレース形式を何度も訓練してきましたが、10頭11頭となると周りとの間隔が難しくて。当然ですけど、前後左右、斜め前後にも馬がいて距離が近いしですし、その中でどう安全に進路を選択していくか、というところが今の課題です。
4月18日、デビュー19戦目で初勝利
5月24日には初めて1日2勝を挙げました。コツを掴んできたのでは?
いい馬に乗せていただき、周りの方々に感謝していますし、勝てたこと自体は良かったのですが...、反省点もたくさんありますね。特に2勝目の時は自分の選択ミスで先輩騎手を危ない目にあわせてしまいました。もっと冷静に落ち着いて、周りを見ながら乗れるようにしていきたいです。
では、騎手を目指したきっかけを教えてください。
父が競輪選手なので、その影響もあって公営競技の選手になりたいと考えていました。競輪、競馬、競艇、オートがあるわけですけど、父のような競輪選手は筋肉バリバリで、太ももなんかは相当太いんです。僕は小柄で細身だったので、競輪ではないなと。中学3年生の春に高知競馬場でレースを見て、スピード感や迫力に感動して騎手を目指そうと決めました。
馬には乗ったことがあったんですか?
一度もなかったです。教養センターの試験で初めて乗って、高いなと思いました(笑)。
教養センターの同期には小さい頃から乗馬をしてきた候補生も多いと思いますが、入所してから大変ではなかったですか?
最初は同期についていくのが大変でした。でも馬に乗るのは楽しかったですし、辞めたいとは思わなかったです。
ご出身は愛媛県ですが、笠松競馬場を選んだ理由はなんですか?
騎手の人数が少ない分、頑張ればチャンスをたくさんいただける環境だと聞き、希望しました。後藤佑耶先生とはリモート面談をしていただいて所属になったんですけど、初めて笠松競馬場に行った時からみなさん優しくて、すぐに溶け込むことができました。
ご家族は勝った姿を見ましたか?
レースはたまに見に来てくれていて、多分勝った姿も見てくれたと思います。とにかくケガに気を付けてって言っていますね。そこは心配しているみたいです。
今後の目標を教えてください。
2年以内に100勝して減量を取りたいです。
では、オッズパーク会員のみなさまにメッセージをお願いします。
ヤングジョッキーズシリーズがあるので、地元の笠松はもちろん、他の競馬場で騎乗できるので、たくさん吸収したいです。そしてファイナルに行ってJRAで乗ってみたいです。もっともっと上手くなれるよう頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 赤見千尋 (写真:岐阜県地方競馬組合)
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今年も笠松リーディングを独走中の笹野博司調教師。第1回ネクストスター笠松をワラシベチョウジャで制覇するなど、絶好調な1年でした。
まずは第1回ネクストスター笠松制覇、おめでとうございます。
ありがとうございます。目指していたレースでしたので、勝つことができて嬉しいです。
レースぶりも強かったですね。
そうですね。仕掛けが早めになってしまったので、最後いっぱいにはなりましたが、早めに仕掛けて勝ち切るわけですから、たいしたものだなと改めて感心しました。
ネクストスター笠松(10月12日)を制したワラシベチョウジャ
今年から始まったネクストスターは1000万円の高額賞金が設定され、インパクトが大きいレースだと思いますが、笹野先生も早い段階で目標にしていたレースでしょうか?
昨年発表された時から注目していましたし、私だけではなく周りの方々も目標にされていたのではないでしょうか。全国的に開催されて注目度も高いですし、そういうレースを勝てて嬉しいです。
ワラシベチョウジャとの出会いはどういう経緯があったのでしょうか。
昨年のサマーセールでオーナーが気に入って選んだ馬です。1歳の冬の頃はずいぶん小さかったのですが、育成公社で育成をしていただいて、ひと冬超えて2歳の春頃になったらだいぶしっかりした印象です。ただ正直、その頃はここまで走るとは思っていなかったというか。丈夫そうな足元をしていて、長く走ってくれそうだなという印象でした。
いつ頃から能力の高さを感じましたか?
入厩してからです。走りに無駄がなく、余計な仕草がないんですよね。まだ体ができていない2歳の頃は、例えば頭が高かったりという無駄な動きがある馬が多いのですが、あの仔にはそれがないんです。飛びは芝でもやれそうな素軽い走りをしますし、1本目の追い切りから時計が良くて、ひょっとしたらモノが違うかもしれないと感じていました。期待通りデビュー戦の800mで勝ってくれましたが、私が一番驚いたのは2戦目のレースです。
7月20日の芙蓉特別ですね。
1400mに距離が延びて、内枠だったのですがゲートの出が悪く、逃げ馬の後ろに控える競馬になりました。ポケットに入る形で4コーナーまで外に出せず砂を被る競馬になって、これは厳しい競馬になったなと。さすがに2歳の女の子でまだ2戦目、距離延長で砂を被ってということで、ちょっと諦めムードだったわけですが、直線で外に出したらピュッと伸びたので驚きました。メンバーも強かったですし、2戦目でこういう競馬ができるというのは、あまり私の経験上なかったものですから、これはモノが違うなと。控えてもいいし、行ってもいいし、競馬に注文がつかない馬だなと思いました。
そこからはずっと順調に過ごして来たのでしょうか。
順調といえば順調ですが、3戦目の秋風ジュニアの時に、どういうふうに仕上げて使うのがいいのかまだ少し手探りの状態だったんです。JRA認定競走で準重賞ということもあり、しっかりと追い切りをかけて仕上げた方がいいのではないかと、最終追い切りを強めに行ったのですが、勝つには勝ったものの余力を残して勝てなかったという経験がありました。渡邊竜也騎手とも話して、そこからは1週前にびしっと行くようにして、本追い切りはなるべく余力を残すようにしようというふうにしたら、それが合うのか勝ち方が変わってきました。まだ2歳ですし、今後も馬の様子を見ながらこの仔に合う調整方法を探っていきたいと思います。
残念ながら12月7日のジュニアキングで連勝はストップしてしまいましたが、来年はどんなイメージをお持ちでしょうか。
ジュニアキングの後は休養するとレース前から考えていて、今は放牧中です。2月頃から始動して、地元のレースを使ってからネクストスター中日本(3月28日・名古屋)を目指すプランです。結果次第では、いつかは芝にも挑戦してみたいですね。
距離適性はどのくらいの範囲だとお考えでしょうか。
1600mは大丈夫だと思います。それ以上はやってみないとわからないですね。今のところ真面目にがむしゃらに走ってしまうので、道中もう少し力を抜いて走ることを覚えていけば、距離の融通は利くのではないかと。レースはすごく真面目ですが、普段は気が強くて厩務員さんは手を焼いています。そういう気の強さも勝負に行っていい方に出ているのではないでしょうか。
ワラシベチョウジャ、というお名前はインパクトがありますね。
最初にオーナーから聞いた時には驚きましたが、とてもいい名前だなと思います。デビュー戦からどんどん勝ち上がって重賞制覇までしましたから、まさに名前のように前に進んでいるなと。前走は負けてしまって悔しいですが、また立て直して来年活躍できるよう頑張ります。
では笹野先生ご自身のことを伺います。今年ここまで167勝(2023年12月11日現在)を挙げて、全国リーディング第3位、笠松リーディング第1位です。毎年好成績を残す秘訣は何でしょうか。
スタッフが毎日一生懸命頑張ってくれますし、今は怪我でお休みしている渡邊竜也騎手や、騎乗してくれるジョッキーの存在も大きいですね。そして、馬主の方々がいい馬を預けて下さることにとても感謝しています。
調教師として、大切にしていることは何ですか。
一番は故障しない馬を作りたい、ということです。故障してしまうと馬自身にとっても辛いことですし、馬主さんにとっても我々にとってもいいことがないですから、そこを大切にしながら、どうすれば強い馬作りができるかということを厩舎一丸となって話し合っています。
以前所属していたオマタセシマシタはとても話題になりました。
斉藤慎二オーナーの馬で、あの仔が走る日はお客様も多く来場されました。2つ勝たせていただいて、笠松競馬場の盛り上がりもすごかったです。我々にとってもいい経験をさせていただきました。今は船橋に移籍しましたので、また新たな舞台で頑張って欲しいです。
笠松では今年の春から調教時間のルールが変わったそうですね。
笠松の場合は他の競馬場と違い、外厩から道路を歩いて競馬場まで競走馬を連れていきますから、放馬防止策の一つとして、朝の調教を7時までに終えるというルールができました。そのため、我々は夜中の12時から調教をスタートしています。最初はちょっと大変でしたが、みんな頑張っていますよ。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願い致します。
いつも笠松競馬を応援していただき、ありがとうございます。お陰様で売上も好調で、一時期は開催自粛などもあった中で、こうして競馬を開催できることに感謝の気持ちでいっぱいです。これからも強い馬、話題になるような馬作りを心がけていきますので、笠松競馬をよろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:岐阜県地方競馬組合)
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2023年4月1日付けで、ホッカイドウ競馬から笠松競馬に移籍した馬渕繁治騎手(笠松)。10月13日笠松競馬第6レースをメイショウヒエイ(森山英雄厩舎)で勝利し、地方競馬通算1000を達成しました。御年57歳のベテランに現在の胸の内を語っていただきました。
地方競馬通算1000勝達成、おめでとうございます。
ありがとうございます。目標にしていたというか、区切りのいい数字なので、達成できて嬉しかったです。周りからも「おめでとうおめでとう」と言っていただきましたし、達成した次の日が笠松競馬場のお祭りだったんですよ。その次の日が自分の誕生日で、なんだか嬉しいことがたくさん重なりました。この年になってもこういうことがあるんだなと、しみじみしました。
10月13日、地方競馬通算1000勝達成
馬渕騎手は1984年に上山競馬場で騎手デビューし、2003年の廃止後はホッカイドウ競馬で騎乗されていました。今年の4月から笠松へ移籍されたというのは、どんな経緯があったのでしょうか。
40代の中盤から後半くらいの頃、騎乗馬が集まらなくて乗れない時期が続きました。自分の中でもなんとなく中だるみしてしまった時期で。でも2020年に森山雄大調教師(北海道)が開業して、いい馬に乗せていただいたりしたんです。その年から笠松へ期間限定騎乗に出かけたりして、気持ちの方も前向きになりました。私生活では子供が手を離れたので、自分の好きに時間を使えるようになりましたし、タイミング的にもとてもいい時に、森山雄大調教師のお父さんである森山英雄調教師のところに所属させていただくことになりました。
笠松にはご縁がある方がたくさんいらっしゃるそうですね。
田口(輝彦調教師)君とは騎手時代の同期なんです。あとは(向山)牧さん。私より一つ年上で、牧さんが新潟にいらした頃から知っていました。牧さんも新潟が廃止になって笠松に行きましたし、森山英雄先生も高崎の廃止後に笠松にいった経緯がありますから、そういう方々から「来たらいいよ」と言っていただいて、とても嬉しかったです。
デビューから40年目ですけれども、まさに激動の騎手人生ですね。
乗り役ってこんな感じじゃないですかね。廃止になったのはすごく残念ですけど、我々にはどうすることもできなくて。競馬がなければ乗れないですし、乗せてくれる人たちがいなければ騎手を続けられないですから。だから今回、「うちに来たら」と言ってくれた森山先生にはとても感謝しています。恩返しがしたいという気持ちで乗っています。
長く続けられる秘訣は何ですか?
正直に言うと、途中で中だるみがあったからかなとも思います。あの頃「辞めようかな」と何度も思いましたが、結局辞めなかった。馬に乗るのが好きだし、自分にはこれしかないんですよね。この馬をどう調教したら良くなるか、考えながら乗るのはとても楽しいです。笠松や名古屋は若手騎手がどんどん増えていて、体力的なことを言えば若手には敵わないところもあります。でも自分より年上の牧さんは今でも低い姿勢で馬を追って、姿勢がブレないんですよ。牧さんを見ていると刺激になりますし、自分ももっと上手くなりたい、もっと頑張ろうと思います。
笠松に来てからの生活はいかがですか?
楽しいですよ。もともと期間限定騎乗で来ていたので慣れていますし、今は午前1時前に起きて、だいたい16、7頭調教しています。北海道時代は厩舎から乗っていたのですが、笠松は馬場で待っていればいいので頭数を乗ることができますね。
では、今後の目標を教えてください。
目標はまだ考え中です。とにかく馬を走らせることだけ考えて乗っています。これからも体が続く限り、一生懸命乗っていきます。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:岐阜県地方競馬組合)
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渡邊竜也騎手は2022年9月23日に通算500勝を達成。2017年4月のデビューから5年半での達成ですが、およそ8カ月の開催自粛期間がありましたから、実質的には5年弱のスピード記録。今年は笠松で2位以下に大差をつける成績で、初めてのリーディング獲得が濃厚です。
今年の好成績の要因はどのようなところでしょうか。
いい馬にたくさん乗れたことが最大の要因ですね。今年は3歳馬が古馬戦に入るといまひとつという感じで、自分が続けて乗せていただいている馬で多く勝てたという感じもあります。
昨年はケガもあって3位でした。
今年はその影響はほとんど感じないですね。いまのところ、不安なく乗れています。これから寒くなってくると分からないですが......。
さらに名古屋競馬場でも、笠松所属騎手としては抜けて多い勝ち星を挙げています。
新しい名古屋競馬場は、最初のころは馬場が安定していませんでしたが、徐々に落ち着いてきた感じがします。個人的には、名古屋はむしろ乗りやすいというイメージです。景色が広く感じるので、心に余裕ができるといいますか。
10月5日に行われた通算500勝達成セレモニー(写真:岐阜県地方競馬組合)
その名古屋競馬場では、惜敗だった東海ダービー(笠松のイイネイイネイイネに騎乗してアタマ差2着)が思い出されます。
あのレースはくやしい結果でしたし、今でも『あれがああだったら......』とか思うのですが、自分でもあのレースで一皮むけたな、という感覚があります。あの経験は本当に大きな収穫でしたし、あれからいろいろと考えるところもありましたから、今の自分なら着順が変わるかもしれません。
それにしても今の勢いは驚異的。10月5日と6日の笠松では4勝ずつを挙げました。
今のクセが少ない馬場は乗りやすいですね。馬場にクセがあると人間が考えすぎてしまいますし、危ない競馬につながる可能性も出てきます。1日4勝は出来過ぎだとは思いますが、でも今日(10月6日)の競馬は楽しかったです。今日もそうですが、勝っても負けても岡部(誠)さんと勝負をするのは楽しいですね。同じレースに乗るたびに岡部さんを意識しますし、岡部さんを少しでも多く負かそうと考えます。岡部さんは大きなカベであると同時に、大きな目標。間近で見ることが勉強になります。
10月6日の最終レースでは岡部誠騎手を1馬身差でしりぞけ勝利
リーディングを獲れば、岡部騎手をはじめとした名手と別の競馬場で乗る機会も得られます。
そのために、とにかくケガをしないように気をつけたいですね。来年、トップジョッキーのみなさんと乗る機会があることは意識しています。そこで笠松競馬の代表として、笠松競馬をアピールしたいと思っていますから。そういう舞台に向けてという意味でも、引き続き頑張っていきたいです。
今年の冬は各地からたくさんの騎手が笠松に来ましたが、いかがでしたか?
笠松は騎手が少ないので、とてもありがたかったです。新型コロナで陽性になった人が多くて、一緒に乗れる期間は短かったですが、ほかの騎手の乗りかたを見るのは面白かったです。こんどの冬も各地から来てくださると聞いていますので、楽しみにしています。
渡邊騎手は昨年9月の笠松競馬再開のとき「新人騎手が笠松で乗りたいと思ってくれるような競馬場にしたい」と話していました。
ファンのみなさんにはぜひ、若手騎手に注目していただければと思います。地元の騎手はもちろんですが、デビューからそれほど経っていない騎手が期間限定騎乗で来てくれるケースも増えて、チャンスと騎乗技術の向上を求めているという気持ちを感じます。それも含めて、笠松競馬に注目していただけるとうれしいです。
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※インタビュー / 浅野靖典