
3月16日、ばんえい競馬の大一番、第57回ばんえい記念が行われ、1番人気のメムロボブサップが優勝。前日に主戦の阿部武臣騎手が怪我のため、ばんえい記念初騎乗となる渡来心路騎手に乗替り。メムロボブサップは、ばんえい競馬史上8頭目の賞金1億円獲得となりました。
おめでとうございます。今の気持ちを聞かせてください。渡来騎手は珍しくガッツポーズでした。
渡来:すごくほっとしているし、うれしいです。ばんえい記念なので(ガッツポーズしました)。すごく嬉しかったですし、本当に武さん(阿部騎手)と坂本調教師と馬主さんと、そして応援してくださるファンに、すごく感謝しています。
坂本:ありがとうございます。(感動で)言葉がでないくらいです。帯広記念以降は、これにレースを絞ってきました。前走のチャンピオンカップ(トップハンデで勝利)は、『ちょっと無理しすぎたな』という気持ちはあったのですが、後遺症も残らず、今日のレースでも前へ進んでくれた。阿部騎手が、馬の筋肉が痛まないようにトレーニングを重ねてやってくれた。すごく感謝しています。
(通算収得賞金)1億円については、気にしてはいなかったです。放送などで言われて厩舎では話題になったのですが『いや、そこを考えるな』と。一歩ずつ進んで前に行く、という気持ちを常に考えていました。
昨年の借りを返したというよりは、敗戦がすごく良い経験になりました。馬が冷静になっていた。レースを馬が心得ているんです。すごい馬です。
最高のレースで、騎手時代にはなかったくらい緊張しました。見る方が疲れます。
直前で、阿部騎手の怪我がありました。
坂本:突然で、ちょっとパニックになりました。渡来騎手も冷静に馬を持ってくるタイプなので、一番いい乗り方ができるかな、と思い、その通り冷静に乗ってきました。
いつもとはちょっとゲートの出が違ったんです。過去のビデオを見たらわかると思いますが、メムロボブサップは、出る瞬間を馬が決めているんです。渡来騎手は、手綱に力が入って下げ気味にしていたのが、阿部騎手と違うところでした。馬も阿部騎手との違いを感じ取ったと思います。
私はハナを引っ張るつもりで見ていたのですが、(いつもとスタートが)「あ、違う」と。渡来騎手もそこで気がついて冷静でした。それは重賞を乗りこなしている騎手の勘。素晴らしいものがあったと思います。
渡来騎手は、騎乗が急遽決まりました。
渡来:本当に俺でいいのかな、と。心臓バクバクで、プレッシャーでどうしようかな、って感じでした。プレッシャーを感じすぎて、一周回ってやるしかないな、という気持ちになりました。自分に声がかかるとは思っていなかったです。(これまで乗ったことのない)ばんえい記念ですし。
(阿部騎手が怪我をしたとき)救急車が来ていたのは聞こえたのですが、乗替りも発表で知り「どうしようかな」って、プレッシャーがすごくて。
坂本:そう言いますが、(渡来騎手は)わりに図太いですよ。
渡来:緊張はしなかったのですが、プレッシャーで。でも、前日の夜は思ったよりぐっすり寝れました。
レースについて教えてください。
渡来:雪が降りましたが、荷物が1トンなので焦ることなく慎重に、しっかり溜めていこうと思っていました。
強い馬で、武さん(阿部騎手)がしっかり仕上げてくれていました。スタート出た瞬間に「完璧な馬だな」というのがわかったので、馬に任せ、呼吸を見ながら乗りました。初めての1トンで、どのように乗ったらいいのか全くわからなかったですが、もうボブサップが走りたいように全部任せました。この馬が一番レースをわかっているから。
完璧な馬、とは具体的には。
渡来:スタートの良さ、1トン引っ張っても道中しっかりハミを取って騎手の言うことを聞いてくれるところ。前に行きたがる闘争心もあるし、障害力もあるし、降りてからの脚、全てがそろっている馬だと思います。
第2障害を一腰で上げたいと思い、障害の下でしっかり息を入れることを意識していました。障害は先に他の馬が越えましたが、馬が完璧だったので焦ることはなかったです。降りた時の勢いがあったので勝てるな、と。ゴール前もまだ余裕がありそうだったので、このまま止まらずに行ってくれるな、と思っていました。1トンですし、追い詰めてもつらいかなって思って(無理に追わなかった)。
初めてのばんえい記念はいかがでしたか。
渡来:急遽決まったので初めてというより、プレッシャーの方が大きくて。観客の多さなどは気にしなかったです。
直前の乗り代わりでしたが、短い間に準備したことはありますか。
渡来:何もしていません。坂本調教師が当日の朝仕上げてくれて、それまでも武さんが仕上げてくれていた馬です。
坂本:渡来騎手は一回も触らず、レースで初めて乗せたんです。これまでほとんど阿部騎手が調教を付けていて、私は健康管理に回っています。私が調教をつけたのは過去4、5回くらいかな。当日の朝は、渡来騎手も『攻め馬をする』と待っていましたが、私がやりました。馬は完璧ですから、あとはレースでの乗り方次第だと。
合図は人間が馬に伝えるのではなく、馬が出すもの。渡来騎手の乗り方もわかっていますし、馬の仕上げも私の中で考えているものがある。いちいち説明するようなレベルの騎手ではないですし、どうやって乗りこなすかを見ていました。
阿部騎手に伝えたい思いはありますか。
坂本:伝えなくてもわかっていると思います。
渡来騎手は、2020年にメムロボブサップに騎乗しています(阿部騎手がホクショウマサルに騎乗したためで、この時が過去唯一阿部騎手以外の騎乗)。
渡来:その時から強いなとは思っていたんですけど、やっぱり強いです。そのときよりは力は断然付いていますし、レースを覚えているというか、馬が自分でしっかりレースをわかっている感じですね。
坂本:それに気づいたということは、すごいジョッキーになってきたってことだ。
渡来:そんなことないですよ(笑)。
坂本:渡来騎手は追う回数は多くないけど、ああ見えて汗をかいているんです。ものすごい緊張感で、こんなに寒い日でもスタート前は寒くないんです。私も経験がありますから。
渡来:そうですね。(レースが終わって)表彰式の時は寒かったです(笑)。
成長を感じるところはありますか。
坂本:私と違って(笑)、成長が著しい。昔はやんちゃなところがあって、厩務員に危ない、と言われるくらいでした。今では、自分が歩くのを待っていてくれる。馬房に行ったら振り向いてくれるんです。私に対して優しい馬だと思っています。
まだ現役は続きますので、このまま健康を保っていきたいです。来年度は、目標を(まだ勝てていない)帯広記念に絞りたいと思います。今日のボブサップに感謝しています。皆さんの応援があったので、ボブも応えてくれたと思います。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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塚本征吾騎手は、2025年2月4日に川崎競馬場で行われた「佐々木竹見カップ・ジョッキーズグランプリ」に初出場。第1戦で勝利を挙げ、総合2位という結果を残した。
第1戦の騎乗馬は休み明けでも、とてもいい状態だと感じました。レースでは積極的に行くつもりでしたが、スタート後に宮川実さんが先手を取ったので、3番手の外という位置になりました。その展開にうまく乗って勝つ形になったと思いますが、左回りの違和感はすごかったです。そもそも左回りの競馬場で乗るのが初めてで、左回り自体も、右回りと左回りで訓練する教養センター以来。だから4年ぶりでした。
しかも東日本の競馬場で乗るのも初めて。それで第2位に入ったのだから、相当なインパクトを残したといえる。
第1戦を勝ったあとは、優勝の文字しか頭に浮かんでこなかったです(笑)。第2戦は調教師さんの指示もあって、じっくりと構えていくつもりでした。
でも左回りに慣れていないから重心の移動がうまくできなくて、そのなかで馬に間違った合図として伝わってしまったところがあったようで、早めに動く形になってしまいました。その点を含めて、2位でも全体として納得できる内容ではなかったなと思います。
しかしながら、いつもと全く違う経験は、今後への大きな糧になったことだろう。
振り返ってみると、楽しかったことは間違いないですね。普段の感覚とは違うレベルで競馬をしているというのかな。そういう感覚がありました。トップジョッキーのみなさんはレース運びにスキがないことを実感しましたし、一挙手一投足がとてもきれいだと思いました。それに比べると、自分はまだまだ粗削り。トップジョッキーのみなさんは、どんな馬に乗ってもその馬に合わせた騎乗ができて、その上で馬のよさを引き出せるという印象がありますが、自分は得意不得意がありますから。
今の名古屋で自分が受けている評価としては、ゲートをまずまず出せて、最後まで追うことができる、というところではないかと思います。そのイメージはこれから変えていきたいですね。自分自身、引き出しの数が圧倒的に足りていませんし、これから普段の所作はもちろん、判断力や考えかたを成長させて、また出場したいです。
それでも2021年4月のデビューから順調に勝ち星を伸ばし、24年は209勝を挙げる活躍を見せた。
環境に恵まれていますし、自分でも順調に来ていると思います。その一方で、結果と技術が釣り合っていないとも感じます。実際、反省することのほうが多いですからね。だからこそ、川崎での1日は僕にとってものすごい経験。名古屋だけで乗っていたら、井の中の蛙みたいな状態になっていたかもしれないですから。ほかの世界も見てみたいと思えるきっかけになったことは間違いありません。
とはいえ、まだ5年目。今年1月14日には通算500勝を記録が残っている1973(昭和48)年以降、最も短い日数で達成した。
300勝を達成したときに、ケガをしなければ最速での500勝を狙えると思いました。さきほど、ほかの世界も見てみたいと言いましたが、身近な目標は最速での1000勝。そして名古屋でのリーディング。もっと上を目指したいのはもちろんですが、まずは地元でしっかりと、と考えています。
25年も着実に勝利を積み上げて、2月中旬の時点で名古屋トップの勝ち星を記録。重賞では昨年から勝利を挙げられていないが、23年の秋桜賞ではブリーザフレスカで衝撃的な大差勝ちをおさめた。
あのときはインコースに1頭分の幅だけ砂が軽い場所があって、そこをうまく使えたのが大きかったと思います。今の競馬場に移ってからは、開催ごとに馬場状態が変わるので、その見極めがとても重要です。毎日の調教ではインコースも使いますが、レースになると違うんですよ。最初に乗るレースでは、まずインコースをどこまで使えるのかを探る必要があります。
個人的にはコンビーノでのレースも記憶に残る。ヤングジョッキーズシリーズのトライアルラウンド佐賀(22年8月4日)で、筆者に「岐阜金賞を狙います」と話していた。
あのときは5連勝中でしたからね。2年目であんないい馬に乗せていただけて、本当にありがたかったです。でも重賞では2着ばかりで......(計6回)。コンビーノは新しい競馬場に移ったときに主戦騎手にしていただきました。けっこうウルサイ面がありますが、最初に乗ったときの印象がとても良かったことを覚えています。ただ、頑張りすぎるところがあるんですよね。あの岐阜金賞はアタマ差。勝ちたかったという思いは残っています。
ちなみに昨年は名古屋で131勝、笠松で78勝を挙げた。
調教は午前2時頃から8時頃まで。レースがある日も同じスケジュールで、昼間の開催のときは調教のあとに少し寝てからレースに臨みます。笠松開催ではそこに移動が加わりますから、正直なところ、ちょっとキツイなと感じるときもあります。でも昨年は笠松にたくさん行って、1年を無事に走り抜けられましたから、今年も大丈夫かなと思って続けています。
2月20日で21歳。その年齢なら、まだまだ突破できそうだ。
体のケアとしては、今は鍼灸を定期的に受けています。体もどちらかというと柔らかいほうかなと思いますね。僕の家のテレビでは常に地方競馬中継が流れていて、いつも兄たちのレースを見ていました。その影響もあって、小学校高学年から騎手になると決めていたので、それに向けた体づくりをしていました。ちなみにそういう環境だったので、僕は日本には地方競馬ではない競馬があることを知らずに育ったんですよ。初めて気がついたのが中3の夏。だからJRAの競馬学校の試験には間に合いませんでした。それが分かったとき、親に文句を言いましたよ(笑)。仮に僕がJRAに行っていたらどうなっていたか、これは分からない話ですが、受験くらいはしたかったなあ。
そんな思いも含めて、ワールドオールスタージョッキーズは狙いたい舞台です。でもそれは「JRAのレースで乗りたい」という気持ちより「勉強したい」という意識。川崎での2レースだけであんなにいい経験ができたんですからね。佐々木竹見カップに出られたことは、今後につながる大きな財産になったと改めて感じます。
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※インタビュー・写真 / 浅野靖典
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昨年デビューしたばんえい競馬の新人騎手の一人、中原蓮騎手はこれまで26勝(2月24日現在)。連対率は3割、勝率も1割6分。2月9日には1~3レースで3連勝するなど勢いを見せています。
素晴らしい活躍ぶりですね。
想像したより乗せていたただいています。新人騎手の10キロ減量は効いているかな。最初のころは雨や雪が降って馬場が軽く、いい馬に乗せていただきました。
1月中旬からコース全体にロータリーハローをかけ、馬場が変わってから乗り方が難しくなりました。重い馬場は、道中の息の入れ方が難しい。攻めきれずに終わってしまうこともあります。
レースを見てもわからないのですが、聞いたら教えてくれる騎手ばかりです。聞いてよかったこともありますし、聞いてできないこともあります。
最初はなんであんなに勝てたんだろうって思います。1着が続いたら、次から3倍以上乗せてもらえるようになって緊張感が増し、プレッシャーで具合悪くなりました(笑)。勝たないといけない世界なので。
高校時代、金田厩舎で馬房掃除のアルバイトをしていたんですよね。
小、中学校と金田調教師の三男(駿人さん)と仲がよく、いつも遊んでいました。高校時代はホテルでアルバイトをしていましたが、コロナ禍でできなくなったタイミングで、「働く人が少ないから」と駿人に誘われました。外で動くのは好きなので始めましたが、昔からの友人が、馬を触っている姿は「すごいな」と印象に残りました。自分はまだ馬が怖かった。駿人にいろいろと教えてもらってここまで来ましたし、金田調教師や金田利貴騎手が馬を扱う姿にも憧れました。競馬場に来てからは4月で4年になります。駿人と仲がよかったですが、自分が騎手になるなんて考えたこともなかった。アルバイトをしていた時でさえなかったです。
騎手試験は3回目での合格でした。
最初は騎手になるのは難しすぎると思い、担当馬が勝つために厩務員として考え、仕事をしていました。騎手を目指したのは、目標があった方が楽しいし、30代でも騎手になった方がいる中で、せっかく若いうちにこの世界に来たんだから、くじけても大丈夫だし、挑戦すべきかな、と。親は「やりたいことやってほしい」と自由にやらせてもらいました。同級生に負けるのがいやだった、というのはあります。
駿人と遊んでばかりで勉強をしてこなかったので、勉強の仕方がわからなかったんです。でも騎手になるために勉強はやらなくてはいけないことだし、結果は自分次第。厩務員になってすぐに騎手試験の勉強会に参加させてもらいました。試験は勉強したところが出たかな。運もありました。新人の大友一馬騎手とは「先に勝った方がご飯をおごる」という話をしていて、同じ日に勝ったので一緒にご飯に行きました。
運は大事ですね。実技試験の前には練習もしていました。
最初に走路に入って騎乗したことは覚えていないです。毎回乗っているうちに、鈴木恵介騎手などが「こうした方がいい」と的確にアドバイスをくれました。そのおかげで、乗るごとにほめてくれるようになりました。一番言われたのは、手綱の長さです。最初に間違えるとなかなか直せないから、扱いやすい長さを覚えておけと。道中で、手綱を止めて、下げてとする時に長さが違うと時間がかかるんです。「時間取られたら負けるぞ」と言われました。手綱の余った部分で馬の臀部に気合いを入れる技術はあとでいい、と。試験は緊張しました。
勝負服はどのようにして決めましたか。
利貴さんの袖青・白二本輪をもとにして、最初は胴は黄色と黒が逆にしていたんです。でも利貴さんに似ているということで逆にしました。今思えば目立つのでいいかなと。表に出たくないタイプなんですけどね。尊敬している西将太騎手の山形にしています。
将太さんは、障害を降りてからの追い込みがかっこいいです。道中の息の入れ方は藤野さんがすごくて、担当馬が乗るとなるとワクワクします。将太さんとはいつもご飯に行ってます。特別勝ちをしたときは、調整ルームで軽くお祝いをしてくれました。
デビュー3戦目で初勝利でした。
デビュー戦のキュートアイズはただゴールに馬がつれていってくれました。初勝利のパワーハンターは担当馬なんです。現役馬の中で一番長いので、うれしかった。あとでレースを見返したら、このペースでよく頑張ってくれました。俺の初勝利を獲ってくれました。
思い出の馬は。
厩務員時代でもいいですか。アバシリルビー(2020年ばんえいオークス)です。この時に将太さんかっこいい、と思いました。重賞を経験させてくれたし、健康管理を学ばせてくれました。頭が良くて優しい馬。ガラなどの道具をかけるときは頭をさげてくれるんです。懐っこくて仕事を理解しています。レース行くときに振り落とされましたが(笑)。
デビューして少し経ってから、すでにスタンドからは「蓮!」と声がかかっていました。聞こえていましたか。
10コースの時は聞こえます。うれしいですね。上半身がまだ薄っぺらいので、鍛えないといけません。将太さんやばいです。肩幅おかしい。騎手はみんな上半身の筋肉がすごいんです。(渡来)心路騎手が一番筋肉質なんですよ。(自分は)身長がない分(166センチ)、動きを大きくして馬を動かしたいです。
帯広出身ですね。オッズパーク会員に、おすすめがありましたら教えてください。
ひいじいちゃんは競馬が大好きで、4市を回っていたそうです。生まれたころにはいなかったのですが、生きているうちに見せたかったです。じいちゃんも競馬好きで、声援が聞こえます。ラーメン店の「麺蔵」は、じいちゃんが昔経営していたラーメン店なので行ってほしいです。帯広はばんえい以外なにがあるかな。何を食べても安くておいしいですよ。
ばんえい競馬は、画面で見るのと、生で見るのとでは馬のかっこよさが倍以上違うと思います。ぜひ生で見にきてほしいです。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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2024年の大晦日、岩手競馬のグランプリである桐花賞を勝ち、重賞初制覇を果たした小林凌騎手(岩手)。オフシーズンの現在は、佐賀で期間限定騎乗しています。初重賞制覇の喜び、そして4年連続となる佐賀での騎乗についてお話を伺いました。
まずは桐花賞制覇、おめでとうございます!テン乗りだったライアンとのコンビで劇的な勝利でしたね。
ありがとうございます。重賞を勝てたことが嬉しかったですし、しかもそれが桐花賞だったので、自分なんかが勝っていいのかなとびっくりしました。レースの直後はあまり実感が湧かなかったです。
年末の開催は落馬負傷や騎乗停止の騎手が複数いて、騎乗変更が多かったですが、ライアンの騎乗はどのように決まったのですか?
(山本)聡哉さんが騎乗停止ということで、「乗れるか?」と打診があって。僕は人気がないジョッキーなので(苦笑)、全然空いていますと。桐花賞に乗れるチャンスはなかなかないですし、声をかけていただき嬉しかったです。
初騎乗のライアンはどんな印象でしたか?
重賞を勝っている実力馬で、聡哉さんからは乗りやすい馬だと聞いていました。不良馬場がいいということだったのですが、大晦日の水沢は毎年だいたい雪になるんですよね。それが昨年は気温が高くて雨だったので、ビシャビシャの軽い馬場になりました。天候も含めて運が良かったと思います。
2024年12月31日、桐花賞。ライアンに騎乗し重賞初勝利
レースを振り返っていただきたいのですが、序盤はいい手応えで追走していましたね。
内枠だったので、スタートしていい位置に行ければと考えていて、思い通りの位置取りでした。1周目はペースが落ち着いて手応えも良かったのですが、2周目の向正面では正直あまり手応えがなかったんです。でも追っていたら上がって行ってくれて、直線は前がきれいに開いて。前にいたミニアチュールが4コーナーで最内に行ったので、その外に切り返すことができました。必死に追っていたらゴール前でステッキを落としてしまったのですが、ゴールした時には「もしかしたら勝ったかも」と思いました。周りの方々から「おめでとう」と言っていただきましたし、レース後は今までにないくらいラインが来て嬉しかったです。
2015年にデビューし、10年で掴んだ初タイトルでしたね。
頑張ってくれたライアンや、乗せてくれた関係者の方々、これまで関わってくれた方々にとても感謝しています。実は騎手を辞めようかなと本気で考えていた時期があったんですけど、辞めなくて良かったなと思いました。
辞めようと思った時期があったのですね。
2020年に落馬して腕をケガしてしまって、半年くらい休んで復帰したんですけど、腕が痛くてなかなか前みたいに乗れなくて。そんな自分が嫌だったし、いろいろ悩んでもう辞めようかなと思いました。
辞めようと思いながらも、頑張り続けられた要因はなんですか?
やっぱり騎手を諦めきれなかったということでしょうか。自分にはこれしかないという気持ちが強いですから。どうせ辞めるなら一度環境を変えて一からやってみようと思って、厩舎を移籍したんです。もともとは水沢の所属だったのですが、盛岡の飯田弘道厩舎でお世話になることになりました。飯田先生や周りの方々に温かく迎えていただいて、腕の方もプレートが取れて痛みがなくなりましたし、少しずつ自分の理想とする乗り方に近づいてきているかなと。飯田先生から、冬場どこかに行ってみたらと言っていただいて、それから佐賀への期間限定騎乗にも挑戦するようになりました。
佐賀の期間限定騎乗は4年目になりますが、岩手とは違いますか?
そうですね。雰囲気も違いますし、競馬も内をかなり開けるスタイルなので。最初は緊張しましたし、なかなかうまくいかなくて(初めての2022年は)結局2勝しかできなかったんです。でも毎年行くようになって、関係者の方々も覚えて下さって、ありがたい環境でやらせていただいています。一番いいのは、冬でも暖かいことですね(笑)。岩手とはそこが全然違います。
騎手になったきっかけを教えてください。
父親が競馬好きで、その影響で僕も競馬が好きになりました。栃木テレビで放送していた中央競馬ワイド中継を見ていたので、赤見さんのレポーター姿も見ていました(笑)。小学校6年くらいからです。
それは嬉しいです。ありがとうございます。栃木出身で岩手所属になった経緯というのは?
もともとの生まれは福岡で、母の実家が佐賀競馬場から30分くらいのところにあって、子供の頃に祖母に連れられて見に行ったりもしていたので、最初は佐賀希望だったんです。でも教官から、岩手の方が僕の性格的にも合うのではないか、というアドバイスをいただき、当時は若手も少なかったので岩手に行くことを決めました。
では佐賀ともご縁が深いのですね。
そうですね。飯田先生にオフシーズンの期間限定騎乗を勧めていただいた時、行くなら佐賀がいいなと思いました。祖母が競馬場に見に来てくれて、喜んでくれたので嬉しかったです。
いよいよ3月9日、冬期休載が明け岩手競馬の開催が始まります。目標を教えてください。
数字的な目標は特にないですが、ケガなく1鞍でも多く乗って、自分なりに頑張りたいです。
では、オッズパークユーザーの方々にメッセージをお願いします。
いつも岩手競馬や佐賀競馬を応援していただき、ありがとうございます。これからも頑張りますので、よろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:岩手県競馬組合・佐賀県競馬組合)
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2023年度(2023年4月-3月)は135勝でばんえいリーディング2位となり、2024年度(2024年4月~)も2位につけている西将太騎手。1月2日の帯広記念ではコウテイを重賞初制覇に導いた。2016年度からコンスタントに年間100勝以上挙げ、活躍を続ける。
帯広記念の勝利、おめでとうございます。
ほっとしました。いつもあと一歩足りなかったから、1着でゴールできてよかった。馬のペースを心がけてレースを進めました。障害は上がってくれる馬だから心配はなかった。それからは、ここまで来たから『頑張ってくれ』と。思ったより馬場が軽かったからなのか、900キロという(高重量の)走りをしていない。調子も良かったんだろうし。性格は、一生懸命、障害上手。のんびりしているかな。パドックで口をパクパクするところ?気をもんでいるんだと思う。勝ったとき?『またインタビューか』って(笑)
メムロボブサップとはハンディ差もありました。思い通りの展開でしたか。
何も考えていなかったです。いろいろなことを考えるより、コウテイと自分。どのレースも周りは意識していません。自分と、乗っている馬の会話だけでレースをしている。それによって、満足いくレースをしたいと考えています。
帯広記念でコウテイを重賞初制覇に導く
いつもにも増して今年度は勢いがありますね。騎乗数も今年度トップです(1月20日現在)。
いままでよりは、自分が落ち着いているな、と思います。力を抜いてレースに向かっている。今季は春から「今年は力まない!」って決めました。頑張って負けたら悔しいから、力まずに行こうと。自分の中では、毎年の目標として『去年より勝ちたい』という思いがあります。騎乗数については、気づいたら増えていて、恵まれています。
体格ががっしりしているのは、ばんえいでは有利だと思います。
レースでは、力でしっかり押さえることはできると思います。追う時に、体を低くしているのは無意識ですね。体重制限については、レースが近くなったら野菜を多めにしています。
あらためて、大事にしていることは。
馬がいつ止まりたいか、というタイミング。その時によって違うから。馬のリズムを崩さないようにしています。「馬の感じ」でレースを進めることです。
手綱一本で、馬の気持ちをくみ取ることって、すごく難しいと思います。どのようにしているのですか。
うーん......。スタートから道中走っていたら、止まりたがるタイミングがある。だらけて見えるな、というときは気合いは入れます。ハミもあるけど......、手綱から伝わってくる。3メートル先だけど、馬とつながっているのは手綱しかないから。経験で、伝わってくるものがあるんです。
騎手ではないとわからない感覚なのですね。
父(西康幸調教師)に教えてもらったことは大きいです。今になって、馬の扱い方や騎乗について、言っていたことが理解できるようになりました。ここ、2、3年くらいかな。入院しながらも、毎回レースを見ていてくれました。生きていたら(2020年11月逝去)、だめなところをああすれ、こうすれ、と言われていると思う。
意気込みを聞かせてください。
頑張れるだけ頑張るしかないなー。このレースというのはない。勝たせたい、というよりはリズムを大事にしたい。乗っているのは楽しいよ。
休みはどうしていますか?
最近忙しいからな。釣りのシーズンも終わったし、体を休めています。乗馬もしたいんだけど。午前4時半には起きて、ズリ引きを中心に行っています。
騎乗が多いですもんね。新人騎手も頑張っています。中原騎手が尊敬していると聞きました。
頑張っているな~、とは見ています。厩舎が隣で仲良くなりました。身近な存在で、仲がいいんです。釣りにも行きますし、気が合う。レースのことは聞かれたら教えるけど、俺のこと目標にするなと言ってます(笑)
いつでも一生懸命な、西騎手の姿勢が伝わっているのでしょうね。さて、コウテイはばんえい記念に向かいます。オッズパーク会員に一言お願いします。
これからも高重量で力を発揮してくれると思う。ばんえい記念もチャンスはある。ハンデないからね。調子いいから楽しみだ。
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※インタビュー / 小久保友香、写真/ 小久保友香、小久保巌義
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