昨シーズンまで3年連続で岩手の騎手リーディングに立ち続けている山本聡哉騎手。今年もここまで1位を守り続けており、4年連続リーディングへの期待も高まってきている。ラブバレットと共に各地に遠征したり、あるいは他地区の重賞にスポット参戦したりと、岩手以外でも存在感を増すシーズンになっている。
まずは地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップから。結果から言うと残念でしたね。6着、12着、4着、7着。
ちょっと乗り切れなかったですね。第1ステージも第2ステージも勢いがなかった。
何年か連続で"札幌行き目前"くらいまで行っていたこともあって、どうしても惜しいなと思ってしまいます。
最初の頃は良い馬に当たっていたことで成績も良かったのかもしれません。最近はちょっと運もないかも。でもそういう状況でも上の着順に持ってこないといけないレースなので、流れがあまり良くなくても上に来ないと...でしたね。
地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ盛岡第2戦(12着)
ジャパンジョッキーズカップ(7月16日、盛岡)の方は、もっと聞きづらい成績だった。
個人のポイントで最下位でしたからね(苦笑)。レースの方は地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップと違ってガツガツした感じがなくて、変なプレッシャーがない中で、皆きれいな騎乗をするから、他の騎手の良いところを観察しやすいですね。乗り方に無駄がないですよね。ロスがなくて綺麗。地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップなんかはやっぱり攻めていくから、危ないシーンもあったりするのですが、こっちはやはりトップジョッキー同士の暗黙のルールみたいなものがあって。安心して戦えます。
地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップなんかだとポイントを取るのに相手を出し抜いたり裏をかいたりするシーンもあるものね。
そういうレースに比べると、ですね。そしてJRAの騎手が入ってくるのも違いになると思います。地方競馬の騎手とJRAの騎手は乗り方が違って、進路の取り方とか、ポジション争いで出したり引いたりのタイミングとか強さとか、レースのまとめ方とか。わりと岩手の騎手に近い感じがして自分は違和感なく乗れる。
乗っている騎手としては地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップみたいな個人のポイント争いのレースとジャパンジョッキーズカップみたいなレースと、雰囲気の違いみたいなのはある?
乗っている感じは全然違いますね。
それはチーム戦と個人戦の違い?
それは特にないですよ。チームだからといって作戦をあれこれ決める事はないですし、レースを見てもらえれば分かるように変につついたりとかするようなこともないですし。そこは皆さんトップジョッキーですから、馬の癖とかをある程度言うだけであとはしっかりと乗ってきますし。パドックの整列前の仕草なんかわりと違いますよね。リラックスするタイプなのか気合いを入れるタイプなのかとか。それぞれ違うなと思いながら見ています。
ラブバレット(4月18日大井・東京スプリント)
ラブバレットの話しに行きましょう。ラブバレットの今年のレースを見てきて、ありきたりな言い方だけどがんばっているなと。去年よりもずっと良いレースをしてきているんじゃないかと思うんだけども。
自分もそう思いますね。今年は良いレースをしてくれていると思う。7歳ですから、成長しているとか力を付けているとかそういう部分はそれほど大きくはないのでしょうが、状態は本当に良いなって感じますね。あと、少しテンにゆっくり行かせるような競馬をし始めて、自分としてはそれがしっくりくるな、と。
それは末脚で勝負するような形の競馬?
終い勝負というよりは、いつもより、今までやっていた競馬よりは少し後ろの位置から勝負するような。ある程度前には行くんだけども行かせすぎないっていうか。それで最後に脚を使えるように。
特に前走なんかその狙い通り、ほぼ完璧なレースができたのに勝てなかった...というのが残念で仕方がないです。
JRAの馬たちの層は厚いですよね。克服しなければいけない課題って言うか壁は高いですけど、ラブバレットも凄くがんばってくれているので、何とか克服したいですね。
北海道スプリントカップ(6月7日門別)、ラブバレットは2着
さて今度は騎手リーディングの話へ。今年は、"今年も"か。好調ですね。
好調なんですか?去年と比べてどうなんでしょうか?
最近少しペースが落ちたけど去年並みでは来ているし、ちょっと前までは去年以上だった(※直近の5回盛岡開催終了時点では今年92勝、昨年は96勝)から決して悪くはないと。
週あたり3勝を目標にしているので、そのペースでがんばっていきたいですね。
最近のレースを見ていて思うのは、以前ほど岩手の勝ち星の数にこだわってないというかリーディングにこだわってないというか、そんなふうに見えるんだけど。
そんな事はないですよ。"リーディングを獲る・守る"というのは長い期間でも短い期間でもモチベーションになりますし、そういう目標を置いてないと、なんというか、だらだらと乗ってしまいそうで。敢えてガツガツする、敢えて勝ちにこだわるというのも大事だなと思っていますよ。そんなふうに見えますか?(笑)
やっぱりほら、"村上忍騎手に追いつく、追い越す!リーディング獲る!"って頑張っていた時期があったから、その頃に比べると...かな。
周りからもそういうふうに言われていましたからね。その頃に比べると、今はずっと自然に、自分の気持ちの通りに流れに乗れているんじゃないでしょうか。
6月7日門別、エムティアンでJRA認定ウィナーズチャレンジを勝利
山本聡哉騎手の騎手個人としての当面の目標はあと34勝(※7月30日終了時点)に迫る地方通算1500勝達成だが、師匠である佐藤浩一調教師の騎手としての通算1477勝を超えるのも一つの重要な通過点ではないだろうか。それを超えれば岩手競馬の騎手として歴代10位の勝利数ともなる大きな一里塚だ。もちろんラブバレットとのコンビでのグレードレース優勝にも期待し続けよう。
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※インタビュー・写真 / 横川典視