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レース回顧(2/23~2/25)

2008年2月25日(月)

 23日(土)はオオワシ特別(4歳以上600万円未満)が行われ、バンゼンが勝利。前走の出走取消の影響を微塵も見せずに快勝しました。
 コマタイショウが早めに第2障害に挑みましたが、やや苦戦している間にバンゼンが先頭クリア。これをコマタイショウが追い、フクノカミカゼとミスターハヤサキが3番手で続く展開。コマタイショウが1馬身半ほどの差で必死に追撃したものの、その差はいっこうに縮まらず、結局そのままゴールイン。上位クラスとの混合戦でも上位争いを演じてきたバンゼンが、その実力をいかんなく発揮しました。やや離れた3着にミスターハヤサキ。

 24日(日)はメインレースにとかちえぞまつ特別(4歳以上オープン)が行われました。ここを制したのはホシマツリ。前走は2番人気で6着に大敗しましたが、即座に巻き返しに成功しました。
 障害下へ真っ先にたどり着いたホシマツリが、各馬が揃わないうちに登坂開始。なんとか上がり切ったところで、カネサブラック、ナリタボブサップも抜群の掛かりを見せて天板へ。結局ホシマツリ、カネサブラック、ナリタボブサップ、ミサイルテンリュウの順で、障害を下りていきました。その後は、ギャロップで差を詰めたカネサブラックが一気にホシマツリを飲み込む勢い。しかしホシマツリもしぶとく末脚を伸ばしてこらえると、1馬身ほどの差を保ったまま残り20メートル。完全に脚いろは一緒となり、そのままゴールを迎えました。2頭に食らいついたナリタボブサップが3着を確保しています。

 同日の第10レースに行われたえぞりす特別(3歳オープン)は、ウィナーナナが勝利。デビュー4連勝を飾った好素材が、オープン通用を証明しました。
 各馬とも第2障害で苦戦を強いられ、ヒザを折る馬が続出。ウィナーナナもヒザを折りましたが即座に立て直し、先頭で難関を突破。残り10メートル付近から脚いろが鈍りカイセテンザンの追撃に遭いましたが、これをなんとか振り切って先頭ゴールを果たしました。3番手集団から脚を伸ばしたコトブキタイガーが3着。人気を分けあったオレワスゴイとホクショウジャパンは、3番手集団の一角で障害を越えたものの、それぞれ5、6着に敗れました。

 25日(月)のとかち白鳥特別(4歳以上500万円未満)は、イナノプリンセスが優勝。危なげないレースぶりで、1番人気にこたえました。
 ヒロノドラゴンが先頭で障害を越えたのち、抜群の登坂力を見せたイナノプリンセスが2番手でクリア。残り30メートル標識の遙か手前で一気に先頭を奪うと、あとは差を広げる一方。唯一コーネルが食い下がってきましたが、セーフティーリードを保ってゴールしました。ツジノコウフクが残り5メートルでヒロノドラゴンを捉え、3着で入線。

映像はこちら。またこれらを含め2カ月前までの映像は、すべてオッズパークにてご覧いただけます。

今週の見どころ(2/23~2/25)

2008年2月22日(金)

 先週日曜日のメイン・たちばな賞でアンローズが勝利。NARグランプリ2006ではばんえい最優秀馬に選出され、前々走までに31勝(うち重賞10勝)を挙げていた女傑ですが、これが帯広56戦目にして記念すべき初勝利となりました。なお3月23日のばんえい記念が引退レースとなる予定。同レースには、過去2回挑戦して8着が最高着順(もう1回は競走中止)ですが、今回は好勝負の期待が高まります。
 ところで今週の日曜日(24日)14:55ころから競馬場スタンド正面にて、長らくばんえい競馬を沸かせてきた2頭の引退式が行われます。
 エビスオウジャは、昨年8月のばんえいグランプリで10歳、通算218戦目にして重賞初制覇を飾った大器晩成の名馬。もう1頭のタカラボーイはオープン・準オープンで名バイプレイヤーとして活躍しました。なお両馬ともこのあとは、種牡馬として第2の馬生を歩むことになっています。

 2月23日(土)のメイン第10レースはオオワシ特別(600万円未満)です。
 なおこの日と25日(月)は全11レース制。第1レースの発走時刻がふだんより30分繰り下がり11:30となりますのでご注意ください。
 コマタイショウは2開催前(1月27日)の柏林馬事公苑特別(600万円未満)、前開催のきさらぎ特別(混合700万円未満)と連勝中。その2走で今回のメンバーの多くに先着しており、早めの仕掛けからの押し切りに期待できるでしょう。
 柏林馬事公苑特別で僅差2着のミスターハヤサキ、同3着バンゼンや、きさらぎ特別で、ほぼ同時の障害クリアからコマタイショウと大接戦を繰り広げたハヤテショウリキらも有力。末脚切れるキョクシンオーや、スピード魅力のハマナカキングも侮れず、混戦は必至です。

 2月24日(日)のメイン第11レースは、とかちえぞまつ特別(オープン)
 ここはカネサブラックに注目。前開催は自重しましたが、目下オープンで7戦連続連対。抜群の安定感を武器にここも勝ち負けです。
 スーパークリントンは前開催の然別賞は着順こそ4着でしたが、障害で大きく離されたものの、ぐんぐん前との差を詰め勝ち馬と1秒3差まで迫りました。近4走のオープンではすべて5着以内に健闘。確実に末脚を使えるようになったのがこのところの安定した成績につながっており、今回も好勝負必至でしょう。
 自慢の登坂力をフルに発揮し然別賞を押し切ったミサイルテンリュウ、コンマ2秒差の3着だったナリタボブサップも争覇圏。2連勝と勢いに乗るホクトキングが、オープン一線級を相手にどんな戦いをみせるかにも注目です。

 この日の第10レースは3歳A1による、えぞりす特別。前開催の同条件戦・つばき特別のメンバー9頭中7頭が出走を予定しています。
 今回は、その前走で1、2着のオレワスゴイニシキボスを中心とした争いになりそうです。
 実績上位のマルモスペシャル、デビューから10戦して3着を外したのが1回だけの堅実派ウィナーナナも好勝負できそうです。

 2月25日(月)のメイン第10レースは、とかち白鳥特別(500万円未満)
 前走の5歳オープン(2月10日)で、早め障害から2、3着に流れ込んだツジノコウフクヒロノドラゴンに期待します。特にツジノコウフクは、今季500万円条件で7戦して5回の掲示板など好勝負しており有力視できます。
 前開催の同条件戦・北斗七星特別3着で登坂力自慢のコトノカツマ、同レース5着で前々走まで、間に重賞(9着)を挟んで、混合500万円未満、500万円未満をともに勝っているイナノプリンセス、同8着も先行力あるブランドボーイらにも注目。ここ2戦は障害で苦戦し惨敗も能力上位ストロングペガサスの巻き返しの可能性もあります。

馬券おやじは今日も行く(第45回) 古林英一

2008年2月21日(木)

祝!アンローズ

 アンローズがついに帯広で初勝利をあげました。伝え聞くところでは、今年度限りで引退し、近々引退式も予定されているとのこと。引退直前になってやっと帯広で勝ちました。

 アンローズがなぜ帯広で勝てないのか? もしかすると冬場が苦手なのかという説もありました。アンローズは現在までに通算32勝をあげていますが、このうち18勝が夏から秋にかけての岩見沢開催でした。2007年度から帯広で周年開催となったので、これで帯広でも勝てるんじゃないかと思われましたが、あえなく8歳時は未勝利に終わってしまいました。どうも、冬場苦手説よりも、帯広の第2障害が苦手というコース適性説の方が正しかったようです。

 アンローズといえば美形で有名な馬でもありました。馬でも人でもオッサンは美人が好きなので、当然のことながら小生も大好きでありました。小生、岩見沢競馬場に行く機会が多かったせいもあって、アンローズの晴れ姿を何度か目の前で見たのですが、一番の思い出といえば、2002年8月4日のクインカップでしょうか。

 このレース、小生は当時NHK北海道の看板番組「ほくほくテレビ」を担当していた目加田頼子アナウンサーとご一緒したのであります。このとき口取りに彼女も参加しました。アンローズと同様、目加田さんも大柄な美人です。華やかな美人同士で、なかなかいい組み合わせでありました。このときの写真をアップしようかと思ったのですが、もしかするとNHKは肖像権云々とかいいそうなので残念ながら断念します(^^;)

 せっかくなので、ここでアンローズの足跡を記しておくことにいたしましょう。

 生産者は数々の名馬を生み出した帯広の三井宏悦氏で、馬主も三井氏。2001年5月27日旭川競馬場の新馬戦でデビューしますがこのときは4着におわります。デビュー時の体重は882kgですから、小さくはないですが、特に大きかったわけでもないですね。旭川開催は2戦して4着、10着、続く北見開催で5着、3着のあと、7月16日の5戦目で待望の初勝利をあげました。そして岩見沢でおこなわれた白菊賞と星雲賞を勝ちました。その後、旭川、北見、帯広と転戦しますが、年を越えて2月17日のフリージア特別でシンザンタイガーの3着が最高でした。

 2002年度は、上述のクインカップ、オークス、ダービーを勝ち、菊花賞も2着と大活躍し、26戦10勝の素晴らしい成績で、収得賞金は12,122,000円にもなりました。

 古馬の壁に阻まれたということでしょうが、翌2003年度は24戦したものの、4歳限定戦で2勝、3・4歳限定戦で1勝の計3勝をあげるにとどまります。

 5歳になった2004年度は、岩見沢記念でスーパーペガサスを降して優勝、北見記念も勝ち、まさに女王誕生の年となりました。この頃になると、馬体重も1,100kg程度になり、ビッグウエイトカップにも出場しています。翌2005年度にはサダエリコを降し岩見沢記念を連覇し、ばんえい記念にも出走しましたが、残念ながら競走中止となってしまいました。

 7歳となった2006年度はまさに夏の女王の面目躍如といった年となりました。6月25日の復帰初戦を勝利で飾ると、岩見沢では7戦5勝2着1回という圧倒的な強さを見せ、ばんえいグランプリと、岩見沢記念3連覇を達成します。続く北見開催は3戦2勝。トモエパワーを降し北見記念を勝ちます。ばんえい記念にも出走しますが9頭立ての8着と惨敗してしまいました。

 そして8歳となった2007年度からは帯広での周年開催。ばんえい記念後休養にはいり、7月22日の北斗賞で復帰しますが4着。その後12月16日の師走特別でホクトキングの2着となり、帯広では2003年12月のヒロインズカップ以来久々の連対を果たしました。このときは勝馬とのタイム差はわずか1秒3。あわや帯広初勝利かと思わせるレースでした。そして2月17日フクイズミの猛追をかわしついに帯広初勝利を飾ったのでした。

 さて、この帯広初勝利でアンローズはこっそりもうひとつの記録を達成したのであります。それは帯広競馬場ですべての着順(さらに競走中止)を記録したのです。岩見沢では42戦していますが、10着と競走中止がありません。24戦した北見では競走中止はありますが9着と10着がありません。旭川では21戦し、2着、5着、6着、9着、そして競走中止がありません。

 最後にこれまでのアンローズの成績をまとめておきます。岩見沢だけで全収得賞金の半分を稼いでるんですねえ。まさに「夏の女王」です。

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レース回顧(2/16~2/18)

2008年2月19日(火)

 16日(土)に行われたのは丹頂特別(4歳以上オープン混合)。ここは3番人気のヤマノミントが制し、9月以来の勝利を挙げました。
 第2障害は大方の予想どおりニシキダイジンが先頭でクリア。やや遅れてシンエイキンカイとタカラボーイが並んで下り、ヤマノミントは4番手から追撃態勢に入りました。残り30メートル付近でニシキダイジンの脚いろが鈍ると、シンエイキンカイとヤマノミントが並んだままこれを交わし、マッチレースの様相。しかし残り10メートルでわずかにヤマノミントが前に出ると、その差を保ったままゴールを果たしました。立て直したニシキダイジンが3着で入線。

 17日(日)はメインレースにたちばな賞(4歳以上牝馬オープン)が行われ、アンローズが悲願の帯広初勝利を果たしました。
 軽量エメラルドが先頭で障害を越え、2番手にトカチプリティー。アンローズは3番手からという展開。軽快に逃げていたエメラルドでしたが、残り20メートルを切っていきなりストップ。それでもリードを保っていたものの、残り5メートルでまたしても脚が止まり、ここで先頭に立ったのが終始歩き続けたアンローズ。西弘美騎手の右手綱を受けて必死に脚を伸ばすと、ついに先頭でゴールを果たしました。エメラルドはゴール線上で三たびストップし、その間に障害7番手で越えたフクイズミがいつものように突っ込み、2着で入線。スターエンジェルがフクイズミと並んで強襲して3着。ゴール寸前でスターエンジェルに交わされたトカチプリティーが4着で、終いの踏ん張りが利かなかったエメラルドは5着に敗退。

 この日の第7レースにはなきうさぎ特別(3歳A-2)が行われました。ここを制したのはライデンロックで、前走オープン特別3着の力を存分に見せつけました。
 ドラゴンスーパーとアカダケキングが競走除外となり8頭立て。第2障害はキタノメイゲツが先に登り切り、これにライデンロックが並びかけて障害を下りる展開。ライデンロックが一気に先頭を奪うと、そのままゴールへ一直線。後続を寄せつけず、楽々とゴールを果たしました。2着にキタノドリーマーが押し上げ、デビューから5連勝中だったウィナータカラは、3着に敗れました。

 18日(月)に行われたのはキタキツネ特別(4歳以上430万円未満)。ここはメダマが快勝。2着にユウシテンザンが入り、久田守厩舎のワンツーフィニッシュとなりました。
 第2障害をいともあっさりと越えたのはユウシテンザン。かなり遅れてメダマが続き、3番手からカネミセンショーという展開。先頭を行くユウシテンザンは悪くない手ごたえで脚を伸ばしますが、それを上回る脚いろでメダマが急追。残り20メートル付近で射程圏に捉えると、残り10メートルで先頭へ。そのまま突き抜けると、ユウシテンザンに2秒5差をつけて優勝しました。流れ込んだカネミセンショーが3着。

映像はこちら。またこれらを含め2カ月前までの映像は、すべてオッズパークにてご覧いただけます。

やっぱり馬が好き(第46回) 旋丸 巴

2008年2月15日(金)

ミサキスーパー引退式

 前回、「ミサキスーパー引退式については、来月の心だ~!」と記して、しかし、未だ来月になってないんだけど、まあ、そんな小さなミステイクは無視してちょんまげ。とにかく、今回はミサキスーパーの引退式について、なのである。

 引退制度の廃止で、蛍の光賞も引退馬打ち揃ってのお別れ会もなくなってしまった今季。重賞4勝、スーパーペガサスと共に一時代を築いたミサキスーパーも、本来なら誰にも見送られず、ひっそりと引退することになっていたのだけれど、そこに現れたファンの青年2人の奔走によって、同馬の引退式が行われるようになった、とは、前回記した通り。

 この2青年の提案を受けて、当日の準備を進めたのがオッズパークばんえいマネジメント。これに調騎会も全面的に協力して実現したのが、ミサキスーパー引退式だったのである。正に全員参加型引退式。及ばずながら、不肖・私も、引退式で読み上げられる「引退馬紹介」の原稿なんぞを執筆してお手伝いする栄誉に浴した。

 その拙作「引退馬紹介」を、ばんえいの名物アナウンサー井馬さんが浪々と読み上げる中、名馬ミサキスーパーはパドックに登場。

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 ばんえい競馬特有の豪華な馬着(馬服)に身を包んだミサキスーパーは、いくらか現役時代より小さくなったようにも見えたけれど、凛と耳を立て、実に精悍で立派。殊に、その瞳は、何もかもを見通してしまいそうなほど清冽で、ゾッとするほど美しかった。
本馬の調教師・鈴木邦哉師、主戦・鈴木勝堤騎手への花束贈呈などのセレモニーも終わって引退式も終了かと思いきや、この後は、ファンとの記念撮影が用意されていたから驚いた。

 カメラを持参の希望者全員が、ミサキスーパーの手綱を取っても記念撮影……なんて、ファンのひしめくJRAでは到底、出来ないこと。こういうところが、小規模のばんえい競馬の強味であり、魅力なんである。

     *     *     *

 そんな写真撮影を見守っていたのは他ならぬミサキスーパーの主戦・鈴木勝堤騎手。実は、勝堤さん、レース間に行われたこの引退式のために騎乗レースをやり繰りして、無理にも、この引退式に参加されたのである。

 「だって、本当に良く走ってくれた馬だから」と人懐っこい笑顔で笑う勝堤さんに、「ひとつだけ質問していいですか?」と尋ねてみたのは「小柄な、この馬が、どうしてここまで強くなれたか?」ということ。

 いつだったか『どうぶつ物奇想天外』というテレビ番組で、勝堤さんはミサキについて「この馬は、小さいけど出世すると思ったんだ。そう言ったら、みんなに笑われたけどね」と話されていたのを思い出したからである。

 「いいところ? うん、それは真面目で、いらないことをしない性格だね」

 従順な馬のことを、ばんえいの世界では「手触りの良い馬」という。ミサキスーパーは、その「手触りの良い馬」の代表格だったようで、レースでも調教でも人の指示を良く理解し、どこまでも真面目に力の限り走った。

 その生真面目のおかげで、スーパーペガサスと死闘を繰り広げ、一時代を築いたのだけれど、また、その性格故に、体に負担をかける結果となり、引退を余儀なくされた。

 「そんな馬のためだもん、引退式には、どうしたって参加しないと」と勝堤さん。

 蛇足ながら、鈴木勝堤騎手という方は、東北弁の口の悪いオジサンで……いえいえ、確かに口は悪いけど、しかし、こと競馬となると、さすが、と、うならされること、しばしば。何より感心させられるのは、この名手、競馬の話となると、必ず「この馬を、どう育てたらいいか」「この馬に合ったレースをするには、どうしたら良いか」というようなコメントをされるのである。一見、極く普通のコメントに聞こえるけれど、注意して聞くと、「馬」が中心の会話であることに気付くはず。それくらい、個々の馬を観察し尽くし、それぞれの馬に合わせた調教、騎乗をされている訳で……。いや、勿論、他の騎手さんだって、馬の個性を尊重されているけれど、その一点に対する執念が圧倒的で、これだからこそリーディング街道を独走されているのだな、と、得心させられるのである。

 さて、話はミサキスーパーに戻って、この引退式の数日後、同馬の調教師・鈴木邦哉先生と、ゆっくり話す機会があったから、ミサキスーパーについても色々なお話を聞いた。

 ミサキスーパーは、牧場時代、目立つ存在ではなかったという。そんな同馬に惚れこんだのが邦哉先生。

 「確かに体は小さかったけど、いい顔してたんだ」という先生。

 生産者である三井さんもまた、「この馬を競走馬にしてくれるなら」と、格安で、この馬を邦哉先生の知り合いの馬主さんに譲ってくれたというのである。

 邦哉先生の相馬眼、三井さんの心意気、馬主さんの理解、そして、勝堤さんの的確な調教と騎乗、これらが、ミサキの素質を大きく開花させた。

 いやいや、しかし、こういう名人達の心を動かしたのはミサキスーパーの真摯な性格だった訳で……。人馬共に、みんなみんな、凄かったのである、ミサキスーパー陣営は。

 そんなお話の後、邦哉先生は腕組みをしつつ中空を見つめて、しみじみ、おっしゃった。

 「ファンのためにも、やっぱり、いい馬を作らんとダメだな」

     *     *     *

 今は亡きライバル=スーパーペガサスに代わって、ミサキスーパーは種牡馬として活躍してくれるだろう。我々は、彼の素晴しい産駒が競馬場にやって来るのを待望しながら、また新たなヒーロー、ヒロインの誕生を夢見て、今日も競馬場の門を潜るのである。

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