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やっぱり馬が好き(第23回)  旋丸 巴

馬の値段

 生まれて半年の、それも牝馬に6億円?!と、目をむいた人は多かっただろう。

 毎年、北海道千歳市のノーザンホースパークで行われるセレクトセールは、サラブレッドの駿馬が揃う超一流のセリ市場。今年も7月10日から12日までの3日間、1歳馬と当歳馬のセールが行われたけれど、その最高落札額が何と6億円だったというから……何をかいわんや!

 私の親しくさせてもらっているJRAの小檜山調教師も来られたし、11日には私も見学兼取材に行こうと思っていたのだけれど、どうしても書かなければならない原稿がアップしていなくて、悔し涙に暮れながら千歳行きを断念した。

 もっとも、この開催3日間、ずっとグリーンチャンネルの中継を横目で見ながら仕事をしたせいで、結局、原稿は書きあがらず。編集部に霹靂を落とされたから、こんなことなら、潔くセリに行っちゃえば良かった。

 という訳で、上記6億円の馬が落札された場面も、テレビ中継とは言え、バッチリ、ライブで見させてもらったのだけれど、それにしても6億円とは……。

 顧みて、我らが「ばんえい競馬」に出走する馬達の値段は、というと……読者各位は、どのくらいかご存知?

 景気の良かった10年前なら、当歳で数百万円、能力試験で好タイムを出した馬なら1000万円の声がかかることも珍しくなかった。

 勿論、前述、セレクトセール上場馬に比べれば桁が違うけれど、バブル崩壊以降下降し続ける一般のサラブレッドの値段を考えれば、ばんえい競走馬の生産者が、サラブレッド生産者に羨ましがられる時期だってあったほど。

 と、しかし、このところ、ばんえい競馬も売り上げダウンの余波が生産界まで浸透して、ばんえい競走馬の値段も急降下。前回、ご紹介した共進会でも、体格も血統も優秀な馬が150万円で取引きされるのを目撃したし、谷さんに聞いても、「200万円も出せば、そこそこの馬が買えるよ」というから、生産者にとっては辛い時代である。

 と、馬を生産・販売している私としては、ついつい生産者の立場に立って嘆いてしまうのだけれど、ファンの立場からすれば、一転、今こそが大チャンス!

だって、ですよ、軽自動車1台分の値段で競走馬が買えてしまう。しかも、月々のカイバ代だって、JRAの3分の1程度とお手軽。馬主資格の取得も、さほど厳しくない。

 馬代金はともかくとして、月々のカイバ代は、ちょっと辛い、というサラリーマン諸氏には、共同馬主って手もある。

 そう言えば、先日、帯広に取材に来られた古林先生と話をしていたら、

 「何人かで馬を持って、谷調教師に預けたいな」と、柔和なお顔いっぱいにチャーミングな笑みを浮かべて夢を語られていたから、
 「そうですよ、馬主になって、オーナーズカップに出走されるといいですよ」と申し上げて、火に油を注いでおいた。

 「あ、それ、いいな」と、ますます微笑みのパワーをアップされておられた古林先生。当情報局に、先生の「オーナーズカップ奮戦期」が掲載される日も近い……かも。

 いや、しかし、古林先生ばかりではない。本欄読者だって、前述のように、ばんえい競走馬を取得する資格は充分あるはず。

 しつこいようだけど、馬の値段が下落している今こそがチャンス。馬主なんて夢のまた夢、と考えていた、あなたも、ポケットマネーで、ばんえい競馬のオーナーになってみませんか?

レース回顧(8/12~8/14)

2006年8月14日(月)

 12日(土)に行われたじゃらんカップ(3歳以上550万円未満)は、6番人気のユウセイマーチが優勝。5番人気のキョウエイボーイが2着で、馬連単は1万4630円の波乱となりました。第2障害はキョウエイボーイが先頭で通過し、少し離れてスギノフィリオ、ユウセイマーチの順でクリア。必死で粘るキョウエイボーイでしたが、ユウセイマーチがジリジリと追い上げ、ゴール線上での争いとなりました。結果、わずかにユウセイマーチが先着して、今季11戦目での初勝利を挙げました。中団からグイグイ押し上げた1番人気ハヤテショウリキでしたが、届かず3着に敗れています。
 13日(日)のメインレースは、重賞のばんえいグランプリ(3歳以上オープン)。このレースについては別掲のばんえいグランプリ回顧をご覧ください。
 この日の第10レースは大倉山特別(4歳オープン)。ハンデ差が大きく難解な一戦となりましたが、こちらも人気馬が崩れて中波乱。勝ったのは6番人気のウィナーサマーでした。先頭で第2障害を越えたウィナーサマーは、一気に後続を突き放し独走態勢へ。しかし脚いろが残り20メートル付近から脚いろが完全に鈍り、ピンチと思われました。ところが後続の脚いろも同じように鈍ってしまい、そのままウィナーサマーが先頭でゴールしました。2着トウリュウ、3着スーパーロイヤルで、結局は障害を越えた順での決着となりました。1番人気カネサブラックは4着があるかと思われたところ、残り5メートルを切ったところで一気に脚が鈍り、さらにゴール線上でストップ。7着に敗れました。
 14日(月)に行われたゴールデンジョッキー賞(3歳以上800万円未満)は、坂本東一騎手が手綱を取ったキングシャープが快勝を収めました。道中はキングシャープとスミヨシセンショーの人気2頭がハイペースで飛ばす展開。それもあってか各馬障害で苦戦したものの、先頭でこれを抜けたのがキングシャープ。ほとんど差なくスミヨシセンショー、イッスンボウシ、ツルマキシンザンが続き、この4頭がつかず離れず、好レースを繰り広げました。結局は人気2頭が抜け出し、さらに追いすがるスミヨシセンショーを振り切って、キングシャープが優勝。スミヨシセンショー、イッスンボウシ、ツルマキシンザンの順で入線しました。

映像はこちら

8/13ばんえいグランプリ回顧

2006年8月13日(日)

アンローズ得意の岩見沢で快勝!

 13日(日)に行われたばんえいグランプリ(3歳以上オープン)は、岩見沢巧者のアンローズが快勝。昨年の岩見沢記念以来となる重賞8勝目を挙げました。
 道中はプリンセスサクラコやアンローズが引っ張る流れも、各馬一団となって進む展開。第2障害下にはアンローズ、スターエンジェルの2頭が早めに到達するも、ほぼ差なく全馬が続きました。
 真っ先に挑んだのはアンローズ。タケタカラニシキも動き、この2頭があっさりクリア。その後も楽な手ごたえで脚を伸ばしたアンローズは、追ってくるタケタカラニシキを相手にしないレースぶり。そのまま先頭でゴールを果たし、真夏の大一番を制しました。2番手から必死に追い上げを図ったタケタカラニシキですが、ゴール寸前で痛恨のストップ。その隙に、3番手追走のミサキスーパーが交わして2着を確保。障害7番手から追い込んだサダエリコも、タケタカラニシキを交わして3着に突っ込みました。立て直したタケタカラニシキでしたが、4着に敗れました。
 1番人気のミサイルテンリュウは得意の第2障害で3腰を要し、予想外の6番手通過。先行策が持ち味だけに勝ち負けに参加することができず、結局8着に敗れました。

成績はこちら
映像はこちら

8/13ばんえいグランプリ予想 矢野吉彦

2006年8月12日(土)

アンローズ・・・じゃなくてミサキスーパーから

 お暑うございます。今週はばんえい競馬のお盆興行。名物のファン投票レース、ばんえいグランプリがメーンです。スーパーペガサス不在というのは寂しい限りですが、オープンのトップホースが顔を揃えて、楽しみな一戦になりました。
 まともに考えれば、ここもミサイルテンリュウ中心、相手もサダエリコが筆頭、このところ躍進著しいトモエパワーが最大の惑星ということになるんでしょうが、果たしてスンナリ決まるんでしょうか?

 まずはミサイルテンリュウ。確かに先行力と登坂力は抜群で、今の岩見沢の馬場を考えると前残りの可能性が高いとは思います。でも、当然ながら他の馬から目標にされるわけで、勝ちに行くための積極的なレースを仕掛けようとするあまり、第2障害までにわずかでも無理をすれば、登坂力や末脚に影響が出るかもしれません。前に行く人気馬だからこその取りこぼし、っていうのもあるはずです。北斗賞出走組の中で、この馬だけが10kg増量されるのも減点材料でしょう。
 次にサダエリコ。ここ2戦を見ると、また少しずつ障害で手間取るようになってきました。サマーカップはやや太めの作りだったとはいえ、7着に敗れて、それからわずかの間に気持ちを立て直すことはできたでしょうか? 牝馬だけにちょっと心配です。
 そしてトモエパワー。ここのところメキメキ力をつけてはきましたが、このまま壁に突き当たらず、BG2の重賞まで勝ちきってしまうのか、まだ信用できないところもあります。前走で夏負け気味だったにもかかわらず激走してしまった反動もありそうですし。
 そう考えると、ここはチョイ荒れの結果もあると思うんですけど(ちょっと考えすぎ?)。で、おもしろそうなのがアンローズ。サマーカップの内容は復調気配を感じさせ
てくれました。夏に強い牝馬。サダエリコが今イチなら、こちらを狙う手もありそうです。
 ミサキスーパーも気になります。北斗賞では第2障害を真っ先に仕掛ける作戦で、ミサイルテンリュウをアシストする(追いかけるサダエリコには厳しい流れを作る)結果となりましたが、サマーカップの障害の掛かりはなかなかよかったですね。ペースが落ち着く高重量戦なら、サマーカップの時より前で競馬ができるはず。ここ数戦、馬体重が減りっぱなしなのが?ですが、戻してきていたら怖いと思います。
 オッと、今回はずいぶん長くなっちゃいました。そろそろ結論を。アンローズを頭に馬単を流そうと思ったら、ナント、斎藤編集長も古林センセイもアンローズじゃないですか! これは困りました。3人の結論が一緒なんて、なんだか不気味でしょ? よし、ここは、思い切ってミサキスーパーで行きましょう! ハズレてもともと。みんな同じ馬からの予想じゃ、おもしろくないでしょうから。
 相手はアンローズ、トモエパワー、ミサイルテンリュウ。サダエリコは押さえまで。もう1頭加えるならタケタカラニシキかな。シンエイキンカイ、ヒカルセンプーの復活は無理と見ました。
  当日、ミサキスーパーの馬体が戻っていなかったら、私もアンローズから買っちゃうかもしれません。そのへんは、GyaOの「BANBA王」でお話ししますので、そちらもぜひご覧ください。では、真夏の決戦、頑張りましょう!

8/13ばんえいグランプリ予想 斎藤修

岩見沢ならアンローズ

 8月6日のサマーカップ。トップハンデのトモエパワーが先頭で障害をクリアし、ゴール前の接戦を制したのには驚いた。2着にもプリンセスサクラコで、この馬券をとったという「BANBA王」の野田社長にはさらに驚かされた。
 「人気馬はまず疑ってかかる」というのが野田社長の予想スタイルのようなのだが、実力断然の馬でも一旦障害で詰まってしまえばどこにもないというようなことがめずらしくないばんえい競馬、特に今シーズンの岩見沢では、穴狙いとしてかなり理にかなっているのではないかという気がする。
 過去の成績だけを見て予想していたのでは、こういう買い方はなかなかできない。
 メンバーを見渡すと、力関係でいえば3連勝中のミサイルテンリュウが頭ひとつ抜けている。しかしプラス10kgというのがかなり微妙で馬券的にはおもしろくなった。
 ここは、サマーカップでトモエパワーの4着に敗れ、今回は人気を落としそうなアンローズから狙ってみたい。なんといっても岩見沢コースへの適性は魅力的だ。
 相手にはミサイルテンリュウとトモエパワーなのだが、あえて順番をつけるならトモエパワーを上にとりたい。定量の北斗賞では4着だったが、10kgのハンデがあれば逆転できそうな気がする。
 旭王冠賞で完全復活を果たしたサダエリコだが、岩見沢に来てから勝利がなくここは押さえまで。
 忘れた頃に穴を出すシンエイキンカイも気になるところ。

 ◎アンローズ
 ○トモエパワー
 ▲ミサイルテンリュウ
 △サダエリコ
 △シンエイキンカイ

 馬券は、上位3頭の馬連ボックスを厚く。アンローズがあまり人気にならないようであれば、◎→○▲の馬単を加える。△2頭はオッズ次第だが、そこまで馬券がまわるかどうかは微妙。

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