3月20日に行われたばんえい競馬の最高峰・ばんえい記念をメジロゴーリキで初制覇した西謙一騎手。人馬ともに父子制覇となりました。昨年度は124勝を挙げばんえいリーディング4位。コンスタントに勝利を積み重ねています。
ばんえい記念優勝、おめでとうございます。
ありがとうございます。レースでは普段通りに乗ることを心がけていました。帯広記念、北見記念と重賞は2着ばかりだったので良かったです。
昨年より楽に追走できたので、障害だけ気をつけていました。障害にかける前、軽くジャンプするような仕草があってやばいな、と思ったけれど馬場が軽い分辛抱して歩いてくれた。ゴール前は、横からメムロボブサップが来ていたのは見えていました。こちらも手応えはあり、止まりはしないだろうなと思っていた。接戦に強い馬です。
ばんえい記念を制したメジロゴーリキ
昨年の岩見沢記念でも、ゴール前3メートルでキタノユウジロウを逆転しましたね。1トンはいかがでしたか。
初挑戦の昨年、1トンでも堪えていなかった。自分は1週間前から触って調教していました。松井調教師は(ばんえい記念の)やり方をわかっているから任せています。去年よりは大人になった。昔は障害で止まったら寝るようなところもあったが、今年は止まっても次の腰が入っていた。性格は気分屋で、普段はやる気を出さず怒られながら調教しているよ。父のニシキダイジンも張り切って走る馬じゃないから、タイプは似ている。父ほど無理はきかないけどね。ばんえい記念を勝ち、ダイジンに近づいている。自分も父(西弘美元騎手、現調教師)が乗っていたトモエパワーから、いろいろな馬に乗せてもらってきた。1回でも勝てることは名誉。今年はメジロゴーリキで勝ち負けできるレースをしたいです。
牝馬ではヒロインズカップを勝ったアフロディーテが引退、繁殖入りしました。3歳ではクリスタルコルドも期待が高まります。
アフロディーテはえさを食べず体ができあがらなくて、手間のかかった馬です。病気もしなかった。
3歳は1頭抜けている馬(キングフェスタ)がいますが、クリスタルコルドも同じくらいになれば、と思います。レース中まっすぐ走れば(笑)。父のスピードフジは、産駒の頭数が少ない割に活躍している。現役時代は降りてから歩くのが特徴で、障害はあまり良くなかったのに、仔は障害がいい。みんな手間がかからず、触りやすい特徴があります。
ギンノダイマオー、トモエハイセイコーは今年度になってクラスが下がった。暑いのが苦手だから涼しいうちに結果を残したいです。5歳のトワトラナノココロは壁にぶつかっているところ。2歳馬はこれからです。
活躍が期待される3歳馬クリスタルコルド
コンスタントに結果を残している西騎手ですが、どのようにして騎乗技術を磨いてきたのでしょうか。
騎乗は、大河原和雄さん(現調教師、元騎手)や鈴木勝堤さん(元騎手)などが乗っているのを見て覚えた。言葉で聞いてもわからないから。デビューして2、3年で、いろいろと考えるようになったよ。周りの馬の脚質もだし、人間の心理も、無理しても先に行く人、馬に負担がかからないようにする人、というように大きく分類している。周りばっかり見ている。
昔はがむしゃらに乗っていた時代もあった。そのころは肩や腰に負担があったが、今は体を痛めてまでは乗らないように気をつけています。とはいえ結果は出さなくてはいけないからね。父の存在もある。終わってからならなんとでも言えるから、後悔しないように乗るだけです。
今年度からそりも黄色と赤になり、新しくなりました。勝負服の赤は同じですね。
あはは(笑)。今まではあまり目立たない色だったもんね。そりは、砂が中に入らないようになったり、すねが当たる場所にスポンジをあてたりするなど変更点がありました。
競馬場も、以前に比べたら景気はよくなってきています。厩舎に限らず、どこも人手不足の時代ですが、競馬場は、朝早いし時間制限はあるけれど、会社勤めに比べたら気楽にできる仕事だと思いますよ。
昨シーズン限りで引退したアフロディーテ
オッズパーク会員の方に一言お願いいたします。
今年の目標は怪我なくレースに乗ること。ばんえいは、目の前で見るのが一番だと思いますが、来て、とはまだ強く言えない状況ですね。早く、多くのファンの皆さんが競馬場に来れるよう願っています。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香