各競馬場を代表するジョッキーにインタビューを実施。他では聞くことができないジョッキーたちの素顔や本音に迫ります!競馬にまつわるエピソード、今後の抱負などのインタビューをご紹介します。
各競馬場を代表するジョッキーにインタビューを実施。他では聞くことができないジョッキーたちの素顔や本音に迫ります!競馬にまつわるエピソード、今後の抱負などのインタビューをご紹介します。
2025年10月27日、金沢競馬第11レースをサンテックスが勝利し、管理する加藤和義調教師が地方競馬通算1000勝を達成。2013年の初出走から13年目での大台到達です。これまでのことや、ご子息である加藤翔馬騎手についても伺いました。
1000勝達成、おめでとうございます。
ありがとうございます。数字はあまり気にしていませんが、ここまで勝ち鞍を重ねることができたのは、周りの方々のお陰です。開業からあっという間だったというか、とても早い期間で達成できたと思いますし、出来すぎですね。強い馬を預けていただいたオーナーの皆さま、一生懸命頑張ってくれるスタッフ、いいレースをしてくれる騎手、応援してくれるファンの方々のお陰です。本当にありがとうございます。
10月27日、1000勝達成(写真:石川県競馬事業局)
1000勝を達成したお祝いなどはお考えですか?
いやぁ、本当に考えてなかったですね。田知(田知弘久騎手)が復帰したので復帰祝いと、あと吉原(吉原寛人騎手)の重賞200勝が近いですから、その2人のお祝いをしたいなと思っています。
ここまでたくさんの馬たちを育てて来た中で、思い出深い馬といえばどの馬ですか?
1頭1頭性格が違って、それぞれに思い入れはありますけど、1頭あげるとしたらやはりハクサンアマゾネスですね。2020年にうちにきて、昨年引退するまでの5年間、本当にいろいろなことを教えてもらいました。
ハクサンアマゾネスは3歳の4月と遅めのデビューでしたが、そこから2カ月で石川ダービーを勝ち、その年のうちに中日杯を勝って金沢最強馬になりました。他地区でも重賞を勝ち、国内平地重賞最多勝利記録を更新と、素晴らしい活躍でしたね。
本当に素晴らしい馬でした。心肺機能が高くバネのような身体をしていて、肉体面が優れていたところもありますが、一番大きかったのは、いつも力を出し切る精神力の高さだと思います。でもその中で体調の波は大きい馬でしたから、細心の注意を払いながら毎日調整していました。あれだけ緊張感を持って真剣に競馬と向き合った経験というのは、とても大きな財産になりましたね。無事に北海道の生まれ故郷に帰せたので、肩の荷が下りました。
ハクサンアマゾネスが百万石賞4連覇(2024年6月2日)を果たし、みずから写真に収める加藤和義調教師(右)
引退したハクサンアマゾネスに会いにいった様子をSNSで発信されていましたね。
相変わらず大人しくて可愛かったです。現役の時もそうですけど、びっくりするくらい大人しくておっとりしていましたから。また来年会いにいきたいです。
2023年にはご子息の加藤翔馬騎手がデビュー。すでに266勝(2025年11月26日現在)を挙げ、重賞勝ちも複数回あるご活躍ぶり。翔馬騎手のご活躍はどう見ていますか?
調教師としては、まぁデビューの時に比べると、マシになってきたかなと。ただすぐ近くに吉原寛人っていうすごい先輩がいるわけですから、もっと精進してほしいですね。父親としては......、正直嬉しいですよ。もっともっと精進してほしいですけど、あいつで重賞勝ちたいという気持ちはありますね。そこは近々の目標として掲げたいです。
吉原寛人騎手はどんな存在ですか?
可愛い後輩であり、頼れる所属騎手ですね。普段は冗談言って笑い合っていますけど、馬に乗せると本当に頼れるので。ハクサンアマゾネスを一緒に育ててきたというのもありますし、特に指示をしなくても意思疎通ができる信頼関係はあると思っています。
今年はここまで(2025年11月26日現在)98勝を挙げ、金沢の調教師リーディングで僅差の第2位につけています。
そうですね。たくさんいい馬を預けていただいていますから、リーディングを取らないといけないなという思いはあります。ただ自分のことだけではなくて、金沢競馬場はたくさんのファンの方々に応援していただいていますが、もっと頑張ってさらに注目度を上げていきたいと。西日本には金沢競馬があるということをもっともっと広めていきたいですね。そこが大きな目標です。
今年の8月には記録的な豪雨により、深刻な浸水被害がありました。
本当に大変でした。かなりの雨で厩舎が浸水して、これはやばいなと。一晩脚元が水に浸かったまま過ごす馬が多く、その中でよく頑張ってくれました。稀に見る災害でしたが、今後またこういうことがあったらと未だに心配です。ただあの時、たくさんのファンの方々に助けられたこと、とても感謝しています。金沢市の中でも競馬場付近のダメージが一番大きかったのですが、SNSでどんどん情報を広げてくれたおかげで注目してもらうことができました。県の方や市の方が迅速に視察にきてくれて。マスコミの方々、ファンの方々が取り上げてくれたおかげです。本当にありがたかったです。
では、オッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
いつも金沢競馬を応援していただき、ありがとうございます。普段の開催はもちろん、来年はJBC開催もありますので、強い馬を育てていけるようこれからも頑張ります。
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※インタビュー / 赤見千尋
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5月5日金沢競馬第12レースをヤマメクィーンで勝利し、地方競馬通算1000勝を達成した中島龍也騎手(金沢)。 昨年は177勝を挙げ、初の金沢リーディングを獲得。今年もすでに85勝(6月25日現在)を挙げ、金沢リーディング1位を独走しています。
まずは地方競馬通算1000勝達成、おめでとうございます。
ありがとうございます。達成した日はあと4勝で迎えたのですが、7レース、8レース、11レースと勝つことができて、いい流れのまま最終レースを勝って達成することができました。やはり1000勝というのは大きな区切りの数字ですし、ここまで来たんだなという嬉しさがありました。
これまでもリーディング上位の常連ではありましたが、昨年は177勝と大幅にキャリアハイを更新して、一気に突き抜けましたね。
そうですね。ありがたいことに自分でもびっくりするくらいの成績を挙げることができました。
何かきっかけはあるのでしょうか?
特に変わったことはしていないんですけど、昨年結婚したということもあって、生活面が変わったというか、家族からのサポートがあることですかね。あとは体の面で、筋力トレーニングは以前からずっとやっていたんですけど、その中でピラティスを取り入れて、体をつくり直したということもいい方に出たのかもしれません。
公私ともに充実しているんですね!リーディングを取って、何か変化はありましたか?
やはり周りの目というのは違うのかなと思います。乗り馬の質も変わって来ていると感じますし、今年も今のところリーディングにいさせてもらっているので、いい流れが継続していると思っています。たくさんいい馬に乗せていただき、関係者の方々に感謝しています。
金沢リーディングの看板を背負って、5月26日に行われた地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップに出場されました。印象はいかがですか?
トップジョッキーしかいないレースですから、どういう感じなんだろうと思っていました。もちろん緊張もありましたが、地元の金沢開催だったので他所でやるよりは気楽でしたね。結果は4着、4着、8着で総合5位だったので、もう少しいい成績を残したかったなとは思います。
利家盃を制したマンガン(写真:石川県競馬事業局)
4月27日に行われた利家盃では、追い込み馬のイメージが強いマンガンで2番手につけて勝利。スタート直後に出して行った時には驚きました。
小回りの金沢なので、どの馬でもなるべく前に行きたいと考えています。もちろんその馬に合ったリズムというものがありますが、これまでのマンガンのレースを見て思ったのが、最後の200メートルはいい脚を使うけど、上がり3ハロンを平均したらそんなに速くないんです。スタミナを活かして、周りの(馬の)脚が上がって差してくる競馬になりがちというか。直線が短い金沢では、そういう競馬だと勝ち切れないんですよ。そこまで上りが速くないから、前から行っても同じなんじゃないかと思って、1回目に乗った時に思ったよりもスタートを出てくれて、気合を付けて行けばだんだん出るようになるのではないかと、次に繋がるスタートの出し方をしたんです。そうしたら利家盃では逃げるのかっていうくらい出てくれて、行き過ぎ行き過ぎとなだめるくらいでした。ただ、百万石賞ではスタートを出た分、悪いポジションにハマってしまって......。3~4コーナーで射程にいれば馬が伸びてくれるので、マンガンに乗る時は直線勝負というよりも、3~4コーナーまでにどういいポジションに持ってくるかが勝負だと思っています。
金沢といえば、吉原寛人騎手が全国で大活躍していますが、中島騎手にとってはどんな存在ですか?
本当にすごい方ですね。一緒に乗っていて馬の上での感じる力がすごいんです。馬を動かす、御す力を感じるというか、吉原さんが乗っているだけでこの馬動きそうだなって思います。強い馬に乗っているから勝てるっていう人がいるけど、僕はそうは思わないです。もちろん力のある馬には乗っていますが、それだけじゃなくて、吉原さんてすごく簡単そうに乗っているように見えるんですけど、難しい馬を簡単そうに、淡々と乗ってくるところがすごいなって。これは上手な人の共通点だと思いますけど、すごく強いなっていうレースができる人が、上手い人だと思うんです。強い勝ち方をした馬でも、吉原さんに聞いてみると実はいろいろ工夫していて。例えば、内にささったり外に張ったりする馬でもまっすぐ走らせるから、見た目ではわからないんですよね。そういうところが半端ないなって思います。
それに、技術面はもちろんですけど、人間性もすごいんですよね。出会った時からどれだけ結果を出しても変わらない。人当たりも良く腰も低くて、吉原さんがそういう感じなのに、自分が調子に乗れるのかっていう(笑)。そういう思考に繋がるので本当にありがたいです。
北日本新聞杯を制したクリノチャールズで臨んだ石川優駿は5着だった
今後の目標を教えてください。
1500勝、2000勝と勝っていきたいですし、重賞戦線でもいい成績を残したいです。吉原さんのようになれるかはわからないですけど、いつか全国から声がかかるように腕を磨きたいです。
では、オッズパーク・ユーザーの皆さんにメッセージをお願いします。
いつも金沢競馬を応援していただき、ありがとうございます。これからも金沢競馬を盛り上げていけるよう頑張りますので、よろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 赤見千尋
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第8回石川優駿をナミダノキスと共に勝利した、柴田勇真騎手(金沢)。2020年の金沢シンデレラカップ(マナバレンシア)以来の重賞制覇、現在のお気持ちを伺いました。
石川優駿制覇、おめでとうございます。
ありがとうございます。すごく嬉しいです。
見事な差し切り勝ちでしたが、序盤はあまり手応えが良さそうに見えませんでした。内心はいかがでしたか?
いつも道中の手応えはそんなにいい馬ではないので、今回もある程度は想像していましたが、もうちょっと前のポジションを取りたかったなと思っていました。なかなか前に行きたくても抜けられるスペースがなくて、抜けられるとしたら内々だったんですけど、「もうちょっと我慢しておこう」と判断しました。能力の高い馬ですし、その力を信じていたので、あまり焦りというのはなかったです。
1番人気だったリケアマロンと吉原騎手が早々に抜け出して、このまま勝つのかなというふうに見ていました。
馬群にいる時は吉原さんの姿が見えなくて、向正面でやっと外に出せた時に、「あんなに前にいるのか!」って。4コーナーを回る辺りでは、「これはやばいな...」と思ったんですが、直線の立ち上がりでもう一段加速したので、その瞬間「届く!」と思いました。加速してからの脚は今回もすごかったです。
ゴールした時はどんなお気持ちでしたか?
嬉しい気持ちと、ホッとした気持ちと両方でした。3歳頂上決戦である石川優駿で人気になる馬に乗せていただき、チャンスをくれたオーナーや関係者の方々に感謝しています。もちろん頑張ってくれた馬にも、とても感謝しています。プレッシャーもありましたが、馬が強いことはわかっていたので、無事に勝つことができてホッとしました。
ナミダノキスは今年の春、JRA未勝利から金沢に移籍して、4連勝で石川優駿を制しました。最初の頃の印象はいかがでしたか?
馬格もありますし、とてもいい馬だと思いました。1戦目のレースで追い出してからの反応が凄まじくて、これまで僕が乗ったことのないレベルだと感じました。性格はとてもおとなしくて、少し繊細なところもありますが、レースに行くと堂々としていて、序盤はなかなか進まないくらいおっとりしています。でもスイッチが入ってからの加速は、本当にすごいですね。
柴田騎手にとっては、2020年金沢シンデレラカップのマナバレンシア以来の重賞制覇でした。
久しぶりに重賞を勝てたことも嬉しいですし、それが石川優駿というのも嬉しいです。とても素晴らしい馬と出会えて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
2015年のデビューから10年目、ここまでを振り返っていかがですか。
決して順風満帆ではないですが、たくさんの方々と出会えましたし、いろいろな経験を積むことができました。昨年はケガで4か月騎乗できない時期があって苦しい時間でしたが、プライベートでは結婚して、今年は子供も生まれたんです。家族ができて頑張る活力をもらっているので、これまで以上に頑張ります。こういうタイミングで石川優駿を勝てたことがありがたいですし、このチャンスを活かしていきたいです。
今後の目標を教えてください。
ナミダノキスは現時点でも強いですが、まだ3歳なので、ここからさらに成長してくれると思います。金沢の看板になるような馬に成長して欲しいですし、自分も一緒に成長できるよう努力していきます。
では、オッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いいたします。
いつも金沢競馬を応援していただき、ありがとうございます。もっともっと腕を磨いて、信頼される騎手になれるよう頑張ります。
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※インタビュー / 赤見千尋 (写真:石川県競馬事業局)
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昨年4月2日に騎手デビューした加藤翔馬騎手。2戦目に初勝利を挙げ、地方競馬通算勝利数は70勝(2024年3月8日現在)と、順調に経験を積んでいます。デビューから約1年を振り返っていただきました。
もうすぐデビューから1年となりますが、ここまで70勝、振り返っていかがでしょうか。
デビューした頃からたくさんレースに乗せていただき、周りの方々にはとても感謝しています。最初はなかなか競馬に慣れなかった部分もありますし、筋力も足りなくて苦労しましたが、1年経って、今やっと慣れてきた頃かなという感じです。
デビュー初日から初勝利を挙げ、とても順調に見えますが、ご自身ではどう感じていますか。
環境にはすごく恵まれているので、その環境に甘えず、しっかりと活躍できるようにという気持ちでやってきました。実際、人気馬で期待していただいたのに負けてしまったレースもありましたし、もっと努力して上手くなりたいです。
お父様の加藤和義調教師はどんな存在ですか?
競馬の世界では親子というよりは先生と弟子という関係が強いですね。競馬に対してはすごく厳しいですが、その分いろいろと教えてもらえることがありがたいです。厳しい中でも、自分が上手く乗れたなという時に、「よく乗ったな」と褒めてもらえると嬉しいです。
高知での期間限定騎乗(1月7日~2月21日)はいかがでしたか?
田中守先生の元でたくさん勉強させていただきました。馬場も流れも全然違うので、金沢では勉強できないことを経験させていただきました。具体的には、金沢だとそこまで緩急がないというか、流れたペースになりやすいんですけど、高知は緩急があってペースが落ち着いたりすることもあって。馬場が深くて重い分、道中で脚を使ってしまいやすいので、どうロスなく乗るかということを考えました。自分をもう一歩成長させてもらえるいい機会だったと思います。
やはり馬場の違いは大きかったですか?
大きかったですね。雨が降ったりするとまた全然変わりますし、毎日傾向が違うという印象でした。僕はまだ自分で判断するのが難しいので、前半のうちは周りの方々の様子を見て、どのくらいのペースで行っているか、というところを確認して、それをレースに活かすようにしていました。
元日に大きな地震があり、石川県は大変な被害がありました。
僕自身は地震の時に高知に居たのですが、家族や友達がたくさんいるので心配でした。大きな被害があり、被災した方々に心よりお見舞い申し上げます。競馬場の近くでも被害が大きいところもありましたが、幸いにも競馬場は大きなダメージがなかったようです。駐車場が広いので、消防車など救助部隊の基地として有効活用できたことは、誇らしく思います。それから、全国いろいろな競馬場で被災地支援レースをしていただいて、たくさんのファンの方々が賛同してくれたと聞きました。石川県民としてとても感謝しています。
金沢競馬は3月10日から開幕です。現在の競馬場の雰囲気はいかがでしょうか。
今は開幕に向けて調教も進んでいますし、関係者一丸となって頑張っています。特にジョッキーたちはファンの方々に喜んでいただくためには何が必要か、売り上げを上げるためにはどうしたらいいか、ということをすごく考えているので、自分もできることがあれば協力したいと思っています。
尊敬する先輩はどなたですか?
吉原寛人騎手です。騎乗技術がすごいというのはもちろんですが、人柄も本当に素晴らしいので。誰に対しても優しく謙虚に関わっている姿を見せてくれて、あれだけのトップジョッキーになってもそこは忘れてはいけないんだと思わせてくれる存在です。いろいろなことを聞いたら教えてくれますし、とても尊敬しています。
今後の目標を教えてください。
今シーズンは昨年以上の成績を残すこと、あと重賞も勝ちたいです。
では、オッズパーク会員の方々にメッセージをお願いします。
いつも金沢競馬を応援していただき、ありがとうございます。毎年1歩ずつ成長した姿をお見せしたいので、今年も頑張ります。応援よろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:高知県競馬組合)
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金沢のトップジョッキーとして長年活躍してきた藤田弘治騎手が、12月1日付けで調教師免許を取得し、騎手を引退しました。調教師として新たな生活が始まった今、その胸の内を伺いました。
2001年からの騎手生活、長い間お疲れ様でした。11月28日の最後の騎乗はいかがでしたか?
パドックなどでも声を掛けていただき、ファンの方々には感謝しています。性格的にあまり感情が出ないタイプだと思っていたのですが、最後の最後で感極まって泣いてしまいました。あれは想定外でしたね。
レース後のセレモニーの時ですね。
冷静な感じで終わると思っていましたが、皆さんの顔を見て「ありがとうございました」と言おうとしたら、詰まってしまいました。
引退セレモニー
とても感動的な場面でした。これまでを振り返って、思い出のレースをあげるとしたらどのレースですか?
たくさんありますけど、やっぱり2015年にワールドオールスタージョッキーズに出場した時ですね。あの場で乗れたことも夢みたいでしたし、第1戦で勝利することができてとても嬉しかったです。なかなか体験できないことですし、自分はとても運がよかったなと思います。
2015年ワールドオールスタージョッキーズ(札幌)第1戦を勝利
地方競馬通算1512勝を挙げ、JRAでも勝利を挙げ、騎手としてはやり切ったというお気持ちでしょうか?
やり切ったかと言われると、今でもレースに乗りたいなと思うタイミングはありますけど、2月の開業が待っていますから、今はとにかく調教師としての仕事をきちんとしたいということで頭がいっぱいです。いろいろな方々に助けていただいて、騎手生活を全うすることができたので、周りの方々や応援してくれたファンの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。これからは調教師として恩返しができるよう頑張ります。
開業準備で大変だと思いますが、具体的には何をしていらっしゃるんですか?
騎手を引退してすぐに美浦の牧場で受け入れていただいて、研修というか、人脈作りというか、いろいろと勉強をさせていただいています。馬づくりはもちろんですが、その前にスタッフ集め、馬集め、あと馬具を揃えたりと、やることが本当にたくさんあって。騎手時代からお世話になった、美浦トレセン近くのうつみ馬具店に毎日通い詰めて、厩舎カラーを考えたり、どんな馬具を使おうかなど相談しています。今は開業に向けての土台づくりをしているところですね。
現在43歳の藤田調教師ですが、いつ頃から転身を考えていたのですか?
完全に決断したのは、昨年の調騎会の総会の時です。前々から金沢は調教師が少ないという危機感はあったのですが、その会議で具体的にそういう話が出て、このままでは先々やばいぞと。自分のタイミングとも合いましたし、そろそろ本気で目指そうと決断しました。まずは経験のためにも今年最初の金沢の試験を受けて、その後に地方競馬教養センターの調教師講習を受けて、2回目で合格しました。
教養センター騎手課程で同期生だった吉原寛人騎手は、調教師合格について何て仰っていましたか?
「おめでとう!」って喜んでくれました。一緒に乗れなくなる淋しさも少しはありますが、先ほども言ったように金沢は調教師が少なくて危機感を持っているので、吉原君も含めてみんな喜んでくれました。
2月開業というと、金沢競馬はオフシーズンになりますね。
そうですね。金沢の場合、1月は完全にお休みなんですけど3月の開幕に向けて2月から調教がスタートするので、そのタイミングで開業ということになります。これから厩舎を割り当てられて、馬房などの手直しも必要になるでしょうし、開業まではバタバタになりそうです。
どんな厩舎づくりを考えていますか?
まずは働く人の環境を整えていきたいです。厩務員さんたちの働く環境を良くして、みんながうちに来たいというような厩舎になれば、必然的に馬の環境も良くなっていくと思いますし、そうすれば馬主さんたちも喜んでくれるのではないかと。競馬ですから成績は大事ですが、厩務員さんの環境をよくすることで、成績は後からついて来るものだと思っています。
11月28日の最終騎乗は8着だった
では、オッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。
いつも金沢競馬を応援していただき、ありがとうございます。これから調教師として金沢競馬を盛り上げられるよう頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:石川県競馬事業局、浅野靖典、斎藤修)
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