笠松の騎手として初めてNARグランプリ優秀新人騎手賞を受賞した渡邊竜也騎手。まもなくデビュー3年目を迎える彼は、重賞初制覇にあと一歩まで手が届きかけています。また、ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)を経験したことであどけなかった表情は凛々しくなってきました。着実に成長を遂げている彼に、現在の心境を伺いました。
NARグランプリ優秀新人騎手賞の受賞、おめでとうございます!笠松の騎手がこの賞を受賞するのは初めてです。
ビックリしました。他の先輩方が受賞されてそうですけどね。加藤聡一先輩(名古屋)や鈴木祐先輩(岩手)が新人賞を獲ったのを見て、勝利数で一番になればいただけるのかな、と考えていました。なので、「獲れるんじゃないかな」と思っていました。デビューした時からずっと新人賞を獲りたくて気にしていたんです。嬉しいですね。
デビュー2年目となる昨年は64勝。前年の38勝から大幅に勝ち星を量産しました。振り返ってみてどうですか?
去年は取りこぼしが多かったなって思います。所属の笹野博司厩舎は昨年、笠松リーディングですし、先生がいい馬に乗せてくださるのでもうちょっと勝つべきですね。
昨年は笹野厩舎にホッカイドウ競馬から水野翔騎手が移籍してきました。3年先輩にはなりますが、年が近くて仲が良く、ライバルとしてもいい刺激になっているように見えます。
刺激は少なくともあるかもしれないですね。僕の中では水野さんと競争しているって感じは特別ないですが、水野さんから学ぶこともあります。技術的な面は向山(牧)さんとかに聞くことが多いです。一緒にレースビデオを見ている時に「こうですかね?」とか「あそこはこうした方がよかったですかね?」と聞くと、答えてくださることもあります。
昨年は年末に重賞で惜しいレースが2つありました。まずはボルドープラージュ。ライデンリーダー記念では7連勝中だったエムエスクイーンにクビ差まで迫って2着でした。エムエスクイーンより内の枠で、同馬より前でレースを進めましたが展開としてはどうでしたか?
枠の並びが逆だったら、エムエスクイーンをマークしたかったですね。ボルドープラージュは先頭に立ったり、距離だったり、何かしらの理由で最後に止まるところがあるんです。枠順が逆だったら、ぴったりマークしてレースができたかな、と思います。
2月には遠征して園田ユースカップでも惜しい2着。レース後は悔しそうな表情が印象的でした。
1400メートルでしたし、馬場も味方して最後までもってくれました。でも、この距離でも直線は止まってしまうので油断はできなかったです。決め手勝負になると、勝ったジンギの方が断然上ですし。勝てなくてめっちゃ悔しかったですが、ビデオを見ると楽に交わされてしまっていましたね。園田には同期が2人(長谷部駿弥騎手、永井孝典騎手)いるので、同期の前で重賞を勝ちたかったです。検量室前に戻ってきたら長谷部に満面の笑みで「惜しかったな」って言われて、余計に悔しかったですね。
ボルドープラージュで惜しくも2着だった園田ユースカップ(写真:兵庫県競馬組合)
昨年末にはもうひとつ、カガノカリスマで東海ゴールドカップ3着がありました。カガノカリスマではその後、川崎記念や佐賀記念など全国に遠征に出ていますね。
いろんなところに連れて行ってくれる馬ですね。以前はあまり歩様が良くなかったんですが、僕のところに回ってきてから調教でしっかり乗ったら結構良くなってきて、いろんな競馬場に行けるようになりました。ダートグレードレースで上位争いに加わることはなかなか難しいですが、こうして馬と遠征できるのってすごく楽しいですね。
YJSでも全国の競馬場で騎乗し、2年連続でファイナル進出を果たしました。振り返ってみていかがですか?
YJSは僕のモチベーションでした。この2年間はYJSを追いかけていたら終わっていましたね。「今度YJSで乗る競馬場ってどんな感じなんだろうな?」とイメージして、笠松のレースでもそれに例えて乗ってみたりしました。イメトレの効果があったかどうかはわからないですが、いい馬が当たって予選も突破できたので、やっておいて良かったかなと思います。昨年は予選ラウンド地方全国1位で行きたかったんですが、最後の最後に櫻井(光輔)にやられちゃいましたね(苦笑)。
昨年12月に通算100勝を挙げ、減量を卒業しました。先輩たちと同じ条件でレースに騎乗することになりますが、これからの目標はなんですか?
やっぱり重賞制覇ですかね。ボルドープラージュは水沢に移籍しちゃうそうなのですが、そろそろビップレイジング(東海ダービーなど重賞2勝)が帰ってくるらしいので、期待しています。あとは、また先生がいい馬を連れてきてくださると思うので、そこで期待にも応えたいですね。今年は尾島(徹)先生も勢いがあって笠松リーディングなので、自厩舎がリーディングになれるようがんばりたいです。
最後にオッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
YJSには出場できなくなって、いろんな競馬場に行くことがなくなったので、みなさんに忘れられないようにしたいです。笠松に引きこもっていても仕方がないので、いろんな所に行って顔と名前を覚えてもらえるように頑張りたいと思うので、僕を忘れないでください。
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※インタビュー / 大恵陽子