今年4月のデビューからすでに30勝を挙げる大山龍太郎騎手。デビュー前から「天才肌では!?」と注目を集めた一方、6月17日には周回錯誤により約2カ月間(開催20日)の騎乗停止という非常に苦い経験をしました。それでも、復帰すると以前と変わらぬペースで勝ち星を挙げています。不思議キャラだとも言われる大山龍太郎騎手の素顔は一体どのようなものなのでしょうか(成績は9月11日現在)。
デビューからすでに30勝と、たくさん勝っていますね。
勝っているのは全て馬の力で、僕は先生が集めてくださった騎乗馬に指示をもらって乗っているだけです。強い馬でしか勝てていません。
デビュー初日には2着が2回。実際にレースに騎乗してみてどうでしたか?
元々、あんまり競馬を見ていなかったので、もっといっぱい勝てるのかなって思っていました。そしたら、「全然勝てない......」と。当たり前のことなんですけどね(苦笑)。こんなに厳しいということを全く知りませんでした。今もそうですけど、全然思い通りにいきません。
そんな中、4月15日園田9レースをナリタウルフで1着となり、初勝利を飾りました。直線では大先輩の田中学騎手との追い比べを制しての勝利でしたね。
道中はついて行って、直線で追い上げようと思っていた通りに乗れました。馬も脚があったので「いける」と感じました。勝った後、坂本先生のあんな笑顔、初めて見ました。
4月15日、初騎乗から13戦目で初勝利
師匠の坂本和也調教師は「重賞を勝つより嬉しいです」と、目元が少しうるんでいました。デビュー初日からずっとレースが終わると坂本調教師から熱心な指導を受けていましたね。
初勝利を挙げるまではいつも以上に焦りもありましたし、初めてのことだらけで分からないこともあったので、聞いても全然理解できていませんでした。でも、1つ勝てたら気持ちが楽になって、そこからは落ち着いて騎乗できるようになりましたし、先生の言っていたことがあとになって分かるようになって、スムーズにレースに乗れるようになりました。
元々、ジョッキーを志したきっかけは?
父が身長が低くて、ジョッキーを目指していた時期があったようです。それで、「ジョッキーという仕事があるよ」と教えてもらって、どういう職業か知った時に「かっこいいな」と思いました。自分に合っているし、かっこ良くて、馬も可愛い、といろんなことが積み重なって、「ジョッキーになりたいな」と思うようになり、乗馬クラブに通いました。
ソロキャンプなど一人でいるのが好きとのことですが、地方競馬教養センターで全寮制の集団生活にはすぐ馴染めましたか?
それは全然大丈夫でした。どんな環境でも気にしないので、だいたい馴染めます。
「気にしない」という通り、感情の起伏が穏やかに感じます。
そうですね。喜んだり怒ったりすることももちろんありますけど、人にはあまり見せないかもしれないです。恥ずかしがり屋なので、見られるのが嫌で隠したがります。
デビューから順風満帆に勝ち星を積み上げていましたが、6月にはまさかの周回錯誤で即日騎乗停止。あまり思い出したくないかと思いますが、改めてファンのみなさんにお話しいただけますか?
騎乗したヨハネスボーイの関係者や、馬券を買って応援してくださったファンのみなさんに大変ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございませんでした。
数時間後に検量室ですれ違った時、真っ青な顔で目の焦点が合っていなかったので、騎乗停止期間中どう過ごしているか心配でした。8月に復帰してどうですか?
大変なことをしてしまって頭が真っ白になりました。騎乗停止期間中も毎日調教に乗っていました。深夜1時から朝10時くらいまで25頭くらいで、レースに行ってジョッキーがいない時間帯には、馬に乗らない厩務員さんが担当されている馬の調教もさせてもらいました。復帰をしましたが、レースの感覚を忘れていたり、思うように体が動かなかったり、まだ慣れません。
大変なことをしてしまいましたが、「しっかり反省して復帰したら、また騎乗依頼するから」と応援してくれる調教師もいますから、また活躍を期待しています。今後の目標などは?
自分の学力で教養センターに受かったり、坂本厩舎に所属できたりと、恵まれた環境で勝たせてもらっています。今は「また何かやらかしてしまったらどうしよう......」と思い出して弱気になってしまうのですが、ご迷惑をおかけした方々に結果でお返しできるようにしっかり頑張りたいと思います。
最後にオッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いします。
僕のファンっているんですか?もしいるんだったら、本当に感謝します。応援はできる限りいっぱいしてほしいですし、僕の馬券を買ってくださった人には、できるだけ馬券を当ててほしいので頑張って騎乗します。これからも応援、よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子