4月19日に名古屋競馬場でデビューした塚本征吾騎手。初日から9鞍に騎乗し、初勝利も挙げる順調なスタートを切りました。
初勝利おめでとうございます!デビュー4戦目と、かなり早かったですね。
ありがとうございます。乗せてくれた関係者の皆さん、頑張って走ってくれた馬のおかげです。レースに関しては完全に馬に助けてもらったので......。でも初日に勝てたというのはすごく嬉しかったですし、一つ勝ったことで気持ちも楽になりました。
レースを振り返っていただきたいのですが、デビューから4戦目で初めての1番人気馬(第5レース、プライムエルフ)でした。
デビュー戦もガチガチだったんですけど、この時も緊張しました。周りから「1番人気だよ」ってずっと言われていて、「この馬で初勝利だろう」みたいなことも言われていたので、プレッシャーを感じてしまって。いろいろ考え過ぎてしまって、「メンタルが弱いな」ということに気付きました(苦笑)。道中は中団あたりだったんですけど、あんまり手ごたえがある感じではなくて、向正面までは本当に伸びるのかなと不安でした。でも3~4コーナーを回って手ごたえがすごく良くて、そのあたりで勝てるなと。でもそこで少し油断したというか、他の馬に迷惑を掛けないようにという気持ちが強くて、外々を回り過ぎてしまいました。
ゴールした瞬間はどんなお気持ちでしたか?
すごく嬉しかったです。今まで経験して来たことの中で一番嬉しかったですね。
4月19日、名古屋第5レースで初勝利
初日から9鞍騎乗というのはすごいですね。
たくさん乗せていただいて、関係者の方々に感謝しています。9鞍乗るには全然鞍が足りなくて、レースから上がって来て急いで鞍掃除して検量して装鞍してと、すごく忙しかったです。
塚本騎手はお兄さん3人が騎手ですが、みなさんバラバラの競馬場に所属していますよね。
そうですね。僕が競馬場を決める時も「どうしても来たいならいいけど、なるべく来ないで」って兄全員に言われました(笑)。僕自身も違う競馬場にしようと思っていたので、兄たちがいない競馬場の中で、名古屋がいいなと思って希望しました。
なぜ名古屋だったんですか?
年中開催でオフシーズンがないことと、僕が地方競馬教養センターにいる時に、宇都英樹先生が調教師試験を受けるために来ていて、その時に「名古屋は新人もたくさん乗せてもらえる環境だよ」ということを教えていただいて、ぜひ行きたいなと。
実際に名古屋にいってみていかがですか?
トレセンの環境にもすぐ慣れましたし、皆さんにすごく良くしていただいています。兄の同期の方が名古屋に2人いて、長男(甲賀弘隆騎手・金沢)と同期の村上弘樹さんと、次男(塚本雄大騎手・高知)と同期の加藤聡一さんにいろいろ教えていただきました。所属の競馬場は違いますが、兄たちからいい影響を受けているなと思います。
騎手になったきっかけは、一番上のお兄さんである甲賀弘隆騎手のレースを見に行って憧れたからだそうですね。
家族みんなで兄のレースを見に行って、そこで兄弟みんなが騎手になりたいと思って、ドミノ倒しのように全員騎手になりました(笑)。男5人兄弟なんですけど、一番下の弟は今中学生で、おそらく騎手を目指すと思います。
お兄さんたちのレースを見ている時と、実際に乗ってみての印象は違いますか?
全然違いますね。見ていた時はただ馬に乗っているという感覚で、そこまで深く考えていなかったんです。でもデビューしてみて、1頭の馬には馬主さんや調教師や毎日お世話をしてくれる厩務員さん、馬券を買ってくれているファンの方々などたくさんの人たちが関わっているんだと実感して。その重圧を感じながら兄たちは乗っていたんだなと思いました。
これまで4勝(2021年5月27日現在)を挙げていますが、その中でも会心の騎乗だったというレースはありますか?
会心というわけではないですけど、良かったなと思うのは4勝目のマリクシ(5月18日名古屋第5レース)です。名古屋って本当にゲートが大事で、半馬身出遅れただけでも致命的なんですけど、それまで僕はゲートをパッと出せていなかったんです。マリクシはゲートの中でちょっとガタガタしたんですけど、ハナを主張してそのまま逃げ切ることが出来たので、とてもいい経験になりました。
現在は朝何時に起きて調教しているんですか?
今は1時5分に起きて1時15分から27頭乗っています。
27頭?!20頭を越えると相当キツイという印象がありますが。
おそらく今の名古屋の中では一番乗っていると思いますね。1時15分から9時頃までずっと乗りっぱなしです。先輩からも、「今はとにかく時間が空いたら1頭でも多く乗った方がいい」と言われていますし、頑張り時ですから。午後も作業があるんですけど、その後の空いた時間は寝るか、レースビデオを見るか、木馬に乗るか。今は完全に競馬漬けですね。
では今後の目標を教えてください。
1年目はやっぱり加藤聡一さんの記録(56勝)を目指したいです。ちょっと大きすぎる目標ですけど。あとはヤングジョッキーズシリーズで決勝に行きたいです。三男(塚本涼人騎手・岩手)とは決勝に行かないと一緒に乗れないので、一緒に決勝に行けたら嬉しいです。
では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願いします。
初めまして。塚本征吾です。まだデビューしたばかりですが、努力を重ねて上手くなって、皆さんに信頼していただけるジョッキーになれるよう頑張ります。よろしくお願いします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:愛知県競馬組合)