ガルボマンボに騎乗して高知優駿を制した林謙佑騎手。初ダービー制覇のお気持ちを伺いました。
高知優駿制覇、おめでとうございます。
ありがとうございます。素直に嬉しかったです。
全国交流戦ということで強力な遠征馬もいましたが、レース前はどんなことを考えていたのですか?
南関東からの遠征馬は強いかなとは思っていたのですが、自分自身はヴェレノだけを意識して乗っていました。人気はそんなになかったですし、特別緊張もしなかったです。ガルボマンボの競馬が出来ればと思っていました。
レースは先行した3頭を見る形で4番手を追走していました。
最初からあの位置が欲しかったんです。スタートで出たら、あれくらいの位置に付けたいと思っていて、思い通りに運ぶことが出来ました。ガルボマンボはある程度前についていって、直線また徐々に伸びて行くというタイプで、切れ味だったらヴェレノの方が切れますから、そこは意識しました。2周目の向正面でヴェレノが内から見えたので、それで動き始めて。本当によく頑張ってくれましたね。ゴールした瞬間は「勝ったんだ」みないな感じで、意外と冷静でした。周りから「おめでとう」と言ってもらって、ジワジワ実感が沸きました。
ガルボマンボで高知優駿制覇
結果的には高知所属馬のワンツーでしたね。
他の競馬場でやったらわからないですけど、高知は砂が深くて特殊な馬場なので、走り慣れているというのは大きいと思います。
林騎手はもともと船橋競馬所属としてデビューし、高知に移籍したわけですが、高知優駿に参戦した南関東の関係者から「移籍して良かったな」と声を掛けられたそうですね。
僕自身もそう思います。高知でたくさん乗せていただいているので、移籍する時は悩みましたけど、改めて良かったなと実感しました。
林騎手にとっては2018年のトレノ賞以来、久しぶりの重賞制覇になりました。
正直、あまり重賞を勝ちたい勝ちたいという思いはなかったというか、もちろん勝ちたいんですけど、それよりも目の前の競馬に集中しようという気持ちでやって来ました。だからここまで長かったとは感じていないです。高知に移籍する時はかなり悩んで、桑島孝春さんの勝負服のデザインを継がせていただいているのに、移籍していいのだろうかという気持ちもあって。でもいろいろ悩んだ末に決断して、今では移籍して本当に良かったと思います。それも、周りの方々のお陰です。
ガルボマンボにとっては初重賞制覇がダービー制覇となりました。初めて乗った時はどんな印象でしたか?
初めてレースに乗ったのは昨年の秋(2021年11月20日高知第3レース/4着)で、最初の頃から競馬が上手だなという印象がありました。まだその時は重賞までは頭になかったですけど、今年に入って準重賞の土佐水木特別を勝った時に、長い距離ならもしかしたら同世代で一番強いかもしれないと。ダービーもチャンスがあるんじゃないかと、細川忠義調教師や厩務員さんたちが意識し始めて、僕ももしダービーに乗せてもらえるなら頑張りたいなと思いました。
ガルボマンボはどんな性格ですか?
普段はびびりなところがあるんです。調教だと後ろから馬が来るとハミをすごく取ってカリカリして。レースでは落ち着いていて、逆にハミを取らな過ぎて不安なくらいなんですけど。調教はそういう難しいところがあるので、元騎手の三村展久厩務員が、所属厩舎は違うんですけどずっと攻め馬を担当しているんです。自分はレースに乗せてもらっているだけなので、三村さんが調教してくれているというのが大きいです。乗せてくれたオーナーはじめ、周りの方々に感謝しています。
今後の目標を教えてください。
自分自身の目標は、たくさん乗せていただいて、その期待に応えられるよう精一杯頑張ることです。ガルボマンボとの目標は、とても競馬が上手な馬なので、僕が邪魔をしないよう気をつけながら、また一緒に頑張りたいです。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願いします。
いつも高知競馬を応援していただき、ありがとうございます。今は高知の注目度が上がって、売上もすごく上がって、とてもありがたいです。これまで頑張って来た方々が築いてくれた高知競馬を僕らの世代で壊さないよう、これからも頑張ります。ガルボマンボはまだまだこれからも成長すると思うので、人馬ともに応援していただけたら嬉しいです。
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※インタビュー / 赤見千尋
混戦ムード漂った第23回兵庫ダービーをバウチェイサーで制した笹田知宏騎手。兵庫三冠の開幕直前は「ダービー最有力候補」と目された一方、菊水賞3着、兵庫チャンピオンシップ10着と敗れてしまいました。そこから見事な巻き返しに成功した喜びの声、そして若い頃はニュージーランドで騎乗し、地方競馬の騎手免許を取得して今秋で11年を迎える笹田騎手自身のことを伺いました。
兵庫ダービー、おめでとうございました。
ありがとうございます。
バウチェイサーは今春の早い段階から地元で「ダービー最有力候補」と囁かれていました。ここまでの経緯を教えてください。
昨年、2歳秋に新子厩舎に来て、移籍初戦を強い勝ち方をして兵庫ジュニアグランプリ(4着)でもいい競馬ができたので、「来年は大きなところを目指そう」という話をずっとしていました。でも、菊水賞は馬の反応があまり良くなくて、敗因もハッキリしませんでした。それを踏まえた上で兵庫チャンピオンシップでは前半から気合いをつけて出して行ったのですが、それが兵庫ダービーでは生きたのかなと思います。それに、僕らの想像以上に馬もしっかり成長してくれて、感謝しています。
改めて兵庫ダービー当日を振り返りたいのですが、返し馬の感触はどうでしたか?
いつもより落ち着いていて、それがいいのか悪いのかはよく分からなかったんですけど、笠松や川崎に遠征した時もすごく落ち着いていてゲートの出も良かったので、きっといい方に向くだろうと思いながら、自分も落ち着こうと思いました。
ニネンビーグミなど同型馬の存在もありました。レースプランはどう描いていましたか?
はじめから2番手につけるつもりでした。笠松でゴールドジュニアを勝った時も2番手外でいい形で走ってくれて、兵庫ダービーでも想像していた通り2番手で力を抜いてくれました。
そうすると、3~4コーナーの手応えは?
良かったですね。今までにないぐらいのいい手応えだったので、本当はちょっと仕掛けるのが早いんですけど、でも「この手応えなら!」と思って行きました。
ダービーの勝負所をいい手応えで回ってくる時って、胸の高鳴りとかどうでしたか?
どちらかと言うといつもより冷静でした。ダービーだからというわけじゃなく、大事なレースの時はいつもそうなんですけど、勝負所のタイミングだけは間違えないようにと思っています。いつもより冷静に、馬の呼吸と背中の感触を確かめてからゴーサインを出しました。
兵庫ダービーを制したバウチェイサー
ゴール後には関係者に向かって喜びの声を上げているのが聞こえてきました。
菊水賞が悔しい負け方で、それを踏まえてみんなでここを目指してやってきたので、そこを勝てたというのは大きくて、自然と「よっしゃ!」と言っていました。ダービーが終わってからもたくさんの人に「おめでとう」と言ってもらえました。栗東の地元の友人や、父の元にも祝福の言葉があったみたいで、本当にダービーは特別なんだなと思いました。
笹田騎手の父はオークスなどを制した笹田和秀調教師(JRA)、祖父は数々のビッグレースを制した伊藤雄二元調教師(JRA)です。勝利騎手インタビューでの「この業界に生まれ育って、ダービーの重みはすごく分かっていました」という言葉に重みを感じます。
ずっと栗東トレセンの厩舎に住んでいて、祖父が管理するウイニングチケットが勝った時は7歳でした。子供だったので、ダービー前のピリピリしている感覚はよく分からなかったですけど、中学生くらいになると競馬場の雰囲気が変わるというのが伝わってきました。それに、そういう時に武豊さんはしっかり勝っていた方なので、自然と「ああいう風になりたいな」と目指しました。
ウイニングチケットでは柴田政人元騎手が悲願のダービー制覇を果たしましたが、今年の兵庫ダービーでは新子雅司調教師が「笹田騎手をダービージョッキーにするのが目標」とおっしゃっていた夢を二人で実現されました。
先生がそうおっしゃっているのを直接は聞いていないんですけど、レース後に周りの人から聞いて、先生の偉大さを感じました。僕は勝たせてもらったという立場で、本当に感謝しかありません。
笹田騎手は園田・姫路競馬でデビュー時は重畠勝利厩舎の所属でしたが、2013年に重畠調教師逝去により新子厩舎へ移籍しました。そこから重賞を勝ったり年間100勝など、どんどん輝いていっているように感じます。
新子先生のところに所属になった当初は、ここまでしっかり「師匠と弟子」という関係ではなくて、籍だけ置かせてもらったんですけど、そんな僕を先生はずっと乗せてくださいました。先生の成績が上がるにつれて僕の成績も上がっていないと、周りからの先生を見る目もあまり良くないと思うので、僕もちゃんと成績を上げないと、という自覚が芽生えていきました。でもまだまだ未熟で、もっと上手なジョッキーはいるので、もっとしっかり任せてもらえるように頑張りたいです。
これからの目標はなんですか?
バウチェイサーはこれからも大きいレースを狙っていくと思うので、僕自身もしっかり力をつけてグレードレースで勝負ができるようになりたいです。厩舎にはイグナイターという大きな看板馬がいるので、少しでも近づけるように頑張りたいです。
最後に、オッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
今回こうしてダービーを勝たせてもらえて、周りの人のありがたみというのがよく分かりました。これからもその気持ちを忘れず、少しでも色んな人に還元できるようなジョッキーになっていきたいなと思います。これからも応援してもらえたらなと思います。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
3月20日に行われたばんえい競馬の最高峰・ばんえい記念をメジロゴーリキで初制覇した西謙一騎手。人馬ともに父子制覇となりました。昨年度は124勝を挙げばんえいリーディング4位。コンスタントに勝利を積み重ねています。
ばんえい記念優勝、おめでとうございます。
ありがとうございます。レースでは普段通りに乗ることを心がけていました。帯広記念、北見記念と重賞は2着ばかりだったので良かったです。
昨年より楽に追走できたので、障害だけ気をつけていました。障害にかける前、軽くジャンプするような仕草があってやばいな、と思ったけれど馬場が軽い分辛抱して歩いてくれた。ゴール前は、横からメムロボブサップが来ていたのは見えていました。こちらも手応えはあり、止まりはしないだろうなと思っていた。接戦に強い馬です。
ばんえい記念を制したメジロゴーリキ
昨年の岩見沢記念でも、ゴール前3メートルでキタノユウジロウを逆転しましたね。1トンはいかがでしたか。
初挑戦の昨年、1トンでも堪えていなかった。自分は1週間前から触って調教していました。松井調教師は(ばんえい記念の)やり方をわかっているから任せています。去年よりは大人になった。昔は障害で止まったら寝るようなところもあったが、今年は止まっても次の腰が入っていた。性格は気分屋で、普段はやる気を出さず怒られながら調教しているよ。父のニシキダイジンも張り切って走る馬じゃないから、タイプは似ている。父ほど無理はきかないけどね。ばんえい記念を勝ち、ダイジンに近づいている。自分も父(西弘美元騎手、現調教師)が乗っていたトモエパワーから、いろいろな馬に乗せてもらってきた。1回でも勝てることは名誉。今年はメジロゴーリキで勝ち負けできるレースをしたいです。
牝馬ではヒロインズカップを勝ったアフロディーテが引退、繁殖入りしました。3歳ではクリスタルコルドも期待が高まります。
アフロディーテはえさを食べず体ができあがらなくて、手間のかかった馬です。病気もしなかった。
3歳は1頭抜けている馬(キングフェスタ)がいますが、クリスタルコルドも同じくらいになれば、と思います。レース中まっすぐ走れば(笑)。父のスピードフジは、産駒の頭数が少ない割に活躍している。現役時代は降りてから歩くのが特徴で、障害はあまり良くなかったのに、仔は障害がいい。みんな手間がかからず、触りやすい特徴があります。
ギンノダイマオー、トモエハイセイコーは今年度になってクラスが下がった。暑いのが苦手だから涼しいうちに結果を残したいです。5歳のトワトラナノココロは壁にぶつかっているところ。2歳馬はこれからです。
活躍が期待される3歳馬クリスタルコルド
コンスタントに結果を残している西騎手ですが、どのようにして騎乗技術を磨いてきたのでしょうか。
騎乗は、大河原和雄さん(現調教師、元騎手)や鈴木勝堤さん(元騎手)などが乗っているのを見て覚えた。言葉で聞いてもわからないから。デビューして2、3年で、いろいろと考えるようになったよ。周りの馬の脚質もだし、人間の心理も、無理しても先に行く人、馬に負担がかからないようにする人、というように大きく分類している。周りばっかり見ている。
昔はがむしゃらに乗っていた時代もあった。そのころは肩や腰に負担があったが、今は体を痛めてまでは乗らないように気をつけています。とはいえ結果は出さなくてはいけないからね。父の存在もある。終わってからならなんとでも言えるから、後悔しないように乗るだけです。
今年度からそりも黄色と赤になり、新しくなりました。勝負服の赤は同じですね。
あはは(笑)。今まではあまり目立たない色だったもんね。そりは、砂が中に入らないようになったり、すねが当たる場所にスポンジをあてたりするなど変更点がありました。
競馬場も、以前に比べたら景気はよくなってきています。厩舎に限らず、どこも人手不足の時代ですが、競馬場は、朝早いし時間制限はあるけれど、会社勤めに比べたら気楽にできる仕事だと思いますよ。
昨シーズン限りで引退したアフロディーテ
オッズパーク会員の方に一言お願いいたします。
今年の目標は怪我なくレースに乗ること。ばんえいは、目の前で見るのが一番だと思いますが、来て、とはまだ強く言えない状況ですね。早く、多くのファンの皆さんが競馬場に来れるよう願っています。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
NARグランプリ2021優秀新人騎手賞を受賞した飛田愛斗騎手(佐賀)。2020年10月にデビューし、地方競馬史上最速で通算100勝を挙げると、昨年のヤングジョッキーズシリーズ(YJS)ではファイナルラウンドに進出して総合優勝を果たすなど、勢いは止まりません。
NARグランプリ優秀新人騎手賞、おめでとうございます!
ありがとうございます。受賞できて嬉しいです。佐賀競馬の馬主さんと調教師のみなさんに可愛がってもらって、レースに乗せていただいたおかげです。
2021年6月27日には史上最速となるデビューから268日で地方通算100勝を挙げたほか、同年のYJSでは総合優勝を果たしました。
地方通算100勝は全く意識していなかったんですけど、あとわずかになるにつれ、いろんな人から「あと少しだね」と言われ、そこから意識しはじめました。YJSはトライアルラウンドが(地方)西日本2位だったので、ファイナルラウンドでは優勝したい気持ちが強かったです。1日目に大井競馬場で乗って、普段レースをしている佐賀競馬場とは違った長い直線を経験できたので、2日目のJRA中山競馬場では緊張することなく乗れました。
YJSファイナルラウンド大井第2戦で勝利
地方競馬教養センターには乗馬がほとんど未経験で入所し、ここまでの活躍はすごいですね。何かスポーツなどをしていたんですか?
テコンドーを習っていて、全国大会に出場しました。中学生の時に父と佐賀競馬場に来たことや、叔父さんが経営する居酒屋に佐賀競馬の関係者がよく来ていたことなどがきっかけで騎手になりました。地方競馬教養センターに入る前に1週間だけ厩舎に通って、そこで初めて乗ったゴールドパールという馬がいるのですが、先日のレースで引退しました。すごく大人しい馬だったことを覚えています。
昨年9月のサマーチャンピオンJpnIIIでは急遽の乗り替わりでイメル(JRA)の鞍上に抜擢されました。
いい馬で、あとワンパンチを僕が出せたらよかったのですが。頑張って、いずれダートグレード競走を勝ちます!
今年3月には早くも地方通算200勝を達成しましたが、勝てば勝つほど自身に足りないものも見えてくるのではないですか?
そうですね、メンタルがとても大事だと感じています。競馬は勝つ時もあれば負ける時もあって、「今日はダメだな」と落ち込んでいる時はどんなに強い馬に乗っても勝てません。焦っていないと思っていても、体が勝手に早く仕掛けたりしてしまうんですよね。逆に、「今日はいいな」という流れの時は「この馬で勝てた!」という時もあります。なので、人気馬で負けても、いかに切り替えて次のレースに乗るかが大切だなと感じています。
そういったメンタルコントロールはトップジョッキーになるほど上手でしょうね。一緒に乗ってみたいジョッキーはいますか?
大井競馬の矢野貴之騎手です。ソツなく乗られていて、めっちゃ上手だなと思っています。地元の(山口)勲さんや吉原寛人騎手(金沢)、笹川翼騎手(大井)、(石川)倭さん(北海道)もお手本にしています。トップジョッキーには何かしら魅力があるからこそトップになっていて、僕には足りないものがあるんだと思います。先日、佐賀競馬場では地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップがあって、同日の佐賀皐月賞に岡部誠騎手や吉原寛人騎手、倭さんも乗っていて、ワクワクしました。
佐賀皐月賞をザビッグレディーで勝利
あのレースはジョッキーもいつもより豪華でしたね。そんな中、ザビッグレディーに乗ってしっかり勝ちましたね。
ゲートを上手く切ってくれて、いい位置が取れてよかったです。4コーナーでは逃げたブルーデイジーも粘っていましたが、ザビッグレディーも内にささりながら何とか頑張ってくれました。
いまの目標は何ですか?
勝てるレースをしっかり勝っていきたいです。それと、他場へ期間限定騎乗で行って、自分の足りない部分を感じたいと思っています。
最後に、オッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
いつも応援してくださり、ありがとうございます。こんな僕ですけど精一杯頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子
昨年は206勝を挙げ、3度目の全国リーディング第1位に輝いた打越勇児調教師(高知)。今年もすでに98勝(2022年5月10日現在)を挙げ、全国リーディング独走中。快進撃が続いています。
まずは昨年全国リーディング第1位、おめでとうございます。キャリアハイの206勝を挙げ、3度目のリーディング獲得でした。
ありがとうございます。これもたくさんのいい馬を預けてくれるオーナーの皆さまのお陰です。ただ昨年は早い段階で数字的に少し抜けてしまったので、逆に変なプレッシャーがあったというか、ここからひっくり返されて負けたらどうしようという不安はありました。無事にリーディングを獲ることが出来て嬉しいですし、ホッとしました。
一昨年は1勝差で第2位でしたが、その悔しさというのもありましたか?
所属の競馬場が違うので、そこまで意識はしていないですね。もちろんリーディングを獲りたいという気持ちはありますけど。一昨年は11月の段階で角田(輝也)先生に離されていましたから、正直よく1勝差まで追いつくことが出来たなという気持ちです。
例年、調教師リーディングは接戦になるイメージでしたが、昨年はキャリアハイである206勝を挙げ、圧倒的な差をつけました。この要因は何でしょうか?
先ほども言いましたが、やはりオーナーの皆さまがいい馬たちを預けてくれるということが大きいです。それから(宮川)実、妹尾(浩一朗)、(井上)瑛太という所属の騎手たち、スタッフも含めて周りのみんなに恵まれているなと思います。
昨年の全日本2歳優駿でお会いした時に、「今年は実とダブルで獲りますよ」と仰っていました。その言葉通り、ご自身は全国リーディング第1位でNARグランプリ・最優秀勝利回数調教師賞を受賞、そして宮川実騎手は勝率28.3%で最優秀勝率騎手賞に輝きました。
実が勝率を獲れたことが何より嬉しかったですね。周りの方々の応援もありましたし、実自身の頑張りが大きかったですから。ただ、目黒雅叙園での表彰式がなくなったのは本当にショックでした。一緒に表彰式に出席したかったですね。
それは本当に残念でした......。宮川騎手は1月9日に地方競馬通算2000勝を達成されましたね。こちらの記録に関してはいかがですか?
この数字をずっと目標にしていたので、僕としてもとても嬉しかったです。
2000勝を達成した時の騎乗馬ララメダイユドールは、その後に二十四万石賞を制しました。高知では3連勝と底を見せていませんね。
相当な能力の持ち主ですが、なかなか順調に行かない面もあって、調整するのが大変なんです。実と一緒に試行錯誤をしながらやっています。レースに行けば圧倒的な力を発揮してくれますから、これからも馬の様子を見ながら大事に育てて行きたいですね。
二十四万石賞(4月17日)を制したララメダイユドール
御厨人窟賞を勝ったブラックランナーもスピードのある馬で、逃げ馬が2頭揃いました。
意識しているわけではないですが、そういう風になりましたね。どっちもスピードのある馬で、どっちも普段とてもうるさいです(苦笑)。大変な部分もありますが、だからこそあのスピードが出せるというのもあるかもしれません。距離的にはブラックランナーが短め、ララメダイユドールが長めとある程度傾向が違うので、それぞれに合ったローテーションを考えています。
御厨人窟賞(3月27日)を制したブラックランナー
ララメダイユドールもブラックランナーも、主戦は宮川騎手が務めています。宮川騎手はどんな存在ですか?
もともと実はうちの父の厩舎所属だったので、私が厩務員になった当初からずっと一緒にやって来ました。なんというか、ある意味では家族みたいなものじゃないですかね。(宮川)真衣(調教師)の立場とは違いますけど、想いは強いです。改めて聞かれると難しいですけど。なんだか不思議な関係ですね。
打越調教師といえば、調教師同期の菅原勲調教師(岩手)との繋がりも深いですよね。
(電話インタビュー中)今、ちょうど隣にいるんですけど(笑)。セールの馬を見るために、一緒に北海道に来ています。勲先生のことは調教師試験を受けるまでは、まったく面識がなかったですし、TVの中でしか見たことない方でした。それが、一緒に調教師課程を受けたことでご縁が出来て、仲良くさせていただいています。馬のことなどいろいろ教えていただいて、本当に感謝しています。
それでは、今後の目標を教えてください。
高知競馬場ではもちろん、他の競馬場でも重賞を勝ちたいです。以前はけっこう遠征に行っていましたが、ここ何年か行く機会がなくて、昨年全日本2歳優駿で久しぶりに遠征に行って、改めて他場で勝ちたいと思いました。あとは高知生え抜きの馬で、他場で勝ってみたいです。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願いします。
いつも高知競馬を応援していただき、ありがとうございます。私が開業した2012年に比べると、大きく様変わりして、正直怖いくらいに良くなりました。注目度も上がって、馬の質も上がっていますので、これからも面白い競馬をお見せ出来るよう、一生懸命頑張ります。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:高知県競馬組合)