デビュー3年目だった昨年、57勝を挙げて一気にジャンプアップした愛知の村上弘樹騎手。レースに乗れない時期もあり、大きな挫折を経験しましたが、見事に壁を乗り越えました。快進撃の理由、そして今後の目標を語っていただきました。
2016年は57勝を挙げ、一昨年の25勝から倍以上の勝ち星を挙げました。何が一番の要因だったと思いますか?
一番はやっぱり、周りの方々のサポートのお陰です。たくさんいい馬たちに乗せてもらいましたから。まだ新人の域なので、もっともっと成長しないといけないですが、たくさん失敗もして、大きな失敗もして、自分自身を見つめ直しましたし、環境も変わって新たに積み重ねてきたことが、少しずつ結果に繋がってきたかなとは思います。
大きな失敗というのは、体重調整?
そうですね。恥ずかしいですが、体重調整に失敗して制裁を受けました。それも1度や2度じゃないですから。一昨年、デビュー2年目の頃です。減量もキツかったですし、なかなか体重が落とせなくて、しかもケガをして2、3か月休んでいたので余計に落としずらくなりました。あの年は正味半年も乗ってないんじゃないですかね。
それで25勝を挙げたのは逆にすごいですね。
確かに(苦笑)。けどあの頃は相当追い込まれていました。同期で3人デビューしたんですけど、2人(八木直也、深見勇也)とも辞めてしまったし、正直自分も辞めたいって思いました。居場所がないし、体重は落ちないし、もう針の筵でした。自分が悪いんですけどね。
どうやって踏ん張ったんですか?
周りの方々のお陰です。「逃げるんか」「諦めるんか」ってカツを入れてもらって。馬に乗るのは好きですし、やっとなれた騎手という仕事も辞めたくなかったので、なんとか踏ん張って、続けることができました。
現在は体重調整はいかがですか?
減量が取れたし、自分の体のコントロールの仕方もわかってきたので、少しは楽になりました。これから騎手でいる以上ずっと続くことなので、しっかりとコントロールしていきたいです。
騎乗に関しては、デビュー当時と比べていかがですか?
まだまだですね。もう少し思い切って勝負できるようになりたいです。あと、僕は道中姿勢が崩れやすいので、そこはかなり意識しています。でも、掛かる馬とかだとすぐに崩れてしまって......カッコ悪いんですよ。意識していないと崩れてしまうんですよね。下からも突き上げがすごいんで、努力してどんどん上にいかないと。
下から、というのはNARグランプリ2016で優秀新人騎手賞を受賞した、加藤聡一騎手のことですか?
そうです。バンバン勝ちますからね。僕も負けてられないです。ただ、あまり意識しずぎないようにしています。それよりも上の人たちを抜けるようになりたいです。
目標としている騎手は?
やっぱり岡部誠さんです。岡部さんはすごいですから。レースの流れ次第でその馬に合った対応をしているし、僕では勝てないような馬でもきっちり持ってきますから。ゴール前で頭スッと出て勝ったりするので、一緒に乗ってて本当にすごいなと思いますね。岡部さんの騎乗を目指して、日々努力します!
ちょうど1年前の話になりますけれども、新人王では総合ポイントが1位と同ポイントで、2戦目の着順の差で2位でした。あれは悔しかったのでは?
悔しかったですよ! しかも2戦目4着だったんですけど、3着とハナ差だったんですよ。あそこで3着だったら文句なしに1位だったのに......。ただ、第1戦で勝てたことは嬉しかったですね。ほぼ同期ばかりのメンバーでしたし、負けたくない気持ちも強かったので。
デビューからたくさんの馬たちに乗ってきましたが、特に印象に残っている馬はいますか?
たくさんいますけど、去年の夏からずっと乗せてもらっているアカデミックドレスです。今はA級までいって、強いメンバーと勝負しているんですけど。ちょっと気性が難しくて、抜け出すとソラを使ったりするんです。力はあるんですけど、運び方が難しくて。だからその分、勝てるとすごく嬉しいです。
今年に入ってすでに3勝。引き続きいい流れですね。
いや、実はもっと勝てる予定だったんですよ。下手ばっかり乗っちゃって、本当に申し訳ないです......。今はたくさんチャンスをもらっているので、その分結果も出さなければと思っています。
では、今年の目標をお願いします。
リーディング5位! オープン、重賞を勝つこと! あと、今年っていうわけではないですけど、いつかは違う競馬場でも乗ってみたいです。岡部さんのように、大きい舞台で勝負できる騎手になりたいです。そのために、1つ1つのレースを大事に乗って、少しでも上手くなれるようにがんんばります。
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※インタビュー / 赤見千尋 (写真:愛知県競馬組合)