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やっぱり馬が好き(第7回)  旋丸 巴

2005年8月26日(金)

愛しのペルシュロン

 犬の世界では、最近は「雑種」という言葉を使わないらしい。「ミックス」と称するというのだけれど、うーん、何だか欺瞞的だなぁ。

 馬の世界での雑種、もとい、ミックスは何と呼ばれているか、というと、ご承知の通り「半血(はんけつ)」というのですね。

 ばんえい競馬に供される馬は、主にブルトン、ペルシュロン、ベルジアンといった品種の馬を基礎にして生産されていて、ペルシュロンは持久力に富み、ブルトンは瞬発力に優れ、ベルジアンはスピード豊か、と各々、品種別に特徴があるのだけれど、近年は、それら各品種の優秀性をうまく取り合わせた半血の生産が盛ん。手元の資料によれば、平成15年の出走全馬739頭のうち、半血は726頭。実に98%が半血馬なのである。

 反対に純血馬は年々減少。ペルシュロンについて言えば、純血ペルは平成15年には3頭。ペル系5頭を加えても、8頭と極めて少数派でしかない。けれど、そんなペルシュロンが、今、生産界では密かに再注目されている、という。

 先年、大活躍したサカノタイソンの父・武潮は純ペルであるし、アサギリ、フクイチ、そして、ばんえい初の1億円馬キンタローも、みんなペル系。生産者の中に、ペル系見直しの風潮が広まっても不思議はない。

 かく言う私もペルシュロンのファン。気品ある容姿が素敵で、数少ない純血馬が登場した時など無条件で馬券を買うほどである。

 だから、昨年、書店で『死を呼ぶペルシュロン』(晶文社)という本を見つけた時には「重種馬の本なんて珍しい」と飛びついた。そして、そして、実際、この本には正真正銘ペルシュロン種の馬が登場するのだが……。殺人現場にペルが立っていた、という、それだけの話で、期待して読んだ私は愕然とさせられた。もっとも、結末ではペルシュロンがテーマを暗喩していて、「さすがに欧米の馬文化は深い」と感心させらもする。

 馬について過度の期待は禁物だけど、ばんえいとミステリーが好きな方には、いいかも。

馬券おやじは今日も行く(第6回)  古林英一

2005年8月19日(金)

ばんえい競馬のルーツ
~ばんば大会を見に行く~

 本題に入る前にちょいとおしらせ。

【その1】
 北海道限定の話題で恐縮ですが、読売新聞札幌圏版に、7月28日から8月3日まで、「蘇れ!ばんえい競馬」という連載記事が掲載されました。全国のばんえいファンのみなさん、これは必見ですよ! どうでもいい話ですけど、最終日には小生のコメントもあったりして……。

【その2】
 これまた北海道限定の話ですが、不肖この私、11日放送のuhbの人気番組『トークでのりゆき』にちょこっと出演しました。実は放送当日は四日市ナイター競輪参戦とそのついでに三重大学大学院の集中講義のため……逆です、集中講義のついでにナイター競輪参戦のため、旅に出てたので自分では見てません。

【その3】
 8月4日付け毎日新聞道内版に、北海学園大学経済学部の古林英一教授(ワシやワシや)のコメント記事が出ております。なんでもこの教授のご専門は「公営競技論」だそうで……。おいおい、いつからそんな学問が出来たんや!?と自分で突っ込みをいれたくなりますな。なお、この記事はこちらで見ることができます(早くしないとリンク切れになるよ~)。

 さて、本題。

 真夏の大一番・ばんえいグランプリはスーパーペガサス、サダエリコの1・2着で決着。小生も勇躍岩見沢競馬場に参戦したのである。小生はアンローズで勝負っ!と思ってたのに、肝心のアンローズは不参加。小生、アンローズ好きなんですよねえ。おっちゃん、そもそも大柄できれいなおねーちゃんが好きなもので……(^_^;) それはともあれ、アンローズが出ないなら、スーパーペガサス→サダエリコの1点勝負かとも思ったのだが、つい頭をもたげるスケベ根性。「そろそろ、ミサキスーパーあたりが」とか「軽量トカチプリティーがさっさと2障害を越えて」とか、果ては「今年度未勝利もこのレースと相性のいいヒカルセンプーも」と妄想は限りなく拡がり、挙げ句に「スーパーペガサスとサダエリコでは面白くないっ!」なんぞという訳のわからん結論に達したのであった。

 で、結果はご案内のとおり、強い馬2頭が1・2着。まことにもって常識的な結果におわり、小生の妄想は炎天下の岩見沢の空に陽炎のごとく消え去ったのだった。まあしかし、強い馬が強いレースを見せてくれたわけで、レースとしてはいいレースだったように思う(しかない(T_T))。

 さて、グランプリの翌日、長沼町農村広場で第47回長沼町ばんば大会が開催された。夏は大きなばんば大会が全道で開催される季節でもある。

 よく知られているように、ばんえい競馬はばんば大会が公営競技となったものだ。ばんば大会は今でも北海道の各地で20以上が開催されているようだ。様々なスポーツのなかで、プロとアマの垣根がこんなに低い競技も少なかろう。全道各地で開催されるばんば大会にはばんえい競馬の馬や騎手が大勢参加する。大会の開催日が日曜日だと、競馬開催日なので、騎手はさすがに参加できないけれど、それでも馬は結構な数がばんば大会に出場する。

0819a  この長沼町ばんば大会は毎年火曜日に開催されるとのことで、ここには騎手も馬も大勢参加して、アマチュアの愛好家や馬に混じって熱戦を繰り広げる。昨今はポニーばんば競走も盛んにおこなわれており、この長沼町ばんば大会でも全21競走のうち、ポニーばんばが9レース組まれていた。
(写真:ポニーばんば)

0819b  小生が気がついただけでも、山田、尾ケ瀬、皆川、金山、岩本の各調教師、西(弘美)、山本、尾ケ瀬、千葉といったジョッキーたちが参加していた。金山調教師に至ってはレースにも乗っていた。山本騎手などはレース実況までやっていた。他にも騎手が何人か来ていたようだが、なんせ、勝負服を着ているわけではないので、ちょいと見ただけではわからない。山田調教師にうかがったところ、師はムソウリキ以下4頭を連れての参戦だそうな。ムソウリキは前々日の第9レース(550万下)を見事優勝しての参戦だ。さらにいえば、ムソウリキのオーナーは、地元長沼町のかねひろジンギスカンの廣川さん。これは力の入るところだ。
(写真:西弘美騎手(左)と尾ケ瀬騎手)

 レースはU字型コースを使っての4頭立て。西騎手によると、長沼はコースが小回りなのでコースどりがなかなか難しいとのこと。馬も人も真剣勝負なのだが、それでもやはりどこかお祭り気分だ。西騎手らも競馬場で騎乗するときに比べると、表情も心なしか柔らかな感じだ。

 みなさんご承知かもしれないが、西騎手は岩手県のご出身。かの地も馬力大会が盛んな土地だ。西騎手も子供の時から馬力大会に参加していたとのこと。2000勝ジョッキー西弘美にとって、ばんば大会はふるさとを偲ぶひとときなのかもしれない。

 最終第21レースは、アラナミライデン(元競走馬)、ムソウリキ(現役競走馬)、スガノテンリュウ(現役競走馬)の3頭による800キロの高重量戦。さて、このレース、見事に勝ったのは?

 常識的に考えれば、現役競走馬2頭のうちのどっちかということになるんだろうが、ところがどっこい、見事に勝ったのはなんと引退馬のアラナミライデン。後で調べてみたら、このアラナミライデン、昨年の2月に600万下のレースを最後に引退したのだが、この引退レースでは7番人気にも関わらず、ライデンガイモン、オーパスワン、シンエイハヤブサ、ガリバーボーイらを負かして見事有終の美を飾っているのだ。現役を退いてもまだまだ負けないというところだろうか。いやあ、たいしたものだ。貴乃花が朝青龍に勝つようなもの?

 話は変わる。ポニーばんばの番組表を見ていて気がついたのだが、ポニーばんばは体高100cm以上と100cm未満に区分されて番組が編成されていた。そういえば、かつてのばんえい競馬では馬格でクラス分けがなされていたという。きっとこんな感じだったのだろう。故・内田さんが残された名著『まんが・ばんえい読本』などを見ると、草創期のばんえい競馬では、世話役が馬格などをチェックして出場馬をクラス分けし、番組編成をしていたという。それが体重別になり、そして現行の獲得賞金別になったわけだが、見た目でクラス分けというのも、さぞや侃々諤々の議論があったことだろう。

0819c  雲一つない快晴の夏空の下、小生にとってはかつてのばんえい競馬を追体験できた貴重なひとときだった。なお、ばんば大会は、21日には共和町と足寄町で開催され、さらに秋になっても道内各地で開催される。ばんえいファンの皆さんも一度足を運んでみてはいかがだろう? 馬券をはずすことがない(馬券発売がないので当たり前)ので、まことにもって穏やかな気持ちで観戦できますよ~(^^)/

やっぱり馬が好き(第6回)  旋丸 巴

2005年8月 5日(金)

ばんえい競馬のサプライズ

 ばんえい競馬が北海道遺産に指定されたおかげで、全国の、しかも競馬にあまり関心のなかった人までもが、我らが競馬場を訪れるようになって、誠に結構。私も「ばんえいは初めて」という知人を案内する機会が増えた。けれど、そういう人々は必ず、目を丸くして叫ぶのである。「競走中に馬が立ち止まる!」と。ばんえいファンにとって、障害前で馬が立ち止まって一息つくのは当然。だけれど、全力疾走の平地競馬しか知らない人々にとって、これは刺激的な光景であるらしい。

ban0805  私も、二十年前、初めてばんえい競馬を見た時は驚いた。ただし、私が驚いたのは「騎手が馬に飛び乗る姿」。平地競馬の騎手は誰かに足を持って鞍上に押し上げてもらう。けれど、ばんえいの騎手は右足を振り子のように振り上げて、自力でスルリと、あの巨大な重種馬にまたがるのだから、いやー、格好いい!

 そんな私が、つい最近、またしても、ばんえい競馬で喫驚したことがあって、当ブログの斎藤さんに馬場内を案内してもらった時のこと。レース用のソリは、トロッコやトラクターによってスタート地点にセットされるのだが、スタートラインに正確に合わせる最後の「調整」を行うのは、何と人力。係員が数人、ソリに付けた綱を「せーの」と引っ張ってソリをスタートラインに合わせるのである。

 「アナログで、いいでしょ」と斎藤さんは笑ったけど、いやー、コンピューター時代の現代に、こんな「技」が残っていたとは。

 けれど、近年、私を最も驚愕させたのは、今年2月、ばんえい記念の日に帯広競馬場に押し寄せた観客だった。当日は記録的大雪にも関わらず大盛況。それだけでも驚異だったのだが、その面々の多くが知り合いだったのである。いや、生産者や馬仲間なら驚きもしないけど、競馬とは無関係と思われた人々とも対面して、魂消ること、しばしば。中に、猫背、髭面、作業服の貧相な男性がいて、挨拶はしたものの誰だったか思い出せない。苦悶の末に思い出したそれなる男性の正体は……近くの病院の院長先生。いやはや、どこかの国の首相なんかより、ずっとサプライズに満ちた、ばんえい競馬なのでした。

馬券おやじは今日も行く(第5回)  古林英一

2005年7月29日(金)

稽古戻りの乱れ髪?

 7月18日、朝調教の見学のため開催中の岩見沢競馬場にお邪魔した。同行したのは、『馬産地ビジネス』『馬産地放浪記』などの著者・河村清明さん、ビッグレッドファームの蝦名マネージャー夫妻、それに川崎の馬主である鈴木さん、わが北海学園大学の競馬サークルVIP!の中地くんと竹中くん、それに小生の総勢7人。

 そもそものきっかけは、河村さんが「ばんえいに出撃しませんか」と小生を誘ったことにある。せっかくなら、朝調教からしっかり見せてもらおうということになった次第である。

 このところ、小生つくづく思うのであるが、「ばんえい」という競技は「馬のかけっこ」というよりも「馬のお相撲」なんじゃなかろうか。もちろん、2頭の馬が取っ組み合うわけじゃないが、呼吸をはかりつつ「うんしょっ!」と荷物をあげるところなんぞはほんとお相撲的だと思いません? 馬にしても、しっかり高カロリーのメシ食って、厳しい稽古を積んで体をつくる……まさにお相撲さんそのものですがね。

 さて、一行は、早朝5時に札幌を発ち、6時に岩見沢競馬場に到着した。夏の朝は早い。曇り空ながらも日はとっくにあがっている。広報のSさんに案内していただき内馬場へ。いる、いる、たくさんの馬が黙々と稽古を積んでいる(当たり前だ、馬がぺちゃくちゃ喋るわけはない)。周回コースをずりびきしている馬もいれば、障害コースを駆け上がる馬もいる。これが冬なら朝靄の中、体からもうもうと湯気を立てているところなんだが、さすがに夏場は体から湯気が立ち上ることはない。

 以前、帯広や北見で朝調教を見学させてもらったことがある。まだ暗いなかで、馬体から湯気が立ち上り、そうこうしているうちに陽が昇り、朝日に馬体が輝いている……いやあ、ほんと絵になる風景だ。

 「相撲取りさんどこ良うて惚れた。稽古戻りの乱れ髪」という都々逸があるそうな。確かに朝稽古の後の力士なんぞというのはなかなか風情があって粋な感じがするものだ。お相撲さんがモテるのはこのあたりなんだろうね。ばんばのずりびきを四股踏みとすれば、障害練習はさしずめ鉄砲とかぶつかり稽古といったところだろうか。いやあ、けっこう、けっこう、まことにいいものですなあ。

 午前11時。いよいよレース開始。小生と竹中くん以外の5人はいずれもばんえい競馬初体験。とはいえ、河村さんは名うての馬産地ライター、蝦名さんはあのコスモバルクを育てたビッグレッドファームのマネージャー、鈴木さんは静内でおこなわれる北海道市場で馬を買いつけに来た馬主さん、中地くんはカゼニフカレテの生産牧場の息子さん、いわばいずれも馬のプロである。

 恥ずかしながら、小生、馬を見る目のないことでは人後に落ちない。最近ではもうすっかりあきらめてしまって、パドックもほとんど見なくなってしまっているのだが、さすがに馬のプロたちだ。パドックで真剣に馬を見つめている。ばん馬とサラブレッドは違うと思うんだけどねえ……。

 いやいや、一概にそうともいえない。ばんえいファンなら、ばん馬生産に大きな足跡を残したマルゼンストロングホースという馬をご存じであろう。スーパーペガサスの母の父だ。この馬をアメリカから買ってきたのが、橋本聖子センセイのご尊父・丸善橋本牧場の橋本善吉氏だ。橋本善吉氏は牛を買いに行ってマルゼンストロングホースを買って来たのだという。これは小生が橋本善吉氏から直接聞いた話だから確かだろう。牛を見る目で馬を買って成功するくらいだから、サラブレッドを見る目のある人なら、同じ馬だし、何とかなるのかも。そう思って見ていたら、えらいもんです、彼ら、しっかり、パドックで目星をつけてけっこう的中させていた。小生? 小生はいつもどおり、しっかり撃沈。エンジュオウカンが負けるかもしれないという読みは正しかったが、まさかミスターハヤサキが2着に突っ込むとはねえ……(>_<)

やっぱり馬が好き(第5回)  旋丸 巴

2005年7月15日(金)

『赤べえ』秘話

 前回、絵本『赤べえ』について少し触れたら、何件か問い合わせが来たから、では、ということで一筆啓上。

 この絵本の舞台は昭和40年代の北海道。機械化により農耕馬が激減して行く中、馬耕を守ろうとする老人と、その愛馬「赤べえ」の姿を描いたのが、この物語。時代の流れに翻弄される家族と馬を描いた本作は、米永道裕という高校の先生が書かれた戯曲が原作だが、これを十勝馬事振興会が絵本化。私がノベライズ(小説化)を担当し、前回ご紹介した谷歩(たに・あゆみ)さんが素晴しい絵をつけて下さった。

 そんな『赤べえ』だけれど、原作は戯曲であるから、人間中心の物語であり、家庭内の場面が大半を占めたから、これを馬事振興の目的で絵本化するならば、そして、私がお手伝いするならば、やっぱり物語の中心は「馬」で行きたい。ということで、原作になかった「馬の場面」を加筆。ラストシーンには我らが「ばんえい競馬」も登場させたし、主人公と赤べえが馬小屋で語り合うシーンや、トラックに乗せられた赤べえが悲痛にいななく場面も挿入した。

 そして、嬉しいことに、こういった馬の場面には、谷さんも殊のほか思いを込めて絵を描いて下さったから、ここに登場する赤べえは、今にも、その熱い息遣いが感じられそうなリアルさで読者に迫ってくれるのである。

 こうして誕生した絵本『赤べえ』は北海道の全小学校に配布。市販はされていないけれど、十勝農協連合会(〒080-0013 帯広市西三条南7-14 Tel0155-24-2537)に問合せの上、400円分の切手を送れば、郵送してくれる。

 また、今月21日から8月28日まで、横浜根岸の「馬の博物館」で「絵本 赤べえの世界」という展示会も開かれ、ここでは谷さんの原画も展示される。ばんえい競走馬と暮らす谷さんが描く「赤べえ」の逞しさと、優しさに触れられる貴重な機会。近県の方は、是非、この展示会もご一覧を。

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