2021年5月9日の水沢第1レースで村上忍騎手が地方通算3500勝を達成した。岩手競馬史上では菅原勲元騎手、小林俊彦元騎手に続く3人目の達成であり、現役騎手の中ではもちろん最多となる勝利数だ。28シーズン目を戦う村上忍騎手に記録達成やこれからについてうかがった。
3500勝達成、おめでとうございました。岩手競馬では史上3人目、現役では最多勝となる記録達成です。
ありがとうございます。そうですね、騎手になって何年になるのか自分でも分からなくなったくらい長く乗っていますし(笑)、そんな自分よりたくさん勝っている騎手もいますからね。とはいっても、自分自身でもここまで勝つとは思っていなかったですから、素直に皆様に感謝したいですね。
94年デビューですから、28シーズン目になりますね。改めて振り返ってみたら、ずいぶん長くなりましたね。
自分と同じ世代の騎手はもう何人も残ってないですからね。自分自身こんなに長く騎手を続ける事ができるとは、40歳過ぎてまで騎手をやっているとは思ってもいなかったですね。
2021年5月9日水沢第1レース、ミンナノヒーローに騎乗して地方通算3500勝達成
昔の村上忍騎手が描いていた"将来像"は、そうするともっと早く引退するような感じだった?お父さんの村上実調教師は31歳で騎手を引退されましたよね。
そこまで早くとは思っていなかったですが、40歳前後で引退して調教師になって......みたいな。父はかなり早く引退しましたけども、その頃の騎手たちは全体的に引退が早かったですからね。自分もそれくらいかなと。若い頃から体重の調整に苦心するところもありましたし。
今は自分より先輩でも現役で活躍されている方がたくさんいますからね。自分も今44歳になって、今でも良い馬に乗せていただけているし、昔思っていたような辞めるタイミングは失った......みたいなところはあるよね(笑)。
もちろんそれは、ありがたい事ですよね。おかげでレースに乗る事自体が嫌になったりという事はないですから。やっぱり長く乗れたからこそのこの記録でもありますから。
そういう話が出たのでうかがってみますけども、以前、岩手競馬が色々と改善活動を続けていた時、村上忍騎手自身も怪我をしたり騎乗停止になったりして、なんというか歯車がかみ合わない時期があったじゃないですか。あの頃に比べれば、去年や今年の忍さんは凄く調子がよく見えるんですよね。まだまだいける、まだまだやれる、って思うんですけど。
確かにその頃は、他の人に迷惑をかけてしまったし、騎手としてのモチベーションであったり技術であったり、年齢とともにそういう部分が落ちてきているのを自分で感じるようであれば......と思ったりもしました。今なんかも、体力的に全く衰えてないとは言わないけれど、長年の経験である程度やれるのかなって。調子が良いかどうか......は分からないけど、乗ってて楽しいなって思う時があるから、そういう瞬間があればあるほどなかなか辞めづらくなるというのはありますよね。
やっぱり体力的な衰えとか感覚のズレみたいなものを感じるようになってくる?
年齢を重ねるとどうしてもね。自分では変わらないと思っていてもそうなってくるのではないでしょうか。体型も変わってきますし。
でも、今年なんか凄く良い感じで乗れているなと、お世辞抜きで思いますね。
馬との巡り合わせもある事ですから、自分のモチベーションだけでどうこうできるものではないだろうけど、でも噛み合う噛み合わないはあるでしょうからね。今は、最低限それが噛み合っていて、それなりの結果につながっているのかな......っていうのは、少しだけ思ったりします。
あとここ最近は、例年より体重のコントロールがうまくできているから気持ちが凄く楽。長年減量をしてきているわけだから自分の中のルーチンがあって、いっぱいいっぱいだともちろん余裕が無くなるけれど、全く何もしないとそれはそれで調子が悪い。今年はそれがちょうど良い感じ。ちょっとだけコントロールして、体力的には割と余裕もってレースに挑めているって感じ。そういうのはやっぱり気持ち的に変わってきますからね。
年齢を重ねて変わってきた点のようなものはありますか?
そうですね、気持ち的には、若い頃はイケイケって言うか力任せな感じだったけれど、ここ10年くらいは、馬とのコンタクトが一番大事だなと思ってそこを気を付けて乗るようにしています。
走るのは馬で、乗り手はコントロールするわけで、乗り手が強すぎて馬の邪魔をしたらしょうがない。多分、若い頃の自分はそうだったと思いますよ。
3000勝から3年4カ月で3500勝に到達
村上忍騎手はもう大ベテランの域に入っていますけども、見ている方としてはまだまだ老け込まれては困る。ということで3500勝を超えてのもうちょっと先の目標を聞かせてください。
一番はやっぱり怪我をしないように、馬も人も無事に。そしてこの先は、数字的な目標は特に掲げていないですが、でも、いつも言っていますが乗っている以上は一つでも多く勝ちたい。自分のためにも馬のためにも、関わってくれている皆さんのためにもね。そこは欲張っていきたいなと思っています。今年は期待できる馬も乗せて貰っていますし、そこでしっかり結果を出していきたいなと常に思っています。
今年に関しては3500勝が迫っているのが分かっていたから自分の中で目標になっていた。そこをクリアできて自分として達成感はあります。これから4000とはね、なかなか言えないですけどね、レースに出るからには一つでも多く勝ちたいという部分は自分の中でまだなくしてはいません。
では最後にオッズパーク会員の皆さんに一言を。
コロナ禍の影響で移動であったり現地観戦であったりの制限が続いています。現地で見ていただきたい気持ちはもちろんありますけども、今はネットでも便利にレースを見る事ができますから、ぜひオッズパークで岩手競馬を応援していただきたいなと思いますね。
5月23日のあすなろ賞ではチャイヤプーンで今季の重賞2勝目。重賞戦線でも存在感ある戦いを演じている
インタビューの中でも触れたが、今季の村上忍騎手は非常に好調なのだろうと感じる。逃げてスローペースに持ち込むかと思えば好位からレースを動かして差し切ったり。それでいて本人の言葉のように自己主張しすぎることはない。成績の数字以上の安定感があると思いながら見ているのだが、ファンの皆さんはいかがだろうか。
これも本人が言われているように"あと500"はなかなか大変なのだろうけども、あと3年、今のペースで騎乗し続けてくれれば見えてくる目標だ。その時を迎えることができるよう、村上忍騎手を応援し続けたい。
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※インタビュー・写真 / 横川典視
4月19日に名古屋競馬場でデビューした塚本征吾騎手。初日から9鞍に騎乗し、初勝利も挙げる順調なスタートを切りました。
初勝利おめでとうございます!デビュー4戦目と、かなり早かったですね。
ありがとうございます。乗せてくれた関係者の皆さん、頑張って走ってくれた馬のおかげです。レースに関しては完全に馬に助けてもらったので......。でも初日に勝てたというのはすごく嬉しかったですし、一つ勝ったことで気持ちも楽になりました。
レースを振り返っていただきたいのですが、デビューから4戦目で初めての1番人気馬(第5レース、プライムエルフ)でした。
デビュー戦もガチガチだったんですけど、この時も緊張しました。周りから「1番人気だよ」ってずっと言われていて、「この馬で初勝利だろう」みたいなことも言われていたので、プレッシャーを感じてしまって。いろいろ考え過ぎてしまって、「メンタルが弱いな」ということに気付きました(苦笑)。道中は中団あたりだったんですけど、あんまり手ごたえがある感じではなくて、向正面までは本当に伸びるのかなと不安でした。でも3~4コーナーを回って手ごたえがすごく良くて、そのあたりで勝てるなと。でもそこで少し油断したというか、他の馬に迷惑を掛けないようにという気持ちが強くて、外々を回り過ぎてしまいました。
ゴールした瞬間はどんなお気持ちでしたか?
すごく嬉しかったです。今まで経験して来たことの中で一番嬉しかったですね。
4月19日、名古屋第5レースで初勝利
初日から9鞍騎乗というのはすごいですね。
たくさん乗せていただいて、関係者の方々に感謝しています。9鞍乗るには全然鞍が足りなくて、レースから上がって来て急いで鞍掃除して検量して装鞍してと、すごく忙しかったです。
塚本騎手はお兄さん3人が騎手ですが、みなさんバラバラの競馬場に所属していますよね。
そうですね。僕が競馬場を決める時も「どうしても来たいならいいけど、なるべく来ないで」って兄全員に言われました(笑)。僕自身も違う競馬場にしようと思っていたので、兄たちがいない競馬場の中で、名古屋がいいなと思って希望しました。
なぜ名古屋だったんですか?
年中開催でオフシーズンがないことと、僕が地方競馬教養センターにいる時に、宇都英樹先生が調教師試験を受けるために来ていて、その時に「名古屋は新人もたくさん乗せてもらえる環境だよ」ということを教えていただいて、ぜひ行きたいなと。
実際に名古屋にいってみていかがですか?
トレセンの環境にもすぐ慣れましたし、皆さんにすごく良くしていただいています。兄の同期の方が名古屋に2人いて、長男(甲賀弘隆騎手・金沢)と同期の村上弘樹さんと、次男(塚本雄大騎手・高知)と同期の加藤聡一さんにいろいろ教えていただきました。所属の競馬場は違いますが、兄たちからいい影響を受けているなと思います。
騎手になったきっかけは、一番上のお兄さんである甲賀弘隆騎手のレースを見に行って憧れたからだそうですね。
家族みんなで兄のレースを見に行って、そこで兄弟みんなが騎手になりたいと思って、ドミノ倒しのように全員騎手になりました(笑)。男5人兄弟なんですけど、一番下の弟は今中学生で、おそらく騎手を目指すと思います。
お兄さんたちのレースを見ている時と、実際に乗ってみての印象は違いますか?
全然違いますね。見ていた時はただ馬に乗っているという感覚で、そこまで深く考えていなかったんです。でもデビューしてみて、1頭の馬には馬主さんや調教師や毎日お世話をしてくれる厩務員さん、馬券を買ってくれているファンの方々などたくさんの人たちが関わっているんだと実感して。その重圧を感じながら兄たちは乗っていたんだなと思いました。
これまで4勝(2021年5月27日現在)を挙げていますが、その中でも会心の騎乗だったというレースはありますか?
会心というわけではないですけど、良かったなと思うのは4勝目のマリクシ(5月18日名古屋第5レース)です。名古屋って本当にゲートが大事で、半馬身出遅れただけでも致命的なんですけど、それまで僕はゲートをパッと出せていなかったんです。マリクシはゲートの中でちょっとガタガタしたんですけど、ハナを主張してそのまま逃げ切ることが出来たので、とてもいい経験になりました。
現在は朝何時に起きて調教しているんですか?
今は1時5分に起きて1時15分から27頭乗っています。
27頭?!20頭を越えると相当キツイという印象がありますが。
おそらく今の名古屋の中では一番乗っていると思いますね。1時15分から9時頃までずっと乗りっぱなしです。先輩からも、「今はとにかく時間が空いたら1頭でも多く乗った方がいい」と言われていますし、頑張り時ですから。午後も作業があるんですけど、その後の空いた時間は寝るか、レースビデオを見るか、木馬に乗るか。今は完全に競馬漬けですね。
では今後の目標を教えてください。
1年目はやっぱり加藤聡一さんの記録(56勝)を目指したいです。ちょっと大きすぎる目標ですけど。あとはヤングジョッキーズシリーズで決勝に行きたいです。三男(塚本涼人騎手・岩手)とは決勝に行かないと一緒に乗れないので、一緒に決勝に行けたら嬉しいです。
では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願いします。
初めまして。塚本征吾です。まだデビューしたばかりですが、努力を重ねて上手くなって、皆さんに信頼していただけるジョッキーになれるよう頑張ります。よろしくお願いします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:愛知県競馬組合)
園田・姫路競馬初の女性騎手として4月13日にデビューした佐々木世麗騎手。中学生の頃は落語家を目指していたこともあるという一風変わった経歴の彼女は、当地リーディングの新子雅司厩舎に所属し、デビュー2日目にメインレースで初勝利を挙げました。
小さい頃から色々な習い事をしていて、落語も習っていたそうですね?
小学1年生から落語塾に通い始めて、年に1回、発表会で落語を披露していました。中学1年生の時には文化祭で独演会をやろうと思って校内にポスターを貼っていたら、学校に取材に来ていた地元番組の方から「密着させてください」と声をかけられて、「勉強と落語の二足の草鞋を履いて頑張る」みたいな感じで取り上げていただきました。
落語でテレビの密着取材を受けながらも、当時はすでに乗馬も習っていたんですよね?
はい、習いはじめていました。ジョッキーになろうと思って乗馬を始めたわけじゃなくて、両親から勧められてやっていた時なので、まだ落語家を目指そうかなと思っていた時期でした。
落語家ではなくジョッキーになりたいと思った一番の決め手はなんですか?
馬に乗るのが楽しかったからです。落語も楽しかったんですけど、趣味の一つだな、と感じました。
佐々木騎手の鞍には扇子に名前が入ったロゴマークが描かれていますが、落語を意識してですか?
そうなんです。父がデザイナーなので、ロゴマークやサイン、所属する新子厩舎のキャップやポロシャツなど全部作ってもらいました。腹帯にも別のロゴマークが入っているんですが、落語の芸名の「いねむり亭オーロラ姫」にちなんで、ティアラのマークが入っています。
父がデザインしたという腹帯のロゴマーク
4月13日にデビューを迎えました。改めてデビュー日を振り返っていかがですか?
ふぁ~って過ぎていきました(笑)。初日はたくさん騎乗依頼をいただいて忙しくて、1日が早かったです。
デビュー翌日のメインレースでは単勝1.5倍のワシヅカミに騎乗し、逃げ切って初勝利を挙げることができました。
デビュー戦より緊張しました。緊張すると、口角が上がって笑顔になって、唇がぷるぷるするんですが、まさにそうなってきて「緊張してるやん」って自分で思いました。デビュー前はあんまり出遅れたことがなかったんですけど、初日はすべて出遅れてしまって「こんなに難しいんだ......」と心が折れていましたが、ワシヅカミでやっとスタートに成功して勝てて、気持ちがすごく楽になりました。
単勝1.5倍のワシヅカミで逃げ切り初勝利(写真:兵庫県競馬組合)
続く最終レースもタガノオボロで逃げ切って2連勝でしたね。
それまではゲートを出そうと思っていたから上手くいかなかったんですけど、ワシヅカミをきっかけに馬について行こうと思ったら、ちょっと気が楽になりました。タガノオボロも楽な気持ちで乗れましたし、最近は最後にゲートに入る馬を見て「あ、もう出るな」と確認しています。
初勝利の翌日にはゴールデンバレットで3勝目を挙げますが、ゲートの中で馬がゴソゴソしていました。焦ったりしませんでしたか?
デビュー初日の最終レースのバジガクレオーネのように首をガンッと下げられると焦って声が出ますけど、ゴソゴソしている分にはゲートが開こうとする時に体勢を整えられるので、まだ大丈夫です。
デビューから3週間が経ち、(5月6日現在)6勝を挙げています。印象に残るレースは?
やっぱり初勝利を挙げたワシヅカミです。ゴールするまでは他の馬の脚音がバタバタ聞こえて「嘘やん!待って、待って」と焦りましたが、ゴールした瞬間、「やったー!」と思いました。
当時は有観客でご両親も応援に駆けつけていて、一緒に口取り写真に収まることができて喜ばれたのではないですか?
「やったね!」と声をかけられました。親はずーっと「ワシヅカミ、ありがとう」と言っていました。
プライベートでは、最近ウサギを飼い始めたとか?
すごく可愛いです!男の子で、名前はグラッブ。ワシヅカミが名前の由来です。
初勝利の記念撮影(写真:兵庫県競馬組合)
なるほど!「掴む」つながりですね。さて、これからの目標を教えてください。
馬主さんや調教師さん、厩務員さん、そしてもちろんファンの方たちから信頼を得られるレースをしたいです。勝てれば一番なんですけど、勝てなかった時でも最後までしっかり追って頑張っていれば、「コイツ、しっかり乗ってきたな」と思ってもらえると思うので、そういうところで頑張っていきたいです。
最後にオッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
ファンの方たちには声を上げていっぱい応援してほしいんですけど、今は無観客なので、競馬場に来て声を出せるようになったら、たくさん「世麗ちゃん」って呼んでください。応援してもらえるようなジョッキーになれるように頑張ります。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
明け3歳によるイレネー記念をオーシャンウイナーで制し、ばんえい記念ではキタノユウジロウ(牡6)で2着と、活躍が目立つ菊池一樹騎手を紹介します。
ばんえい記念は乗り替わりで2着でしたね。
(前日)朝、調教師に乗り替わりを告げられました。ばんえい記念は、年度最後の目標。お客様の数も違うし、騎手として乗りたいレースです。不安よりは、調子が上がってきている、という思いで臨みました。障害を一腰で上がった瞬間、あっ!(勝てるかも)と。軽馬場の割に道中はみな慎重で、ゆっくりしたペース。(騎乗予定だった)松田(道明)さんならもっと強気に前に行ってたかな、と今になって思います。道中はコウシュハウンカイを見ながら行き、ゴール前で差せるかな、と思っていたら外からホクショウマサルが来て2着でした。
ばんえい記念2着のキタノユウジロウ
前日はイレネー記念を制しました。乗り替わり2戦目ですね。
挑戦者という気持ちで乗りました。ゴール前は、脚がもちそうだと思ったのでハミをあてながら進みました。乗りやすいいい馬です。真面目で行きっぷりがいいし、息も入れやすい。降りてからもしっかり歩いてくれる。性格は臆病なところがあります。キタノタイショウの子はみんな父に似て、臆病なところがある。
厩務員さんが喜んでくれてよかったです。「ありがとう」って握手を求めてきました。これからはクラスも上がるので、ゆっくりと使っていくことになると思います。
イレネー記念を制したオーシャンウィナー
乗り替わりでの勝利が多いですね。緊張はしないですか?
だいぶプレッシャーはなくなりましたね。一緒に走っているクラスの馬や、前走、前々走を見るようにしています。
クセのある馬に乗ることが多いように思います。それでもけがは少ないですね。運動神経がいいのでしょうか。
一度気性の激しい馬に乗ってから「菊池に乗せれば大丈夫」というようになったのでしょうか(笑)。他の馬に近づけない、クセを出さない、など事故が起きないよう気をつけています。運動神経がいいわけではないですよ。
ばんえいも新しいシーズンが始まりました。期待馬はいますか。
ヤマトタイコー(セン4)は重賞でどのようなレースをするか楽しみですね。フクフクライデン(牡3)はまだこれから、成長に期待。サクラダイチ(牡8)は年度が変わって、重量が軽くなってからが楽しみです。
2歳はいかがですか。第1回能力検査で時計上位のキョウエイハンターは楽しみですね。ヘッチャラも障害のうまさが目立ちました。
キョウエイハンターは自信を持って乗りました。馬体が大きく期待している。ヘッチャラはセンスがありますね。バネもある。顔に大きな流星があって魚目。見た目も注目してほしいです。
2歳は、デビューするまでにソリにならす馴致を行います。所属厩舎以外からも頼まれながらやっています。1日3、4頭はいるかな。1頭に4人ほどついて行い、私は足が速い方なので、引っ張って馬と一緒に走ることが多いですね。
キョウエイハンター
先行と追い込み、どちらが好きですか。
追い込み馬というのは障害が苦手な馬が多いからなぁ。逃げられるなら、障害力を生かして先行して降りて、歩いてくれる馬がいいですね。
菊池騎手は、もともと平地競馬のファンで、インターネットの求人を見てばんえい競馬の世界に飛びこんだんですよね。
馬ならなんでも良かったんです。平地のファンだったことがかえってよかったのかもしれない。ばんえいを知っていると大変さとのギャップに悩んでいたかもしれません。今は厩務員が少なくて大変です。試しでもいいから体験してばん馬に触れてみてほしい。それから考えてもいいと思う。最初から、人生かけようと思わなくていいんです。最近は、女性厩務員が頑張っていますよ。長く働いていますね。
騎手としては、結果が出なかったり、乗れなかったりするとやめたくなるときもありました。でもそういうときに限って調子が上がってくるんですよね。
オッズパーク会員の方に一言お願いします。
なかなかコロナが落ち着かないですね。ファンの方には体に気を付けてほしいです。今ではインターネットなどの画面でも見られるので、迫力が伝わるレースをできるよう頑張ります。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
アイバンホーと共に金沢の3歳戦線をけん引する中島龍也騎手(金沢)。大目標である石川ダービーに向けてお話を伺いました。
3月から新シーズンが始まりましたが、金沢競馬場は馬場改修して砂の質も大きく変わったそうですね。
そうなんです。路盤を改修して、これまでと違う産地の砂を全面入れ替えました。キレイだし痛くないし、すごく乗りやすいです。変わって良かったなと思いますね。
ここ何年かの金沢競馬場は、内有利や外有利の傾向が極端に変わっていた印象です。
時期によってかなり極端でしたよね。内ラチ沿いぴったりがいい時期だったり、内はまったく伸びなくて外が伸びやすい時期だったり。「同じコースでこんなに変わるの?!」という感じでしたけど、新しい馬場になってからはそこまで極端な傾向はないですね。1カ月以上使って、今のところは2、3分所から外がいいかなと。一番いいのは真ん中なので、道中2、3分所を走って直線になったらちょっと外に出してというのが現状王道かなと感じています。
中島騎手は2014年のデビューで去年は500勝達成。順調にキャリアを積み上げていますね。
順調に来られたのは関係者の方々のお陰なので、とても感謝しています。今年もいいリズムで勝てたらいいなと思っていますし、一番はアイバンホーでダービーを獲ることが目標ですね。
アイバンホーで金沢ヤングチャンピオン制覇(2020年11月22日)
金沢ヤングチャンピオン、北日本新聞杯と強い勝ち方でした。ただ何というか、外から見ていると難しい馬なのかなと感じます。
めちゃくちゃ難しいですよ!特にゲートですよね。もともとそういう雰囲気はあったんですけど、川崎の全日本2歳優駿に遠征に行った時、中で何度も立ち上がろうとしたじゃないですか。あそこから覚醒したのか、ゲートは本当に大変です。
全日本2歳優駿の後は休養を挟んで、3月23日の準重賞若駒賞に登場しましたけれども、12キロ体が増えてレースも圧勝でした。
若駒賞はゲートさえ出てしまえば勝てると思っていました。多少出遅れましたけど無事に出てくれて、その瞬間「勝てる!」と。あとは馬が勝手に進んでくれましたし、休養前より乗りやすかったです。
調教も大変なんでしょうか?
調教は担当厩務員の辻加武斗君がしています。マナバレンシアも担当しているんですけど、今の金沢の中では一番調教が上手いと思いますね。僕より年下ですけど、小さい頃から馬に乗っていたし、加武斗君が乗れない馬は他の誰も乗れないんじゃないかって思うくらい信頼しています。アイバンホーに関しては、僕はたまに追い切りに乗るくらいなので、加武斗君にお任せしています。
アイバンホーは北日本新聞杯も勝利(2021年4月18日)
石川ダービーへの手ごたえはいかがでしょうか?
休み明け初戦だった若駒賞の時、返し馬で乗って、あまりにも抜群過ぎてやばいかもしれない...と感じました。我の強い馬で、ゲートも心配だし、道中もやめちゃうからやめさせないように促して。その状況で大差勝ちですからね。能力的には頭一つも二つも抜けていますし、距離が長くなっても全然大丈夫だと思います。
石川ダービーといえば、2019年にロンギングルックで勝ちましたけれども、あの時は吉原寛人騎手騎乗の1番人気スターキャデラックをがっちりマークしていって、ダービーの舞台で腹の座った騎乗をするなと感動しました。
いろいろなことがラッキーだったと思います。その前の北日本新聞杯で、3~4コーナーで上がって行くレースをしたらスターキャデラックに完敗してしまって。この形では勝てないと痛感して、「こうなったらマークして最後直線で末脚勝負や!」って思っていたら、想像以上に手ごたえが良かったですね。
ダービーで逆転出来たというのは、自信になったのではないでしょうか。
あの時は追い切りも乗せてもらって、自分なりに考えて仕上げたことが、レースで上手くハマって嬉しかったですね。勝てたのは馬の頑張りと、普段から一生懸命やってくれている厩務員さん、乗せてくれたオーナーや調教師のお陰です。初めてダービーを勝ってすごく嬉しかったですけど、あんまり実感はなくて。デビュー前の能力検査の頃から乗せてもらった馬でダービーを勝って、他にも重賞をいくつも勝たせてもらって、ロンギングルックはすごく思い入れが強いです。今も頑張っていますから、今年も一緒に勝ちたいです。
改めて、今年の目標を教えてください。
いつもコツコツ小さいところから、と思っているので、まずは目の前のことを一つ一つ積み上げて行きたいです。数字的には去年以上に勝ちたいですし、アイバンホーと石川ダービーを勝ちたいです。ダービーを勝ったら新潟のレースに挑戦するプランがあって、それで中央デビューしたいですね。中央に乗りに行くチャンスはなかなかないので、このチャンスを掴みたいです。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願いします。
金沢競馬を応援していただきありがとうございます。これからも一生懸命頑張っていきますので、よろしくお願い致します。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:石川県競馬事業局)