今年デビュー10周年を迎える南谷圭哉騎手は、デュナメスとの名コンビで昨年の中島記念を制覇しました。デュナメスとのこれまでを振り返るとともに、佐賀記念への意気込みや、今年の抱負を伺いました。
上妻:まずは、去年1年間を振り返ってみて、どうだったでしょうか?
南谷:去年は成績的にみればイマイチだった年だと思うんですよね。ただ、重賞も勝てましたし、1年を通してみれば充実はしてたと思いますね。勝ち鞍は少なかった(26勝)ですけど、デュナメスで取れたのは大きかったなと思います。
上妻:そのデュナメスは、中島記念は11年が2着、12年が3着でしたが、3度目の挑戦を迎える直前の心境はいかがでしたでしょうか?
南谷:今回(13年)の方が一番自信はありましたね。これは行けるんではないかと手ごたえはありました。状態もよかったですし。一昨年は九州大賞典の反動が来ていたと思いますね。それに比べると去年は手ごたえもよかったし、自分の競馬をして負けたらしゃあないな、と。
上妻:エスワンプリンスと人気を分け合いましたが、同馬に対しては「受けて立つ」あるいは「挑戦」どちらのイメージでしたか?
南谷:挑戦、ですね、やっぱり。「攻める」という考えで乗っていましたから。
デュナメスで2013年の中島記念を制覇(右)
上妻:デュナメスの33勝のうち、30勝を南谷さんが挙げていますが、佐賀転入初戦は乗ってなかったんですよね。
南谷:初戦も乗る予定だったのですが、投票が被ってしまって自厩舎の馬の方に乗ったんです。そのときはデュナメスのことは全然意識してなかったですね。自分の馬が人気して逃げていたんですが、あそこ(直線)からあの脚で行かれるとはさすがに思ってなかったですね。あっという間に並ぶ間もなく交わされたことは覚えています。
上妻:2戦目から乗られて、「この馬は強いな」と感じたのはいつごろでしょうか?
南谷:C級の頃に、出遅れてケツから行って、全部まとめて差しきったときがありましたね。これなら、それなりには出世するだろうと思いました。それからはあの馬が走りたいだけ走るだろうし、自分から千切って勝つような馬でもありませんが、B級をポンポンと行き始めたので、これならオープンまでは行くなと、そこで確信はしましたね。
上妻:昨年は佐賀記念JpnIIIにも挑戦しましたが、力及ばず7着でした。
南谷:正直言ってあの時点ではまだ元に戻っている状態ではなく、その後から良くなっていきましたから。ベストで行けたらな、とは思ってましたが。
上妻:今年の佐賀記念は、土井調教師は「考えていない」とのことでしたが。
南谷:僕は多分行くとは思うんですよ。でも今の状態で行くんなら、そんなおかしい競馬はしないんじゃないかなと思うんですよね。勝ち負けではなくて、どんだけの内容で詰めれるかという楽しみはあります。
2012年には九州大賞典で重賞初制覇
上妻:300勝まであと20勝と迫っていますが、今年へ向けての意気込みなどはありますでしょうか?
南谷:できたらいいですね、今年。まぁ最近マイペースで乗りたいと思うんですよね。そんなに一杯乗りたいとも思ってないし。変わらず行きたいですよね。目標というのは...去年デュナメスで中島記念を勝つというのが、目標というより、夢でしたかね。「中島記念を勝つ」という小学校の時からの夢がひとつ叶っているので。夢というのはそこで一回終わってるんですよ。だからまた夢をひとつ見つけないと。
上妻:まだそれは見つかっていない、と。
南谷:そうですね。夢というよりは今度からは一個一個の目標を、その時その時の...。それを見つけて行こうかなと思います。デビューしたときは夢とか目標とか一杯出てきたんですけどね。やっぱ、自分で乗ってきたら、ある程度の目処を自分で付けてしまうから、そうなってしまいますね。
上妻:南谷さんといえば長髪がトレードマークですが、お客さんから「髪を切れ!」とか野次られたりもしていますね。
南谷:するっすね(笑)。でも最近はないです。なくなったです。でも最初は酷かったですね。
上妻:それはデュナメスで勝ち星を積んで、信頼されてきたからですかね?
南谷:かもしれませんね。でも最近は本当になくなりましたね。馬主さんとかからも「野次られても、見られているからいいんじゃない」と言われていましたけどね。そういう感じで思っています。
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※インタビュー・写真 / 上妻輝行