今春、デビュー10年目を迎える杉浦健太騎手は重賞通算9勝(1月21日現在)。特にマイタイザンとのコンビでは重賞6勝を挙げ、同馬は2018年兵庫県競馬の年度代表馬に選出されました。この馬に巡り会えたことで自信がつき、周囲からの評価も変わったといいます。節目を前に、マイタイザンとのことやご自身の目標について語っていただきました。
前回こちらにご登場いただいてから約4年が経ちました。その間にマイタイザンとのコンビで2015年兵庫若駒賞を勝利し重賞初制覇。ゴール手前で喜びのガッツポーズが出ましたね。
そうでしたね(笑)。嬉しすぎて自然と出ちゃいました。その1カ月前の園田プリンセスカップに3戦無敗で1番人気のスマイルプロバイドと挑んだんですが、8着に惨敗。重賞初勝利を期待していたので、「まだまだ早いのかな」って感じていたところだったんです。兵庫若駒賞は周りから「絶対勝つやろう」オーラがすごくて、人生で一番緊張しました。マイタイザンはもともと掛かる馬で、兵庫若駒賞でも持ちきれないくらいの手応えで2番手でレースを進めました。4コーナーで後ろから他馬が来る気配が一気に近づいてきたんで一瞬ヤバいと思いましたが、途中からは「大丈夫かな」と思えました。喜びよりもホッとしたのが一番でした。初めて重賞を勝たせていただいて、自信にもなりましたし、いい勢いがつきました。当時、験担ぎであごヒゲを伸ばしていたんです。僕、結構そういうのを気にして、「このパンツ!」とか「流れが悪いから髪の毛を切ろう」ってなるんです。あごヒゲは役割を果たしてくれたので「重賞勝てました。ありがとう」ってすぐに剃りました。
その後、マイタイザンとは中距離戦線でお馴染みのコンビとなり、2018年は新春賞、兵庫大賞典、園田金盃を制覇されました。すべて逃げ切り勝ちで、自分の形に持ち込むと本当に強いですよね。
こんな馬に巡り会えたのはすごいことですよね。最近は馬自身が抜くところは抜いて、パッと走るところは走るっていう気合いのオンオフがつけられるようになってきました。若い時は行きたがってなだめるのが大変だったんですが、最近はレースに向けて仕上げやすくなりました。それもいい結果につながっているんじゃないかなと思います。2018年は年明け最初の重賞・新春賞をマイタイザンで勝って、12月の園田金盃も勝利。マイで始まってマイで終わった1年でした。
マイタイザンで制した園田金盃(2018年12月13日/写真:兵庫県競馬組合)
マイタイザン自身は2018年は6戦5勝。それだけに、東海菊花賞でカツゲキキトキト相手に持ち前の逃げの手に出て3着に敗れたのは悔しかったのではないかなと想像します。
強い馬から逃げてもダメなんでね。強い相手と戦えば、どんどん強くなっていくと思っていますし、もっともっと強いステージでやっていきたいと思っている馬です。キトキトに真っ向勝負を挑んで負けたことは、結果的には園田金盃の勝ちにつながったと思っています。今年も遠征プランもあります。まだ先着できていないので、なんとかキトキトを目標にがんばりたいですね。
マイタイザンには杉浦騎手の特別な思いもありますしね。
レースもですが、調教でもずーっと乗っています。この馬と大きいところをたくさん勝たせてもらってすごく自信にもなりましたし、この馬のおかげで周りからの評価も変わりました。めちゃくちゃ感謝しています。それと、「タイザン」はオーナーの冠名なのですが、「マイ」は僕の妻の名前なんです。妻も喜んでいますが、レースで走る度に「私が一番緊張する」って言っています(笑)。
同じオーナーのノブタイザンでも2018年は六甲盃を後方から差し切り勝ちされました。どんな1年でしたか?
ノブタイザンらしい気持ちいい勝ち方をしてくれて、すごく嬉しかったです。重賞もいっぱい勝たせてもらって、そういう面ではよかったですが、2018年は勝ち星が伸び悩みました。2016・17年はキャリアハイの82勝だったのですが、74勝に落ちちゃって不甲斐ないです。2着が飛びぬけて多い(98回)んですよ。納得の2着と「ああしとけばよかったな」っていう2着もありました。それをきっちり1着に持ってこられたら、もっと勝ち星も増えるので、「2着を1着に」って気持ちを強く持って今年は乗っています。
六甲盃をノブタイザンで勝利(2018年3月1日/写真:兵庫県競馬組合)
なにか最近、取り入れたことや変えたことはありますか?
以前より自分の中で気持ちに余裕ができて乗れているなって感じます。馬のリズムを大切に、馬の邪魔をしないことをすごく考えています。木村さん(木村健元騎手・現調教師)がすごい憧れで目標にしているんですが、桁違いに上手いので、自分でちょこちょこアレンジしながらやっていたら、馬に合わせてっていう方向になってきたんだと思います。
2019年に入って、現在の調子はいかがですか?
良くもなく悪くもなく、ですね。毎年、どこかで勝てない時期が1~2カ月単位で入るんですが、今年はトンネルをなくして平均ペースで勝ちたいです。
身近なところでは、吉村智洋騎手が2018年地方競馬全国リーディングに輝きました。毎晩、調整ルームでお鍋を囲んでいるそうですね。
ずっとレースのことを喋ったり、身近で見ている方なので刺激になります。僕ももっとがんばらなあかんなって思っています。
春にはデビュー10年目を迎えます。今後の目標を教えてください。
早いですね~、そんなに経つんですね。まだ自分では若手だと思っているので、フレッシュにもっとがんばりたいです。目標は、3年連続で言っているんですが、年間100勝です。上位の騎手から勝ち星をとっていかないと上っていけないですが、10年目の節目になんとかがんばりたいです。
最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
みなさんが馬券をいっぱい買ってくれたら、僕らもすごくやる気が出ますし、刺激にもなってもっとがんばれます。ぜひ応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大恵陽子