常に安定した成績を残し、5年連続リーディングの経験もある岡田祥嗣騎手の騎手像に迫ります!
西田:岡田さんは、怪我が少ないですよね。
岡田:そんなことないよ。昔はよく怪我したよ。怪我をするたびに、自分に何かが足りないから怪我をするんだという考えになりましたね。それが何かという答えは、いまだに見つかっていないんだけど、怪我した時は自分を見つめ直す機会だと考えるようにしています。
西田:怪我をしないようなトレーニングは何かしていらっしゃるんですか?
岡田:毎日欠かさずというのはしていませんんが、今の身体を維持していくためのトレーニングはするようにしています。あと気を遣っているのは、お風呂の入り方ですね。夏でも冬でも、必ず湯船に入るようにしています。これは、個人差はあるようですが、体温を1度あげると免疫力が上がり風邪をひきにくくなる......というのを聞いたんです。テレビや本などで情報を得たら、とりあえずは自分に合うかどうかを試してみます。
西田:理想の騎手像は?
岡田:あまり考えたことないです。中央・地方や海外も含め、たくさん素晴らしい騎手がいます。そんな人たちの良い部分や共感できるところなどを吸収できたらとは、常に思っています。家に居る時にも、ほとんど競馬を観てますから(笑)。
西田:色々な競馬場に遠征することも多いですよね。
岡田:同じレースに乗せてもらって、得るものや感じることもたくさんあります。本当にありがたいことです。あと、どこの競馬場へ遠征させてもらっても、"自分は福山代表なんだ"という気持ちを常に持って騎乗させてもらっています。
西田:そういう意味では、後輩ジョッキーたちにも、チャンスがあれば積極的に遠征へ行って多くのことを経験してほしいですね。
岡田:そうだね。後輩ジョッキーたちには、それぞれのアイデンティティと福山競馬の誇りを持って、失敗を恐れずにどんどんチャレンジしてほしい。真面目な子が多いんだけど、おとなし過ぎるなぁとも思うんでね。もっともっと貪欲さを表現してほしい。そして、遠征などでアウェー感なども体験することにより、地元愛というのを持ってほしいです。そういった意識を先輩や後輩と一緒に持ち、福山競馬の騎手のレベルを上げていく。それを全国のファンの皆さんに見て感じてもらい、福山競馬を好きになってもらうということにもつながれば一番良いと思ってます。
と、偉そうなことを言っていますが、自分もひとつひとつの壁を乗り越えて進化していかないといけないと思っています。難しいことばっかり言ったけど、大丈夫?(笑)。記事になるかな(笑)。
西田:大丈夫ですよ(汗・笑)。岡田さんらしさが出てますから!
自分の性格を『目立ちたがり』で『ナルシスト』という22年目の岡田騎手。じつは、CDデビューをしたらと思わせるほどの歌唱力を持っています。近づいてきた通算2000勝達成時には、歌の披露もしてもらいたいです!
※インタビュー / 西田茂弘
毎年、騎手の勝ち鞍が僅差になる福山競馬で、昨年2位以下を大きく離してリーディングジョッキーとなった三村展久騎手に迫ります。
西田:初の福山リーディング獲得、おめでとうございます。
三村:ありがとうございます。初めてのことなので嬉しさはありますが、馬主さんをはじめ調教師の先生や厩務員さんなど、騎乗させてくれた全ての人のおかげだと思っています。そういった皆さんや馬に獲らせて頂いたモノですね。
西田:昨年は、本当に充実した1年だったでしょ?
三村:そうですね。他場にもたくさん遠征させてもらいましたし、楽しい1年でした。
西田:他場での騎乗の魅力は?
三村:やはり、良い刺激になります。レースに乗るまでの環境などは、それぞれの競馬場で違いますし、あまり会えない騎手達と話ができたりもしますので、勉強にもなります。
西田:昨年は、怪我も多かったよね。そんな時は焦りとかもあったんじゃない?
三村:確かに、自分にしては多かったですね。でも、焦りはなかったです。してしまったことは仕方ないので、早く治すことだけを考えていました。
西田:大人の発言やねぇ。
三村:もう大人ですよっ(笑)。
西田:自身最高の141勝(他場での4勝を含む)・連対率39.6%については?
三村:ただただ馬たちのおかげです。自分が失敗したレースもたくさんあるし、取りこぼしたレースもあるので満足はしていません。連対率は全く気にしていません。どちらかというと、勝率の方が気になりますね。常に勝ちを意識して乗っていますから。
西田:こちらも初めての参加となったスーパージョッキーズトライアル。第1ステージ(川崎競馬場)では、久々に南関東での騎乗となりました。
三村:期間限定騎乗中にお世話になった皆さんと再会できたり声をかけていただいたりして、とても嬉しかったです。ただ、この時は落馬で骨折をしていたので、雰囲気を楽しむっていうよりかは、痛さもあって大変だったという思い出です(汗)。怪我を理由に欠場だけは絶対にしたくなかったですから。
西田:第2ステージ(名古屋競馬場)では勝利もありました。
三村:いい馬だったので勝ちを意識して騎乗しました。直線では2着馬にかなり迫られましたので、一生懸命追いましたよ。
西田:勝ったことにより、総合優勝のチャンスが大きくなったよね。
三村:第3戦が終わった段階で、ポイントのことは考えていなかったです。次にしっかりと結果を出すことに集中していましたので。
西田:結果は、第3位でした。
三村:最初に順位を聞いた時には「3位まで上がったんだ」という感じでした。でも、あそこまでいったら1位になりたかったですね。ポイント差も2Pですかねぇ。ポイント差を聞いたら、悔しさは出てきましたよ(笑)。
西田:ところで、騎手になった経緯は?
三村:競馬好きな父に騎手になれとずっと言われ続けていたので、騎手学校を受験しました。それまで、競馬場に行ったことなかったんですよ(笑)。
西田:では、今の活躍をみて、お父さんは喜んでいるでしょうね。
三村:じつは、あまり父とは会話しないんですよ(汗)。父は、競馬談議をしたいんでしょうけど(笑)。
西田:騎手をやっていて、良かったと思う時は?
三村:馬のことを理解して、思い描いた通りに騎乗できたり、結果が出た時ですね。勝って戻ってきた時に、その馬に携わっている人達が喜んでくれている顔を見た時には、やっていて良かったぁと思います。
西田:今年の目標を!!
三村:目標ってあまり作らないんですよね......。う~ん...う~ん...まぁ、いい1年だったと思える年にしたいです。成績っていうよりは、技術的に向上したとか人間的に大きくなったという意味で、いい1年だったと思えれば良いです。
向上心と感謝を忘れず、福山競馬の"若大将"から"総大将"へと進化を続ける三村騎手。今年の活躍にも期待してください!
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※インタビュー / 西田茂弘
勝ち星が特定の騎手に集中せずに、上位拮抗となっているのが福山競馬の特徴のひとつ。そのなかで楢崎功祐騎手が2 年連続でトップの座を獲得したのは大きな価値があるといえる。今年も目指すのは、3 年連続となるリーディングだ。
楢崎騎手は昨年のスーパージョッキーズトライアル(SJT)2010 の出場権を惜しいところで逃した。
楢崎騎手:昨年は、SJTの地区代表騎手が決まる日の前半戦で、その時点で勝利数がトップだった岡崎(準)さんと同じ勝ち星に追いついたんですが、後半のレースで離されてしまったんです。2009 年に出場したときは、第1ステージで2 戦とも人気薄の馬で大敗してしまって、そこで終わりでしたからね(その年は、第1ステージの下位2 名がフルゲート頭数の関係で第2 ステージに進めなかった)。そのときから「絶対にまた出場したい」と思っていましたので、出られないと決まったときは、すごく悔しかったです。
福山競馬所属の騎手が、他の競馬場で騎乗する機会はかなり少ない。しかしながら昨年は、フォーインワンで東海ダービーに遠征できた。
楢崎騎手:フォーインワンは気難しいところがあるんです。そのせいか、東海ダービーの時は普段より気負っていました。そういうところも含めて、まだ成長しきっていないと思うんですよ。それでも、生まれつき持っている荒い気性を競走のほうに向けられるようにはなってきました。
そのフォーインワンのライバルとして戦ってきたのがムツミマーベラスだ。
楢崎騎手:2 歳のときは確かにムツミマーベラスのほうが上でしたが、今でもそう思っている人がいることには残念な気持ちがありますね。(2010 年)12月の福山王冠のときは、ムツミマーベラスが全力を出してもこちらが勝っていただろうと思えるレースができました。だからこそ、マーベラス(5 着)はそのレースで鼻出血を発症しないでほしかったと思うくらいです。正月の福山大賞典では初の古馬重賞で2 着でしたが、心配だったのは2600mという距離だけ。ペースが一気に上がったところでもレースの流れに乗れましたからね。メドはつきましたし、まだまだ変わってくれることでしょう。
福山競馬場の所属騎手は2011年2月現在で17名(期間限定所属は除く)いるが、トップスリーの昨年の勝利数の差はわずか。まさに各騎手がしのぎを削っているという印象がある。
楢崎騎手:福山は特定の人にいい馬が集中するという傾向がありません。攻め馬をつけた人が実戦でも騎乗することが定着している感じなので、頑張ればチャンスがある競馬場だと思います。自分自身も「常にまじめに」という気持ちで、そして地道にやってきました。まあ、それが唯一のとりえといいますか。だから2 年連続でリーディングを獲れた秘密とか、特にないんですよ。それでも新人のころに比べれば、勝ち方を覚えてきたというところはあるかもしれません。福山競馬場で勝つためには、道中の位置取りがいちばん重要なんですが、そういったレースに対応する心の余裕が増えたことは確かですね。それと新聞をパッと見て、そのレースがどんな展開になるのか、だいたい分かるようにもなってきました。
楢崎騎手はデビュー12 年目の29 歳。騎手としてはまだ若いといえるが、下の世代もだんだん力をつけてきた。
楢崎騎手:三村展久騎手は特に腕を上げてきましたね。南関東での期間限定騎乗でも結果を残してきましたし。僕ももっと勉強したいし刺激もほしいので、他場で乗ってみたいという気持ちは強いですよ。でも南関東で乗るための条件である通算1000 勝はまだ遠いし、25歳以下という若手騎手枠にも入れないし、ちょうどエアポケットなところにいるのが歯がゆい感じです。
ただ、昨年はリーディングこそ獲りましたが、自分としてはふがいない1年だったんですよ。いま思えば、一昨年初めてリーディングを獲ったことで、余計な力が入っていたのかもしれません。調教師にも「あせるな」と言われたことがありますし。確かに昨年は自分が納得できるレースが少なかったように思います。だから自分としては、ほかの騎手がどうこうということはまったくなくて、勝とうが負けようが納得できる騎乗を増やすことを目標にしているんです。ゴールのない目標ですが(笑)。
そのためには、日々の仕事も重要だ。
楢崎騎手:開催日以外は、だいたい朝1時半に自宅を出て、2 時過ぎから調教を始めます。今は馬の数が以前より減ってしまったので、調教をつけるのはだいたい18 頭くらいですね。
それでも全部の調教を終えたら9 時くらいにはなります。この先も福山競馬が続いてくれるのか、という心配はありますが、競馬がある以上は精一杯やらないと、という気持ちで毎日を過ごしていますよ。
福山競馬場は日本一の小回りコース。そこで騎乗を続けていれば、技術も磨かれるに違いない。
楢崎騎手:ここはきれいなフォームで騎乗したら、馬が動かないコース。距離があってもレースの中身は忙しいですから、末脚で一気にということもできません。僕が見ていていいなあと思う騎手は、安藤勝己さんと岩田康誠さん。こぶしで馬を押すところや、レースの流れに乗る技術などですね。それと福山は、騎手同士で騎乗について話をするとかがあまりないんですよ。騎手全員が集まるということもほとんどありません。その意味では、各騎手の間にいい緊張感があるように思います。
子供のころから「ものすごく負けずぎらい」だったという楢崎騎手。話をしている限りではそういう風には見えないのだが、「それを表に出さないようにしているんです。勝負ごとには特に熱くなってしまうタイプなので......。典型的な" 破滅型"の性格かもしれません」とのこと。ちなみに楢崎騎手が指名するライバルは、「少し離れたところにいるのが、かえっていいんでしょうね」という、高知所属の宮川実騎手。しかし地元には、数字で迫るライバルがたくさんいる。そんな状況でも2 年連続で獲得したリーディングの座は今年も当然、明け渡さないつもりだ。
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楢崎功祐(福山)
ならざきこうすけ
1982年1月29日生まれ みずがめ座 O型
広島県出身 外山清彦厩舎
初騎乗/ 1999年10月23日
地方通算成績/ 6,734戦743勝
重賞勝ち鞍/福山大賞典、瀬戸内賞、福山ダービー
2 回、福山王冠、ヤングチャンピオン2 回、ファ
イナルグランプリ、クイーンカップ2 回、福山3
歳牝馬特別2回、金杯、キングカップなど14勝
服色/胴黒・黄のこぎり歯形、そで青
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※成績は2010 年2月21日現在
(オッズパーククラブ Vol.21 (2011年4月~6月)より転載)
※インタビュー / 浅野靖典
「10年に一度の天才ジョッキー現る!!」と2002年デビューからメディアに大きく取り上げられ、地元広島テレビにもスタジオ生出演で話題をまいた池田敏樹騎手。クールでひたすら野性的な騎乗ぶりでスタンドに興奮を誘う若き勝負師。デビュー9年目を迎える27歳の夢はリーディングジョッキーだ。
あれから何年経つのかな?福山のジョッキーとしては初のテレビ生出演。そして翌年には、あの柏村武昭さんがキャスターで高視聴率をマークした「テレビ宣言」にも取り上げられ、池田敏樹の名が広島県内に知れわたった。懐かしいね...。
池田騎手: ボクは天才でもなければ、それほど騒がれるほどの器じゃないと思ってたので不思議な感覚でしたね。それでもメディアが取り上げてくれたことで励みになったし、奮い立つものを体で感じましたね。あまりというか、しゃべりは全然苦手なので冷や汗の連続でしたね(笑)。
あの時は私(樋本デスク)も競馬記者からみたジョッキー、池田敏樹のすべて!!そんなタイトルでテレビ出演させてもらった。池田くん、ありがとう(笑)。それとデビュー2年目になんと福山のジョッキーとしては初の海外遠征をやってのけた。とにかく強烈なインパクトだった。
池田騎手: あれはマカオ・タイパ競馬場の「第12回マカオ見習騎手招待」だったですね。あの時は1週間滞在し、攻め馬をこなし、週末がいよいよレースでした。結果は第1戦が確か4着で、2戦目が着外でした。勝てませんでしたけど、自分にとってはいい経験になりました。
1週間滞在してたった2戦とはもったいないね。それでも池田騎手をひと回り大きくするキッカケとなったのでは...。海外遠征での面白いエピソートでもある?
池田騎手: 英語が難しくて戸惑ったのは確かですね。英語が自由自在にしゃべれたらいいなって実感しましたね。中学校の時、もう少し英語をしっかり勉強しておけばよかったです(笑)。それにできれば数多く乗りたかったのも本音です。次にこんなチャンスが訪れればフル回転したいところですが...。
福山以外で乗ってみたい競馬場といえば?ジョッキーのほとんどがJRAなんだけど、池田くんもそうなのかな...。
池田騎手: 地方競馬の騎手にとってJRAは夢の世界ですからね。地方競馬では過去に高知、荒尾で乗ったことはありますが、その2競馬場しかないんです。チャンスがあればどこでも行って乗りたいですね。とりあえず園田なんか、いいじゃないですか。
池田騎手といって真っ先に思いつくのが天才娘ムツミマーベラスだね。自分自身、これまで乗って最高だったのはやはりマーベラスかな?それともアラブ最後の交流重賞を制したフジノコウザン?
池田騎手: フジノコウザンも記憶に残る馬でしたが、やはりムツミマーベラスですね。マーベラスでのベストバウトは福山ダービーから約2カ月後の福山チャンピオンシップだったですね。ダービーを勝ったフォーインワン、高知枠から出走した赤岡さんのリワードシャンヴルを相手に5馬身勝った時は快感の一語でしたね。スタートからゴールまで最高の乗り味で一生記憶に残るレースだったですね。
池田くんにとってムツミマーベラスとは?ダービーが故障明け2戦目(中6日の連斗)という厳しいローテで結果2着。そして鞆の浦賞、福山王冠が鼻出血という不運に泣いての完敗続き。まともなら3冠獲っていたのでは...。
池田騎手: ジョッキーになって乗った馬の中ではとにかく別格といっていいほど魅力的なランナーです。残念ながらアクシデント続きでクラシックのタイトルはひとつも獲れませんでしたが、その走りは天才的といっても言い過ぎではないでしょう。今後のことは未定ですが、もう一度マーベラスを背に福山はもちろん、全国のファンにも天才的な走りをお見せしたいですね。
ところでインタビューするジョッキーにはすべて聞いているのだけど、騎手になろうとしたキッカケは...。
池田騎手: 体が小さいのが一番の理由です。それに小学校か、中学校の頃、たまたまテレビで競馬中継を見てジョッキーのカッコよさに憧れを持っていました。騎手になってよかったと思います。
その憧れていたジョッキーになった池田騎手。尊敬するというか、目標とする騎手は?ジョッキー以外でも構わないけど...。
池田騎手: 素晴らしいジョッキーが沢山いるのでお手本にしたいとは思いますが、ボクの場合、やはり尊敬するのは末広先生ですね。人間的に素晴らしいですし、思いやりのある方で包容力がたまらないですね。もちろん厳しい面もありますが、レースで損ねても先生のアドバイスで失敗を成功につなげるよう、常に反省を心がけています。
オールラウンドプレイヤーの池田くんだけど、好きなタイプの馬は?ムツミマーベラスでの騎乗を見ていると追い込みが得意といった印象を受けるのだけど...
池田騎手: 先行でも差しでもタイプにこだわりはありません。やはり自在に動ける馬がレースはしやすいですね。いずれにしてもどんなタイプでも臨機応変に対応して乗るだけです。
池田くんが勝ったレースの写真なんだけど、笑顔で映ってる写真がまだ一枚もない(笑)。勝っても嬉しくないのかな?と毎回感じるのだけど、実際はどうなの...。
池田騎手: そりゃ、嬉しいですよ。ただ嬉しいと言うよりもホッとするという気持ちでいっぱいなんです。だから顔に出ないんだと思いますよ。やっぱり勝ったら最高ですよ
一昨年、今年と連続4位。ここ2年はいずれも80勝台を突破して大器全開のムードが漂う池田くん。いよいよリーディングジョッキーの栄光が見えてきた。今年は狙ってるじゃないの?
池田騎手: もちろんリーディングジョッキーはひとつの目標でもありますが、意識したことはないですよ。1勝、1勝の地道な積み重ねが、リーディングジョッキーへと繋がるわけでボクは一戦一戦を完全燃焼することだけを心がけています。ひとつでも多く勝てるようがんばるだけです。それしか言えません。
インタビューも終盤に近づいてきたけど、ちなみに好きな食べ物はなに?和食系、それとも洋食系...。
池田騎手: ボクは餃子が大好物なんです。餃子を食べると活力が湧いてきますね。気分もパワーアップしますよ。アルコールはたしなむ程度で毎日は飲みませんが...。
最後に池田騎手を応援してくれているファンにメッセージを...。
池田騎手: やはりレースの日に大勢のファンの方が詰めかけてくれると励みになりますね。ボクを応援してくれてるファンの皆様の期待に応えられるよう、これからも全精力を傾けるだけです。ご声援、よろしくお願いします。それに東日本大震災で被災された皆様方にはオッズパークさんのサイトを借りてお見舞い申し上げます。一日も早い復興を祈るだけです。
近い将来、福山の代表ジョッキーとして背負って立つ逸材だけあって沈着冷静。一戦入魂の精神がひしひしと伝わってきた。次代を担う若き勝負師の素顔は実にさわやかだった。
※インタビュー / 福山エース・樋本デスク
1997年に益田デビューから白星を積み重ねること2924勝(1月16日現在)。日本海が生んだ天才マジシャンとしてその名は日本列島に知れわたり、1996年に福山へ電撃移籍した当時は「福山競馬の歴史を塗り替える男」として衝撃が走った。50歳にしていまもなお、瀬戸内を代表するスーパージョッキーとして君臨する魅惑のエンドレスファイター。「生涯一騎手」の精神を貫き通す勝負師の素顔に迫ってみた。
昨年こそ初のリーディングジョッキーを獲得するチャンスだったけど、終わってみれば楢崎くんに独走を許してしまった。僕個人としては昨年こそは岡崎くんに初タイトルを獲ってもらいたかった(楢崎くん失礼!!)けど、またもや無冠に...。まず2010年を振り返っての感想から聞かせてほしいのだけど...。
岡崎騎手: 結果は2位だったですけど、自分では充実した1年で悔いはないですよ。リーディングジョッキーこそ逃したけど、ワールドスーパージョッキーズトライアルに出場できただけでも光栄。最後の最後で池田くんに 猛追されてかなりプレッシャーがかかりましたが、出場が確定したトミノプラネットでギリギリ一杯で逃げ込めた瞬間、「しめた!!これで行ける」と心の中で叫びましたよ。嬉しくて嬉しくて重賞並みにファンに感謝の念をこめてウイニングランをやっちゃいました。スタンド前で思わずガッツポーズがガッツポーズまで飛び出しちゃって...。今年もワールドスーパージョッキーでの出場権をゲットすべく、スタートからバリバリ飛ばしますよ。
その、昨年のワールドスーパージョッキーズトライアル2010なんだけど、結果はまさかのブービー。最下位が高知の赤岡くんで大ショックだったな...。
岡崎騎手: どうもボクはクジ運がないんですよね。乗り馬のほとんどが予想紙のノーマーク。馬の力量差があまりにも開きすぎていてどうする こともできなかったという感じなんです。ある程度の馬に乗って岡崎準をアピールしたかったのですが...。だから、宝くじなんかは一切、買いません(笑)。
それでも福山代表のジョッキーとしてかなり注目を集めたのは事実。ワールドス ーパージョッキーズトライアル2010を振り返ると...。
岡崎騎手: 成績はサッパリでしたけど、とにかく水沢、帯広ともに馬場が広くて乗りやすいというか、ゆったりとレースができるので福山とは全然感覚が違いましたね。3年前に短期移籍ジョッキーとして南関東で2カ月騎乗(通算4勝)しましたが、追い込みに自信があるボクにとっては直線の長い競馬場が合いますね。できればもう一度、南関東で乗ってみたい気分になりますね。
福山のジョッキーでは前人未踏の3000勝へあと僅かと迫った。これだけ勝てるんだから、騎手になるべくしてなったという感じがするけど、ジョッキーをめざそうとした動機というか、夢を追い求めたキッカケは何なの?
岡崎騎手: いい質問ですね(笑)。あれは中学生の頃ですかね、知り合い の馬主さんに誘われて益田競馬場へ行ったんですよ。競馬場でレースを見るのは初めてだったんですけど、迫力があって凄くカッコいいなって思ったんです。なんか直線の激しい追い比べが衝撃的でも、自分もこんな男と男の勝負の世界でメシが食えれば最高だなと思いましたよ。これが競馬との運命的な出会いです。
普通の会社員とは違い、ジョッキーは命がけの職業。当然のことながら、 苦労話もあったと思うんだけど...。
岡崎騎手: それが不思議と思い当たらないんですよね。初めて馬に乗った感想が「思っていたより高いんだな」と思っただけ。苦労話を聞かせたかったのですが、すべてにスムーズにいきましたね。やはりボクは馬に乗るために 生まれてきたのでしょうか(笑)。神様のいたずらかな?
ところで96年に福山へ電撃移籍でかなり話題になった。僕自身も個人的に 岡崎ファンのひとりだったんだけど、スタージョッキーが去るわけで益田のファン はきっと寂しい思いをしたはずだが...。
岡崎騎手: それが意外にもファンの多くがスムーズに受け入れてくれたんです。益田 最後の騎乗で「準ちゃん、福山でもがんばって!!ずっと応援し続けるけぇ」とス タンドからエールが耳に届いた瞬間、胸にグッとくるものがありましたね。ファン の声援は我々、騎手にとっては心の支えというか、大きな励みになります。ありがたい ですね。
昨年、このコーナーでも﨏畑くんにも聞いてみたんだけど、これまでJRAで活躍した馬の中で 乗ってみたかったという馬は...。ゴール際の魔術師と呼ばれる岡崎騎手だから、 やはり追い込みタイプなのかな?
岡崎騎手: 武豊くんが乗って競馬ブームを再燃させたディープインパクトですね。とにかくあの追い出してからしびれるような感触の伸び。切れ味勝負の馬が好みのボクにとっては最高だったでしょうね。騎手冥利に尽きる馬、それがディープインパクトです。
納得だね。ところで福山へ来て14年。これまで思い出に残ったレース、馬は どれかな?大舞台でいい仕事をしてきた岡崎くんだけに数え切れないだろう けど...。
岡崎騎手: 古くはサンワテイオーで、ひと昔前まではアラブの鬼脚ランナーとして福山大賞典を連覇したユキノホマレ。どちらとも凄い馬でしたが、ユキノホマレのあの長い脚には背筋に電流が走る思いでしたよ。2003年の大賞典を勝たせてくれたユキノホマレには特に愛着がありますね。あと、最近では道営育ちで天才的な走りをしたクロイチョキンバコですかね。故障で太く短くの競走生活でしたが、 スピードに、プラス破壊力を兼ね備えた魅惑のランナーでその感触がいまだにボクの体に 残っています。
話はガラリ変わるけど、朝の早いジョッキーはこの寒い中、大変だろうけど、岡崎 くん、一日のスケジュールは...。
岡崎騎手: 朝は2時半から黙々と調教を続ける毎日ですね。夏は暑いし、冬は底冷えのする寒さでつらいですが、馬に乗ると気分がシャッキとしますね。今年の7月で51歳になりますが、まだまだ気分は18歳。若いモンにゃ負けられませんよ。大体、攻め馬を終えるのが9時くらいになりますかね。曜日によっても終わる時間が違うんですが...。
ボクも厩舎取材で攻め馬の風景を見ているんだけど、暗いうちから何頭も攻め馬 を消化するのって大変って感じる。特に岡崎くんは攻め馬だけでなく、きゅう務員も 兼ねてやっている。かなりハードじゃないの?
岡崎騎手: 騎手だけでメシは食っていけない。これが地方競馬の現状でやむを得ないですね。でも、これで家族を支えられると思ったら、なんてことないッスよ。競馬が続く限り、がんばり通すだけです。
騎手ときゅう務員、二束のわらじで奮闘を続ける岡崎くんにとって趣味というか、 人生の楽しみとは?酒豪で知られる岡崎くん、やはり晩酌なのかな...。
岡崎騎手: またもやいい質問ですね(笑)。よく福山エースさんのホームページで焼酎2升は軽い(笑)なんて書いてますけど、ちょっとオーバー。若い時は焼酎1升なんてこともたまにありましたが、いまは3合程度。焼酎を飲んでいると「一日が終わったな」って感じで苦労なんて吹き飛んでしまう。特にいい勝負をしたあとの焼酎がめちゃウマいです。最高の味ですね。
岡崎くんの趣味は?究極のマジシャンと呼ばれるくらいだから、手品でも得意 なのかな(笑)。
岡崎騎手: 手品はレースだけの話。趣味ですか?ほとんどないので答えようがないですね。趣味の一種かもしれませんが、サスペンスドラマを録画して休日に焼酎を飲みながら、自分なりに事件を推理するのがたまらない楽しみですね。最近では玉木宏主演の刑事ドラマ「ギルティ」にハマりました。古畑任三郎もいいですが、玉木宏の演技力もなかなかですよ。いずれにしても朝が早いので録画でしかサスペ ンスドラマが見れないのが残念ですね。
ジョッキーインタビューも終盤へと近づいたけど、2011年に期待する馬は...。
岡崎騎手: オープンのフジノアリオンはもちろんですが、JRAから転入して11戦8勝の快進撃を続けるアラタマデジタルに未知の魅力を感じますね。トモの甘い馬でゲートに甘さはありますが、スピードセンス抜群の牝馬でまだまだクラスが上がっても勝ち続けるだけの資質を秘めていますし、確実にひと開催1勝を計算でるので貴重な存在でもあります。もう1頭挙げるとすればワールドウイングですね。 まだクラスが下なのでこちらも1勝を計算できる。この2頭はボクにとって貴重な存在です。
いずれにしてもレース後はオッズパークさんのサイトで反省、復習は欠かしません(社交辞令もさすがの好騎乗)。
最後に福山のみならず、全国にも沢山のファンが岡崎騎手を応援している。 今後の夢と抱負をファンに伝えてください。
岡崎騎手: これまで5、6度大ケガをして一時はジョッキーを諦めるような重傷を 負ったこともありましたが、その都度ファンの皆様の暖かいご声援に励まされてここまで来ることができました。本当にありがとうございます。もちろん2011年も一戦入魂の精神で白星を積み重ねるだけです。一日も早く3000勝が達成できればと思ってい ます。そして今年こそは無冠を返上したですね。福山でのリーディングジョッキー は夢でもありましたから。今後も岡崎準のご声援、よろしくお願いします。
50歳とは思えないほど、ハツラツとした笑顔でエネルギッシュさが全身に漂う瀬戸内の スーパーマジシャン。ジョッキー人生、34年の集大成。2011年、岡崎準がオーラを放つ。
※インタビュー / 福山エース・樋本デスク