ホッカイドウ競馬所属の石川倭騎手はこのオフシーズン、3度目となる佐賀競馬場での期間限定騎乗に臨んでいます。最近はシーズン中も積極的に佐賀へ参戦しており、今年はウルトラノホシとのコンビでネクストスター佐賀、カペラ賞と2歳の重賞を連勝しました。
門別のシーズン中、週末に佐賀で騎乗する機会も増えてきましたね。
個人的には休んでいるよりも馬に乗っている環境の方がよかったので、真島(元徳)先生からオファーをいただけてありがたかったですね。馬に乗せていただけることにしっかりと感謝をすることで、初心に戻るというか、いろいろなことを考える契機になりました。
その真島厩舎所属のウルトラノホシとのコンビで、今年は重賞を連勝しました。まず、初コンビとなったネクストスター佐賀を振り返ってください。
パドックで初めて跨ったとき、背中の感触が良く、馬体からも能力を感じました。それがプレッシャーにもなりましたが、しっかりと結果を残さなければならないとあらためて感じさせられましたね。
それまでの2戦を見た限りだと、行き脚があまり良くないようだったので、ゲートを出てからある程度の位置を取ることを意識していました。砂を被ることを嫌がる印象もあったのですが、ポジションを下げるまでの嫌がり方ではなさそうだったので、道中では外を回るロスと天秤にかけて内のほうに入れ、勝負どころでは前に壁を作らないように誘導できました。そこからはもう、馬に頑張ってくれというか、あとは追うだけでしたね。
ウルトラノホシでカペラ賞制覇(写真:佐賀県競馬組合)
カペラ賞は400mの距離延長、初めての1800mを克服しての連勝となりました。
乗った感触として、距離が延びるのはプラス材料だと思っていましたし、その辺りはレース前に不安はありませんでした。レース当日は少しテンションが上がっており、その点だけは少しイメージと違っていたのですが、砂を被るのを気にする面がテンションの高さをうまく緩和してくれたような感じで、却ってプラスに働いてくれたのはよかったですね。プラン通りに2周目の向正面で仕掛けていくことになりましたが、前に目標としていた馬もいたので、スタミナ勝負になればこちらに分があると考えていました。
あらためて、この馬の良いところと、今後の展望について聞かせてください。
トビが大きくてフットワークが軽く、スタミナが豊富なところですね。馬格に恵まれてはいますが、それでいて走りに重苦しさがないのも心強いです。今後は佐賀の三冠を目指すことになると思いますが、現時点で十分に賞金や実績も積んでいますし、昨年のネオシエルのように、他地区へ遠征して経験を積むのも面白いんじゃないかと思っています。まだ緩みが残り、体の軸というか芯ができておらず、馬体的にも全然完成されていない印象なので、今後もっと良くなってくるのが楽しみです。このような素質のある馬に依頼をいただけて、本当に感謝しています。
佐賀競馬場での期間限定騎乗は2年連続となりました。
今年の冬場もどこかで乗っていたいと思っていたので、真島先生にお願いして受け入れていただきました。もう馬場の形状やコースの特徴などはある程度熟知しているつもりですが、馬にも様々な性格や特徴があるので、いろいろな馬と接しているなかで日々勉強というか、得るものは大きいですね。
門別と佐賀では、コースの特徴はもちろん、馬のつくり方なども違うと思います。
坂路の有無はやはり決定的な違いですね。佐賀では馬場での調教を主体に馬を作っていきますが、期間限定騎乗の短いスパンでは、調教で試行錯誤したことの答え合わせをするのがなかなか難しいです。オフシーズンに継続して来させていただいたことで、今後につながるような知識を得られたらと思っています。
現在、佐賀では飛田愛斗騎手や山田義貴騎手など若手騎手の活躍が目立ちます。後輩たちとレースに騎乗して感じることはありますか。
自分が彼らと同じキャリアだった時と比べてどうだったかという視点で見ることが多いですが、自分の時と比べても上手ですね。もちろん、まだ改善すべき点もありますけれど、今後どういった風に成長していくか楽しみもあり、少し脅威でもあり......といった感じです。一緒に乗ったり、レースの前後に話したりしていても「頑張っているな」と感じるというか、"ライバル"というよりは"弟子"みたいな感覚です。
佐賀で乗っていると、以前よりも内を締めてコーナーを回るケースが多くなった印象です。若いジョッキーたちが減量を生かして成績を伸ばしても、減量が取れれば、以前のようにただ内を突けば勝てるというわけでもなくなってきますし。多少内側が重たいとはいっても、小回りのぶん勝負どころで内外の差は出るので、その辺りの駆け引きが、佐賀の魅力というか面白さなんじゃないでしょうかね。
石川騎手自身について、今年はシルトプレとのコンビで初めて道営記念を制したり、遠征にも積極的に挑戦しました。また、ユメノホノオで土佐秋月賞(高知)を勝利するなど、北海道や佐賀に限らず、活躍の舞台が広がっている印象です。
今年は門別以外の競馬場で乗せていただくことも多く、大きなレースへの騎乗機会があると、周囲からの反響も大きかったですね。やりがいや達成感につながります。今年はエルムステークスの日にエキストラ騎乗で勝たせてもらいましたが(8月6日・札幌7レースをサンダビュークで勝利し、JRAで6年ぶり2勝目)、普段とは違った環境で、大勢のお客さんに応援してもらえたのは大きな刺激になりました。
ユメノホノオについては、地元であれだけの成績を挙げている馬に依頼をいただけたということで、楽しみ半分、プレッシャー半分という感じで、自分が騎手として経験したことを冷静に発揮できればいいなと思っていました。出遅れるにしてもパターンはたくさんあるので、実際にゲートの中でどう対応するかまでは、当日跨ってみないとわからない部分だったのは正直なところでしたが、馬がしっかりと実力を見せてくれました。吉原(寛人)さんの代役という務めを無事果たすことができ、ホッとした気持ちが大きいです。
ユメノホノオで土佐秋月賞制覇(写真:高知県競馬組合)
地方競馬通算1000勝の大台も見えてきましたが(11月22日現在988勝)、意識されていますか。
区切りは近づいていますが、だからと言ってレース中に意識するわけではなく、その辺は特に考えていないですね。あくまでひとつひとつのレースに向き合い、結果を積み重ねていくうえでの「おまけ」みたいなものかなと思っています。
では最後に、今回の期間限定騎乗への意気込みと、オッズパーク会員の皆さんへメッセージをお願いします。
まずは無事にケガなく、心身ともに良いコンディションで来年のホッカイドウ競馬開幕を迎えられるよう、佐賀でいい時間を過ごせればと思います。メッセージは......何だろう、僕の名前をひとりでも多くの方に覚えていただけるように(笑)。
もう皆さんだいたい覚えていると思いますよ!
本当ですか?(笑)。じゃあ......少しでもレースでの人気に応えられるよう、これからも頑張っていきたいと思いますので、ご声援いただけたら嬉しいです。
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※インタビュー・写真 / 山下広貴
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石川倭騎手は今シーズン、ホッカイドウ競馬で113勝。今年も3ケタの白星を挙げ、2年連続でリーディングジョッキーの座に輝きました。門別競馬場で行われた第1回のJBC2歳優駿では、地元馬ラッキードリームとのコンビで勝利。現在は佐賀競馬場で期間限定騎乗を行っており、1カ月弱のうちに49戦13勝(12月6日終了時点)という好成績を挙げています。
2年連続リーディング獲得おめでとうございます。今シーズンの戦いぶりをご自身で振り返っていかがでしょう。
途中ケガで2週間ほどレースに乗れない時期があったので、今年は諦めかけていたんですが、復帰後も順調に勝ち星を重ねることができ、なんとかリーディングを獲れたというのが正直な感想です。
終盤は2位の桑村真明騎手も追い上げていましたね。
最後のほうは桑村さんの勝ち星の勢いが特にすごく、その頃にはリーディングへの意識も強くなっていたので、気持ちの面でも少なからず疲れを感じていました。そこが去年との大きな違いだったと思います。ただ、レースを離れたところでは壁がないというか、普段は上下関係なく接してくれるので、勝負をしながらも楽しめる雰囲気は感じていました。
基本的に、門別でのレースは理不尽な面がないというか、それぞれの騎手がクリーンに乗っていると思います。僕の下の世代でも、(落合)玄太にしろ(小野)楓馬にしろ、大きなレースでも普通に結果を残しているので、刺激を受ける部分ももちろんあります。
リーディングを獲得してからの、周囲の反応はどうだったのでしょう。
周囲の方からすごく祝福を受け、2年連続でリーディングを獲るということが、すごく価値のあることだったんだと改めて実感しました。去年は重賞をひとつしか勝てなかったので、今年は大きいところでも結果を残したいと思っていたんですが、JBC2歳優駿を勝てたことが特に影響があって。他場に乗りに行った時も、他地区の乗り役さんからも「おめでとう」と声をかけていただいたんです。記念すべき第1回のJBCで、誰もが注目していたレースだったと思いますし、あらためてラッキードリームに乗せてもらえたという状況に感謝したいですね。
そのラッキードリームでは、サッポロクラシックカップ、JBCと重賞を連勝しました。
サッポロクラシックカップで初めて乗せてもらったんですが、3コーナーで内に閉じ込められてしまい、自分としては正直あまりいい乗り方ができなかったんです。それでも直線で前の馬を競り落とし、馬に助けられて勝つことができたので、能力の高さを感じました。
JBCへはそのサッポロクラシックカップから直行でしたね。
坂路での追い切りで跨ったときも良い動きでしたし、そこまで上位の人気というわけでもなく、JRA勢相手にどれだけやれるか......という評価だったので、ある意味では気楽にレースに臨むことができました。
レースは中団から運びました。
先生からは「行きたい馬を行かせてその後ろで」という指示だったんですけど、新聞を見た限りでは前に行く馬が多そうだったので、ゲートを出てからの展開次第では下げるつもりだったんです。1~2コーナーで砂をかぶると多少手応えがなくなったので、そこは促して......という感じではありましたが、道中も予想通りペースが落ちなかったなかで、あまり前についていかなかったのが良かったのか、3コーナーに入っても馬自身には余裕がありましたね。その辺りで仕掛けて、4コーナーから直線に入るくらいでは前が射程圏に入っていたので、よほどバテなければ大丈夫だろうという手応えがありました。
ラッキードリームでJBC2歳優駿制覇
ゴール直後、ギガキング(6着)に騎乗した山本咲希到騎手とも馬上でハイタッチをしていました。
その瞬間は、騎手になってからこれまでで一番かと思うくらい嬉しかったです。馬の上で、自分自身かなり興奮していたと思います。レース前は周りも「やっちゃってくださいよ!」みたいな感じで応援してくれていて、そんななか強い中央の馬を相手に勝つことができたぶん、喜びもひとしおだったんだと思います。
あらためて、ラッキードリームの良いところを教えてください。
勝負どころで乗り手の扶助にすぐ反応してくれて、追えばしっかりと前に進んでくれるところですね。2歳の段階だと普通、そういうのは経験を積まないとなかなか勉強できないと思うんです。
現在は佐賀競馬場で期間限定騎乗を行われています。佐賀へ行くことになったきっかけを教えてください。
僕はあまり体重が軽いほうではなく、オフシーズンが長くなると、どうしても体が重くなってしまうんです。ちょうど佐賀で所属することになる真島(元徳)先生からお話をいただき、なるべく長い時間レースに乗っていたかったので、騎乗することを決断しました。
佐賀のコースは1周距離も短く、門別のコース形態とはだいぶ違うのではと思います。
1周1600メートルの門別とは、全くの別物と考えなくてはなりません。(門別の)内回りに近いような感じだとは思うんですけど、それと比べてもコーナーがキツいですからね。佐賀は1300、1400メートルのレースが多いんですけれど、門別の1200で距離が短いと思う馬のことをイメージしつつ、マイルではちょっと距離が長いと思う馬のイメージも取り入れつつ......という感じで、その中間くらいの乗り方を心がけているつもりです。
川崎から佐賀で期間限定騎乗中の池谷匠翔騎手(右)と(写真:佐賀県競馬組合)
そんな中でも、さっそく4割近い連対率を挙げており、11月15日には地方・JRA通算600勝を達成されました。
数字的には、コースが変わってもそれなりに対応できているのではと感じています。ただ何しろ、これだけの成績を挙げられているのは、いい厩舎に所属させてもらい、いい馬に乗せてもらっているおかげです。
600勝は門別の終盤あたりから意識していましたが、残り2勝でシーズンを終えたので、佐賀で達成できるだろうとは思っていました。取りこぼしてしまったレースもあったんですけど、佐賀での最初の週で達成できてよかったです。
期間内の目標やテーマを教えてください。
当初は特に目標やテーマを決めずに来たのですが、逆にそれを探しながらというか、新しい目標やテーマを見つけて、そこから何かを学んで帰れればと思います。
最後にオッズパーク会員の皆さまへメッセージをお願いします。
いい時もあれば悪い時もあるので、馬券の頼りになるかどうかはわかりませんが(笑)、なるべく期待に応えられるよう頑張りますので、これからも応援していただけるとありがたいです。こういうご時世なので、現地での応援は気軽にはできないかもしれませんが、パソコンやテレビの前でも、ぜひレースを観ていただきたいと思います。
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※インタビュー・写真 / 山下広貴
石川倭騎手はデビュー7年目の今シーズン、155戦32勝(6月13日終了時点)という成績でホッカイドウ競馬のリーディング単独首位をキープ。一昨年はダブルシャープでクローバー賞(JRA札幌)を制してJRA初勝利。昨年はアークヴィグラスとのコンビでエーデルワイス賞JpnIIIを制しダートグレード初制覇と、近年は大きな舞台での活躍も目立ち、トップジョッキーへの階段を着実に上り続けています。
前年と比べて大幅に成績を伸ばしています。ここまでのご自身の戦いぶりを振り返っていかがですか。
いい馬にたくさん乗せていただいたなかで、リーディングトップという位置に立つことができているのは素直にうれしいですね。もちろん、「もう少しここをこうしていればこのレースも勝てたんじゃないか」と思うこともありますが、自分のなかでやれることはできているんじゃないかという手応えはあります。
一昨年はJRA初勝利、昨年はダートグレード制覇と、ここ最近は大きな舞台での活躍も目立ちます。
何事でも経験があるというのは自信になります。アークヴィグラスもデビュー3戦目(7月31日・カーネリアン特別5着)がチグハグな内容になってしまったんですけど、そこでの経験が重賞3連勝につながったんだと思います。当時はまだ小柄でテンションも高かったなかで、厩舎の皆さんがいい状態をキープしてくださったおかげです。
これから週3日間開催が中心になると思いますが、ご自身のコンディションについてはいかがでしょう。
今シーズンに関しては、今のところ体の状態をうまくキープできているのではと思います。自分は身長が高いほうなので、体重管理には特に気をつけています。他の人より手が長く、馬を追うときにより腕を伸ばせるというメリットもあるんですけどね。あと、自分は体が硬くなりやすいので、特に股関節のストレッチを入念に行うようにしています。
自厩舎のお手馬・オヤコダカも、復調の兆しを見せていると思います。
昨シーズンは思うような結果を残せなくて、もちろん原因はひとつではないと思うんですけど、特に秋の2戦がどうしてここまで負けたのかよくわからなかったんです。今年は2月から坂路で乗り込みを始めたんですけど、普段の調教でも、牝馬を見ると色気を出すようなうるささが戻ってきていると感じました。毛ヅヤも良くなり、歩様に柔らかみも出ていましたが、なにしろ去年のことがあったので、コスモバルク記念のレース前も半信半疑でした。
コスモバルク記念では1コーナーで速い流れになったこともあって、普段より後ろの位置取りになってしまったのですが、道中のハミがかりはいい頃にだいぶ近づいていました。向こう正面では進路が開かなくてそのままジッとしていたんですけど、3~4コーナーの手ごたえは「いつものオヤコダカ」という感じでしたね。
ノヴェリスト・プレミアム(5月22日)で久々の勝利を挙げたオヤコダカ
5月のノヴェリスト・プレミアムでは、一昨年の旭岳賞以来の白星を挙げました。
本当は前々で運びたかったのですが、テンに出ていかなかったので、控える形に切り替えました。道中で砂を被ってもモチベーションが全く変わらず、引っかかるほどの行きっぷりでしたし、勝負所での反応もいいころの感じにだいぶ戻ってきた印象です。
次走は星雲賞(7月17日)になると思います。今の少し行き脚がつかなくなってきた状態で内回りのマイルに対応できるかどうかですけど、促さなくても自分からハミを取って動いていけるので、いかにオヤコダカ自身のリズムを邪魔しないかをいちばんに意識したいですね。
2歳馬についてもうかがいたいと思います。開幕日のスーパーフレッシュチャレンジ競走では、石川騎手が鞍上のヨハネスボーイが勝ちました。
1歳の12月ころ、桧森邦夫きゅう舎で調教を手伝わせてもらったときに初めて跨ったんですけど、そのころから背中の感触が良くて、いいイメージを持っていた1頭でした。3月の能検でも道中で砂を被せることができ、試したかったことは試せたつもりでしたし、スーパーフレッシュでもその期待通りの走りをしてくれたと思います。血統的なものなのかはわからないんですけど、ちょっと気が強くてテンションが高いのは課題ですね。まだ余裕のある範囲内だと思いますが、ムダな力は使わないに越したことはないので。
2戦目のウィナーズチャレンジは、パドックからちょっと馬がトボけていたような感じで、返し馬のアクションや仕掛けどころの手応えなんかも多少反応が薄かったですね。ただ、レース間隔が開いていたので、使われた分の上積みはあると思います。体も成長途上で、まだベスト体重がどれくらいかは分かりませんけど、460kgくらいはあってもよさそうです。次は栄冠賞(6月27日)になると思いますが、芝が合いそうなフットワークをしているので、何とか夏の北海道シリーズに挑戦できたらいいですね。
スーパーフレッシュチャレンジ(4月17日)を制したヨハネスボーイ
2歳の牝馬で楽しみな馬はいますか。
6月6日のフレッシュチャレンジを勝ったモリデンナイスですね。これも桧森邦夫厩舎で手伝わせてもらった時に初めて跨ったんですけど、能検や調教の時点からとにかく悪いところがなく、注文のつく点が何もなかったので、デビュー戦は自信をもって臨むことができました。トビが大きくて、スピードやスタミナといった全体的なポテンシャルが高いですね。デビュー戦ではちょっと引っ掛かるところもあったんですけれど、オープンのペースなら却ってすんなりと追走できるのではと思います。
フレッシュチャレンジ(6月6日)を制したモリデンナイス
今シーズンこれからの目標について聞かせてください。
開幕当初は特に具体的な目標を決めずにいたんですけど、おかげさまで今の位置に立たせてもらっているので、シーズン終了までこの位置をキープしたいですね。1日1日、1つ1つのレースにしっかりと取り組めば、結果はおのずとついてくると考えています。2年前はいい流れで来ていたときにケガをしてしまったので、ケガをしないようにレースに集中して臨み、またレースに集中できるように自分自身の調子を整えていきたいですね。
最後に、オッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
これからも迫力のあるレースを皆さんにお見せできればと思うので、機会があればぜひ現地までレースを観に来てください。
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※インタビュー・写真 / 山下広貴
2014年、2年目で57勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を受賞した石川倭(やまと)騎手。昨年度はホッカイドウ競馬で71勝を挙げリーディング4位、今年も順調に勝ち星を挙げ、8月10日には通算200勝を達成。ついにリーディングジョッキーの座にまで上り詰めました(8月25日現在)。
絶好調ですね。
関係者の方々のおかげでたくさん馬に乗せてもらい、経験を積めた結果だと思います。恵まれたチャンスを生かせている。レースのビデオを見て振り返ってきたことで、成績がついてきているのだと思います。
重賞もいくつか勝っています。昨年は北海優駿を自厩舎(米川昇厩舎)のフジノサムライで勝ち、ダービージョッキーにもなりました。
アクシデント(1番人気のオヤコダカがスタート直後に落馬)はありましたが、逃げというこの馬のレーススタイルを貫けたのが勝利につながりました。スタートしてしばらくは(逃げていたので)落馬は気付かなかったですが、途中で空馬が見えて描いていたレース展開が変わった。逃げればいいところがある、とその時に判断して、レースを進めました。
全体的に、逃げ馬での勝利が多いように思います。
単に、ダートは前でレースをした方が自らレースを作りやすく有利ということだと思います。好きな脚質は差し。ゴールした時にうれしい。
初重賞は2014年イノセントカップのコールサインゼロ。最低人気での勝利でした。
人気はなかったけれど、力があることはわかっていた。それまでは、2歳ということもあって気性面で力を出し切れていなかっただけ。馬の力を出せたことと、馬が所属していた原孝明先生の指示通り、馬のペースに合わせた結果です。
故・原孝明調教師と
コールサインゼロをはじめ、今年5月に急逝された原孝明先生の所属馬にも多く騎乗していましたね。
2年目の中盤からたくさん乗せてくれた。いまの結果は原先生のおかげです。一回一回、騎乗するごとにコミュニケーションを取っていたことが勉強になった。今は、原先生のところにいた活躍馬のオヤコダカ、アウヤンテプイ、シセイカイカなどが自厩舎にいて、僕が攻め馬をしています。これからも結果が出せるようにしないといけない。
因縁のオヤコダカにも騎乗しています。
北海優駿のことは特に気にはしていません。実績のある馬だし、乗せていただいているので感謝しています。パドックでは色気を出したり、うるさいところもありますが、本馬場に向かうとどっしりと構える。レースではスピードとパワーがある。カッとなることもあるけど、溜めが聞いたときの瞬発力や、追い出した時の反応の良さはすごい。このチャンスをいかしたいです。
オヤコダカだけではなく、どの馬も勝てるよう、結果にこだわっていきたいです。自分は、内回りの勝率、連対率が高いんです。直線が短いけれど、展開や位置取り、馬とのコンタクトをそこは瞬時に判断して考えています。
オヤコダカで星雲賞(7月7日)を制覇
昨年末は大井競馬で短期騎乗しました。その経験も、内回りの結果に結びついているのでしょうか。
そうなんですかね...? 大井の方が内回りのコーナーはきついです。調教は馬も人も多いし、馬の作り方や雰囲気も違う。人がたくさんいるので、騎手のフォームや重心の使い方など、刺激を受けることが多かったです。今年は、昨年のイメージを備えにして、雰囲気に慣れ、たくさん乗れるようにしていきたい。
背が高いですよね。
171センチあるので、減量に苦労することはあります。体調管理には気をつけたい。大事にしているのは柔軟な体を作ること。道営にもいますが、特に南関東には体が柔らかい人が多かった。
目の前のレースのことはもちろん、怪我をしないことを目標にしています。毎年怪我をしているんです。去年は8月に2週ほど休んだが、道営は半年競馬なのでそれが結果に響いてくる。
冬は馴致があります。
馬から教わることもあります。どうすれば馬が良くなっていくのか、毎年考えている。試行錯誤です。
8月13日の札幌10Rコスモス賞は、JRAの芝レースで初騎乗でした(ブラックプールで4着)。
新鮮だし、気持ちも良かったですが、緊張することもなくレースに集中していました。力は出せたと思います。
ブラックプールの川島洋人調教師もですし、騎手、調教師ともに道営では若手が頑張っています。
川島雅人調教師は、騎手時代、自厩舎に手伝いに来ていたから教わることも多かった。雅人さんの厩舎の馬で勝って恩返しをしたいです。
200勝達成時もそうでしたし、最近表彰式では、若手騎手が表彰される騎手の勝負服を皆で来ていますよね。微笑ましいです(笑)。
表彰があると、もうそういう流れになっているんですよね。服が並んでいるところから勝手に取ってきます(笑)。若手はみんな仲がいいです。
200勝は、いい馬に乗せてもらっているということなので、感謝したい。これからも結果に応えられるよう、取りこぼすことのないようにしたいです。
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※インタビュー / 小久保友香(写真:小久保巌義・小久保友香)
ホッカイドウ競馬の新人、石川倭(やまと)騎手(18)。7月16日現在10勝を挙げ、井上幹太騎手とともに新人らしからぬ騎乗で門別競馬を盛り上げています。
斎藤:騎手になったきっかけを教えてください。出身は富山市ですね。
石川:親と祖父が競馬好きで、家ではいつも中央競馬を見ていました。子どもの頃からずっと騎手には憧れていて、小学5年の時、将来の夢を書く時に、初めて騎手になりたい、と意識しました。家族に伝えた時は、一時期金沢競馬の厩務員をしていた祖父には一度だけ、危ないから、と反対されました。今は応援してくれています。中学時代はハンドボール部でした。父もしていたし、地元は盛んで強いんです。スキーもするし、体を動かすことは好きです。
斎藤:騎手試験には一発合格でしたね。
石川:中学2年で乗馬を始めましたが、乗馬クラブの馬はそんなに指示出さなくても勝手に動いてくれるので......。教養センターでは、周りは経験者ばかりで、自分はついていくのでせいいっぱいでした。負けず嫌いなので、人の乗り方を見て、いいところを盗んでやってきました。
斎藤:北海道に決めたのはなぜでしょう。
石川:北海道と金沢で悩みましたが、2歳や若い馬が多いことや、乗りならしからはじめられるところで北海道を選びました。また、中央や他地区に挑戦できたらいいなと思っています。
斎藤:所属は、騎手としても1438勝を挙げた米川昇先生の厩舎ですね。勝負服も受け継いでいます。
石川:先生は、教えてもくれますが、基本的には「自分で考えて乗るように」という考えです。勝負服は、先生に「いただきたいので、いいですか?」と聞きました。すると「それでいいのか」と。偉大な騎手ですので、恥じないようにと思っています。先生が騎乗しているレースのビデオを探しているのですが、なかなか見つからないんです(笑)。
普段は、先生のほか、齊藤(正弘)調教師や、手伝いに来る川島雅人騎手、松井(伸也)騎手が教えてくれます。五十嵐(冬樹)さんは間近で乗っていると迫力があり、目標にしています。いろんな人のいいところを取り入れたいです。
斎藤:身長は167.5センチありますね。
石川:会うたびに「またでかくなったんじゃないか」と言う方もいますが、伸びずにすんでいます(笑)。手足が長いことを生かした追い方をするようにしています。道営には、齊藤調教師もですが、桑村(真明)さん、阿部(龍)さんとか、背が高くて上手な人がいっぱいいますから参考にしたいです。体重管理のために走るようにしています。厩舎が坂路に近いので、坂路も1本登るんです。
斎藤:初日(4月24日)のことを教えてください。第1レースから、同期の井上幹太騎手が勝ちましたね。
石川:「持ってるな」と思いました。自分は、初日は思ったより緊張しなかったのですが、次の日のパドックから緊張しはじめて。周りをみる余裕ができたのでしょうね。
斎藤:初騎乗(第4レース)は3着、2戦目(第5レース)は、井上幹太騎手の2着でした。
石川:あと200というところで、(井上騎手の馬を)交わせるかな、と思ったのですが、近づくにつれて向こうも伸びていった。ただ、負けたことが悔しくて。特に幹太だから、というのはなかったです。
普段は幹太のことは意識はします。どれだけ数乗っているか、どんな乗り方するか。普段は厩舎が遠いのであまり会えませんが、調整ルームなどでは仲がいいです。
(他場の)同期も、勝ったのを聞くとどんな競馬をしているか気になりますね。笹川(翼、大井)も勝ってるな、って。仲が良かったのは、船橋の木佐貫(泰祐)と、幹太です。
デビュー6戦目、自厩舎のアラマサアルデで初勝利
斎藤:初勝利は5月3日(第4レース)でした。
石川:人気(2番人気)だったのでほっとしました。逃げ馬で、スタートダッシュもよかったです。強い馬がいたので、その馬が来るまでじっとしていよう、と考えていました。人気馬に乗った時、どういう競馬をするかを考えさせられました。これからもチャンスに応えられるようにしたいです。
斎藤:5月22日には、フジノジャガーで特別レースを勝ちました。
石川:ナイターは気持ちか高ぶりますね。わくわくする。緊張して、いろいろと想定しすぎてしまいました。それでも思っていたように位置を取れたし、道中はタイミングを間違えないように、と考えていました。馬が強かったです。返し馬の時にキツネが出てきて、怖かったですけど。
斎藤:2歳馬の騎乗も多いですね。
石川:乗せていただいていますが、乗りこなすのは難しいです。悪いこともすぐ覚えるから、より集中が必要なんです。
斎藤:一番思い出に残るレースは。
石川:負けたレースなのですが、6月18日、フジノジャガーでシセイカイカの2着に負けたレースです。競馬の難しさを感じました。馬の力を全て出し切るのは難しい。状況によって、瞬時に判断できるようになりたいと思いました。レースが終わってからや、調整ルームでビデオを見ていると、騎手の先輩方がみんな「ここがこうだから」と教えてくれます。
斎藤:10勝なので、重賞にも乗れますね。
石川:まだ重賞に乗れるだけの技術には足りないので、自信もって乗れるように努力したいです。乗りたいのは道営記念です。道営馬だけのレースだし、去年見ていて、雰囲気にぐっと来るものがありました。
斎藤:普段の生活を教えてください。
石川:2時半までに起きて、3時から攻め馬、10時までです。一度休んで、午後は厩舎作業です。先生は「手伝いに行ってやれよ」というので、齊藤厩舎や佐久間厩舎、山中厩舎などの手伝いをしています。
斎藤:倭という名前は珍しいですね。パドックでも「ヤマト!」と声がかかっていますね。
石川:ヤマトタケルノミコトからです。小6の弟はたける(傑)で、騎手になりたいと言ってますが、身長がちょっと高いですね。
斎藤:目標と、ファンに一言お願いします。
石川:今年の目標は30勝です。将来的には、リーディングを目指していきたいです。そして、怪我をしないように。ファンの方には、穴を開けられるよう頑張ります。人気にも応えて、穴も開ける。チャンスをもらっているので、生かしたいです。
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インタビュー / 斎藤友香 (写真:斎藤友香、小久保巌義)