「10年に一度の天才ジョッキー現る!!」と2002年デビューからメディアに大きく取り上げられ、地元広島テレビにもスタジオ生出演で話題をまいた池田敏樹騎手。クールでひたすら野性的な騎乗ぶりでスタンドに興奮を誘う若き勝負師。デビュー9年目を迎える27歳の夢はリーディングジョッキーだ。
あれから何年経つのかな?福山のジョッキーとしては初のテレビ生出演。そして翌年には、あの柏村武昭さんがキャスターで高視聴率をマークした「テレビ宣言」にも取り上げられ、池田敏樹の名が広島県内に知れわたった。懐かしいね...。
池田騎手: ボクは天才でもなければ、それほど騒がれるほどの器じゃないと思ってたので不思議な感覚でしたね。それでもメディアが取り上げてくれたことで励みになったし、奮い立つものを体で感じましたね。あまりというか、しゃべりは全然苦手なので冷や汗の連続でしたね(笑)。
あの時は私(樋本デスク)も競馬記者からみたジョッキー、池田敏樹のすべて!!そんなタイトルでテレビ出演させてもらった。池田くん、ありがとう(笑)。それとデビュー2年目になんと福山のジョッキーとしては初の海外遠征をやってのけた。とにかく強烈なインパクトだった。
池田騎手: あれはマカオ・タイパ競馬場の「第12回マカオ見習騎手招待」だったですね。あの時は1週間滞在し、攻め馬をこなし、週末がいよいよレースでした。結果は第1戦が確か4着で、2戦目が着外でした。勝てませんでしたけど、自分にとってはいい経験になりました。
1週間滞在してたった2戦とはもったいないね。それでも池田騎手をひと回り大きくするキッカケとなったのでは...。海外遠征での面白いエピソートでもある?
池田騎手: 英語が難しくて戸惑ったのは確かですね。英語が自由自在にしゃべれたらいいなって実感しましたね。中学校の時、もう少し英語をしっかり勉強しておけばよかったです(笑)。それにできれば数多く乗りたかったのも本音です。次にこんなチャンスが訪れればフル回転したいところですが...。
福山以外で乗ってみたい競馬場といえば?ジョッキーのほとんどがJRAなんだけど、池田くんもそうなのかな...。
池田騎手: 地方競馬の騎手にとってJRAは夢の世界ですからね。地方競馬では過去に高知、荒尾で乗ったことはありますが、その2競馬場しかないんです。チャンスがあればどこでも行って乗りたいですね。とりあえず園田なんか、いいじゃないですか。
池田騎手といって真っ先に思いつくのが天才娘ムツミマーベラスだね。自分自身、これまで乗って最高だったのはやはりマーベラスかな?それともアラブ最後の交流重賞を制したフジノコウザン?
池田騎手: フジノコウザンも記憶に残る馬でしたが、やはりムツミマーベラスですね。マーベラスでのベストバウトは福山ダービーから約2カ月後の福山チャンピオンシップだったですね。ダービーを勝ったフォーインワン、高知枠から出走した赤岡さんのリワードシャンヴルを相手に5馬身勝った時は快感の一語でしたね。スタートからゴールまで最高の乗り味で一生記憶に残るレースだったですね。
池田くんにとってムツミマーベラスとは?ダービーが故障明け2戦目(中6日の連斗)という厳しいローテで結果2着。そして鞆の浦賞、福山王冠が鼻出血という不運に泣いての完敗続き。まともなら3冠獲っていたのでは...。
池田騎手: ジョッキーになって乗った馬の中ではとにかく別格といっていいほど魅力的なランナーです。残念ながらアクシデント続きでクラシックのタイトルはひとつも獲れませんでしたが、その走りは天才的といっても言い過ぎではないでしょう。今後のことは未定ですが、もう一度マーベラスを背に福山はもちろん、全国のファンにも天才的な走りをお見せしたいですね。
ところでインタビューするジョッキーにはすべて聞いているのだけど、騎手になろうとしたキッカケは...。
池田騎手: 体が小さいのが一番の理由です。それに小学校か、中学校の頃、たまたまテレビで競馬中継を見てジョッキーのカッコよさに憧れを持っていました。騎手になってよかったと思います。
その憧れていたジョッキーになった池田騎手。尊敬するというか、目標とする騎手は?ジョッキー以外でも構わないけど...。
池田騎手: 素晴らしいジョッキーが沢山いるのでお手本にしたいとは思いますが、ボクの場合、やはり尊敬するのは末広先生ですね。人間的に素晴らしいですし、思いやりのある方で包容力がたまらないですね。もちろん厳しい面もありますが、レースで損ねても先生のアドバイスで失敗を成功につなげるよう、常に反省を心がけています。
オールラウンドプレイヤーの池田くんだけど、好きなタイプの馬は?ムツミマーベラスでの騎乗を見ていると追い込みが得意といった印象を受けるのだけど...
池田騎手: 先行でも差しでもタイプにこだわりはありません。やはり自在に動ける馬がレースはしやすいですね。いずれにしてもどんなタイプでも臨機応変に対応して乗るだけです。
池田くんが勝ったレースの写真なんだけど、笑顔で映ってる写真がまだ一枚もない(笑)。勝っても嬉しくないのかな?と毎回感じるのだけど、実際はどうなの...。
池田騎手: そりゃ、嬉しいですよ。ただ嬉しいと言うよりもホッとするという気持ちでいっぱいなんです。だから顔に出ないんだと思いますよ。やっぱり勝ったら最高ですよ
一昨年、今年と連続4位。ここ2年はいずれも80勝台を突破して大器全開のムードが漂う池田くん。いよいよリーディングジョッキーの栄光が見えてきた。今年は狙ってるじゃないの?
池田騎手: もちろんリーディングジョッキーはひとつの目標でもありますが、意識したことはないですよ。1勝、1勝の地道な積み重ねが、リーディングジョッキーへと繋がるわけでボクは一戦一戦を完全燃焼することだけを心がけています。ひとつでも多く勝てるようがんばるだけです。それしか言えません。
インタビューも終盤に近づいてきたけど、ちなみに好きな食べ物はなに?和食系、それとも洋食系...。
池田騎手: ボクは餃子が大好物なんです。餃子を食べると活力が湧いてきますね。気分もパワーアップしますよ。アルコールはたしなむ程度で毎日は飲みませんが...。
最後に池田騎手を応援してくれているファンにメッセージを...。
池田騎手: やはりレースの日に大勢のファンの方が詰めかけてくれると励みになりますね。ボクを応援してくれてるファンの皆様の期待に応えられるよう、これからも全精力を傾けるだけです。ご声援、よろしくお願いします。それに東日本大震災で被災された皆様方にはオッズパークさんのサイトを借りてお見舞い申し上げます。一日も早い復興を祈るだけです。
近い将来、福山の代表ジョッキーとして背負って立つ逸材だけあって沈着冷静。一戦入魂の精神がひしひしと伝わってきた。次代を担う若き勝負師の素顔は実にさわやかだった。
※インタビュー / 福山エース・樋本デスク