2024年8月4日第8レースをハゴロモユニバースで勝利した西謙一騎手が通算2000勝を達成しました。デビューから17年6カ月での達成は、鈴木恵介騎手の18年0カ月を更新し、ばんえい競馬史上最短。父である西弘美元騎手(現調教師)と親子での2000勝達成も史上初です。
おめでとうございます。1000勝の時にも話しましたが、1年で100勝以上している計算ですね。騎乗数も多いですし、乗り替わりでも活躍しているイメージです。
騎乗依頼があるのはありがたい話です。初めて乗る馬でも、普段隣でレースを見ていたらどのような馬かはわかる。どこを、と聞かれると間合いかな。
私がレースをするなら、自分の馬しか見ていられなさそうです。
最初のうちはそうだった。周りを見る余裕なんてないし。技術よりは、普段からの調教師や厩務員との付き合いが一番肝心。どれだけ上手でも、コミュニケーションを取れて、頼まれなかったら乗る機会もない。朝の運動で、あいさつは基本中の基本だし。
運動中の話し合いなのですね。付き合い、というと夜に飲み歩き......というのを想像してしまいます。
そういう付き合いも大事だけど、昔ほどはないし、俺はたいして行かない(笑)。
普段乗っているのよりは乗り替わりが面白い。一回乗っておけば次のレースで、(ライバルとして)どんな馬かわかるし。
今年も期待馬が多そうですね。2歳では第1回能検一番時計のスターイチバンをはじめ、有力馬がそろっています。
スターイチバン
もともと体がある馬だからね。周りの馬も成長して強くなってきているけど、スピードがある。スタージャガーはまだ線が細いかな。コウイッテンは、今は物見しているけどそのうち良くなるよ。
2歳に乗っているといっても、馴致は昔のように自分でやることは少なくなっている。今は油圧ショベルにつないで歩かせることが多くなっている。でも、騎手は馴致をやらないと上手にはならないと思う。いざ、と言うときに対処法がわからず何もできなくなる。危ないけどね。
今年は、やはりクリスタルコルドの活躍(北斗賞、旭川記念)です。
まだ物足りないところはある。障害止まった時からが悪いから、そこが良くなれば。性格は気分屋。今は自分の型にはまっています。余計なことはしないし我慢もする。言うことを聞くようになりました。
スマイルカナは荷物も増えた分、去年に比べると物足りないかな。古馬との対戦ではまだきつい。性格は変わっていないけど。オークス一本ですね。
トワトラナノココロも寒くなってからだね。
旭川記念(7月14日)を制したクリスタルコルド
デビューしてもう17年が過ぎたのですね。
最初のころにいい馬に乗りすぎた。"ニシキ"の仙頭(富萬)オーナーがオープン馬など、いろいろな馬に乗せてくれた。
競馬場に来る前には、レットフジやアカダケキングのオーナーである小椋(昭彦)さんに、旭川の牧場を手伝わせてもらったことが大きい。初めて馬に触ったから。この経験がなかったら競馬場に来ていなかった。
最初はただ馬を職業にするというだけで、何をしたいという目標もなかった。騎手を目指してもいなかった。
今は中学生の時から、真剣に馬の仕事を目指している人もいて偉いなって思う。中学生の時なんて、遊んでいた方が楽しいんだけどね。
学生時代にやりたいことを決めている人ばかりではないですし、逆にいうと、ばんえいの世界は社会人になってからでも間に合うということですね。
若い人も増えてきている。騎手も、いろいろな人が増えたら楽しくなる。競馬場の仕事は、朝早いというだけで、会社員とかに比べたら楽だと思う。人間関係も、年離れていても気を使わなくて楽だし。
何時頃から仕事をしていますか?
夏の今時期は、午前3時半くらい。テスト(能力検査)も終わったから9時過ぎには終わります。
あらためて、これまでいろいろな馬に乗ってきましたが、思い出に残る馬はいますか。
今でも初重賞勝利のアカダケキングだね。自分で運動していたし、うるさくて危なかったからね。小椋さんが初めて重賞獲った馬だった。
西弘美調教師は2479勝で引退しました。あと数年で越えそうですね。
特に興味ない(笑)。調教師は何も言わないよ。自分もたいして聞かないしね(笑)。息子も高校生だけど、別に馬の仕事をやらなくてもいい。やりたいことがあればやればいい。
オッズパーク会員の方に一言お願いいたします。
画面より、帯広競馬場に来て、レースを見てほしいです。
おもしろいのは、2障害に行く手前。ここでもう6~7割勝負が決まっているから。2障害までいかに楽に進められるか、馬の様子をみながら駆け引きをしているので「騎手は何考えているんだろうな......」と思いながら見て。
競馬場も人が多くなったね。海外の人も多い。声援も聞こえています。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
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3月20日に行われたばんえい競馬の最高峰・ばんえい記念をメジロゴーリキで初制覇した西謙一騎手。人馬ともに父子制覇となりました。昨年度は124勝を挙げばんえいリーディング4位。コンスタントに勝利を積み重ねています。
ばんえい記念優勝、おめでとうございます。
ありがとうございます。レースでは普段通りに乗ることを心がけていました。帯広記念、北見記念と重賞は2着ばかりだったので良かったです。
昨年より楽に追走できたので、障害だけ気をつけていました。障害にかける前、軽くジャンプするような仕草があってやばいな、と思ったけれど馬場が軽い分辛抱して歩いてくれた。ゴール前は、横からメムロボブサップが来ていたのは見えていました。こちらも手応えはあり、止まりはしないだろうなと思っていた。接戦に強い馬です。
ばんえい記念を制したメジロゴーリキ
昨年の岩見沢記念でも、ゴール前3メートルでキタノユウジロウを逆転しましたね。1トンはいかがでしたか。
初挑戦の昨年、1トンでも堪えていなかった。自分は1週間前から触って調教していました。松井調教師は(ばんえい記念の)やり方をわかっているから任せています。去年よりは大人になった。昔は障害で止まったら寝るようなところもあったが、今年は止まっても次の腰が入っていた。性格は気分屋で、普段はやる気を出さず怒られながら調教しているよ。父のニシキダイジンも張り切って走る馬じゃないから、タイプは似ている。父ほど無理はきかないけどね。ばんえい記念を勝ち、ダイジンに近づいている。自分も父(西弘美元騎手、現調教師)が乗っていたトモエパワーから、いろいろな馬に乗せてもらってきた。1回でも勝てることは名誉。今年はメジロゴーリキで勝ち負けできるレースをしたいです。
牝馬ではヒロインズカップを勝ったアフロディーテが引退、繁殖入りしました。3歳ではクリスタルコルドも期待が高まります。
アフロディーテはえさを食べず体ができあがらなくて、手間のかかった馬です。病気もしなかった。
3歳は1頭抜けている馬(キングフェスタ)がいますが、クリスタルコルドも同じくらいになれば、と思います。レース中まっすぐ走れば(笑)。父のスピードフジは、産駒の頭数が少ない割に活躍している。現役時代は降りてから歩くのが特徴で、障害はあまり良くなかったのに、仔は障害がいい。みんな手間がかからず、触りやすい特徴があります。
ギンノダイマオー、トモエハイセイコーは今年度になってクラスが下がった。暑いのが苦手だから涼しいうちに結果を残したいです。5歳のトワトラナノココロは壁にぶつかっているところ。2歳馬はこれからです。
活躍が期待される3歳馬クリスタルコルド
コンスタントに結果を残している西騎手ですが、どのようにして騎乗技術を磨いてきたのでしょうか。
騎乗は、大河原和雄さん(現調教師、元騎手)や鈴木勝堤さん(元騎手)などが乗っているのを見て覚えた。言葉で聞いてもわからないから。デビューして2、3年で、いろいろと考えるようになったよ。周りの馬の脚質もだし、人間の心理も、無理しても先に行く人、馬に負担がかからないようにする人、というように大きく分類している。周りばっかり見ている。
昔はがむしゃらに乗っていた時代もあった。そのころは肩や腰に負担があったが、今は体を痛めてまでは乗らないように気をつけています。とはいえ結果は出さなくてはいけないからね。父の存在もある。終わってからならなんとでも言えるから、後悔しないように乗るだけです。
今年度からそりも黄色と赤になり、新しくなりました。勝負服の赤は同じですね。
あはは(笑)。今まではあまり目立たない色だったもんね。そりは、砂が中に入らないようになったり、すねが当たる場所にスポンジをあてたりするなど変更点がありました。
競馬場も、以前に比べたら景気はよくなってきています。厩舎に限らず、どこも人手不足の時代ですが、競馬場は、朝早いし時間制限はあるけれど、会社勤めに比べたら気楽にできる仕事だと思いますよ。
昨シーズン限りで引退したアフロディーテ
オッズパーク会員の方に一言お願いいたします。
今年の目標は怪我なくレースに乗ること。ばんえいは、目の前で見るのが一番だと思いますが、来て、とはまだ強く言えない状況ですね。早く、多くのファンの皆さんが競馬場に来れるよう願っています。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
7月13日第12レースでアオノゴッドに騎乗して優勝し、通算1,500勝を達成した西謙一騎手。昨シーズンはばんえいリーディング3位と毎年上位に名を連ね、騎乗数はトップ。馬主など関係者の信頼を集めています。騎手会長としても3年目を迎えました。
おめでとうございます。1,000勝のときに9年9カ月で達成は年間100勝以上の計算という話をしましたが、14年目で1,500勝です。以前より乗り方が変わったと思うことはありますか。
以前よりは考えて乗れるようになったかな。馬に負担をかけないように、障害に行くまで、どれだけ馬にとって楽ができるかを考える。
最近の騎乗馬について教えて下さい。まずは古馬から。今年のヒロインズカップを勝ったアフロディーテはいかがでしょう。同期にはミスタカシマという強敵がおり、2着が続く中、先着も増えてきました。
2歳から乗ってきて、ヒロインズを狙って獲れたから、これは思い出に残るレースだったね。軽ハンディもあったし、1月頃から調子が良かった。昨年は夏は暑くて苦労したが、今年は順調だね。線の細い馬なので調教も無理できないから、少しずつ成長している。性格? おとなしくはないね。ミスタカシマという強い馬がいるのは仕方がないことだから。
ヒロインズカップ(2020年2月9日)を制したアフロディーテ
古馬戦線で活躍中のメジロゴーリキ(2019年チャンピオンカップなど)は。しばらく結果が出ていませんでしたが、ばんえいグランプリでは3着と好走しました。
重い荷物のレースがずっと続いてきたから、壁にぶつかっていた。調教師と相談して、軽い荷物で走路開放を使うなど気持ちが前向きになるよう考えている。
メジロゴーリキ
今年のばんえい記念はカブトゴールドで出走しました。善戦しましたね。
東北の草ばん馬に出ていて、重い荷物には慣れている。ばん馬では障害で止まることもあるから、ばんえい記念で止まっても心配ない。
今年ポプラ賞を制した3歳のアオノブラックも、メムロボブサップというライバルがいる中で健闘しています。
相手がいると、レースはしやすい。器用ではない馬だから。真剣に走ると強いよ(笑)。まだ遊んでしまう。
ポプラ賞(2020年3月15日)を制したアオノブラック
それでもポプラ賞の勝利インタビューでは、前向きになってきたと話していましたね。古馬ともいいレースをしています。
スピードがあるから、同世代より古馬とのほうがいいレースができるかなと。夏は調子がよくないから、涼しくなったほうがいい。今年は(4歳一冠目・柏林賞を勝ったメムロボブサップの)三冠を阻止したいね。
2歳はいかがですか。
まだ混沌としている。デビューから3連勝したリアンドノールになるのかな。荒いけれど、平ら(平坦コース)はいい。課題は障害だけだね。
リアンドノール
あらためて1,500勝について。思い出に残る馬は以前初重賞制覇(2009年銀河賞)アカダケキングや、ばんえい記念馬ニシキダイジンと挙げていただきましたが。
そうだね、「ニシキ」の冠の仙頭富萬オーナーは、新人の頃から乗せてくれていた。ダイジンもだし、ニシキタカラも。重賞でも乗せてくれたよね。アカダケキングは2歳から自分で運動していた馬。周りの人にお世話になった。
無観客競馬が長く続き、7月11日からは観客が入場しています。
無観客の時は静かだった。馬にとってはよかったかな。観客を入れたあとは、たくさんの客が見に来ている。パドックでは、2歳は人を見てびっくりしてはいたけど、それが本当のレースだから。
一日のスケジュール教えてください。
調教は午前4時前から、10、11時までかな。馬はいるけれど人がいないから。
ええっ! そんなに長くやっているんですか。休みはとれていますか。
休んでも今はどこにも行けないからね。厩舎は、インド人1人と帯広畜大の学生バイトがいて助かっている。インド人は気さくな人が多いし、言葉は通じないけれどなんとなく会話している(笑)。人は少ないけれど、若い人は増えている。騎手になりたいって厩務員になっている人もいるよ。騎手は減った(19人)から。増えたほうが楽しいね。厩務員も騎手も、レースで勝ったら楽しいよ。
ではオッズパーク会員の方に一言お願いいたします。
リーディングは気にしない。それよりも、周りから信頼されることが大事だと思っています。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
10月30日に通算1000勝を達成した西謙一騎手(30)。デビューして9年9カ月での達成は、藤本匠騎手の11年5カ月を塗り替える、ばんえい競馬史上最短記録です。
1000勝おめでとうございます。10年で1000勝は、単純計算で1年で100勝していることになりますよ。
ありがとうございます。周りの環境に恵まれていただけです。最短といっても、今は1年中競馬をやっているからね(以前は12月や2月で終了していた)。
1000勝まであと4、5勝のときに記録のことを教えてもらった。すぐ達成したいなと思ったけど、そこから時間がかかった。でも、急いだら余計悪い結果になると思って、特に意識はしませんでした。そのうち、そのうちって。デビューして10年の間に、ばんえい競馬の環境も大きく変わった。早かったな。
父、西弘美調教師は騎手時代、2479勝しています。乗り方などを教わることはありますか。
ハミの触り方とかを少し言うことはあるけど、新人のころからほとんど何も言いません。言われても、親子だから、言うこと聞かないしね(笑)。一緒に騎乗していたのは3年くらいかな。比べられるのは嫌だった。子どもの頃から馬に触っている騎手もいるけど、自分は親が騎手といっても、高校まで馬を触っていないし。親が騎手をやめた後、乗っていた馬に乗せてくれた、という利点はありました。子どもは小2と年長ですが、好きなようにさせています。下の子は馬が好きみたい。
ばんえいでは若手の活躍が目立っていますが、それを引っ張る存在だと思います。
もう若手じゃないかな。裏方でいいよ(笑)。若いのに負けないようにしなきゃ。みんな、頭数乗ってるし。年上の騎手もまだまだ元気だけど、そろそろ世代交代したいね。実戦を積まないとうまくならないから、乗れる若手には、馬を回すようにしている。若い騎手は仲がいい。毎週金曜、俺の部屋に集まってご飯を食べている。夏は焼肉、冬は鍋。誕生日の騎手がいたら誕生会やったりね。
2014年ばんえいグランプリを制したフジダイビクトリー
楽しそうですね。思い出の馬は。
特別などを乗せてもらったニシキダイジン(2010、2012ばんえい記念)ですね。ダイジン以外にも、「ニシキ」の冠の仙頭富萬オーナー(故人)にはお世話になりました。ダイジンは、このような馬がばんえい記念を勝つんだと思いました。道中(1障害と2障害の間)が強い。重い荷物でも、苦にせずにすいすい進む。
トモエパワー(2007~09ばんえい記念)にも乗っていますが、自分が乗ったのは一番強い時期ではなかったので。
代表馬は、どの馬になるでしょうね...?
そう、「西謙一、といったらこの馬」という馬がいない。2歳から乗っている馬はなかなかオープンに進まないんだ。これも、そのうちだね。馬と一緒の競技だから。自分1人じゃできないことだからね。
期待の馬はいますか。
2歳のトモエハイセイコーです。トモエパワー産駒で唯一の現役馬(ほかに未出走馬が1頭)。馬体の前のほうは父似で、後ろは母似でまだ少し寂しい。身が入ればもっと良くなる。1歳と当歳に、全妹がいるようなので楽しみです。
白毛のハクバボーイは、母(ハクバビューティー)に似て一生懸命。10年経って、自分が乗っていた馬が繁殖馬になって、子どもに乗るようになったから楽しいよね。
ホクショウユウキは重量戦に慣れて、だんだん良くなってきた。アオノレクサスは10歳だけど気持ちが若い。だいぶ気性は落ち着いたけど。
ハクバボーイ
これからの目標はリーディングでしょうか。
まだ(鈴木)恵介さんには敵わない。ペースが速くてもあせらないし、いつもその馬に合ったペースで来る。人気を背負っても来るし。
1000勝は一区切り。また1からのスタートだね。減量がなくなったときもだけど、どこかで壁に当たる。そのつど、うまい騎手の乗り方を見て覚えて、考える。自分の代表となる馬に出会いたいけど、あまり力んでもだめだから、勝てるレースを勝ちたいです。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香
今年度から、帯広競馬場内には騎手のリーディング表が数カ所に貼られるようになりました。現在のリーディングは西謙一騎手(28)。5年連続リーディングの鈴木恵介騎手を抜き、名騎手だった父・西弘美調教師とともにトップに立っています。20日には通算700勝を達成しました。
ついにリーディングジョッキーですね。
いい馬に乗っているから。自厩舎(西弘美厩舎)の調子もいい。3歳、4歳の若い馬が多く、この年齡は伸び盛りなら1年で10勝くらいするからね。障害のいい馬も多くて、乗りやすい。無理はさせずに間をあけて使っているのが、いい方向に出ているんだと思う。
厩舎には、青森の馬主さんの馬が多いですね。
出身は青森だけど、いたのは小学校までだから特に思い入れはないよ(笑)。青森は、最近馬を買う人が多いね。地元の草ばん馬に使っている馬が多くて、夏は草ばん馬に出て、シーズンが終わったら厩舎に戻ってくる。
さて、フジダイビクトリーで旭川記念を勝ちました。意外なことに重賞は2勝目なんですね。
3月から馬の厩舎が変わって乗ることになりました。思ったほどのスピード馬ではなかったけれど、やはり障害は上手。以前は障害を降りてから差されるパターンが多かったけれど、今は降りても歩くようになった。昔は行きたがっていたけれど、我慢できるようになったし。
旭川記念より馬場の重かった北斗賞(2着)でも思ったより歩けたから、重馬場でもOKだと思う。次の目標はばんえいグランプリ。夏だから暑さで弱らないように気をつけたい。体がある(大きな)馬でもないから、無理はさせない。体ができてからの馬だし、寒い時の方がいいかもしれない。ばんえい記念は、荷物に慣れてくれば楽しみだよ。
フジダイビクトリー。北斗賞は2着
ばんえい記念といえば、今年はフクドリで2着でした。
差せるかと思った(笑)。ばんえい記念は初挑戦の馬が結果を残しているから、インフィニティーは気にしていた。フクドリは、若い時はスピード馬だったけど、最近は(パワータイプに)変わってきたね。夏は弱いからここ最近はちょっと......。
最初のばんえい記念(2010年トモエパワー5着)の思い出はありますか。
1障害で止まるとは聞いていたんだけど、本当に止まった時はどうしようかと思った。ちょっとピークは過ぎていたからね。
ほかに、思い出の馬を教えて下さい。
初重賞(2009年銀河賞)を勝ったアカダケキング。2歳のテスト(能力検査)の時から手がけて、世話もしていた。真面目でおとなしかった。最後は喉鳴りがひどくてね、今年種馬になれてよかったわ。子どもも厩舎に入ってくるんじゃないかな。似るとしたら、スピード馬で、雨降り用(笑)。2歳の時は気性が荒かったから、そこが似ると大変だな。
ほかは、「ニシキ」の冠の馬。亡くなった仙頭オーナーによく乗せてもらった。ニシキダイジンは強かったね。特に、砂の中(砂の深いところ)が強い。
今後、期待している若馬はいますか。
2歳のコムギ。障害がうまいし、降りてからしっかりしている。2歳は牡馬で1頭抜けてるのがいるけど(センゴクエース)、牝馬の中に入ればいいんじゃないかな。
コムギと
フジダイビクトリーと同じ本別の本寺牧場生産の馬ですね。話は変わって、若手騎手が最近頑張っています。
もう自分は若手じゃないけど(笑)、みんな仲が良くて、楽しいよ。西将太、赤塚健仁あたりが中心になって、みんなでよくつるんでいる。遊びながらも、お互い負けないようにしている。
目標にする騎手はいますか。
鈴木恵介さんは駆け引きがうまい。後ろにいるな、と思っていたら前にいる。藤野(俊一)さんは息の入れ方と、障害がうまい。癖のある馬も上手。大河原(和雄)さんは2歳が上手。大河原さんがならしている服部厩舎の馬はみんな乗りやすいよ。レースを見て、参考にしている。
父親の西弘美調教師には何か言われますか。
最近は言われない。昔は、もっと手綱を短くしろ、とか、大きく見せないとだめだ、と言われた。手綱で叩くとき、客に背中が見えるくらいに、と。
西騎手の大きなアクションはかっこいいです。それは馬に見せるということですか。
いや、見栄え(笑)。客に見えるように、ってこと。
最近は来場者も多いですね。
人が多いね。人はいた方がいい。やる気になるし。家族連れも増えたし、本場で売れればもっとうれしいね。
今年の目標は、リーディングでしょうか。
2位も4位、5位も全部同じ。リーディングを意識したら、逆に焦って勝てなくなる。それで負けたら困るもの。こつこつやっていれば山になる。いっぺんにやっても無理だ。毎年の目標にしているのは100勝。目の前にあることを一つ一つ、だね。まず、BG1の勝利かな。
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※インタビュー・写真 / 斎藤友香