今年4月に高知競馬からデビューした塚本雄大騎手。話をうかがった9月11日には7勝目を挙げています。デビューしてから現在までの心境をうかがいました。
騎手を目指したのは、お兄さん(船橋・塚本弘隆騎手、2014年5月5日初騎乗)の影響ですか?
兄と僕は騎手を目指したのが一緒くらいだったんです。僕が小学6年のときに、母から「身長が小さいから、騎手っていう職業があるよ」って言われて。母も競馬のことはあまり知らなかったみたいですけど、そのあと自分でいろいろ調べました。中学を卒業して、そのままストレートで合格しました。兄は3歳上ですけど、中学を卒業してから合格するまで1年かかったので、デビューは兄の2年あとです。
実際に、地方競馬教養センターに入ってみてどうでしたか。
今思えば、騎手になる心構えがぜんぜん足りなかったと思います。先生に同じことを何回も怒られました。体重は軽かったので、減量はしなくてもだいじょうぶだったんですけど。ただ、騎手になるという強い気持ちだけはあったので、卒業だけは絶対すると思ってやっていました。
所属する雑賀(正光)調教師はどうですか?
はい。かわいがってもらえるように頑張っています。
普段の生活のスケジュールを教えて下さい。
午前2時20分に起きて、2時半から攻め馬に乗っています。調教は毎日17~18頭くらい乗って、馬の手入れもしています。終わるのは10時から11時くらい。そのあと、最初のご飯ですね。昼寝をして、午後1時半くらいから、また厩舎作業に出てきます。3時半から4時くらいに終わって、夜は、8時から9時くらいには寝ています。
教養センターの修了式のあと、雑賀調教師とそのまま高知に来ましたが、その後は家には帰りましたか?
帰ってません。ここに身を埋める気持ちで来たので。親も、修了式を見に来ただけで、高知には来ていません。ぼくが学校(教養センター)で顔を骨折したときも、来ないって言ってたんですけど、全身麻酔の大手術になるということで、教官が話して母だけ来ました。でも直るのは早かったです。
教養センターを卒業する前に話を聞いた時に、目標は「1日1勝、月に8勝」と言っていましたが、今日(9月11日第2レースを)勝って、7勝目です。
ぜんぜんダメですね(笑)。考えが甘かったです。3キロの減量があればもうちょっと勝てると思っていたんですけど......。初勝利までも2カ月近くかかってしまいました。
初勝利のときのことは覚えてますか?
緊張しないように乗っていたんですけど、外に出せなかったんで、内から行くような競馬になってしまいました。それでも『やっと勝てた!』という気持ちでした。66戦目だったので。騎乗したエンジェルブレスは、その後、夏負けの症状があって、それ以来レースに出ていないんです。次の開催には使えると思うので、力はあると思うし、期待しています。でも、以前に乗っていた松木(大地)さんが金沢(の期間限定騎乗)から帰ってくるので、乗せてもらえるかどうか。
ほかに印象に残る勝利は?
ブイアールヒーローです(7月10日第4レースで勝利)。それほど人気がなかったので(6番人気)、気楽に乗ることができて、5着くらいを目指していたんですけど、気持ちが馬に伝わったのか、ゴーサインを出したらすぐにスッと先頭に立ってくれました。会心のレースでした。下手なレースをしたあとは、このレースの映像を見て思い出すようにしています。
思い入れのある馬は?
デビュー初騎乗のウイニングハートでは、逃げて行き過ぎちゃって......。今思えば、もうちょっと道中我慢させていけば、たぶん勝てたかもしれないなと(3着)。そのあと何回か乗せてもらって、選抜戦でも3着があったので、すぐに勝てると思っていたのですが、勝つことができませんでした。
今の課題は?
勝つことを意識しすぎて、ほかの人のじゃまをしてしまうことがあるので、そうならないようにということを一番考えながら乗っています。レースでは気持ちが強すぎて、危ないところに行ってしまうことがあるので、もうちょっと考えながら乗ろうと。
あとは追い方で、兄弟子の2人(永森大智騎手、岡村卓弥騎手)が上手いので、勉強しています。永森さんはスマートに追うんですけど、岡村さんは逆に迫力のある追い方をします。
直接教えてもらうことはありますか。
追い切りの時には、岡村さんには併せ馬をさせてもらっています。永森さんは、すごすぎて、ちょっと近づきがたいです(笑)。なので、映像とかで見ています。
あらためて考えている目標はありますか。
あまり大きいことを言うとアレなんで......今年、15勝を......いや、20勝にしとこうかな。20勝を目標にがんばります!
高知では、新人王争覇戦があります。
出られたときには、地元代表としてがんばります!
--------------------------------------------------------
※インタビュー・写真 / 斎藤修