7月13日第12レースでアオノゴッドに騎乗して優勝し、通算1,500勝を達成した西謙一騎手。昨シーズンはばんえいリーディング3位と毎年上位に名を連ね、騎乗数はトップ。馬主など関係者の信頼を集めています。騎手会長としても3年目を迎えました。
おめでとうございます。1,000勝のときに9年9カ月で達成は年間100勝以上の計算という話をしましたが、14年目で1,500勝です。以前より乗り方が変わったと思うことはありますか。
以前よりは考えて乗れるようになったかな。馬に負担をかけないように、障害に行くまで、どれだけ馬にとって楽ができるかを考える。
最近の騎乗馬について教えて下さい。まずは古馬から。今年のヒロインズカップを勝ったアフロディーテはいかがでしょう。同期にはミスタカシマという強敵がおり、2着が続く中、先着も増えてきました。
2歳から乗ってきて、ヒロインズを狙って獲れたから、これは思い出に残るレースだったね。軽ハンディもあったし、1月頃から調子が良かった。昨年は夏は暑くて苦労したが、今年は順調だね。線の細い馬なので調教も無理できないから、少しずつ成長している。性格? おとなしくはないね。ミスタカシマという強い馬がいるのは仕方がないことだから。
ヒロインズカップ(2020年2月9日)を制したアフロディーテ
古馬戦線で活躍中のメジロゴーリキ(2019年チャンピオンカップなど)は。しばらく結果が出ていませんでしたが、ばんえいグランプリでは3着と好走しました。
重い荷物のレースがずっと続いてきたから、壁にぶつかっていた。調教師と相談して、軽い荷物で走路開放を使うなど気持ちが前向きになるよう考えている。
メジロゴーリキ
今年のばんえい記念はカブトゴールドで出走しました。善戦しましたね。
東北の草ばん馬に出ていて、重い荷物には慣れている。ばん馬では障害で止まることもあるから、ばんえい記念で止まっても心配ない。
今年ポプラ賞を制した3歳のアオノブラックも、メムロボブサップというライバルがいる中で健闘しています。
相手がいると、レースはしやすい。器用ではない馬だから。真剣に走ると強いよ(笑)。まだ遊んでしまう。
ポプラ賞(2020年3月15日)を制したアオノブラック
それでもポプラ賞の勝利インタビューでは、前向きになってきたと話していましたね。古馬ともいいレースをしています。
スピードがあるから、同世代より古馬とのほうがいいレースができるかなと。夏は調子がよくないから、涼しくなったほうがいい。今年は(4歳一冠目・柏林賞を勝ったメムロボブサップの)三冠を阻止したいね。
2歳はいかがですか。
まだ混沌としている。デビューから3連勝したリアンドノールになるのかな。荒いけれど、平ら(平坦コース)はいい。課題は障害だけだね。
リアンドノール
あらためて1,500勝について。思い出に残る馬は以前初重賞制覇(2009年銀河賞)アカダケキングや、ばんえい記念馬ニシキダイジンと挙げていただきましたが。
そうだね、「ニシキ」の冠の仙頭富萬オーナーは、新人の頃から乗せてくれていた。ダイジンもだし、ニシキタカラも。重賞でも乗せてくれたよね。アカダケキングは2歳から自分で運動していた馬。周りの人にお世話になった。
無観客競馬が長く続き、7月11日からは観客が入場しています。
無観客の時は静かだった。馬にとってはよかったかな。観客を入れたあとは、たくさんの客が見に来ている。パドックでは、2歳は人を見てびっくりしてはいたけど、それが本当のレースだから。
一日のスケジュール教えてください。
調教は午前4時前から、10、11時までかな。馬はいるけれど人がいないから。
ええっ! そんなに長くやっているんですか。休みはとれていますか。
休んでも今はどこにも行けないからね。厩舎は、インド人1人と帯広畜大の学生バイトがいて助かっている。インド人は気さくな人が多いし、言葉は通じないけれどなんとなく会話している(笑)。人は少ないけれど、若い人は増えている。騎手になりたいって厩務員になっている人もいるよ。騎手は減った(19人)から。増えたほうが楽しいね。厩務員も騎手も、レースで勝ったら楽しいよ。
ではオッズパーク会員の方に一言お願いいたします。
リーディングは気にしない。それよりも、周りから信頼されることが大事だと思っています。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香