
10月5日名古屋第8レースで地方通算2600勝を達成した藤ケ崎一男調教師(名古屋)。84歳の今も現役バリバリで活躍し、調教師会長も務めます。調教師として東海ダービー(東海優駿)を勝った思い出の地・土古(どんこ)から弥富に競馬場が移転して1年半。いまの思いを伺いました。
地方通算2600勝おめでとうございます。名古屋競馬の調教師では現役2位の勝ち星です。
長くやっとりゃあね(笑)。調教師では私が一番長いもん。あのレースが2600勝だったことは何も知らなくて、ゴール後の実況で聞いて知りました。
元々は騎手でした。競馬との出会いは?
川崎市の小向に家があったんだけど、小学校5年生のときに川崎競馬場のトレーニングセンターが家から100mぐらいの所にできたんです。1年くらい経ってからちょいちょい出入りするようになってね。親が堅かったもんで、中学校を卒業して就職試験を受けて、1日は会社に行ったんだけど、2日目からもう行かないで、弁当を持って出て厩舎に行っていたんです。3日目ぐらいに親父に言ったらどえらい怒ったもんで家を飛び出して、2年間は帰らなかったかな。だけど、ちょいちょい顔は見るんだ。昔は銭湯だもんで、そこで会うんだけど会話はなくて、親父が右におれば俺は左って具合でした。
家を飛び出してまで馬の仕事をしたかったんですね。何がそこまで惹きつけたんですか?
日曜日も川崎競馬は開催しとったもんで、休みの日に競馬場に連れて行ってくれたんです。そうすると騎手がさ、赤い服着たり白い服を着て、音楽に合わせて出てくるでしょう。一種の憧れだな。自分も騎手になりたいなって。体もちょうど小さかったですからね。
調教師になってからは76年東海優駿をケイウンザンで勝つなど活躍しました。
昔は中京競馬場でも地方競馬の開催をしとって、ケイウンザンは中京で勝ったんです。あの時、本命のグリグリの馬がおったんだけど、芝のレースだったもんでうちの馬が芝が合ったんじゃないかな。そんなに印がなかったけど、勝てました。もう1頭、ホウライミサイルで勝った(06年東海ダービー)時は旧名古屋競馬場でした。
その旧名古屋競馬場は土古(どんこ)の愛称で親しまれました。藤ケ崎調教師も色んな思い出があるのでは?
独特の競馬場でちょっと小回りだし、ある程度先行できなきゃ出世しなかったですね。
弥富トレセンのある現在の地に移転してきて、レースも変わりましたね。
やっぱり直線が伸びたからね。土古で「勝負アリ」というとこから、新競馬場ではもうひと勝負があるもんね。
思い出の詰まった土古を離れるのは、寂しさもあったのでは?
私もあそこで馬に乗っとったし、昭和46(1971)年に調教師になってからずっと過ごしていたから、やっぱり寂しいは寂しいね。
一方で、新競馬場は厩舎地区に隣接しているため、馬にとっては輸送がなくなるなど、メリットもありそうです。
うんと違うね。馬は輸送がない分、消耗も少ないし、人間も本当に楽。以前と比べたら雲泥の差だね。調教師は臨場の義務があるので、発走の50分前までには競馬場に行かないといけないけど、今は厩舎から自転車で5分もあれば来れるからね。今日は3レースの出走の後は7レースの装鞍まで約1時間10分、開いていて一旦厩舎に帰ることができます。土古だと厩舎まで行って帰ってくるだけで1時間以上かかっていたからね。主催者はファン向けに無料バスを出していて、結構お客さんがたくさん乗ってくるみたいだね。こっちに競馬場が移転してナイターも始めて、若い人が増えたね。私も年寄りだけど、土古の頃は年寄りばっかだったもんで、将来のことを考えるとやっぱり若い人が増えないと、と思います。
調教師人生を振り返って、いかがですか?
好きなことをずっとやってきて、84歳になってまだやっとられるってことは幸せな人生。何の悔いもないです。もう年だから「辞めたいな......」って思う時もあるんだけど、2年前におっ母ぁ(妻)が死んじゃって、自宅に帰っても近所付き合いが全然なくてひと言も喋る人がいないんです。危険の多い仕事で、ずっと厩舎にいたからね。
厩舎が藤ケ崎調教師の居場所ですね。
全休日の前の日だけ自宅に帰って、次の日の夜からは厩舎でずっと寝泊まりしているからね。若い人が怪我したら救急車に一緒に乗ったり、病院について行ったりしてやらんといかんからね。
じゃあ、まだまだ10年20年と調教師として厩舎にいないと、ですね。
そんなん言われても、死んじゃうわ(苦笑)。騎手時代は汗取りして開催日には12キロくらい体重を落としていたから長くは続けられなくて、引退した時は63キロになったけど、いまはお腹いっぱい食べても51キロ(笑)。騎手の時に作った背広が今でも着られるんだ。
健康には気をつけて、長く活躍していただきたいと思います。最後に、オッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
いまはネット時代で、オッズパークを通じて馬券を買っていただき、ありがとうございます。競馬場は小ぢんまりしましたけど、ナイター開催を始めて、遅い時間帯からお客さんが結構来るようにもなりました。また競馬場にも足を運んで応援してもらえたら、嬉しいです。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
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9月25日に名古屋競馬第6レースをアイアンオーで勝利し、地方競馬通算500勝を達成した丸山真一騎手(名古屋)。2011年4月のデビューから13年目、これまでのことを振り返っていただきました。
地方競馬通算500勝達成、おめでとうございます。
ありがとうございます。やっと500勝達成することができました。13年掛かりましたが、達成できてホッとしました。
この区切りは目標にしていた数字ですか?
特に目標というわけではないですけど、所属の坂口義幸先生のジョッキー時代が475勝なので、その数字を目標にしていました。(500勝を達成して)先生からは、とりあえず良かったなって言われました。
今回オッズパークジョッキーズインタビュー初登場ということで、騎手を目指したきっかけから教えてください。
親が競馬を見ていた時に横でたまたま見ていて、勝った騎手がガッツポーズをしている姿を見て、カッコいいなと思って。何のレースだったか、どのジョッキーだったかも覚えていないんですけど、中学2年生くらいの時だったと思います。その時まで競馬に興味はなかったですね。
親御さんが競馬ファンだったんですね。
いえ、競馬ファンというわけではなかったです。親もたまたま競馬を見ていて、僕もたまたまその横で見ていて、という感じで。本当にたまたまが重なったんですけど、進路も全然決めていなかったですし、将来の夢も特になくて。小柄で身長が低かったので、騎手はそういう体形が合う職業だということと結びついて、ちょうどいいなって思ったんです。
騎手になりたいと言った時、周りの方はどんな反応でしたか?
学校の先生が一番驚いていましたね。家族は最初から賛成してくれて、乗馬を習わせてくれました。
9月25日、名古屋第6レースで地方通算500勝
名古屋所属になった経緯というのは?
僕は長野県出身なので、出身地に競馬場がないんです。最初は南関東とか行きたいなと思っていたんですが、地方競馬教養センターの教官と相談して、たくさんレースに乗りたいという想いが強かったので、若手に騎乗チャンスがある名古屋を希望しました。
長野と名古屋ではだいぶ土地柄が違いますが、すぐ慣れましたか?
そうですね。意外とすんなり溶け込むことができました。競馬場実習で初めて名古屋に行った時には、朝が早いことに驚きましたけど、それ以外はあまり気になりませんでしたね。
今も朝は早いと思いますが、何時起きで何頭調教していますか?
今は1時起きで、2時前から攻め馬をしています。だいたい20頭から25頭くらいの間です。大変なこともありますけど、馬に乗るのが好きなので毎日楽しいです。
一昨年は37勝でしたが、昨年は52勝、今年はここまで48勝(2023年10月29日現在)と勝ち星が伸びていますね。
そうですね。4年前に結婚して子供も生まれたので、それがすごく励みになっています。もともと騎手という仕事が好きですし、今は私生活の面でもモチベーションが上がりました。上の子が3歳で下の子が1歳なので、家族のためにももっともっと頑張ります。
名古屋は最近騎手の層がだいぶ変わって来たように感じますが、いかがでしょうか。
若い子がめきめきと頭角を現していますね。ちょっと前はデビューしてもすぐに辞めてしまう子が多かったんですけど、最近の若手はすごく頑張っていますから、怖い存在でもありますが、いい刺激を受けています。
丸山騎手は辞めたいと思ったことありますか?
何回かあります。怪我をして入院した時とか、辞めたいというか、向いていないかなって思ったりして。でも復帰をして勝つと、やっぱり騎手って楽しいなと。馬と一緒に先頭でゴールできるのは騎手だけですから、騎手でしか味わえない喜びなので。それを知ってしまうと、苦しくても、怪我をした時も、また頑張ろうっていう気持ちになりますね。だからこそ毎日頑張れるというのもあります。
今後の目標を教えてください。
重賞制覇が目標です。最近後輩たちがどんどん初重賞制覇していますし、めぐり合わせもありますが、僕も早く勝てるよう努力していきたいです。
それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
いつも名古屋競馬を応援していただき、ありがとうございます。新しい競馬場に移ってだいぶ時間が経ちましたが、毎開催馬場傾向が違ってすごく難しいです。みんな頭を使って競馬をしているので、僕も負けないよう一生懸命頑張ります。競馬場に来た時には、食堂のどて煮丼が美味しいので、ぜひ味わってみてください。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:愛知県競馬組合)
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デビューから8戦無敗で東海ダービーを制したセブンカラーズ。オッズパーク地方競馬応援プロジェクトの馬であり、会員の方々にとっても想いの強い1頭ではないでしょうか。主戦の山田祥雄騎手、川西毅調教師にお話を伺いました。
まずは山田祥雄騎手に伺います。東海ダービー制覇、おめでとうございます。
山田:ありがとうございます。正直、3~4コーナーくらいでは負けたかなと思いました。手応えがいつもと違って、もうバタバタになってしまったので。なんとか勝ったなという感じです。
そのあたりは距離が長いということでしょうか?
山田:慣れればこなしてくれるかなとは思いますけど、2000m前後を走るのであれば、慣れることが必要だと思います。
今回は2枠2番でしたが、枠順が出た時はどう感じましたか?
山田:外目が良かったですけど、内なのでもう行くしかないなと。ここまで強い勝ち方をしていますから、大丈夫かなとは思いつつ、気持ちに余裕はなかったです。プレッシャーというか......負けてないというのは大きいですね。
ダービーを勝ったというのは、いかがでしょうか。
山田:僕自身は正直ダービーの重みがよくわからないのですが、これからじわじわと実感していくのかもしれません。福山時代の厩務員さんから連絡が来て泣いていたので、やっぱりダービーはすごいレースなんだなって思いました。
福山競馬廃止から10年でダービージョッキーになったわけですから、当時を知る方々にとってもいろいろな想いがありそうですよね。
山田:確かにドラマではありますね。
これからさらに喜びを噛み締めていただきたいと思います。山田騎手は今年の東海ダービーにお手馬が3頭も出走と、いい馬が集まっていますね。
山田:東海ダービーは毎年乗れるようなレースではないのに、今年に限って3頭も......。他の年だったら良かったのにと思いました。3頭とも休養に出たので、また元気に戻ってきてくれたら嬉しいです。
ではセブンカラーズについて詳しく伺います。最初に乗ったのはデビュー前ですよね?その頃からここまで活躍するなと感じましたか?
山田:川西先生は「この馬走るから」と最初から言っていましたが、最初の頃は後ろ脚がゆるゆるで、転びそうで怖かったですね。違いを感じたのは能力検査前にゲート練習をした時です。ゲートを出た瞬間から速くて、この馬すごいなって思いました。
性格はどんな馬ですか?
山田:普段はボケっとしたところがありますが、被されると怯むところがあって。どっちかというと、後ろからゆったり行った方がいい気はするんですけど、今はゲートが速いのと揉まれたくないということで、負けるのも怖いのでいつも前に行っていました。後方からのレースは一回負けてから試そうかなと。
ではこの馬の強みというのはどう感じていますか?
山田:トビが大きいので、乗っているとそこまで速いタイムが出てないように感じるんですけど、持ったままでビューっと速い時計が出ているんですよね。そのあたりが他の馬とは違うなと思います。
今後のご自身の目標と、セブンカラーズとの目標を教えてください。
山田:自分は怪我なく普通に過ごせたらと思っています。セブンカラーズもこのまま無事に走ってくれればと思います。
続いて、川西毅調教師にお話を伺います。東海ダービー制覇、おめでとうございます。
川西:生え抜きで東海ダービーを勝つことができて、とても嬉しいです。何度かチャンスはありましたが、その度に出走できなかったり勝てなかったりしたので、自分の中で呪縛のように感じていた部分もありました。この1カ月は特に緊張感がありましたし、あまりよく眠れなかったです。無事に勝てて、本当にホッとしました。
セブンカラーズの主戦、山田祥雄騎手もダービージョッキーになりましたね。
川西:山田くんと一緒に勝てて嬉しいですね。彼は本当に真面目に頑張って来ましたから。性格的には朴訥としていて、どんな場面でも慌てることがないんです。それでいて馬への当たりが柔らかいので、調教でもレースでも、馬の故障が少ないと感じています。セブンカラーズはもともと後ろ脚がゆるかったですし、調教から毎日乗ってもらって、ここまで無事に来られて、山田くんもホッとしたんじゃないでしょうか。
セブンカラーズはすでに休養に入ったそうですね。
川西:涼しい北海道に行きました。暑い夏はじっくり休養して、また秋ですね。当初は西日本ダービーを視野に入れていたんですが、距離2000mというのは長い気がしていて。地元の秋の鞍から復帰するプランを考えています。何より馬の状態が一番ですが、いつかJBCレディスクラシックに挑戦したいですね。それが今後の大きな目標です。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願い致します。
川西:一昨年のセブンカラーズが1歳の時のセリから、オッズパーク地方競馬応援プロジェクトに参加させていただき、1頭目からこのような素晴らしい馬を管理させていただいたこと、とても感謝しています。結果を出すことができてホッとしています。セブンカラーズはもちろんですが、今年の2歳(ミステールヴェールの21:父カリフォルニアクローム)も順調に育成を進めていますので、デビューを楽しみにしていただけたら嬉しいです。
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※インタビュー / 赤見千尋
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5月18日に地方競馬通算3000勝を達成した愛知の丸野勝虎騎手。1992年のデビューから31年、現在の胸の内を伺いました。
地方競馬通算3000勝達成、おめでとうございます。
ありがとうございます。目標にしていた数字なので、無事に達成できて嬉しいです。たくさんのいい馬に乗せていただき、関係者の方々に感謝しています。
デビューから21年目の2016年に地方競馬通算2000勝を達成し、そこから約7年で3000勝達成です。
7年ですか。自分ではもっとかかったような印象がありますね。というのもここ何年か怪我が多くて、1年続けて乗れた年がないんですよ。昨年は順調でしたけど、それでも年初めは怪我で乗れなくて、2月から乗り出したので。怪我なく1年乗り続けるということを毎年目標にしています。
5月18日、名古屋第8レースで地方競馬通算3000勝を達成(写真:愛知県競馬組合)
現在48歳。今年もここまで64勝(2023年5月28日現在)を挙げて名古屋リーディング第2位です。
ただのおじさんですけど(笑)。ありがたいことにたくさんいい馬に乗せてもらっていますから、まだまだ頑張りたいですね。デビューの頃には3000勝という数字はまったく考えていなかったですし、正直この年齢まで乗っているとは思わなかったです。最近は戸部(尚実)さんはじめベテラン勢が調教師に転身することが続いていて、僕自身も調教師というのは少し頭にありますけど、もう少し騎手として頑張りたいなと思っています。
愛知所属の若手も増えてきましたね。
最近は毎年のように新人騎手がデビューしていて、若手の割合が増えてきました。体力面で言えば、20代30代の頃を思い返すと「落ちているな」と感じることもあります。でも展開の読みや経験値が違うと思っているので、まだまだ負けないよう頑張ります。
弥富に移転して2年目になりましたが、馬場の傾向がガラッと変わることがあって難しいです。
僕らにとっても難しいですよ。本当に馬場がよく変わりますよね。水はけが良くなるように地盤に傾斜をつけたらしいんですけど、その分なかなか平にするのが難しいようです。しかも毎朝調教で使うでしょう。平になったなと思ったらまた雨が降って内に流れたりして、そういうことの繰り返しです。だから極端に内ラチ沿いが利く馬場になったり、内が重くて馬場の真ん中辺りを走ったり。その日その日で違うので難しいですけど、いろいろ考えるのは面白いです。
先ほど、怪我なく乗り続けることが目標というお話がありましたが、数字的な目標はいかがでしょうか。
4000勝というのは意識していないですし、今は明確な数字はないですね。やっぱり重賞を勝ちたいです。昨年重賞を3勝してくれたウインユニファイドが故障してしまって......。10歳という年齢からまた強くなって、頑張ってくれたんですけど、オグリキャップ記念で故障してしまいとても残念です。競走馬には戻れないけれど、手術は無事に終了したと聞きました。あとは北國王冠を勝ったアンタンスルフレがもう一段階パワーアップしてくれたら。まだ5歳なので、今後も楽しみです。
2022年12月31日、ウインユニファイドで東海ゴールドカップ(笠松)を勝利(写真:岐阜県地方競馬組合)
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願いします。
いつも名古屋競馬を応援していただき、ありがとうございます。最近は若手も育ってきていますが、自分もまだまだ頑張ります。これからもよろしくお願いします。
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※インタビュー / 赤見千尋
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NARグランプリ2022において、優秀新人騎手賞を受賞した塚本征吾騎手(名古屋)。兄である(甲賀)弘隆騎手(金沢)、雄大騎手(高知)、涼人騎手(岩手)を追いかけて騎手になった、塚本家の四男。現在の心境を伺いました。
優秀新人騎手賞受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。全然意識をしていなかったので、受賞を聞いた時はびっくりしましたが、とても嬉しかったです。
まずどなたに報告しましたか?
両親と兄弟ですね。一番上の弘隆は「すごい!」って誉めてくれました。他の家族も「おめでとう」って言ってくれましたけど、けっこうあっさり、「ああそうなんだ」みたいな感じでしたね(笑)。
塚本家は4人が騎手ですが、競馬と関係ない一般のご家庭なんだそうですね。
そうなんです。静岡県出身で近くに競馬の施設があるわけではないんですけど、弘隆が騎手を目指して東関東馬事専門学院という競馬の学校に行ったのが始まりです。僕も見学に行かせてもらって、そこで初めて馬と触れ合って興味を持ちました。その後、雄大、涼人と兄たちがどんどん騎手になっていって、自分もなるんだろうなと思っていました。
5人兄弟で、全員男性だと伺いました。
一番下の弟も騎手になりたいみたいです。両親はどうしても騎手にさせたいわけではなくて、なりたいならなればいいという感じですね。僕が中学生の時、騎手を目指して筋力トレーニングをしていましたけど、もしかしたら高校に行きたいと思うかもしれないからと、塾にも行かせてくれました。いろいろな道を示してくれた両親や、騎手という道を切り開いてくれた兄に感謝しています。
名古屋所属というのは、どういう経緯ですか?
騎乗馬を取り合うのはイヤなので、兄がいない場所が良かったです。示し合わせたわけではないですけど、上の兄たちもなんとなくそういう流れだったので。公募で櫻井今朝利厩舎所属になることができて、とてもありがたいです。
2021年にデビューして、その年44勝。順調なスタートだと感じますが、ご自身ではいかがですか?
デビュー当時のレースを見ると恥ずかしいですね。僕は緊張しいなところがあって、レースでキョロキョロしてしまって......。なかなか馴染めなかったです。そんな中でもたくさんの馬たちに乗せていただき、とても恵まれた環境だと思います。
昨年はさらに飛躍して84勝でした。
名古屋だけだと55勝で、そこまで突き抜けた数字ではないんです。重賞も勝てそうなところで乗せていただいたのに、結局勝てなかったですから、自分としては満足できない数字です。この前、佐賀の山田義貴くんが重賞(3月26日・九州クラウン)を勝ったじゃないですか。僕より後輩ですし、ものすごく焦っています。今はとにかく重賞を勝ちたいです。
コンビーノとのコンビでは、重賞で2着2回、3着1回とあと一歩ですね。
コンビーノには本当にいろいろなことを教えてもらっていて、とても感謝しています。先日のNARグランプリの表彰式の日にレースが重なってしまって、乗れなかったんですけど、今年こそ一緒に重賞を勝ちたいです。
笠松・岐阜金賞(2022年8月25日)ではコンビーノ(左)で惜しくもアタマ差2着(写真:岐阜県地方競馬組合)
表彰式に出席してみて、いかがでしたか?
ものすごく緊張しました。前日から話すことを考えて紙に書いていたんですけど、全部飛んでしまいましたから(笑)。でもたくさんの方々にお声がけしていただきましたし、晴れの舞台で表彰していただいて嬉しかったです。今後の励みになります。
現在課題にしていることはありますか?
基本的なことですけど、一番は人の邪魔をしないことです。あと騎乗技術に関してではないんですが、デビューする前の競馬場実習の頃から心がけているのが、朝の調教に出遅れないことです。毎日の積み重ねが信頼に繋がっていくと思うので。
今は何時に起きて何頭乗っているんですか?
(午前)1時20分に起きて、1時30分から30頭乗っています。
30頭?!その頭数は初めて聞きました。20頭越えたら相当多いと思いますが、30頭というのは名古屋で一番多いんじゃないですか?
多分一番乗っていると思います。技術を高めるのはもちろんですけど、人間的な部分も大事だと思うので、朝出遅れないことはその一歩かなと思います。
お休みの日はどう過ごしていますか?
笠松に行って調教を手伝っています。休みの日でも自分の馬の調教がある場合があるので、毎回ではないですけど。昨年の勝利数でも笠松で29勝させていただきましたから、行ける時はなるべくお手伝いに行きたいと思っています。
そこまで努力を続けられる、モチベーションは何ですか?
すごく負けず嫌いなんですよ。教養センター時代、兄たちが騎手をしていて、僕は4番目ですし、そんなに期待されていないように感じたんです。それがすごく悔しくて。レースビデオを見たり、木馬で騎乗練習したり、人一倍やってきたと思います。自分には騎乗センスがないので、その分を努力で補っていかないと。
その努力が結果に繋がっていますし、今年はここまで27勝(4月5日現在)ですね。
お陰様で順調に来ていると思います。飛田(愛斗)さんと勝利数が近いので、このまま離されないでいきたいです。
佐賀の飛田愛斗騎手は意識する存在ですか?
意識しますね。教養センター時代の先輩で、当時から頭一つ抜けて上手でした。僕の前の優秀新人騎手賞は飛田さんですし、そういう先輩が取った賞をもらえて光栄です。
今後の目標を教えてください。
一つは先ほども言いましたが、重賞を勝つことです。あと、後輩が増えてきましたから、後輩に恥ずかしくないレースをしたいです。名古屋でも4月から大畑(雅章)さんの甥っ子(大畑慧悟騎手)がデビューするので、負けていられないです。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願いします。
いつも名古屋競馬を応援していただき、ありがとうございます。これからも努力を重ねていきますので、応援よろしくお願い致します。
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※インタビュー / 赤見千尋
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