2015年11月から、2016年7月までの約9カ月間、韓国で期間限定騎乗を続けた岡部誠騎手。その経験も活きているのでしょう。今年はハイペースで勝ち鞍を伸ばし、東海リーディングぶっちぎり。そして現在全国リーディングトップ(5月22日現在)に立っています。
どうして韓国に遠征してみようと思ったのですか?
競馬は世界中でやっていますし、もっと上手くなりたい、勉強したいと思っていて、年齢的にも動けるうちにということでこのタイミングになりました。地元を空けることになるので色んな人に相談しましたが、あの時行っておけばよかったと後悔するのは嫌だったので迷いませんでした。韓国には日本の騎手がたくさん行っていたので状況も分かっていたし、行きやすい環境でしたね。
実際に韓国での競馬はいかがでしたか?
癖のある馬も多いし、状態も日本の感覚とは違う馬も多かったのでその辺が苦労しました。目一杯追っているつもりがどこかで力が入っていたりして。馬に合わせるために鐙もすごく長くなりました。それで日本に帰って来た時に、乗り方がバラバラになっていて...。これじゃ駄目だ、一からやり直さなきゃと思いました。
どうやって乗り方を戻したのですか?
毎日木馬に乗って鏡を見ながらフォームを研究したり、筋トレをしたり色んなトレーニングをしました。結果的に、韓国に行く前より今のほうがしっくりくる乗り方になりましたね。ずっと日本にいる状況だったら以前と同じだったと思うのですが、一から見直したことによって、レベルアップしたと思います。
韓国の生活はいかがでしたか?
競馬の時は通訳がいたのですが、普段は一人でした。韓国の騎手がとてもよくしてくれて、家に招待してくれたり、みんなで飲んだり。イタリア人の騎手もいて、「イタリアの競馬はこういう乗り方をしている」などとタブレットを見ながら話したりと、色んな情報を吸収することもできました。レース以外でもたくさん勉強になりましたね。
2016年10日20日、名古屋・ゴールドウィング賞(ミトノリバー)
写真:愛知県競馬組合
その経験もあってか、今年はすごいペースで勝ち鞍を伸ばしていますね。
良い馬に乗せてもらっていますから。でも取りこぼしのレースもあるし、なるべくミスを少なくして馬の邪魔をしないレースをしないといけないと思っています。今はレースがすごく楽しくて、精神的にも充実していると思います。毎年、何勝したいとか、どのレースを勝ちたいとか目標はたてません。とにかく、上手く乗りたい、きれいに格好良くレースを勝ちたいとしか思っていないんです。
4月17日の時点で、全国リーディングトップに立ちましたよ!
らしいですね(笑)。
全国リーディグを獲りたくないんですか?!
いや、そりゃ、獲れるもんなら獲りたいですよ!(笑)
7月から南関東での期間限定騎乗が始まりますね。
地元とは違う騎手の乗り方も見られますし、頭数も多くて展開も全然違うので、とにかく様々な経験をしたいと思っています。
南関東への遠征は今回で4回目となりますが、その度に手応えのようなものは感じていますか?
人の繋がりが増えているので、以前より声をかけてもらえているのは確かですね。でも期待をしてもらっているわけですから、下手な乗り方はできません。ですからプレッシャーは感じています。でもそのプレッシャーを常に感じることは良いことだと思います。
2017年4月9日、佐賀・ル・プランタン賞(スターレーン)
写真:佐賀県競馬組合
一度聞いてみたかったんですが、岡部騎手の同期には、川崎の今野忠成騎手や高知の赤岡修次騎手、北海道の服部茂史騎手と、各地のトップジョッキーが名を連ねています。それぞれの存在を意識したりはするんですか?
もちろん活躍は知っていますが、それが励みになっているという意識はないですよ。だって上手い騎手が勝つのは当たり前ですから。むしろ、みんなは凄い騎手だけど自分なんて全然上手くないという感じです。俺は欲が深いのかもしれないけど、まだまだ上手くなりたい、世界には良い騎手がたくさんいるしこんな乗り方じゃ通用しないと思っているんです。今は名古屋で、たくさんの縁があって1位を獲らせてもらっていますが、自信は全くないんですよ。
これからチャレンジしてみたいことはありますか?
タイミングは難しいけれど、色んな国で乗ってみたいですね。
最後に、オッズパークの会員の皆さんにメッセ―シをお願いします!
みなさんオッズパークで競馬を楽しんでもらっていると思いますが、もし機会があればぜひ競馬場に足を運んで頂ければと思います。会員のみなさんに怒られないよう、頑張って騎乗していますので、負けた時は勘弁してください(笑)。
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※インタビュー / 秋田奈津子