今シーズンのばんえいリーディングは藤野俊一騎手(54)。2位の藤本匠騎手に10勝以上の差をつけ、59勝を挙げています(7月27日現在)。ばんえい記念は現役最多の5勝というベテランに話を伺いました。
ぶっちぎりのリーディングですね。
馬との巡り合わせだね。新馬にもいい馬が多い。2歳賞金1位のキタノリュウキをはじめ、ジェイナイト、リュウセイイチバンも強いな。馬に感謝だね。ただ、癖のある馬にも乗れるよう、努力はしてきたよ。途中で変な癖がついてしまっただけで、能力のある馬が多いんだ。調教でもレースでも、いじめないで、おだてて荷物を引っ張らせる。
3歳1冠目のばんえい大賞典を勝ったシリウスは、障害を降りてからの脚がいい。ニュータカラコマ(2011年イレネー記念、2013年岩見沢記念など重賞5勝)も、いろいろとハミを変えたりして大変だったんだよ。2歳の時も、一度障害であがらなくなった時があったんだ。復調してきたところでイレネー記念を勝った。力がついてきたね。行く気になった時の力の出し方がすごい。夏はバテやすいので今は馬主さんの牧場で休養している。BG1のばんえいグランプリも休ませるつもり。競馬場に来てから初めて外に出たから、なかなか馬運車乗らなかったな。
ばんえい大賞典(7月26日)を制したシリウス
ニュータカラコマは、北斗賞(4着)のパドックではちょっと小さく見えました。
そうか? 調子いい馬は大きく見える。自分乗らなくても、馬の大きさで調子の善し悪しはわかるよ。
あと、楽しみなのははニシキエーカン(2012年イレネー記念)ね。2歳から能力が高かった。一時期体調を崩したけれど、最近また良くなってきた。(ハンディを背負って)荷物にも耐えてきたからね。
キタノリュウキはいかがですか。
母親のヨシノサクラにも乗っていたんだ。なかなか1着獲れなくて、2着が多くてね。初仔がここまで活躍するとはびっくり。キタノリュウキはでかいし、力がある。若いから、そんなに期待をかけすぎないようにしていくよ。
能力検査でのキタノリュウキ
父のカネサテンリュウにも乗っていましたね。今年の2歳が初年度ですが、子どもが活躍していますね。
真面目な馬だったね。開腹手術をしたけどその後も走り続けた体の強さや、その分レースを使っていないということから人気がある。弟のカネサブラック(2011、2013年ばんえい記念など重賞21勝)の仔も楽しみになるよね。全体的に、若い時から活躍した馬の子は、活躍するように思う。
ニシキダイジン(2010、2012年ばんえい記念など重賞8勝)の仔は、まだ思ったより走っていないなぁ。牝馬の方が活躍しているよね。3世代しか遺せなかったのは寂しいよね。
最近、帯広競馬場に人が増えていますね。
見ている人は多いよね! でも、働いている人は若者が少ない。共進会に行っても、牛は若い人ばっかりなのに、馬は年寄りばかり。昔は騎手試験も30~40人近くが受けていたんだ。俺も厩務員生活長かったけど、自分の馬が勝ったらうれしいよ。厩務員生活7年、騎手として乗れるまで10年かかった。若い人が入って、活性化してほしいね。
競馬場のお薦めかい? そりゃ、入り口のジンギスカンコーナーでしょう。風向きによって、焼いているにおいがコースに流れてくるんだ(笑)。暑いから美味しいもの食べてほしい。帯広の夏は北海道の中でも暑いよね。湿度も高い。装鞍所は、岩見沢から持ってきた扇風機があるけれど、湿度が高いと汗をかいて馬も弱る。からっとしていればいいんだけど。俺の犬も動かないよ。
犬を飼っているんですか。
ポメラニアンのメスで、ライっていうんだ。めんこくてな、衝動買いよ。なのに、俺の所帰って来ないで、(同じ建物に住む)松本(秀克)騎手のところばっかり行くんだ(笑)。松本さん散歩連れてってやってるしな。
今後の目標を教えてください。
ばんえい記念、ニュータカラコマで......、勝ったら騎手やめる(笑)。
えーーっ!だめです!!
そのくらいの気持ちで乗るってことだよ。努力して、あそこまで育てた馬。ばんえい記念を勝つ能力もあるよ。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香