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3/20ばんえい記念回顧

2023年3月21日(火)

メムロボブサップが昨年2着の雪辱

 3月20日(月)には重賞・ばんえい記念(4歳以上オープン)が行われ、単勝1番人気のメムロボブサップが優勝。アオノブラックとのゴール前一騎打ちを制し、現役最強馬の座につきました。

【出走馬】※カッコは負担重量、右の数字は単勝最終オッズ
 1.インビクタ(1000) 35.8
 2.コマサンブラック(1000) 5.2
 3.アアモンドグンシン(1000) 15.7
 4.アオノブラック(1000) 3.7
 5.キタノユウジロウ(1000) 28.9
 6.マツカゼウンカイ(1000) 34.1
 7.ミノルシャープ(1000) 35.1
 8.メジロゴーリキ(1000) 7.2
 9.メムロボブサップ(1000) 2.1
 10.コウテイ(1000) 53.1

 今年はフルゲート10頭となった年度末の大一番。単勝1番人気となったのはメムロボブサップ。ばんえい記念初挑戦だった昨年は2着で、今季16戦して3着以内を外したのは岩見沢記念・4着のみと崩れがない成績からも単勝2.1倍と高い支持を集めました。昨年の3着馬で今季帯広記念など重賞4勝のアオノブラックが2番人気。帯広記念で3着と健闘し、4戦連続連対中と好調のコマサンブラックが3番人気。昨年のばんえい記念馬メジロゴーリキが4番人気で続きました。

 メムロボブサップが第1障害をすんなりと越えて先行し、コマサンブラック、メジロゴーリキ、インビクタが追走。アオノブラックは第1障害で膝をつき、後方から追走する展開となります。今年はコースの砂利をほぐす工事が行われたこともあり、レース前半は各馬何度も刻みながら歩を進めるゆったりとした流れ。第2障害下にはメジロゴーリキとインビクタがほとんど同時に先頭で到達し、ここまで2分3秒というペースでした。
 じっくりためたのち、最初に動いたのはメジロゴーリキでしたが、登坂途中でひと息。連れて仕掛けたインビクタは膝をつき、ほかの馬も障害で苦戦するなか、最初に天板に脚をかけたのはアオノブラックでそのまま先頭で通過します。メムロボブサップがやや離れた2番手で通過し、さらに離れてメジロゴーリキ、コマサンブラックが続きます。
 メムロボブサップが力強い脚取りで徐々に差を詰めると、逃げていたアオノブラックは残り10メートルで一杯に。その間にメムロボブサップが先頭に立つと、立て直して食い下がるアオノブラックをわずかにしのいで先頭でゴール。3着にはメジロゴーリキが入り、これが引退レースとなったマツカゼウンカイ、キタノユウジロウはそれぞれ4、6着。なお、アアモンドグンシンとコウテイは第2障害で競走を中止し、残念ながら全馬完走とはなりませんでした。

 勝ったメムロボブサップは、前走から34キロ馬体を増やし、昨年の経験も生かされた印象。近2年は降雪の影響などもあり、勝ち時計が2分40秒台と比較的速い時計での決着でしたが、今年は3分34秒4という力を要する馬場状態となり、7歳世代のライバル・アオノブラックとの一騎打ちを制しました。
 一方、アオノブラックは第1障害で膝をついて後方からとなりましたが、それを挽回し見せ場をつくっての2着。来シーズンも古馬戦線はこの7歳二強を中心に展開しそうです。

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阿部武臣騎手「近年になく、乾いた馬場のばんえい競馬だったので、障害もひと腰では絶対に無理だし、なるべく早く降ろしたかったんですけど、アオノブラックが先に降りていたので、それでもうまく降りてくれました。(障害を2番手で降りた後は)差が開いていたので差し切れないかなと思って、2回か3回は止まるんじゃないかなとも思っていましたが、良く辛抱して1回も止まらずに(先頭で)ゴールしてくれました。このレースだけは他の重賞と違って特別なレースで、どの騎手もそうだと思いますが、騎乗したい、1着を獲りたいと思う、本当に夢のレースだと思います」

坂本東一調教師「こんな嬉しいことはないですね。年中通して最高の健康状態に持ってきているので、負けても全然悔いはなかったし、主戦騎手が毎日かかさず調教をしてくれていたので信用して任せています。第2障害のひと腰目で天板まで上がった時には勝った、と思いましたが、二の腰でまだ早い、と声が出ました。主戦騎手は魅せてくれますね。みんなをハラハラドキドキさせるところがまたいいレースだったと思います。(ゴール前は)馬と騎手よりも私の心臓が止まるんじゃないかと思うくらい力が入りました」

3/19イレネー記念回顧

3歳世代最強はアシュラダイマオー

 3月19日(日)には重賞・イレネー記念(3歳オープン)が行われ、単勝5番人気のアシュラダイマオーが優勝。重賞初挑戦で見事明け3歳世代の頂点に立ちました。

【出走馬】※カッコは負担重量、右の数字は単勝最終オッズ
 1.タカラキングダム(690) 4.9
 2.アシュラダイマオー(690) 23.6
 3.マルホンリョウユウ(690) 5.9
 4.スーパーチヨコ(670) 出走取消
 5.キョウエイプラス(690) 1.4
 6.ハゴロモファルコン(690) 118.6
 7.ホクセイタイヨウ(690) 45.8
 8.コーワホープ(690) 85.1
 9.ジェイライフ(690) 70.0
 10.ジェイヒーロー(690) 14.5

 紅一点のスーパーチヨコが出走取消。ヤングチャンピオンシップ、翔雲賞を含め世代最多の12勝を挙げるキョウエイプラスが単勝1番人気。翔雲賞では他の出走馬より10キロ以上重いトップハンデを課されながら完勝だったこともあり、単勝1.4倍の断然人気となりました。ナナカマド賞1着、ヤングチャンピオンシップ2着などデビューから14戦9勝、2着3回、3着2回のタカラキングダムが2番人気。翔雲賞2着、ナナカマド賞3着などデビューから17戦すべて3着以内のマルホンリョウユウが3番人気。ここまでが単勝ひと桁台の人気で、三つ巴の争いが予想されました。

 第1障害を先頭で越えたのはキョウエイプラスでしたが、マルホンリョウユウとタカラキングダムが先行すると、ジェイヒーローが追走。キョウエイプラスはこの後ろからで、ホクセイタイヨウ、アシュラダイマオーと続きます。全馬690キロで初の重量ということもあり、各馬慎重に刻みながら歩を進め、徐々に位置取りを上げたジェイヒーローとタカラキングダムがほとんど同時に先頭で第1障害に到達。レース前半は47秒というペースで進みました。
 第2障害で最初に仕掛けたのはタカラキングダムですが、登坂途中でひと息。後続も障害に苦戦しますが、そのなかからマルホンリョウユウがふた腰先頭でクリアし、キョウエイプラスも立て直して差なく2番手で通過します。
 障害を越えてすぐにキョウエイプラスが先頭に立ちますが、障害で苦戦したせいか脚取りは重く、離れた3、4番手で障害を越えたタカラキングダムとアシュラダイマオーがじわじわと差を詰めてきます。残り15メートルあたりでキョウエイプラスが一杯になり、替わって先頭に立ったマルホンリョウユウも残り10メートルで一杯になると、アシュラダイマオーがこれらを交わし、最後まで止まらずに歩き切って先頭でゴール。2着争いは3頭の接戦となりましたが、立て直したマルホンリョウユウがわずかに先着。キョウエイプラスは3着に敗れ、タカラキングダムが4着でした。

 勝ったアシュラダイマオーはここまで3勝。A級-1組での勝利はなく、重賞初挑戦ながら見事に実績馬を下しての勝利となりました。新たなスター誕生で来季の3歳戦線が楽しみになりました。

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西謙一騎手「勝ったことにびっくりしています。強い馬4頭が先に行くだろうなと思っていたので、それを見ながら行こうと思っていました。その馬たちが障害で止まっていたので、障害の下でじっくり息を入れられた分、最後までしっかり歩いてくれました。こちらもいつ止まるかわからなかったので、最後まで頑張ってくれという思いでした。(この馬のいいところは)すごく真面目で一生懸命に歩いてくれるところです」

3/12ポプラ賞回顧

2023年3月13日(月)

4歳馬ヘッチャラが接戦制す

 3月12日(日)には重賞・ポプラ賞(4、5歳オープン)が行われ、単勝7番人気のヘッチャラが優勝。マルホンリョウダイとのゴール前の接戦を制しました。

【出走馬】※カッコは負担重量、右の数字は単勝最終オッズ
 1.クリスタルコルド(790) 42.3
 2.ヤマカツエース(790) 29.2
 3.ダイヤカツヒメ(740) 18.2
 4.ヘッチャラ(790) 24.9
 5.マルホンリョウダイ(760) 13.2
 6.マサタカラ(760) 15.7
 7.オーシャンウイナー(780) 1.7
 8.ミソギホマレ(780) 69.8
 9.ツガルノヒロイモノ(760) 8.5
 10.サクラヒメ(790) 4.0

 昨年4歳時に790キロでこのレースを制したオーシャンウイナーは、今年はトップハンデより10キロ軽い780キロでの出走。重量に恵まれたここは単勝1.7倍と断然の支持を集めました。5連勝で天馬賞も圧勝したサクラヒメは除外明けで、牝馬で790キロを課される厳しい条件ながら2番人気で5歳馬優勢の見立て。今年1月の4歳特別・白雪賞を圧勝したツガルノヒロイモノが3番人気で、あとは単勝ふた桁台の人気となりました。

 最軽量のダイヤカツヒメが果敢に先行しますが、ひと息入れるとヘッチャラ、クリスタルコルド、マルホンリョウダイ、オーシャンウイナーが位置取りを上げ、前は横一線になります。中間点を過ぎたあたりでサクラヒメも位置取りを上げ、わずかに先頭で第2障害下に到達。ここまで45秒というペースで流れました。
 第2障害ではまずダイヤカツヒメが仕掛けますが、差なく続いたヘッチャラがひと腰先頭でクリア。ダイヤカツヒメ、マルホンリョウダイと続き、障害で膝をついたオーシャンウイナーは立て直して差のない4番手で通過。離れてツガルノヒロイモノが5番手で通過します。
 オーシャンウイナーがすぐに先頭に並びかけ、前4頭の争いになるかと思われましたが、そのなかからマルホンリョウダイが抜け出そうとするところ、ヘッチャラも懸命に食い下がります。残り10メートルを過ぎてからは2頭の競り合いとなり、盛り返したヘッチャラが先頭でゴール。2着はマルホンリョウダイで、2頭からわずかに遅れたオーシャンウイナーは3着で連覇ならず。障害で苦戦したサクラヒメは10着でした。

 勝ったヘッチャラは、ここまで重賞には8度出走してばんえいダービーなど2着4回、3着3回と惜しいレースが続いていましたが、これが念願の初タイトル。今回は重賞5勝の世代ナンバーワン・キングフェスタが回避しましたが、トップハンデで勝利した内容から来シーズンも世代重賞を盛り上げてくれるでしょう。

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島津新騎手「ハンデも厳しい面があって、なかなか厳しいレースになるなと思っていましたが、このように勝ててすごく嬉しいです。逃げるという感じの騎乗しようとレース前に考えていて、あとは流れで臨機応変に対応しようと思っていました。(障害を降りてからは)どの馬が勝ってもおかしくはないと思って乗っていましたが、残り10メートルくらいで少し馬の余裕が見えたので、これはもしかしてと思ったのが最後ゴール前の差だったと思います。まっすぐで真面目で障害力が素晴らしい馬です」

2/19チャンピオンカップ回顧

2023年2月20日(月)

メジロゴーリキが軽馬場の接戦制す

 2月19日(日)には重賞・チャンピオンカップ(4歳以上重賞競走優勝馬)が行われ、単勝4番人気のメジロゴーリキが優勝。ゴール前インビクタとの接戦を制しました。

【出走馬】※カッコは負担重量、右の数字は単勝最終オッズ
 1.アオノブラック(860) 5.1
 2.ダイヤカツヒメ(760) 22.1
 3.インビクタ(820) 4.5
 4.メムロボブサップ(850) 1.9
 5.アーティウィング(790) 23.3
 6.メジロゴーリキ(820) 7.8
 7.ナカゼンガキタ(800) 10.5

 その年度の重賞勝ち馬に出走権がある選抜戦で、今年は7頭が出走。1番人気に推されたのは、旭川記念とばんえいグランプリを制したメムロボブサップ。年明けの帯広記念は2着惜敗でしたが、今回はトップハンデより10キロ軽い重量もあり、単勝1.9倍と断然の人気になりました。岩見沢記念を制したインビクタが2番人気。今季重賞4勝のアオノブラックは最大100キロ差があるトップハンデながら3番人気に支持され、ドリームエイジカップを制したメジロゴーリキまでが単勝ひと桁台の人気となりました。

 雪が降りしきるなかレースがスタートし、最軽量の4歳牝馬ダイヤカツヒメが果敢に先行。メムロボブサップ、インビクタ、アオノブラックが追走します。メジロゴーリキも位置取りを上げると、中間点を過ぎてからはメムロボブサップと先頭を入れ替わりながら進み、わずかにメジロゴーリキが先頭で第2障害下に到達。前半は50秒で進みました。
 ひと息入れたメジロゴーリキが仕掛け、ひと腰先頭で障害をクリア。ほぼ同時にインビクタも障害を降りて、アーティウィング、ダイヤカツヒメ、メムロボブサップ、ナカゼンガキタと差なく続きます。
 障害を降りた勢いでインビクタが抜け出しますが、後続も差なく追走すると、そのなかからメジロゴーリキがじわじわと脚を伸ばしてきます。残り10メートルでインビクタに並びかけると、ゴール前は2頭の接戦になりましたが、メジロゴーリキがわずかに交わして勝利。3着争いも3頭による接戦でしたが、メムロボブサップがゴール前わずかに抜け出し、ナカゼンガキタ、ダイヤカツヒメの順で入線しました。

 勝ったメジロゴーリキは、19年に続き2度目のチャンピオンカップ制覇。重賞9勝目としました。今シーズン、残る古馬重賞は年度末のばんえい記念となりますが、メジロゴーリキにとっては連覇がかかる一戦。引き続き注目を集めそうです。

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西謙一騎手「雪が降ってきたので行くしかないなという気持ちで乗っていました。今日は暖かく、砂がザクザクしていたので、前の馬場の軽さとはまた違った軽さでした。(ゴール前は)最後に(前に)出たのが分かったのでひと安心しました。3月に大一番が残っているのでそこに向けて頑張りたいと思うので、応援よろしくお願いします」

2/12黒ユリ賞回顧

2023年2月14日(火)

スーパーチヨコが断然人気に応える

 2月12日(日)には重賞・黒ユリ賞(3歳牝馬オープン)が行われ、単勝1番人気のスーパーチヨコが勝利。障害2番手から抜け出し、世代女王の座につきました。

【出走馬】※カッコは負担重量、右の数字は単勝最終オッズ
 1.ベニサクラ(640) 7.9
 2.スーパーチヨコ(640) 1.4
 3.ココロホマレ(640) 7.3
 4.リバティクイーン(640) 25.8
 5.プレシャスキュン(640) 68.9
 6.ミュウ(640) 21.2
 7.タカラヴェルベーヌ(640) 13.7
 8.ルイズ(640) 11.5
 9.ニジイロアオゾラ(640) 120.9
 10.ヤマカツレイナ(640) 27.7

 定量640キロで行われる明け3歳牝馬による女王決定戦。スーパーチヨコは、A級-1組で3戦連続連対中という実績から単勝1.4倍と断然の支持を集めました。前走B級-1組ながら2着に19秒2もの差をつけ勝利したココロホマレが2番人気。前走のA級-2組を含め近4戦で3勝と力をつけているベニサクラが3番人気。以下、前走がA級-1組とここでは格上位のルイズ、昨年9月の2歳牝馬特別戦・いちい賞の勝ち馬タカラヴェルベーヌが人気で続きました。

 第1障害を越えて外2頭を除く8頭がほとんど横並びで、各馬ひと息入れたところでココロホマレが抜け出し、ルイズが続きます。ココロホマレがひと息入れたところでルイズが交わし、そのまま先頭で第2障害下に到達すると、少し持っていかれるようなかたちで登坂を開始。ここまで40秒というペースでした。
 ルイズがひと腰で障害を降り始めたところで2番手以下が仕掛け、その中からスーパーチヨコがすんなりとひと腰、差なくベニサクラが続きます。タカラヴェルベーヌは少し離れた4番手で障害をクリアします。
 ルイズの脚色が鈍ったところ、スーパーチヨコが一気にとらえて抜け出します。内からベニサクラが追いかけますが、スーパーチヨコは並びかけさせず、1馬身ほどの差を保って押し切りました。ベニサクラは2着。3番手のルイズはゴール手前で一杯になり、これを障害6番手から追い上げたミュウが交わして3着に入りました。

 全馬重賞初挑戦というメンバーでしたが、スーパーチヨコは着差以上に強い内容で世代女王の座に就きました。また、管理する山本正彦調教師は2019年の初出走から4シーズン目での重賞初制覇となりました。

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藤野俊一騎手「(状態面は)ここに向けて完璧に仕上がったと思ってました。レース前に少し雪が降ったので、あまり軽くなったら大変かなと思っていましたが、落ち着いて良い感じの馬場になりました。定量なので荷物はあまり気になりませんでした。残り30メートル過ぎたあたりから少しゴールまで遠く感じたので、なんとか止まらずに頑張ってくれという気持ちでした。物音に敏感な馬で、元気も良すぎるくらい良い馬です」

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