今年(2017年)10月28日に地方競馬通算1000勝を達成した山本政聡騎手。弟の山本聡哉騎手がリーディングを守り続ける一方でやや目立たないように感じられるかもしれないが、山本政聡騎手も近年はシーズン100勝以上、リーディング上位をキープし続けている。今シーズンもリーディング3位をほぼ確実なものにしている山本政聡騎手にいろいろなお話を聞いた。
1000勝を達成して少し時間が経ったところでお話を聞いているのですが、どうでしょう、達成感のようなものははっきりしてきた?
それほど大それた感想はないですけれど、やはり節目になる事ですからできるだけ早く達成したかったし、盛岡開催のうちに達成できて良かったです。
2017年10月28日・盛岡第11レースで地方競馬通算1000勝を達成
2003年のデビューから500勝まで10年以上かかったのに、500勝から1000勝までは4年かからなかった。このペースアップぶりは見ていて凄いなと感じます。
良い馬に乗せてもらえているだけですよ(笑)
デビューから15シーズン目になりましたが、この間、自分自身が変わったとか成長したという部分はありますか。
変わったというか、考えないといけないことが増えたしうまくいかない事も増えた......でしょうか。昔よりもずっとたくさんレースに乗るようになったからそれだけ乗る馬のことや周りの馬のことも考えないといけない。乗る数が増えるということはそれだけ負けること、うまくいかないことも多くなるわけです。馬の能力をきちんと引き出してあげたいけれど必ずしも全部が全部うまくいくわけではなくて。だから自分はまだまだだなと、そう感じている時が多いです。
馬の力をきちんと引き出してあげる、というと?
よく"馬7・人3"と言うじゃないですか。その"3"の部分でどう乗るか。騎手としてはそこをできるだけ大きく使ってあげたい。"お前にはもっと力がある、もっと走れる"と馬に感じさせることができたらそれだけ力を出してくれる。
騎手が馬の力を決めつけてしまわない、みたいな?
自分も昔は"先行しなきゃダメ""良い位置獲らなきゃダメ""無理してでも前に行ってそれでバテたら仕方ない"とかそういうのにこだわっていたけど、もちろん時にはそういう乗り方も必要なんですが、今は、もっと馬の気持ちを考えてあげるとか、自分本位で競馬しないように、とか。
人間が人それぞれなように馬もそれぞれのペースの違いがあるから、そこを大事にして、余計な負荷をかけないようにして勝てるなら良いなと。
コウセン号に騎乗して盛岡芝1000mのレコードを実に21年ぶりに更新
これは山本聡哉騎手にも聞いてみたんだけど、最近、兄弟で乗り方っていうかレースの流れの掴み方が似てきたんじゃないかと思う。兄弟でワン・ツーというのも最近多いでしょう? 兄貴の方はどう感じますか?
んー。似ている感じは......しないかな。弟が良い馬に乗っている事が多いじゃないですか。だからおのずとレースの中で目標になる。だからそういう結果になる......という事はあるかもしれません。
兄から見た弟はどんな騎手ですか?
そうですね、いろいろな意味で"巧い"なとは思います。例えば馬群の中でこの位置に行きたい、あそこのポジションが欲しい、と思った時にもうそこにいる。先にいる。そういう点は巧いなと思って見ています。
絆カップ(11月5日・盛岡)ではタイセイファントムに騎乗し、ラブバレットを破って優勝。昨年の絆カップでもナムラタイタンを破って優勝しており"大物喰い"の山本政聡騎手だ
さて1000勝を達成して、さっきも言ったように最近のペースで行けるなら1500勝とか2000勝とかも決して遠い夢では無いと思うのですが、自身はこれから先はどう考えますか。
うーん。将来のことは、例えば何歳になったら騎手を辞めるとか、そういう事は考えていないです。身体の動きとかカンが鈍りはじめたら考えるのかなあ。今は、良い馬にたくさん乗せてもらっていますから、それを良い結果にできるようにしっかりやっていきたいしやっていこう......でしょうか。
あと、他所に乗りに行こうとか考えたりしない? 以前は冬場に荒尾に行ったりもしたけれど。1000勝したし、南関東で乗りたいって手を挙げれば行けないこともないと思うけども。
自分は牧場が好きなんです。牧場の仕事の流れが肌に合う感じがするし、馬を調教して仕上げていくのも好き。だから冬場は牧場に行きたいかな。
では最後にオッズパークの会員の皆さんにメッセージを。
これからも岩手競馬の応援をよろしくお願いします。
昨シーズンの『オッズパーク杯ゴールデンジョッキーズシリーズ』では総合優勝。今年も上位に付けている
同じ競馬場で戦っている以上、どうしても兄弟が対比・比較されてしまうのだが、騎手の戦いぶりとして"似ている所がありながらも違う部分は明らかに違う"というのは非常に興味深い。
大雑把な言い方かもしれないが、"理論派"の弟に対し"天才型"の兄と表現できるだろうか。ここに収まりきらなかった話の部分も含めての印象なのでうまく伝わらないかもしれないが、自分はそう受け取った。そして、遠くない将来、岩手のリーディングを争うのは山本政聡騎手と山本聡哉騎手の二人ではないか。そんな想いも強くなった。この先の兄弟の戦いはどうなっていくのかも楽しみだ。
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※インタビュー・写真 / 横川典視
9月7日に地方競馬通算3000勝を達成した愛知の角田輝也調教師。12月24日現在、熾烈な全国リーディング争いで、僅差でトップを守っています。リーディングへの想い、そして4戦無敗のサムライドライブについて語っていただきました。
3000勝達成おめでとうございます。
ありがとうございます。特に伝手もなく厩務員から調教師になって、最初はここまで数字を重ねられるとは思っていなかったです。たくさんのいい馬たちを預けてくれるオーナー、頑張ってくれる馬たち、スタッフのお陰ですね。ここまで1戦1戦前向きに取り組んで、がむしゃらにやって来ました。開業当初から名古屋でリーディングを獲りたいという夢を持っていて、「3年でリーディングを獲りたい」って最初の調教師インタビューで答えたら「生意気だ」って言われていろんな人に叩かれて(笑)。でも、それくらいの想いを持ってやらないといけないなと思いました。結局4年掛かっちゃいましたけど。
4年でリーディングを獲ったというのも十分すごいです。秘訣は何だったんですか?
荒川友司先生(笠松)も川島正行先生(船橋)もご存命で、その先生方にいろいろと教えていただきましたし、その教えを忠実に守るということを大事にして来ました。一番になりたかったら、一番の先生に聞くというのが近道だと思っているので。先生方も快く教えて下さって、本当に感謝しています。
具体的にどんなことを教えていただいたんですか?
いい運動、いい食事、いいケアという3つを教わりました。いい運動をするためにはちゃんとしたケアと食事を取らなければならないし、いい食事をするためには体のどこも痛いところがない状態にしないといけない。この3つのバランスが大事なんだと考えています。
現在は名古屋リーディングだけではなくて、全国リーディング上位の常連ですもんね。
そこはそんなに深く考えていないです。名古屋では獲りたいと思いますけど、全国リーディングは意識していません。
そうなんですか?! 現在熾烈な全国リーディング争いのトップを走っていますけれども。
周りからは言われますけど、全然意識していないです。だって、全国リーディングを獲りたいって思っていたら、前開催(12月4~8日)の笠松に使いに行ってますよ。1頭たまたま使う馬はいましたけど、先日忘年会と3000勝のパーティーをした時に「次の笠松開催は基本的に休みます。全国リーディング狙ってませんので」と公言しました。
狙っていけば獲れるところまで来ているのに何故ですか?
自分の欲でいくと馬に負担が掛かるんですよ。そこはやっぱり全国リーディングを獲らせてもらって、あの時(2015年)は馬主さんからも「どうしても獲ってくれ」と言われて厩舎一丸となって目指したわけですけど、やっぱりその後馬に負担を掛けたなと。まずは馬の体調を優先したいです。
角田調教師、高知の雑賀正光調教師、金沢の金田一昌調教師のリーディング争いを見てドキドキしているんですけれども。
もちろん獲れたら嬉しいですよ。でも本当にすごい方々を見ていると、数字は気にしていないですからね。あくまでも数字は結果論ですから。
続いてはサムライドライブのことを伺いたいんですけれども。オッズパーク地方競馬応援プロジェクトの3世代目で、デビューから4戦無敗でゴールドウィング賞を制しました。
本当にセンスがいいんですよ。だけど、これまで万全の状態で出走したのは3走目のJRA認定競走だけなんです。この時は追い切りもしっかり行くことができて、いい状態で挑めました。
10月24日、ゴールドウィング賞を制覇
体質が弱いと前々から言われていますが、ゴールドウィング賞はそこまでの仕上げではなかったんですね。
もちろん重賞ですし人気になる馬ですから、ある程度は仕上げていますけれども、まだ体質的にびっちりと攻め馬をしてレースに挑めるほどの体ではないんです。そこはこちら側が配慮をしてあげないと。
前走はゲート入りにかなりてこずったそうですね。
そうなんですよ。1600mのスタート地点が初めてだったせいか、新しい場所だとかなりイヤがってしまって。基本的に怖がりなんですよ。昨日と風景がちょっとでも違うと、納得するまで動かなくなってしまったり。馬場の中の木を少しでもカットしたら、それに気づいてびっくりしてしまうんです。認定も勝ってますし、本来ならば遠征も経験させたいんですけど、ムリをしてしまうとマイナスの方向に行ってしまうのではないかなと。体もですけど、もう少し精神的に余裕が出て来てからと考えています。
2か月間お休みしましたけれども、現在の様子はいかがですか?
馬体もだいぶしっかりして、440キロ台から今は450キロ台まで増えました。ただ、この仔の成長期はまだ先なのかなと。本当はもう少し増えて欲しいですね。今は元日のレース(湾岸ニュースターカップ)を目指して調整しています。追い切りも本数を重ねていますし、順調ですよ。休み明けというのはありますが、ここまで無敗できていますから勝ちは意識しています。
ゴールドウィング賞の記念撮影
精神的にも肉体的にも成長期がまだ先だとなると、育てて行く上でなかなか難しいですね。
そうなんです。3歳の秋頃にはもっと成長してくれると思うんですけど、今はとにかくムリしない範囲で調教を積みながら筋肉をつけていきたいです。そこのバランスは大事にしていかないと。ゆくゆくは東海ダービーを獲りたいですし、精神面が成長してゲートが安定すれば、他地区への遠征にも行きたいです。
では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願いします。
いつも応援していただき、ありがとうございます。うちの厩舎は調教師一人ではなくて、スタッフ全員でレースに挑んでいます。レースに出る限りは人気に関係なく精いっぱいのレースをしたいと考えていますので、応援よろしくお願い致します。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:愛知県競馬組合)
11月26日に地方競馬通算1000勝を達成した、金沢の藤田弘治騎手。昨年は初の金沢リーディングに輝き、今年もここまでトップを走っています。
1000勝おめでとうございます。大きな区切りですね。
ありがとうございます。でも実はあんまり気にしてなかったです(笑)。全然知らなかったくらいで。あと1勝くらいの時に、「実況で言ってたよ」って検量室にいるおばちゃんたちに聞いて、「あ、そうなん?」て。聞いてからもそんなに意識はしなかったですね。達成しても数字的なものは何も感じなかったんですけど、ここまで来られたのは本当に周りの方々のお陰だなって思いました。
1000勝の中で印象の強いレースはありますか?
やっぱり重賞を獲った馬は思い入れが強いです。去年の北國王冠を勝ったトニーポケットや、今年のサラブレッド大賞典を勝ったヤマミダンスとか。
特にヤマミダンスは金沢を代表する馬ですけれども、どんな馬ですか?
川崎のロジータ記念の時は、揉まれても普通に走っていたので、精神的に成長してくれたなと感じました。前は揉まれると本当にパッタリだったらしくて。それを考えると、着順うんぬんより内容は良かったかなと思いますね。性格的には気難しい女の子ですよ(苦笑)。ハナに行ったら強いのに、番手だと全然伸びなかったり。初めて乗ったのがMRO金賞だったんですけど、3番手について手ごたえが良くて、まくれるものだと思っていたら、追って全然伸びなくて、「あれ?」って感じでした。2戦目(加賀友禅賞)は躓いてしまって全然ダメで、3戦目のサラブレッド大賞典で逃げて勝つことができたんですけど、その後も番手だと負けてしまって。あの馬に乗ったら常に人気になるし、2着じゃダメなんですよね。
精神面がかなり大きいようですね。
そうなんですよ。相手うんぬんよりも自分との戦いなんです。すごく力のある馬ですし、注目される馬に乗せていただいて、自分にとってもいい経験をさせてもらってます。ただ...、中日杯は52キロだったので、お断りさせていただいて...。52キロでも乗れないことはないんですけど、ムリな減量で迷惑をかけてもいけないし。乗れなくて申し訳なかったですし、残念でした。
2001年にデビューして17年。ここまでを振り返っていかがですか?
1000勝するのは遅かったと思います。リーディングを獲っている人はもっと早いですからね。ここまでを振り返ると...、デビューの頃は全然乗れなかったので、よくここまで来られたなと。初勝利まで3カ月も掛かりましたし、その後も順調じゃなかったですし。
よく挫けなかったですね。辞めたいと思ったことはなかったんですか?
それはなかったんですよね。キツイ時期もありましたけど、なんだかんだやってました。やっぱり馬が好きですし、毎年去年の自分の成績を目標に、それを上回るようにとコツコツやってきた感じです。今年は去年の自分に負けそうですけど...。
去年は121勝を挙げて初のリーディングを獲得しましたもんね。
リーディングはすごく嬉しかったです。リーディングを獲りたいという意識は強いので。去年は勝ち星的に上がったんですけど、特に自分がどうとかじゃなくていい馬に乗せてもらったことが大きかったです。その馬たちががんばってくれたおかげでリーディングになることができました。
去年の飛躍は何かきっかけがあったんですか? その前の年のスーパージョッキーズトライアルで優勝して、ワールドオールスタージョッキーズに出場したこととか。
それはいい経験になりましたけど、リーディングとは特に関連はないかなと思います。常に上手くなりたいと思ってますし、どうやったら上手くなれるかというのは考えていますけど、去年に関しては流れが良くて、いい馬にたくさん乗せてもらえたというのが一番大きかったと思います。
2015年ワールドオールスタージョッキーズに出場しJRA初勝利
今年も現在リーディングを走っていますね。
今年はずっと混戦で、最近ちょこっと抜けてリーディングなんですけど、まだまだわからないですよね。まったく油断はできないです。ただ、リーディングは絶対獲りたいと思っています。そこは特別なので。
リーディングとなると、金沢の看板を背負う存在ですよ。
そういう風に見られてるんですかね? もしそうなら嬉しいですけど。気持ち的にはプレッシャーとかはないですね。
先日同じ金沢所属の吉原寛人騎手が、JRAの京阪杯を勝ちましたね。
やっぱりすごいですよね。吉原とは同期で同じ金沢所属で。デビューの頃からものすごかったですけど、今でもすごいと思います。目の前に大きな目標としていてくれるので、すごく刺激を受けますね。
では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願いします。
今年はもちろんリーディングを狙っていますし、来年も再来年もずっと獲り続けられるようにがんばります。そして次は2000勝を目指します。一生懸命がんばりますので、今後も金沢競馬、藤田弘治を応援していただけたら嬉しいです。
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※インタビュー / 赤見千尋
10月11日笠松競馬第3レースで、地方通算1500勝を達成した名古屋の大畑雅章騎手。地方競馬を代表する馬に育ったカツゲキキトキトとのコンビで、いよいよダートグレード制覇を目指します。
1500勝達成おめでとうございます。
ありがとうございます。区切りなので嬉しいですね。ここまで来ることができたのは関係者の方々のお陰ですし、がんばって走ってくれた馬たちのお陰です。これからも感謝の気持ちを忘れずがんばります。ただ、1500という数字はそれほど意識はしていなかったです。やはり2000勝が目標なので、ここは通過点だと思っています。
大畑騎手といえば、カツゲキキトキトとのコンビで全国的に活躍していますが、本当に強くなりましたね。
ですね。使うたびにどんどん力を付けてくれています。白山大賞典は2着にがんばってくれましたけど、レース前はJRAの強い馬たちがたくさんいるし、掲示板に乗れたらという気持ちもありました。でも最後までがんばってくれて、クリノスターオーとの叩き合いを制して2着になってくれて...。勝ち馬は強くて負けは負けですけど、本当に力を付けてくれたし、価値のある2着だったと思います。
去年の白山大賞典は6着でしたもんね。
去年と比べると相当力を付けてますね。3歳から4歳にかけてすごく強くなりました。具体的には馬が落ち着いたことが大きいです。もともとやんちゃというか、けっこううるさいんですよ(苦笑)。そのあたりが落ち着いてきて、いい方向に向かっているんだと思います。
カツゲキキトキトは、ゴールド争覇(10月27日・名古屋)でトウケイタイガーとの一騎打ちを制した(写真:愛知県競馬組合)
前々走のゴールド争覇は兵庫のトウケイタイガーとの一騎打ちを制しましたが、やはりトウケイタイガーは意識していましたか?
いや、まったく。まったくというか、ダートグレードを勝っている強い馬ですから、胸を借りるつもりで乗っていました。それに、1400mもこの馬には忙しくて苦手傾向があるので。でもレースは強かったですね。ダッシュがいまいちで後方からになりましたけど、道中は自分のリズムを大事にして進みました。3~4コーナー外からいい手ごたえで上がって行って、そこからすごく伸びてくれて。相当力をつけているなと思いました。
そして前走の東海菊花賞は6馬身差の圧勝でしたね。
得意の距離でしたし、メンバー的にも絶対に勝たないといけないと思っていました。すんなり2番手につけられましたし、最後まで手ごたえも良くて何も言うことないレースでした。
カツゲキキトキトは東海菊花賞(11月16日)で6馬身差圧勝(写真:愛知県競馬組合)
大畑騎手も自信を持って騎乗しているように見えます。
そうですね。この馬は前に馬がいればいくらでも追いかけるし、自分が先頭に立っても後ろから来る馬がいるだけ動きます。本当に根性があるし、闘争心が強いんですよ。
次は名古屋グランプリということでいいでしょうか?
はい。今年の最大目標です! 去年はまだ力をつけている段階で、たまたま3着に入れたという感じでした。今年は狙って勝ちに行きたいです。
こういう馬がいると、モチベーションも高まるんじゃないですか?
本当にすごい馬と出会うことができました。最初に乗った頃は、まさかここまで来るとは思っていなかったです。正直、なんでここまで強くなったのか(笑)。いきなり強くなりましたからね。最初は笠松デビューだったんですけど、ひ弱で体質が弱くてという感じで、負けるレースも多かった。もともと心肺機能は優れていたんですけど、3歳になってから体も増えていって、いろいろなものが身になったのかなと。ダートグレードを狙える馬に出会えるなんて、なかなかないですから。
普段の調教から大畑騎手がつきっきりだということですが、性格はどんな馬ですか?
多分やんちゃすぎて他の人では調教つけられないかもしれないですね(苦笑)。
全然落ち着いてないじゃないですか!
いや、前に比べればだいぶ落ち着いたんですけど、ちょっと油断するとどっか行っちゃいますから。力があるし、行ったらもうダメです。抑えられないです。それに、人を見て悪さをするんです。頭がいいんですよ。そういう意味でも普段から緊張感を持って乗っていますね。
ダートグレードや全国交流戦で注目されるというのは、プレッシャーもあると思いますが。
そこは以前乗せていただいていたピッチシフターでの経験が生きていると思います。いろいろな競馬場に行かせてもらって、ダートグレードの乗り方も教えてもらいましたから。やっぱりダートグレードは他のレースとは違うので。この馬にもいろいろ経験させてもらって、基本的には普段は緊張しなくなりました。ただ、地元重賞の方が緊張しますね。絶対に負けられないので。
では最後に、名古屋グランプリに向けて意気込みをお願いします。
ダートグレードでいいレースができる馬がいるというのは、周りの方々も応援してくれますし、期待していただけて嬉しいですね。去年は3着でしたけど、今年は勝ち負けを意識して乗ります。どういう競馬になるかわからないですけど、1つでも上の着順目指してがんばります。
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※インタビュー / 赤見千尋
3年連続佐賀リーディングを目指す九日俊光調教師。今年はスーパーマックスで九州ダービー栄城賞を勝ち、古馬に混じっても大活躍を続けています。
今年ここまで119勝(2017年11月27日現在)を挙げて佐賀リーディングを走っています。2015年から3年連続でのリーディングトレーナー目前ですね。
馬ががんばってくれてますからね。馬主さんがたくさんのいい馬たちを預けてくれて、スタッフたちが一生懸命やってくれて、それで馬たちが走ってくれているので。自分としては何とも。周りのお陰です。
リーディングはあまり意識していないんですね。
全然していないです。ひとつひとつのレースに真剣に向き合っていった結果として、年間を通してリーディングということになるわけですから。目の前のレースは勝ちたいですけど、リーディングというのはまったく意識してないですね。
今年は3歳馬スーパーマックスが大活躍ですね。
本当にがんばってくれてますね。この馬はデビューからうちにいたわけではないので、生みの親ではなくて育ての親になるわけですけど、九州ダービーを目指して春にうちにやってきて、そこから順調に育ってくれています。
九州ダービー栄城賞を制したスーパーマックス
佐賀でデビューして無敗の5連勝後に南関東へ移籍していたわけですが、その後転厩して来た時はどんな印象でしたか?
うちは去年あまり2歳馬がいなかったもので、実はこの馬のこともよくわかっていなかったんですよ。だから、まっさらな状態からこの馬を見たんですけど、とてもいい馬ですし、一生懸命走ってくれる仔だなと思いました。普段はやんちゃなんですけど、調教は鮫島(克也騎手)くんに任せているので安心です。
九州ダービー栄城賞は1番人気での勝利でしたが、勝負所でオヒナサマが早めのマクリを決め、一瞬届かないんじゃないかと思ってしまいました。
わたしもそう思って、4コーナーを回る時には帰り支度をしようかと思いました(笑)。佐賀の短い直線で、よく差し切ってくれましたよね。ダービーを獲りたいということでうちに来たので、結果を出せて本当に良かったです。
続く高知優駿では、故障馬の影響で落馬となってしまったのが残念でした。
そうですね。幸いにも大きなケガがなくて良かったです。あの高知のフリビオンは強いですね。西日本ダービーも勝ちましたから。うちの馬は途中で落馬となってしまいましたけど、高知の深い馬場も合わないなと感じました。もっと軽い馬場とか、芝が合っているんですよ。だからJRAにも挑戦しているんですけど、さすがにオープンでは相手が強いですね。
12月2日には阪神競馬場でチャレンジカップに参戦予定だと伺っています。
重賞なのでさらに相手は強いですけど、状態もいいですし、芝は合うと思うので。せっかくの認定馬ですから、相手が強くても胸を借りるつもりで挑戦してきます。
芝が合うということは、来年は盛岡の芝というのはいかがですか?
いつか行ってみたいとは思っています。実は先日の水沢のダービーグランプリも行ってみようかなという気持ちはあったんですよ。でも佐賀からだと遠いですからね。まだ3歳ですし、今回は諦めました。テレビで見ていたんですけど、すごい吹雪の中のレースで。いつか岩手に遠征に行く時には、いろいろな対策をしていかないといけないなと思いました。
それでは、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願いします。
いつも佐賀競馬を応援していただき、ありがとうございます。わたしはあまり目立ちたい方ではないので......これからも地道にコツコツがんばります。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:佐賀県競馬組合)