昨年、9年ぶり9回目のNARグランプリ優秀女性騎手賞を受賞した宮下瞳騎手。2011年に一度引退しながらも2016年8月、2児のママになって騎手復帰し、初の通年参戦となった昨年は重賞制覇を含む61勝を挙げた。
NARグランプリ優秀女性騎手賞の受賞、おめでとうございます!
ありがとうございます。復帰した2016年は特別賞をいただきましたが、優秀女性騎手賞は(木之前)葵ちゃんが受賞していて、ちょっと複雑というか悔しかったんです。密かに「来年こそは...!」とは思っていました。でも、まさか本当に受賞できるとは思っていなかったので、素直に嬉しかったです。
2017年は61勝で、引退前と遜色ない成績を残されています。昨年後半には「レースの勘が戻ってきた」というお話もされていましたね。
本当にいい馬に巡り会ったのと、関係者のみなさんにすごく良くしていただいたおかげです。復帰したばかりの頃に比べると、落ち着いて乗れているかなと思います。怒られることもいっぱいありますけどね。
以前と比べて気持ちの変化などはありますか?
昔は「勝たなきゃ!」ってプレッシャーと戦いながら乗っていました。「勝ちたい!勝ちたい!」ばっかりで、馬のその時の体調を考えてあげられなかったり、「なんで走らないの?」って馬のせいにしてしまったこともあったと思います。でも、復帰前に厩務員を経験させてもらって、レースに出るまでにどれだけの時間がかかって、手をかけられているかというのを実感して、馬や厩務員さんへの感謝を感じながら乗れるようになったかなと思います。今でもプレッシャーが全くないわけではないですが、厩務員をしたからこそプレッシャーも半分、楽しみながら乗れています。
梅見月杯(2018年2月16日)で重賞2勝目となったポルタディソーニ
写真:愛知県競馬組合
ポルタディソーニでは昨年9月に秋の鞍、今年2月に梅見月杯で重賞制覇を遂げられましたね。
復帰してレースに乗れただけでも幸せなのに、まさかまさかの重賞を2勝もさせていただいて感謝です。スタートと二の脚が速い馬なので、いいポジションが取りやすいですね。賢くて、小っちゃいのに根性があります。ピリピリとした元気のいい子で、先生は遠征とかはあまり考えていないみたいですが、オンオフの切り替えが早いです。今日、ちょうど厩務員さんとも「すごいね」って話していたんですけど、レースが近づくとエサの調節とかで感じるものがあるみたいなんですよ。自分で気持ちをレースに合わせていっているようで、全然違う馬になります。
レディスヴィクトリーラウンド(LVR)では最終戦まで別府真衣騎手と熱戦を演じ、惜しくも総合2位でした。
佐賀での最終戦を前に(別府)真衣ちゃんとポイントが並んでいたようなんですけど、知らなかったんですよね。知っていたら、結果が変わったかもしれないですね(笑)。最後に決められて悔しかったですが、もう一押し足りないっていう点が今の自分の課題だと思います。でも、LVRは色んな競馬場を回れるし、お客さんがたくさん来てくれるので、同じことになっちゃいますが楽しみながら乗れますね。女性騎手同士で乗るので負けたくないって気持ちが強いですし、真衣ちゃんがいると「後ろについて行って、最後に交わしてやろう」とか考えますね。
家庭との両立も大変かと思いますが、原動力は何ですか?
やっぱり子供たちですね。帰宅すると息子が「どうだった?」と聞いてくれて、「勝ったよ」って言うとすごく喜んでくれるんです。勝てなかった日でも「また明日がんばればいいじゃん」って励まされたり。嬉しいですね。長男はこの春から小学校に入学して、毎日元気に学校に行っています。小学校がすごく楽しいみたいで、安心しています。
復帰にあたり見守ってくださった師匠の竹口勝利調教師とはどんな会話を交わされていますか?
毎日、厩舎などで顔を合わせますが、「あんまり頑張りすぎるなよ」っていつも言ってくれます。先生は陰ながら応援してくれていますね。私もお父さんだと思っているし、先生も自分の娘のように可愛がってくれます。毎年父の日と、私の息子たちのおじいちゃんという意味で敬老の日にプレゼントを贈っています。
今の目標は何ですか?
数字的なものはないんですけど、ポルタディソーニといういい馬に乗せていただいてるので、また重賞で活躍できたらいいなって思います。重賞2勝もさせていただいて図々しいんですけどね。
最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
いつも応援ありがとうございます! みなさんの応援や声援がすごく力になっています。これからもがんばりますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大恵陽子