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10/8クインカップ予想 斎藤修

重量有利なキタノパワーから

 岩見沢記念は、結果的にまったくかすりもしない予想であった。
 大井競馬場の予想トークのしゃべりで当たっていたことといえば、ミサイルテンリュウが先に抜けて、この重量だとゴール前で差されるという展開のみ。差してくるのがフクイズミかと思ったのだが、それがぜんぜん違っていた。この重量ならトモエパワーに来られてしまえば、納得せざるをえないが、レース後に伝わってきた「夏負けから回復していた」とかいう情報は現地で取材してないとわかりません。
 ともかく、新王者トモエパワーの復活は、シーズン後半の高重量戦へ向けて明るい材料ではある。

 さて、4歳牝馬によるクインカップ。
 500万クラスが670キロで、クラスがひとつ下がるごとに5キロずつ減となる別定戦。
 ばんえい大賞典の勝ち馬ニシキユウと、ばんえい菊花賞の勝ち馬エメラルドがトップハンデの670キロで、そこからクラスが3つ下のサクラガサイタ、キタノパワーが655キロ。そのひとつ下の250万クラス=650キロが5頭いて、モリノソニックが最軽量645キロという相手関係。
 まずぼくのセオリーとして、同世代同士での別定戦ではトップハンデはまず来ないということ。したがってニシキユウとエメラルドは中心にはしない。
 とはいうものの、目に見えての好調馬は430万、500万と連勝しているエメラルドくらいしかなく迷うところだが、ここはキタノパワーから。前走は1番人気で9着に敗れたものの、それまでは300万クラスで常に勝ち負けのレースをしている。
 相手はセンコウラブリイ。近走は200万から250万のクラスで掲示板を外さない堅実な走りが魅力。
 キタノパワーともう1頭の300万クラス、サクラガサイタも十分に争覇圏。そしてトップハンデだが前々走の混合600万クラスで2着があるニシキユウを押さえる。
 とはいえ、矢野さんも書いているとおり、どの馬が勝ってもまったく不思議のないレースだけに自信のほどは……。キタノパワーに人気がなければ矢野さん流で(って、ぼくもよくやるけど)総流しも。
 ◎キタノパワー
 ○センコウラブリイ
 ▲サクラガサイタ
 △ニシキユウ

10/8クインカッププレビュー

2007年10月 6日(土)

 10月8日(祝・月)のメイン第11レースに4歳牝馬による第32回クインカップが行われます。
 この世代牝馬限定のオープン戦は昨年12月のばんえいオークスにまでさかのぼることから、久々や、初めての対戦も多く難解な一戦となりました。
 格からいえば、ともに重賞勝ちがあり、500万円条件のエメラルド(06年ばんえい菊花賞優勝)と、ニシキユウ(06年ばんえい大賞典優勝)ということになりますが、やはりトップハンデの670キロが心配です。
 そこで期待したいのが、こちらも重賞勝ち馬であるキキリンドウ。最低人気のばんえいオークスで、エメラルドとのマッチレースを制したものの、次走の3歳条件戦では力なく最下位に沈むなど、ムラ駆けが目立つ馬で、昨季までは人気薄での好走が目立ちました。しかし、今季に入ってからの2勝はいずれも2番人気でもので、走りに安定感が出てきた印象です。最大の武器は勝負根性で、勝ちパターンは先行勢と離されずに障害を越え併せ馬に持ち込むかたち。250万円条件で650キロとハンデも手ごろだけに、今回もあっと言わせる可能性も十分でしょう。
 ほかの250万円条件馬では、センコウラブリイに注目です。同条件を2連勝中で現在は300万円条件のサクラガサイタに、前走の勝入250万円未満で先着(2着)しています。
 300万円条件のキタノパワーは、障害に詰まった前走(9着)までは、5戦連続で3着以内に好走していました。06年の黒ユリ賞を圧勝、ばんえいオークスでも3着の実績があり侮れないところでしょう。
 もちろんエメラルドニシキユウが底力を見せる場面も否定できず、ここを難なく突破するようなら、来年1月の新設BG1・天馬賞へ向け楽しみが広がります。
 ほか、今季200万円条件で4勝を挙げているキタノスズランと、同条件で9月に3連勝した実績のあるタカラコンドル、ばんえいオークス4着のヒメカワキタ、最軽量ハンデを生かしたいモリノソニックが出走します。

出走表はこちら

【参考レース】
12/10 ばんえいオークス(勝ち馬:キキリンドウ)
9/2 銀河賞(3着:ニシキユウ)

※映像はこちら。またこれらを含めた2カ月前までの映像はすべてオッズパークにてご覧いただけます。

今週の見どころ(10/6~10/8)

2007年10月 5日(金)

 今週から第13回開催が始まるばんえい帯広競馬。年間25開催のちょうど折り返し地点を迎えました。
 前開催を終えてのリーディング争い、は、騎手部門では、カネサブラックでばんえい十勝オッズパーク杯を制している鈴木勝堤騎手が71勝を挙げ首位と、3年連続のリーディング獲得へ快調に勝ち星を積み重ねています。以下、大河原和雄騎手64勝、藤野俊一騎手60勝、藤本匠騎手57勝と続きます。調教師部門では、岡田定一調教師が41勝でトップで、今季はエリザベスライデンで黒ユリ賞を、ツジノコウフクで銀河賞を制しています。2歳にも、先日の白菊賞を制し2歳牝馬の頂点に立ったカネヅルや、南北海道産駒特別2着のライデンロックなど楽しみな馬が多く、今年3月に通算1000勝を達成した名伯楽の快進撃はまだまだ続きそうです。

 10月6日(土)のメイン第11レースは石勝特別(3歳以上オープン)です。
 スターエンジェルは前開催の岩見沢記念(7着)も含めここ4走は、勝ち馬とは離されても10秒前後の差に健闘しています。勝ち切れないレースが続きますが、相手関係が楽になったここはチャンスでしょう。
 前開催のマロニエ賞を逃げ切ったのがニシキダイジンスターエンジェルとは今季5回対戦して4勝1敗と相性もよく、連勝の気運も高まります。
 岩見沢記念は8着のサダエリコも、このメンバーに入れば実力上位は明白だけに好走を期待。今季は未勝利も、積極的な競馬でマロニエ賞3着のホクショウファイトの一発も警戒したいところです。

 10月7日(日)のメイン第11レースは秋桜賞(3歳オープン)です。
 プリンセスモモは、ニシキガールとともにトップハンデを課せられたばんえいプリンセス賞は見せ場なく8着。しかし鮮やかに逃げ切ったばんえい大賞典をはじめ、とかちダービー(3着)、はまなす賞(4着)など牡馬と混合の世代限定オープン戦ではいずれも牝馬最先着を果たしています。昨年も10月は2連勝しているように力を発揮できる季節で、牡馬より15~35キロ軽い635キロなら勝ち負けでしょう。
 牡馬では、着実に上位に食い込んでいるアローファイターや、登坂力が魅力のシベチャタイガーが有力です。

 この日の第10レースは北央産駒特別(2歳)。毎年恒例の産地限定戦です。
 デビューから3戦2勝、2着1回のエナジーユウシオは、勝った2戦はいずれも2着に20秒近い差をつける圧勝劇。前走2歳B5も先頭で障害を抜けると、坂本東一騎手独特のジャンプ追いに励まされ、そのまま逃げ切りました。前々走で唯一先着を許したスーパーシャトルは、のちに南北海道産駒特別を優勝するなど2歳戦線を賑わせているだけに、今回もエナジーユウシオのレースぶりが注目されます。
 実績上位なのがメンバー中唯一の4勝馬ウメノタイショウ。9月2日の2歳A1では、青雲賞1、2着のコトブキタイガー、ホクショウジャパンを破っており、今回も確実に上位に食い込んでくるでしょう。
 ほか、青雲賞5、6着のタイソンショウホクセイパパも争覇圏です。

 10月8日(祝・月)のメイン第11レースは4歳牝馬による重賞・第32回クインカップ(16:30発走予定)です。このレースは別掲のクインカッププレビュー(後日掲載予定)をご覧ください。

レース回顧(9/29~10/1)

2007年10月 2日(火)

 29日(土)に行われたのは野菊特別(3歳以上430万円未満)。ここは2番人気のヒロノドラゴンが制し、銀河賞2着の実力をいかんなく発揮しました。
 やや縦長の隊列のなか、ヒロノドラゴンが真っ先に障害に挑み、続いてブランドボーイ、ミスターセンプーあたりが仕掛ける展開。先頭でこれをクリアしたのはヒロノドラゴンで、遅れてミスターセンプーが続いていきました。障害を下りたのちミスターセンプーが差を詰めてきましたが、残り30メートル付近からは差がいっこうに縮まらず、結局1馬身差を保ってヒロノドラゴンが先頭でゴールラインを通過しました。最後は脚いろが一緒になったミスターセンプーが2着、障害5番手から追い込んだテンカが3着。

 30日(日)のメインレースは重賞の岩見沢記念(3歳以上オープン)が行われ、トモエパワーが優勝。このレースについては別掲の岩見沢記念回顧をご覧ください。

 この日の第7レースには2歳A-1戦が行われ、ホクショウジャパンが勝利。2着にコトブキタイガーが入り、2歳戦線を引っ張る2頭で決着しました。

 1日(月)は神無月特別(3歳以上500万円未満)が行われ、昨年のばんえい菊花賞馬エメラルドが優勝しました。
 各馬苦戦を強いられた第2障害は、ライジングサンが先頭でクリア。2番手でエメラルドとキョクシンオーが並んで下り、以下フクノカミカゼ、ニシキユウと続く展開。さほど差は開かず、1ストップで順位がガラリと入れ替わるサバイバル戦となりました。まずは残り30メートル付近で、キョクシンオーがストップ。残り20メートルで、いったんは先頭に並びかけたエメラルドも脚が止まりました。同じ位置でキョクシンオーが2度目のストップを喫し、終始歩き続けたライジングサンが先頭でゴールへ一直線。逃げ切ったかと思われたその時、ライジングサンの脚いろがほんの一瞬だけ鈍り、そこへエメラルドが強襲してきわどい争いに。結果、最後の一瞬でエメラルドが逆転して優勝し、ライジングサンは惜しい2着。後続の争いもきわどくなりましたが、キョクシンオーがフクノカミカゼを差し返し、3着を確保しています。

映像はこちら。またこれらを含め2カ月前までの映像は、すべてオッズパークにてご覧いただけます。

9/30岩見沢記念回顧

2007年10月 1日(月)

トモエパワーが力勝負を制す!

 30日(日)は重賞の岩見沢記念(3歳以上オープン)が行われ、3番人気のトモエパワーが優勝。得意の高重量戦で、昨季のばんえい記念馬が復活ののろしを上げました。

 全馬800キロ以上の重量を曳いているため、道中は予想どおりのスローペース。スーパーロイヤル、シンエイキンカイあたりが早くも第1障害で息を入れるなど、各馬ゆったりと歩みを進める展開。わずかにスターエンジェルがリードを保ちながら馬群を引っ張り、内のサダエリコ、外のタケタカラニシキもこの圏内でレースを進めました。
 第2障害はタケタカラニシキが真っ先に動き、その様子をうかがっていた各馬が遅れて仕掛ける展開。ミサイルテンリュウの馬体がグッと上がり、天板近くまで一気に登坂。さらに腰を入れて登り切ると、障害巧者の面目躍如、先頭でこれをクリアしました。追走集団ではトモエパワーが登り切っているものの、ソリを上げ切るまでに至らず苦戦。その間にタケタカラニシキとカネサブラックが天板に達し、ようやくソリを上げ切ったトモエパワーと、3頭がほぼ並んで障害を下っていきました。
 逃げるミサイルテンリュウは、大きくリードを取っていましたが徐々に脚いろが鈍りはじめ、残り10メートル付近でストップ。追走3頭が差を詰め、残り5メートルで1馬身差まで接近。しかし、この差ならミサイルテンリュウの逃げ切りが濃厚となり、いよいよソリの後端がゴール線を越えるその瞬間、悔やんでも悔やみきれない痛恨のゴール線上ストップ。そこへ強襲してきたトモエパワーが、カネサブラックを交わし、ミサイルテンリュウを尻目に、先頭でゴール線を通過。今季の初勝利をビッグタイトルで飾りました。2着にカネサブラックで、立て直したミサイルテンリュウが3着で入線。以下、先行策から粘ったタケタカラニシキ、障害7番手以降から追い込んだフクイズミと続きました。

 勝ったトモエパワーは、前述のとおり今季初勝利。もちろんミサイルテンリュウが寸前で止まったのはラッキーでしたが、重馬場、高重量戦と、とにかくパワーが必要だった今回、ばんえい記念馬トモエパワーの持ち味が存分に発揮されたと見るべきでしょう。残り5メートルでも衰えなかった末脚がそれを物語っており、やはり高重量戦では軽視禁物のようです。
 驚かされたのはカネサブラック。重賞3勝の実績からすればここで好勝負を演じても不思議ないですが、800キロ以上のレースは3戦して4着が最高着順(ポプラ賞・810キロ)と、高重量戦にまったく実績がありませんでした。これまでの連対時最高重量が760キロだったことを考えれば、大きな飛躍といえるでしょう。
 なにより惜しかったのはミサイルテンリュウ。あとひと押しならぬ、あと“ひと曳き”だっただけに、陣営としては悔しい一戦だったはず。ただ、ゴール線上ストップから立て直し、越えたところでまたすぐに止まったところを見ると、限界ギリギリまで攻めた結果。そのアグレッシブなレースぶりには、非常に好感が持てました。もちろん詰めの甘さは否定できませんが、今後も障害力を武器に重賞戦線をにぎわせてくれるものと思われます。

成績はこちら
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