9年連続高知リーディングに向かって、今年も勝ち星を積み重る赤岡修次騎手。今年1月には、地方通算2500勝を達成した。高知の顔として活躍する赤岡騎手が語る、「高知競馬の魅力」とは?
2500勝、おめでとうございます。高知で2500勝を達成したのは、歴代最多勝を更新中の西川敏弘騎手と、赤岡騎手のみ。西川騎手との差が、少しずつ詰まっています(3月24日現在、20勝差)。
でも、すぐには抜けないと思います。いま、西川さんがすごく頑張ってますから。高知は調教をつけないとレースに乗せてもらえないところがあるんですけど、西川さんは以前よりも、攻め馬の数を増やした。めちゃめちゃ働いてますからね。僕があの年齢で、もう一度、あれぐらいやる気を出せるかというと、自信がない。西川さんの姿を見て「すごいなあ」と思いますし、刺激を受けます。西川さんと同世代のユタカさん(武豊騎手)の影響も、あるんでしょうね。高知には、見るべき部分がある騎手が多いと思います。こないだの真衣ちゃん(別府真衣騎手)も、中央遠征で見せ場を作りましたからね!
別府騎手は、クロスオーバーでチューリップ賞に参戦。結果は12着でしたが、積極果敢に先行して、高知競馬をアピールしましたよね。
よくやったと思います。高知のジョッキーらしいレースをしてくれた。一鞍入魂で、3番手から行って、魅せてくれました。あの騎乗を見て感動しない人は、競馬人じゃないでしょう。
大舞台の緊張感や、「有力馬を邪魔してしまうんじゃないか」という不安を感じさせませんでした。
あたりさわりのないレースをしても、見ていて面白くない。ケツから行って、なにも伝わってこない競馬をしてしもうたら、話題にもならない。「真衣ちゃんは先輩らがやってきたことを、ちゃんと見ちゅうな」と思いました。
別府騎手いわく、「JRAの騎手が気さくに話しかけてきてくれて、リラックスしてレースに臨めた」と。JRAジョッキーズと高知ジョッキーズは、朝まで飲み明かすほど仲がいいですもんね。武騎手には、「化粧、濃いんとちゃうか?」とからかわれたそうです(笑)。
ユタカさんがいたら、まちがいないんでねえ(笑)。
赤岡騎手と武騎手の親交が、有形無形、様々な財産を生んでいますね。
いやいや。そうやって縁を生かしてくれれば、一番いいんですよ。
武騎手が騎手仲間と共に高知にやってくる夏の「夜さ恋フェスティバル」のトークショーは、今年で5回目を迎える福永洋一記念(4月28日)が創設されるきっかけにもなりました。
すごくありがたいですよね。みなさんが快く協力してくれるおかげで、高知競馬の認知度が上がりました。
高知競馬に、「また行きたい」と思わせる魅力があるからだと思います。みんな明るくて朗らかだし。関係者のみなさんは、馬券の売り上げが回復したことで、よりいっそう明るくなったんですか?
いや、ぜんぜん変わらないですね。県民性じゃないですか? 高知の人って、ポジティブな人が多いと思います。僕なんかもそうですけど、「どうにでもなるろう」って考えている人が多い。高知県民は、いきあたりばったりですから。坂本龍馬が計算づくで動いていたとは、僕には思えません(笑)。
そうなんですか!?
高知県民は、人と付き合うのが好きなんです。だから自分の流れに、人を巻き込んでいくんですよね。坂本龍馬は、それがたまたま上手く流れたから、歴史に名を残しているんじゃないでしょうか。
赤岡さんも、誰とでもすぐ友達になりますもんね。Facebook等を通じて、ファンとさかんに交流しているとか。
北は北海道から、南は沖縄まで、インターネットを通じて馬券を買ってくれている人がいますからね。こんな交通の便のよくない競馬場まで足を運んでくれる人の存在も、本当にありがたい。色んな人が応援してくれているのを感じるようになって、「自分ひとりで乗ってるわけじゃない」という想いが、強くなりました。
そういう想いが、高知競馬の復活に繋がっているんでしょうね。そして、競馬をネット観戦する人にとって、レース実況はすごく大事だと思うんです。橋口浩二アナウンサーの実況は素敵ですよね。
僕らがゲート裏で待機している間も、出走馬の血統背景などを紹介してくれますからね。勉強になりますし、ファンの方も、飽きないんじゃないでしょうか。生産牧場の名前なども出てくるから、牧場関係者の皆さんも、喜んでいるそうです。橋口さんは競馬のことを本当に考えてくれていますし、アナウンサーっていう立場だけじゃなくて、高知競馬の一員という感じです。高知競馬には、みんなに「なんとか盛り上げていこう」っていう気持ちがある。一体感がありますし、変えるべきところを、すぐに変えていける気質がありますからね。
一体感やチャレンジ精神があるからこそ、高知の人馬は遠征で活躍するんでしょうね。だからファンもメディアも、高知競馬から目が離せない。
いきあたりばったりで危なっかしいところもあるから、見捨てきれないのかもしれません(笑)。
母性本能を......。
くすぐるような(笑)。「危なっかしいな、この競馬場」って。遠征で活躍すると、喜んでくれますしね。やっぱり、愛されてるんでしょうね。高知の馬や騎手が、時々すごい活躍をするところに、面白味があるのかも。波があるけど、爆発力がありますよね。
今、期待している馬を教えてください。
アイアムルミエール(牝3、田中守厩舎)という馬ですね。まだぜんぜん完成されていないので、これから成長してくれれば、楽しみはあると思います。
ところで、検索サイトで「赤岡修次」と入力すると、「結婚」という単語が自動的に表示されました。「赤岡修次 結婚」で検索している人が多いんですね
ホントに!?
あと、「赤岡修次 独身」とか、「赤岡修次 年収」とか、すごくリアルです(笑)。周りの人に、「結婚はまだ?」って言われませんか。
言われますねえ。そりゃ言われるでしょうね。まあ、結婚はタイミングじゃないですか。流されていくんですよ、高知県民は。きっと坂本龍馬も、流されたんですよ。って、坂本龍馬のせいにしゆうけど、怒られますね(笑)。
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※インタビュー・写真 / 井上オークス