4月5日にデビューした金沢の魚住謙心騎手。騎乗機会2日目の7日(第6レース)に初勝利を挙げると、同じ日に2勝目を挙げる活躍ぶり。現在の心境を伺いました。
まずはデビューおめでとうございます。実際にレースに騎乗してみていかがですか?
デビューする前からいろいろなことを想像していましたが、全然上手く行かないことばっかりですね。自分の技術不足を痛感しています。
具体的にはどんなところが課題ですか?
まず筋力が全然足りなくて、追い込む時に下半身がプルプル震えてしまいます。あとは、状況判断。逃げ先行している時はまだいいのですが、中団や後方にいる時は、どこで内に入れようとか、外に出そうとか、追い出しはどの辺りからとか、そういう判断が上手くできず、ミスしてしまうことが多いです。
そんな状況の中、早々に初勝利を挙げました。しかも後方から豪快に追い込むという、新人離れした勝ち方でしたね。
ありがとうございます。騎乗させていただいた馬が追い込み脚質で、これまでも後ろから行く馬だったので。勝ち方を教えてもらった感じです。
4月7日第6レースで初勝利(写真:石川県競馬事業局)
どのあたりで勝てると思いましたか?
4コーナーを回って直線に入る時、「もしかしたら捉えられるかも」と思いました。前とはかなり差がありましたが、手ごたえがすごく良かったですし、ハイペースな流れだったので、もしかしたらあるかなと。
追い込み姿勢がキレイで、とても落ち着いて騎乗しているように見えました。同期の中で『追い込みの謙ちゃん』と言われていましたもんね。
言われてましたっけ(笑)。全然冷静ではなかったんです。あそこまでのチャンスが初めてだったし、「勝てるかもしれない」と思うと焦ってしまって......。でも差し切ってゴールした時は、ものすごく気持ちよかったです。
しかも同じ日に逃げ切りで2勝目。ひとつ勝って気持ちが楽になりましたか?
そうですね。やっぱり勝つまでは焦りもあったので、楽になりました。2勝目はポンとスタートが決まって、最後まで手ごたえがいいまま行くことができました。本当に馬のお陰です。乗せてくれた関係者の方々に感謝しています。
初勝利後、周りの反応はいかがでしたか?
先輩の騎手の方々や、調教師の方々に「おめでとう」と言っていただき、嬉しかったですね。所属の鋤田(誠二)先生も喜んでくれましたし、「技術不足で大変だろう」って言われました(苦笑)。デビューしたばかりですが、たくさんの騎乗機会をいただいて、本当に有り難いですね。早く期待に応えられる騎手になりたいです。
初勝利を挙げたシオジレア(写真:石川県競馬事業局)
同期の中で初勝利一番乗りでしたね。
それもすごく嬉しかったです。笠松の深澤(杏花)さんと船橋の篠谷(葵)が先にデビューしていましたが、僕は3番目で早い方でしたし、金沢でたくさんチャンスもいただいていたので。今は深澤さんや北島(希望)さんも初勝利を挙げたし、同期の存在はすごく刺激になります。もっともっと頑張らないといけないなと。
競馬ファンというお父様も喜んだんじゃないですか?
ものすごく喜んでくれました。「ようやったな」って言ってもらって、僕も嬉しかったです。父が競馬ファンで、子供の頃からよく阪神競馬場に連れて行ってもらって。それがきっかけで騎手になりたいと思いましたし、両親はずっと応援してくれているので、いつか恩返ししたいですね。
目標は吉原寛人騎手と仰っていましたが、一緒にレースに乗ってみていかがですか?
近くで騎乗を見て、より凄さを実感しています。自分とは全然違うところばかりで。騎座が安定しているし、常に冷静、直線の追い込みも全然ブレずに追っていて、馬がすごく動くんです。吉原騎手はもちろん、一緒に乗っていると先輩たちはみんな上手いので、いつも意識しています。
早起きはもう慣れましたか?
今は1時半に起きて、毎朝20頭くらい乗っているのですが、早起きは苦手で起きるのがけっこう大変です。でも本当にチャンスをたくさんいただいているし、早起きして1頭でも多く調教することが技術向上に繋がりますから。それに、たくさんレースに乗せていただいて、今すごく楽しいです。
現在の目標は何ですか?
今年は30勝以上はしたいです。そのためにはもっと上手くならないといけないので、しっかり努力していきます。
では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願いします。
今は新型コロナウイルスの影響で、大変な時期だと思いますが、金沢競馬に注目していただき、応援していただいて、本当にありがとうございます。まだ僕はファンの皆さまの前でレースをしたことがないのですが、インターネットを通して応援していただいていることは感じています。減量を活かして、できるだけ積極的に前へ前への騎乗を心がけ、ところどころ、初勝利のような追い込みを見せられればと思っています。これからよろしくお願いします。
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※インタビュー / 赤見千尋