2020年10月11日、高知7Rをマイネルトゥランで勝ち、永森大智騎手(高知)が地方通算2,000勝を達成しました。現在、高知リーディング2位の勝ち星を挙げる永森騎手ですが、メモリアルまであと10勝に迫ったのは7月19日。区切りの勝利を挙げるまでの約2カ月間、どんな気持ちで過ごしていたのでしょう。また、かつてコンビを組んだグランシュヴァリエの産駒リワードアヴァロンでの高知優駿制覇についてもうかがいました。
地方通算2,000勝、おめでとうございます。
ありがとうございます。残り10勝くらいになってから、調教中に足の親指を骨折して騎乗を1週間休んだりして達成まで長かったので、やっと出来たっていう安心感と、ホッとした気持ちがありました。達成した日はちょうど母の誕生日で、その日に決められて嬉しかったです。
2,000勝は意識していましたか?
周りの方が「もう少しだな」って言ってくれていて、気にしてもらえているのは嬉しかったんですけど、勝ち急ぎすぎる性格なので、自分ではあまり考えないようにはしていました。でも、どこかで意識していたのがあったんじゃないですかね。
10月11日高知7Rで地方通算2,000勝達成(写真:高知県競馬組合)
この夏から秋にかけては永森騎手自身も「あまり調子が良くない...」と話していました。
毎年そういう悪い波はくるんですけど、今年はちょっと長すぎました。乗せてくれた方には迷惑をかけてしまったので、少しずつでもまた信頼してもらえるようにしっかり乗りたいです。
足の親指のケガの影響もあったのでしょうか。
1週間だけレースを休んでまた乗り出したんですけど、多少かばって乗っている部分があったので、別の部分に違和感がありました。今は全然大丈夫ですけど、そういうことで余計にリズムが崩れたっていうのはありました。
今年はリワードアヴァロンで高知優駿を制覇。父は永森騎手とのコンビで高知県知事賞連覇など重賞3勝を挙げたグランシュヴァリエで、ゆかりのある馬ですね。
そういう巡り合わせも今年はあったので、悪いことばかりじゃなかったなと思います。グランシュヴァリエは気性の難しい馬で、馬とケンカすると走る気を損ねてしまいました。そういう操縦性の難しさや気性を産駒も受け継いでいて、気分良く行った時は強いんですけど、ちょっとでも機嫌を損ねると一切走らなくて、レース後に全然息が上がっていないこともあります。
リワードアヴァロンで高知優駿制覇
そうなると、高知優駿では戦前から逃げる形を考えていたのでしょうか。
枠順が出た時点で、ああいう展開がベストかなと思いました。対戦相手との枠の並びも良かったので、リワードアヴァロンに向いてくれると思い、レース前から全てがうまく噛み合っていた感じです。スタートしてリワードアヴァロンは仕掛ければ行ける手応えだったので、内の馬が無理にでも行くのならば僕も仕掛けるっていう感じで内を見ながら行きました。折り合いに若干難しいところがありますが、最初のコーナーで折り合いもついてペースも良かったので、あとはどれくらい頑張ってくれるかだと思いました。揉まれない位置がこの馬にとっては一番よくて、あの形になって負けたら仕方がないなっていう感じだったので勝ててよかったです。
話を永森騎手自身に戻しますが、これで"ゴールデンジョッキー"の仲間入りをしました。
毎年、園田で行われる『ゴールデンジョッキーカップ』の出場権を得ただけですが、2,000勝はみんながみんな達成できる数字じゃないので、デビューからずっとお世話になっている雑賀正光先生に感謝したいです。
高知優駿口取り。左が雑賀正光調教師
さっそく2,001勝目は遠征先の園田でのエキストラ騎乗で決めました。波が戻ってきた感じはありますか?
毎年、波がありますけど、徐々には戻ってくるんじゃないかなと思います。それは(雑賀)先生も分かっているので、園田に行く朝に「園田は内が軽いんやぞ!」ってアドバイスされました(笑)。「先生、僕初めて行くんじゃないんですけど」って。
このあとの目標を教えてください。
このあと3,000勝を目指していないわけではないですけど、今まで大きな怪我もなくこられたから2,000勝を達成できたと思っているので、第一に怪我をしないように乗りたいと思います。それを前提において、あとは少しずつでもまた技術を上げていければなと思います。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子