若手騎手の活躍が目立つばんえい競馬で、その中心騎手の一人である西将太騎手(25)。9月14日には2歳牝馬の特別・いちい賞をタキニシサンデーで制し、200勝を達成しました。
通算200勝達成おめでとうございます。タキニシサンデーは、お父さまの西康幸厩舎の馬ですね。
数は気にしていないのですが、197勝くらいで人から教えられた時は、こんなに勝っているんだと思いました。
タキニシサンデーは、一生懸命な馬。超まじめ! ゲートが開いたら、真っすぐ進んで横にぶれない。こんな馬、初めてです。乗りやすい。春の時点では、こんなに活躍するとは思わなかったんです。それが白菊賞といちい賞で2歳牝馬の特別を2勝しました。気持ちで引っ張っている感じなのでおっかないですね。一生懸命すぎて、けがしないか...そこに気をつけます。
ニンジンが大好きで、隠し持っていたら追っかけてくるんです(笑)。襲われかけました。エサを載せる一輪車に脚を乗せてアピールする(笑)。
父も、2歳牝馬の看板馬が出たので喜んでいると思います。
元騎手のお父様に、騎乗方法を聞いたりするのですか? 競馬場育ちですよね。
小6まで青森で、中学からは旭川。夏休みと冬休みは競馬場に行ってました。中学卒業後、すぐにでも競馬場で働きたかったけれど、高校には行けというので、馬のいる静内農業高校に行きました。馬術部でしたが、最近は乗馬もしていませんね。
レースについてはいろいろな人に聞きますが、父には聞かないです(笑)。教えるのがうまくないから。
昔を知るファンは、弘美さん(西弘美調教師、康幸調教師の兄)より父の方が、山(障害)が巧かったというんです。父の勝ったレースを見て勉強しています。
レースビデオはよく見ます。自分がどのように乗ったかはもちろんですが、自分が乗っていた馬をほかの騎手がどのように乗るのか。藤野さん(俊一騎手)や大河原さん(和雄騎手)など、常に上位でいられる人がどうやって乗るのか盗みたい。まだ、自分のフォームは汚い。以前よりは見やすくなったけれど、全然。スムーズに、きれいに乗りたいです。
期待している馬はいますか。
こいつどうにかできないかな、と思っているのがアサヒメイゲツ(牝3)です。障害を降りてからの脚がいい。障害さえうまくいけばチャンスがあると思うんです。
10月5日に、3歳オープンの(オッズパーク杯)秋桜賞を勝ちました。好メンバーが揃う中、ためてひと腰、素晴らしい脚でしたね。自信を持った乗り方に見えました。
そうでしたか? 障害では止まりかけたけれど、ほぼひと腰でした。頑張ったなー。馬に頭が上がらないです。大きくて丈夫な馬ですね。勝ったことで、馬にとっての自信になる。オークスが目標ですが、荷物に耐えられるかどうか。課題はやはり障害です。アサヒメイゲツにとって、敵は自分自身かもな。
最近牝馬の当たりがいい。牝馬は乗りやすいかな。嫌なことをされても、牡馬なら腹立つけど、牝馬なら「女の子だもんなー、優しくしないとだめだなー」と思うんです。
レディーファーストなんですね。お子さんも娘さんですよね。
騎手になってから生まれた2歳の双子の娘を含めて、女の子4人です。うるさいですよ(笑)。部屋には入れずに、外に連れて行きます。アウトドア! 今、騎手の中で釣りがブームなんです。今時期はアキアジ。自分が3本釣った時の写真を見た騎手が、こぞってやり始めました。みんな竿買いだして。キク(菊池一樹騎手)と一緒に行くことが多いかな。ケン(西謙一騎手、弘美調教師の息子)も行きますよ。楽しくてしょうがない! 暗くなるまで海から帰ってきません(笑)。
グルメなんですよね。
今は大盛り、特盛りメニューに凝っています。健仁(赤塚騎手)、心路(渡来騎手)と、回転寿司を安い順から食べていって1人で30皿とかやりました。
減量は大丈夫ですか?
レース前には食べる量を減らしています。釣りもリールを巻いたりして体力使うんですよ。いい運動になっています。
若手騎手は仲がいいんですね。レースへの刺激にはなっていますか?
坊主頭も心路に切ってもらいました(笑)。でも、レースとプライベートは別ですね。騎手それぞれの乗り方があるから、特に意識はしていない。
ケン(10月20日現在リーディング3位)も、いとこだからって特に気にはしないです。全て、人ではなくて馬を意識しています。その馬の持ち味が生かせればいい。山をうまくあがることを意識しています。
キクが重賞を勝った(8月のばんえい大賞典、カイシンゲキ)ことも、うらやましいけど、それはキクがいつもいいレースをしているからまわってくるということで。
昨年の菊花賞(セイコークインで接戦3着)は、「もったいね~」と思いました。どうやったら(1着に)入ったか考えたけれど、考えてもキリがない。でも、忘れたくても忘れられないし...。
勝ち鞍は、今のところ去年(2013年度・64勝)と同じくらいのペースでしょうか。今年の目標は。
勝ち鞍が同じでも、中身が濃いレースであるようにしたい。勝つところで、自分の考えで勝つ。いつも、勝つことばかり考えています。
あ、そういえば、健仁には負けたくない!(笑)。勝ち鞍が似ているんですよね。離したと思ったら追いついてくる(笑)。
-------------------------------------------------------
※インタビュー・写真 / 斎藤友香