10月25日に14年連続200勝を達成し、佐々木竹見元騎手の持つ記録を塗り替えた赤岡修次騎手(高知)。さらに11月23日には地方競馬通算4,000勝も達成。現在の心境を伺いました。
まずは地方競馬通算4,000勝達成おめでとうございます!すごい数字ですね。
ありがとうございます。ここまで勝たせていただいて、頑張ってくれた馬たち、関係者の方々、応援してくれたファンの皆さんに感謝しています。ただ自分ではあまり実感がないですし、数字的に言えば上には上がいますからね。4,000という区切りに関してはそれほど意識していなかったです。今年は14年連続200勝の記録更新がありましたから、そっちの意識の方が大きかったですね。4,000勝は積み上げていけばいつか達成出来るけれど、14年連続200勝の記録は今年途切れたら終わりですから。
偉大な記録ですが、200勝の連続記録があるということによく気が付きましたね。
倉兼(育康)さんがね、「こんなに長いこと200勝している人いないんじゃないか?」って言って、そういう記録ってあるんですかねって。「僕は知らないけど、あるのかね」なんて話していたんです。それで、こういう記録は佐々木竹見さんだろうということで川崎競馬に聞いてみたら、やっぱり竹見さんが記録を持っていた、という流れです。それが去年だったんですけど、正直去年で記録更新かと思ったんですよ。そうしたらタイ記録で、記録更新にはもう1年あると...。そこからの1年は長く感じましたね。大きい怪我をしないということも重要ですから、達成するまではこれまでとは違うプレッシャーがありました。
無事に達成した時の表情が、とても嬉しそうというか、ホッとしているように見えました。
早く達成したくて仕方なかったですからね。すごくホッとしました。いい馬たちに乗せていただいていますが、結局競馬って勝つか負けるかわからないじゃないですか。特に記録が懸かっていて、数字を意識していると余計にそう感じます。
10月25日高知第6レースで14年連続200勝達成
今年はいろいろな意味で特別な一年になりました。もともと今年は南関東の期間限定騎乗は入れていなかったそうですね。
そうなんです。昔怪我をした左膝の状態があまり良くなくて、3週間くらい休んだりもしました。南関東は平日毎日競馬で忙しいですし、体的に今年はキツいなと思って、いつもお世話になっている内田勝義先生に「まず体調を戻します」とお伝えしていました。もちろんスポットでは騎乗するつもりでいましたが、それもコロナで行けなくなってしまいましたね。
3月半ばから遠征に行けない時期が続きましたが、その頃のお気持ちはいかがでしたか?
乗りたい気持ちはもちろんありますが、今はコロナが落ち着いてくれるのが最優先ですから。南関東は今も遠征には行けないですが、少しずつ遠征出来る競馬場もあって、他場の方からも騎乗依頼をいただけるのは本当にありがたいです。
11月1週目は門別でJBC2歳優駿に騎乗して、次の日は園田の楠賞をサロルンで勝ち、翌日は笠松でラブミーチャン記念に騎乗と、怒涛のスケジュールでした。しかも園田終わりで高知に帰って朝調教を付けてから笠松に入ったそうですね。
そうですね、帰りました。帰れる時は帰りたいんですよ。ホテルとかであまり眠れないタイプなので。
とはいえ、早朝に調教してからまた移動するというのは、体力的にかなりキツくないですか?
よくそう言われるんですけど、あんまり調教を人任せにするのが好きじゃないんですよね。もちろん日程的にお願いする時もありますけど、なるべく自分で乗りたくて。いい馬たちも任せていただいていますし、自分のリズムで調整したいという気持ちが強いです。以前2日連続で川崎の重賞に乗せていただいた時に、レースに乗って高知に帰って、次の日の朝調教して、また川崎に行ったら、「本当に高知に帰ってまた来たぞ」って驚かれましたけど(笑)。
そのモチベーションはどこから来るんですか?
どうなんでしょうね。自分でもよくわからないですけど、責任感ですかね。モチベーションというより、いい馬たちを任せていただいているという責任感の方が強い気がします。
11月23日高知第10レース、モルトベーネに騎乗して地方通算4,000勝を達成
今年も数々の名レースを見せていただきましたが、特に印象深かったのが、盛岡競馬場で行われた地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップでした。全国のリーディングジョッキーが集まった中で2戦ともに違う逃げ方で見せ場を作り、特に第2戦目は4番人気馬で勝利しました。逃げることは意識していましたか?
意識していました。前の週に南部杯に乗せていただいて、高速馬場だったんですよね。1週間でそこまで極端に大きく変わるわけではないだろうなと思いましたし、当日の地元のジョッキーたちのレースを見て、多少の違いはあるけど前に行った方が有利だろうと思いました。
第1戦は内枠からスローペースの逃げ、第2戦は外枠から流して行く逃げと、どちらも違う逃げ方でした。逃げの引き出しはいくつあるんですか?
逃げは得意ですからね。引き出しはいくつも持っているつもりです。僕は逃げでリーディングジョッキーになったんですよ。以前の高知はハイペースで逃げるジョッキーはいなくて、特にアラブもいた頃は溜め逃げ、いかにスローに落とすか、という競馬が多かったんです。でも僕は抑えるより気分よく走らせた方がいいと考えていて、サラブレッドが主流になってからは余計そう感じるようになりました。左膝の大怪我をして低迷していた時期があったんですけど、そこから奮起して乗り出した時、よく乗せていただいた厩舎が逃げるのが好きで。「全部行ってくれ」というくらいだったんです。それでハイペースで逃げる競馬をして人気薄でも勝って。だから昔を知っているジョッキーからは、「お前が高知の競馬を変えた」って言われます。今はスピード競馬じゃないと勝てないですからね。
高知競馬は売り上げも上がってとてもいい波に乗っていますね。
馬券を買って応援してくれるファンの皆さんのお陰です。本当に感謝しています。高知はみんながどん底から頑張って、今すごくいい流れになりました。賞金だけではなく騎乗手当も上がりましたし、若い子たちもやる気出るでしょうね。今は馬の質も上がっているし、馬場が深いのでスピード競馬だけどパワーもないとダメという競馬で、僕らもどの馬が逃げるかわからなかったりしますから、すごく面白いなと感じます。
今後の目標は何でしょうか?
もう数字的な目標はないですね。14年連続200勝が大変でしたし、もう目標は作らないようにしています。目の前の1頭1頭を大切に乗って行く、結局行きつくところはそこでしょう。
では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願いします。
いつも応援していただきありがとうございます。今はなかなか競馬場に来るのは難しいと思いますが、中央も地方もいろいろな記録が生まれていて、競馬自体は凄く盛り上がっていますよね。高知競馬もみんな頑張っていますので、これからも宜しくお願い致します。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:高知県競馬組合)