1月9日高知競馬第8レースをララメダイユドールで勝利して、地方競馬通算2,000勝を達成した宮川実騎手(高知)。昨年1年間の勝率は28.3%でNARグランプリ最優秀勝率騎手賞を受賞しました。2009年の落馬事故により左目失明という大きな怪我を負いましたが、復帰後も進化し続ける宮川騎手。現在の胸の内を伺いました。
まずは2,000勝達成、おめでとうございます。
ありがとうございます。目標にしていた数字なので、達成することが出来てホッとしました。自分にはハンデがあるのに、復帰当初からたくさん乗せていただいて、周りの方々に感謝しています。自分自身も嬉しかったですが、特に(打越)勇児先生が感極まっている姿を見て、いろいろな想いが込み上げて来ました。
所属の打越先生とは長年一緒に歩んで来られた間柄ですね。
もともと僕は勇児先生のお父さんである打越初男先生のところでデビューさせていただいて、勇児先生は厩務員さんでした。2012年に調教師になって、初男先生の代から引き継いだこととか、いろいろな想いがあったのかもしれません。2,000勝を達成した時には、枠場の引き取りのところまで来て下さっていて、「おめでとう」と声を掛けてくれました。勇児先生が感極まっている姿を見て僕も胸が熱くなりましたし、自分以上に想いが強かったように感じました。
1月9日、地方競馬通算2,000勝を達成
そして昨年は打越調教師が206勝を挙げて全国リーディング、宮川騎手は勝率ナンバー1で、NARグランプリ同時受賞となりました。
自厩舎がすごい厩舎なので、自分がミスしなければおのずと出る結果だったと思います。全国で勝率1位というのは嬉しかったですね。
どのあたりから意識しましたか?
11月に入る前くらいに、「一緒にダブル受賞したいな」って勇児先生が言ってくれて、そこから意識するようになりました。意識し過ぎて空回りしてもいけないなと思いながら、なんとか踏ん張ることが出来ました。最後の1か月くらいはいい馬だけに乗せていただいたので、周りの方々の応援も本当にありがたかったです。
周りには応援している方がたくさんいらっしゃると思いますが、奥様の宮川真衣調教師の存在も大きいのではないでしょうか。
それは本当に大きいですね。しんどい時も支えてもらっていますし、真衣がそばにいてくれることはすごく大きいです。
以前お話を伺った時、自分の中で葛藤があるけれどもあまり表に出したくないというお話をしていましたが、奥様には見せられる面もありますか?
そうですね。いろいろなことを自然と言っていると思います。真衣も乗り役でしたし、大変な部分をよく分かってくれるので、感謝しかないです。
2月8日高知第7レースで宮川真衣調教師の初出走(チョウライリン・6着)に騎乗しました。調教師としていよいよスタートを切りましたね。
よく厩舎に行くんですけど、今は5頭入りました。大変そうではありますが、乗り役だった時の目線とはまた違うようで、馬たちを我が子のように可愛がっています。先日はデビュー戦だったので、まずは無事に終わってホッとしました。これから早く初勝利を挙げて欲しいですし、そこに貢献したいと思っています。
ご夫婦で表彰台に立つ姿を楽しみにしています。
そうですね。ゆくゆくは重賞も一緒に勝ちたいです。兄(宮川浩一調教師)も頑張っていますし、真衣がやっていることをそばで見ていると、騎手とは違う大変さを感じます。僕は騎手としても家族としても、一緒に頑張っていきたいです。
赤岡修次騎手が、「怪我から復帰してさらに上手くなった」と仰っていましたが、ご自身で感じることはありますか?
以前は勝ちたいという気持ちが強くて、自分本位になっていた面もあったと思います。もちろん今でも勝ちたい気持ちは強いですが、馬の気持ちが一番という風に考えるようになりました。それに、自分にはハンデがあるので、そのことで周りに迷惑をかけたくないという気持ちも強かったですから、いかに落ち着いて乗るかということを大事にして来ました。怪我から復帰したことで、いろいろな面でプラスになった部分はあると思っています。
そこまでの想いに持って来られたのはすごいですね。
僕が怪我をした時、ちょうど高知でナイターが始まる時だったんですよ。売り上げもどん底で、これでダメだったらもう潰れるしかないという状況でした。あのまま高知競馬場が潰れていたら、今の自分はなかったですし、復帰することも出来なかったのではないかと思います。高知が続いていたからこそ復帰出来たし、今こうして2,000勝も達成することが出来ました。関係者の方々には感謝していますし、高知を応援してくれるファンの方々にも心から感謝しています。
現在の高知競馬は売り上げがものすごいことになっていますね。
ありがたいですね。売り上げの数字を見ていつもびっくりします。競馬場自体にはお客さんは少ないんですけど、インターネットでどれだけの人が見てくれているんだろうと思うと嬉しいです。ファイナルが一番売れているというのが、高知らしいですよね。
一発逆転ファイナルレース、乗る側としてはいかがですか?
乗る方は本当にキツイですよ。誰が逃げるかもわからないですし、とにかくみんながいつも以上にやる気満々で乗っていますから。4コーナーあたりでは行き場がないこともしょっちゅうで、直線は横一列で誰が抜けて来るかわからないですよね。配当もつきますし、自分も見ている時はすごく面白いです。乗るのはキツイですけど(笑)。
今年は3歳馬マリンスカイとのコンビも楽しみにしています。
全日本2歳優駿の後は休養に出ていて、まだ若い馬ですからこの休養が成長に繋がってくれたら嬉しいです。性格はとても素直で、まだ高知では本気で走ったことがないですけど、かなり能力が高いと思います。全日本2歳優駿はスタートの不利が痛かったですが、初めての遠征で砂を被っても大丈夫でしたし、向正面で僕が行き過ぎた分、最後はいっぱいになりましたが、マイルの距離もこなせると感じました。
マリンスカイで黒潮ジュニアチャンピオンシップを制覇
高知優駿の舞台、1,900mはいかがですか?
そこはまだ未知ですね。キャリアもそれほど多くないですし、地元だとスピードの違いで逃げていますが、これからいろいろな競馬をして成長させていきたいです。ゆくゆくは県外でも通用するように育てて行きたいです。
では、オッズパーク会員の皆さまにメッセージをお願い致します。
いつも高知競馬を応援していただき、ありがとうございます。これからも面白いレースをお見せできるよう頑張りますので、よろしくお願いします。
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※インタビュー / 赤見千尋(写真:高知県競馬組合)
宮川実騎手は、高知競馬でリーディング上位を常にキープ。キャリア20年目の今年は、初めての高知リーディングが視野に入っています。
今年は所属する打越勇児厩舎が全国リーディングを狙える勢い。宮川騎手も順調に勝ち星を積み重ねていますね。
厩舎に良い馬がいて、その馬に乗せていただけて、本当にありがたいと思います。厩務員さんがしっかりと馬をつくってくれていますし、厩舎全体がひとつになっている感じがしますね。それはもちろん、以前から変わりないことなんですが、今年はその積み重ねが実を結んでいるように思います。
それにしても、打越厩舎はかなりの好成績です。
高知のローテーションだと連戦になりがちですが、調教で僕が乗って気になるところがあるとか、厩務員さんが馬の体調に不安があるとか、感じたことを先生に伝えると、馬を休ませてくれることが多いんです。馬は本当に調子が悪くなると、立て直すのはとても難しいこと。でも、そうならないうちに休ませてもらえるんです。たとえば次の週に開催がないときなどは"もう1回だけ"と出走させるケースが多いんですが、それをガマンできているというか。1開催休んだだけでもけっこう違うものなんですよ。
そういう厩舎の好成績に、宮川騎手も乗っているところがあるのでしょうね。ただ、高知での勝ち星は永森大智騎手と競っている状況です。
年末までは時間がありますから、まだそれほどの意識はないですけれど、リーディングを取れるくらいの馬にたくさん乗せてもらっていると思います。でもまだまだミスが多いとも感じます。それを減らしていくのが第一。そういったなかでも、自分が納得できるレースができればと思っています。
ゆくゆくは赤岡修次騎手のように、高知以外でも活躍できればいいですよね。
いやいや、そこまでの余裕は今のところないですよ。でも修次さんとか、巧い人の乗りかたを間近で見るのは勉強になります。見習いたいのは精神的な勝負どころや、瞬間の判断力などですね。道中の仕掛けがほんの少し遅れるだけでも結果はすごく変わりますし、自分がちょっと気負うだけでも悪いほうに違ってきます。僕が常に考えているのは、馬のリズムを壊さないようにすること。馬を気持ちよく走らせることがいちばんだと思っています。
それは現役でいる間はずっと課題になりますね。
負けたとき、『あの場所で馬が行きたいと言っていたのに、それに対応してあげられなかったな』とか感じることがありますね。結果が伴わないことが続くといろいろと考えてしまいますので、いつも自分に対して「レースを楽しめ」と言い聞かせているんですけれど。修次さんは控室では笑っていますが、レースになるとすごく集中している顔つきになるんですよ。そういうところも見習っていきたいです。
それでも大ケガがありながら、今年でキャリア20年になりました。
年とともに、だんだんと体が張ってくる、その間隔が早まっている気がしますね。以前からマッサージや整体にはよく行っていたんですが、その回数が増えました。若いころは腰がけっこうキツくて、でもしばらくしたらあまり気にならなくなったんですが、最近また張りが出てくるようになってきて......。それがあると体のバランスが悪くなってしまうんですよね。
となると、普段の生活も変わってきましたか。
そうですね。遊びに行く回数は減ったかなと思います。とくにサーフィン。無理してケガしてもしょうがないですし(笑)。
最近の高知競馬といえば、売り上げの上昇と賞金の上昇が目につきます。
2歳の新馬戦も始まりましたし、以前よりもいい馬が来るケースが増えたことは実感しています。デビュー前の馬の調教は危険が多いんですが、昔に比べればかなりマシですよ。厩舎にもデビュー戦から連勝したグローサンドリヨンとか、期待できる2歳馬がいます。高知の馬場で鍛えられて上のクラスまで行けた馬は、県外でも通用しますからね。騎手も増えてきましたし、以前よりも活気があるのは間違いないです。
一方で、騎手が増えるということはライバルも増えるということですよね。
自分としては、前の年よりも多く勝ちたいと思っています。ただ、この世界は上を見るとキリがないですからね。それでもこの春には福永洋一記念(ティアップリバティ)を勝たせてもらいましたし、今年は厩舎の勢いをジャマしないようにできればいいかな。
そしてこの9月には別府真衣騎手との入籍が発表されました。それもプラスになっているのではないですか?
生活のリズムが同じですし、僕の多趣味に付き合ってくれているうちに自然と......という感じです。一緒にいて気持ち的に楽ですし、この夏に行ったキャンプにもついてきてくれました。普段の生活が楽しければ仕事にもつながっていきますし、いい影響が出ていると思います。でもレースではライバル。お互いに高め合っていければと思っています。
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※インタビュー・写真 / 浅野靖典
左目失明という大きなケガを乗り越えて、高知で活躍し続ける宮川実騎手。2015年は105勝挙げ、高知リーディング4位という成績でした。さらに、長年一緒に歩んで来た兄の浩一さんが、騎手から調教師へ転身。新たな局面を迎えた今、その胸の内をお聞きしました。
2015年は2年ぶりに年間100勝を越え、高知リーディング4位でした。振り返ってみてどんな1年でしたか?
やっぱり年間100勝というのは毎年目標にしていることなので、そこは達成できて嬉しいですね。たくさん乗せていただいたお蔭です。ただ、勝たなければいけない場面で2着になることも多くて......。自分としては全然満足していないです。反省の方が大きい1年でした。
印象に残っているレースは?
ブルージャスティスで11月の土佐秋月賞を勝てたことです。2歳の時に金の鞍賞を勝っているように、すごく力のある馬なんですけど、気性的に難しいところがあって、なかなか勝ち切れずにいました。まだ幼くて、メンタルが弱いところがあったんですけど、上手く呼吸を合わせることができなくて。男馬のように鍛えて鍛えてというタイプではないし、とても繊細なので調教も難しかったです。でも秋になって調子も上がってきて、僕もこの馬のことをだいぶ掴めるようになって、3歳の最後の重賞を獲れて嬉しかったです。1月のレース後登録抹消になってしまったのは本当に残念ですね。これからっていう時だったので。この馬にはいろいろなことを教えてもらったので、それを今後に活かしたいと思っています。
さらに去年は、兄である宮川浩一さんが騎手を引退して調教師に転身しました。
僕がデビューした時は兄貴はもうデビューしてましたし、ずっと調整ルームも2人部屋だったので、兄貴がいるのが当たり前の感覚だったんです。いつかは調教師になるんだろうなと思ってましたけど、想像より早かったですね。騎手を引退した時はそんなに実感沸かなかったんですけど、次の開催でルームに入った時、1人だったのがかなり淋しかったです。いつも2人でバカ話しながら寝ていたので。今はさすがに慣れましたし、これからは自分がサポートしていきたいなと思います。
宮川調教師は開業してすぐに初勝利(2/17第11Rサンハンプトン)を挙げました。妹尾浩一郎騎手が騎乗していましたが、ご自身が騎乗して初勝利を飾りたかったんじゃないですか?
あの馬は兄貴が騎手時代にずっと乗っていた馬で、一癖あるんですよね。僕も乗せてもらったことがあるんですけど、僕だと調教で引っ掛かってしまって......。騎乗の声は掛けてもらったんですけど、兄貴が引退してからは妹尾くんが調教でがんばっていたので、妹尾くんが乗って勝ってくれて僕も嬉しかったです。自分が乗っていたら、多分違う乗り方をしていたと思うので勝てなかったかもしれませんし。
相変わらず謙虚ですね。
いえいえ。でも兄貴には本当に世話になってきたので、恩返ししたいと思っています。僕がケガをして復帰は絶望的だって思っていた時も、ずっとそばで支えてくれて。兄貴がいたからこそ前向きになれたし、復帰できたんだと思います。だから、初勝利はできなかったけど、兄貴の馬で重賞を勝ちたいです! そういうところで返していきたいですね。
ケガのお話が出ましたけれど、2009年に落馬事故で左目失明という大きなケガでした。でも今の騎乗ぶりを見ていると、まったくハンデを感じないです。
そう言ってもらえると嬉しいです。自分の中ではいろいろな葛藤がありますけど、それを表には出したくないんですよ。単純に考えて左目失明しているというのは大きな違いなんですけど、でもそれを言い訳にはしたくない。騎手である以上、プロである以上、そこは自分で乗り越えて、周りには見せたくないって思っています。
では、今後の目標をお願いします。
数字的に言えば2000勝ですね。まだまだ遠いですが、このまま1つ1つ積み重ねていきたいです。所属の打越勇児先生は本当にがんばっていて、たくさんいい馬が入ってくるので、僕ももっとがんばらないと。それに、高知は今、永森(大智)くんと赤岡(修次)さんがずば抜けているので、もっと面白くするためには自分がそこに絡んでいかなければと思います。これからも応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 赤見千尋
昨年117勝を挙げ、高知リーディング4位だった宮川実騎手。さらにアドマイヤインディとのコンビで、ダートグレード戦線でもその存在感を示しています。落馬事故により左目失明という大きな怪我を負って、復帰が危ぶまれた時期もありました。辛い試練を乗り越えて、さらなる進化を遂げた宮川騎手に、現在の心境をお聞きしました。
赤見:『TCK女王盃』では、アドマイヤインディとのコンビで沸かせてくれましたね。
宮川:本当に頑張ってくれました。4着だったけど、僕の乗り方次第で2着3着はあったと思うんです。向正面から上がって行った時、別にGOサインを出したわけじゃないんですけど、ハミをくわえて、持ったまま上がって行く感じで。あのままの位置にいて、コーナーでゴチャつくよりはいいかなと思ったんですけど、もう1呼吸2呼吸我慢出来たら、違った結果になったんじゃないかな。もっと経験積んで、上手くなりたいって改めて思いました。
赤見:アドマイヤインディは、その前の『クイーン賞』でも3着と頑張りましたね。
宮川:あの時は斤量も軽かったし、内々をロスなく回って来れたので、あの3着が本当の力なのかちょっとわからない部分がありました。今回は斤量も増えたし、自分から動く強い内容で最後まで粘ってくれたので、ダートグレードでも十分戦えると自信になりました。
今は脚元の状態と相談しながら調教をつけているんですけど、それでこれだけ走れるので、状態さえ良くなったら本当に大きいところを狙えると思います。こういう馬に出会えて、調教からレースまで乗せてもらえて、今、本当に楽しいですね。
アドマイヤインディと(TCK女王盃パドック)
赤見:アドマイヤインディは打越勇児厩舎の馬ですが、宮川騎手はお父さんの打越初男元調教師の厩舎からデビューしたんですよね。
宮川:そうです。初男先生、勇児先生には親子2代に渡ってお世話になってます。勇児先生が厩務員だった頃からずっと一緒にやってますから、調教師になってからも話し合いながら一緒に馬を育てられるのが嬉しいです。
僕が怪我から復帰した時も、初戦は勇児先生が担当の馬でした。あの時は周りの方が応援の気持ちを込めてレースに協賛してくれて、復帰戦は『打越厩舎一同応援・復帰おめでとう!特別』というレースだったんです。僕自身がしたいことしてるだけなのに......。もしかしたら周りに迷惑をかけてしまうかもしれないのに...。本当に温かく迎えてくれて、すごく有難かったですね。
赤見:今のお話にもあったように、2009年の落馬事故は、顔面複雑骨折・左目失明という重傷でしたが、復帰までの道のりは相当大変だったんじゃないですか?
宮川:本当にそうですね。怪我をした週に、名古屋と園田に遠征が決まっていて、これから高知だけじゃないく県外に行って色々勉強出来ると思っていた矢先だったので、怪我をしてすぐはとにかく乗りたくて乗りたくて仕方なかったです。考える時間はいっぱいありましたから。乗りたい気持ちと、何も考えたくない気持ちと......。キツイなと思っても、どうしても考えてしまうんです。
でも、『引退』ということは全く考えなかったですね。レースに乗って、それで怖いと思ったら仕方ないけど、とにかくもう1度乗るまでは...って思ってました。
赤見:何度も何度も手術を重ねて、さらにハードなリハビリにも耐えて......。約1年後に復帰した時はどんな気持ちでした?
宮川:調教は3か月くらいで始めたんですけど、その後も手術で休んだりしたし、復帰の時は緊張しました。レースの前に模擬レースみたいなことをさせてもらって、それで復帰したんですけど、実際乗るまでは本当に乗れるのか不安でしたね。でもいざ騎乗したら、それまで10年間培ったものがあったのか体が反応してくれました。復帰2日目で勝ち星も挙げさせてもらったし、こんなに早く勝っていいのかなと思ったけど、1つ勝って自信になりました。
怪我をしたことは本当に辛かったですけど、周りのみんなに支えてもらってることを実感しました。特に兄(浩一騎手)はかなり心配してくれて......。今も調整ルームが同じ部屋で、長い時間一緒にいるので色んなことを話します。兄の存在は大きいですね。騎手としてはライバルでもあるけど、兄弟仲はいいですよ。
赤見:高知リーディングの赤岡修次騎手が、『もともと技術は高かったけど、怪我する前よりさらに上手くなった。積極的になった』って言ってましたよ。
宮川:修次さんにそう言ってもらえて嬉しいです。自分自身ではよくわかんないですけど。特に何が変わったというのはないです。ただ、乗れるのが本当に楽しくて。もっと上手くなりたい、上手くなりたいって思ってるだけです。
赤見:2010年に復帰して、2011年はダート競馬の祭典・JBC(大井)に騎乗、さらに2012年はダートグレードで好勝負と、どんどんステップアップしてますね!
宮川:本当に有難いです。JBCに乗れると聞いた時は、正直ビビりました(笑)。大井開催だったんですけど、当日はパドックで声援を送ってくれた方もいたし、馬場に入った瞬間ものすごく感動したんです。騎手やってて良かった、辞めなくて良かった...って。あの経験は、本当に大きかったですね。
最近ではアドマイヤインディと一緒にいい勝負をさせてもらって、また違った経験になりました。『TCK女王盃』であれだけの競馬が出来たので、『クイーン賞』がフロックじゃないって証明出来たと思います。今までは挑戦者の立場だったけど、これからはマークされることもあると思うし、印も重くなって人気も高くなると思うので責任重大ですね。楽しさと一緒に、緊張感もあります。ダートグレードで勝負になる馬に乗れるなんて、なかなかないですからね。いい馬に巡り合えて、本当に幸せです。
赤見:では、2013年の抱負とファンの方々にメッセージをお願いします!
宮川:復帰した頃は、いつか1000勝出来たらいいなと思ってたんですけど、今972勝(1月28日現在)まで来たので、だいぶ現実的な目標になりました。大きな節目の数字なので、早く達成したいです。ファンの方々には、いつも応援していただきありがとうございますと伝えたいですね。競馬場に来られなくても、今はインターネットで手軽にレースが見られるので、ぜひ高知競馬を楽しんでいただけたら嬉しいです。そのためにも、一生懸命頑張ります!
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※インタビュー / 赤見千尋 (写真:斎藤修)