デビュー4年目にして高知所属騎手のリーディングで3位につける多田羅誠也騎手。高校までサッカーを12年間続けたのち、ジョッキーに転身するとデビューイヤーから大活躍し、重賞制覇も2022年だけで7勝と勢いに乗る若手です(データは2022年11月10日現在)。
怪我なく1年を通して騎乗するのは初めて(デビュー年を除く)となる今年、地元リーディングで宮川実騎手、赤岡修次騎手に次ぐ3位につけています。
4位の永森大智騎手とは勝利数で並んでいて、何とかギリギリです。これまでと変わらずいい馬に乗せてもらっているわりには取りこぼすレースもまあまああるので、本命や対抗の印が付けられた馬でしっかり勝てるようになれればと思います。勝率も去年より少し下がっているんですけど、1年を通して乗れているので、勝ち鞍は納得かなという感じです。
遠征での重賞制覇も今年は目立っています。中でもアンティキティラは年明けに佐賀・花吹雪賞、名古屋・若草賞と重賞を連勝しましたが、5月以降はそれまでの輝きが見られず。何があったのでしょうか?
若草賞の後に怪我をして、休ませたりしている間にちょっとずつ歯車が噛み合わなくなってしまいました。遠征が予定されていた時期もあったのですが、それはやめて間隔を空けて黒潮皐月賞に行ったんですけど、それでも少し時間が足りない感じでチグハグになってしまいました。
名古屋・若草賞(3月1日)を制したアンティキティラ
高知優駿など一生に一度のレースが続く時期でしたが、本来の走りができなかったのは陣営としても悔しかったでしょうね。夏は生まれ故郷の下河辺牧場で休養しました。
帰ってきてからの雰囲気はすごく良かったです。精神的にも大人になったかな、という部分もありますし、体の状態も良くなったと感じました。これがレースでも出てくれればいいなと思いました。
その感触通り、休養明け2戦目の名古屋・秋の鞍で重賞3勝目を挙げました。3コーナーで先頭に立ったと思ったら、4コーナーでは3番手まで下がってヒヤッとしましたが、結果的に強かったです。
元々、先頭に抜け出すとふわっとする馬で、気にはしていたんですけど、手応え的にどうしても先頭に立つ形になってしまいました。でも、外から他馬が来るともう1回反応してくれました。名古屋のレースを見ていると、みんな4コーナーから直線では結構外に出していましたけど、そこまで外に出す必要もないかなと思って、4コーナーは内目を回りました。
その後、初の古馬との重賞・兵庫クイーンカップは2着。
できれば番手を取りに行きたかったんですけど、距離も1700メートルで長かったので序盤から仕掛けすぎても、と考えました。外の馬も速かったですし、別府先生の指示もあって一歩控える形になったんですけど、スローペースでこの馬には合わない形になりました。
馬群の中でレースをする姿はこれまであまり見ませんでしたが、かなり力んで走っているように映りました。
元々がハミに乗っかってくるような感じでああいう走り方をするんですけど、それにしてもちょっとハミを取っていました。馬群での競馬自体はもう少し慣れれば、上手いこと乗れるんじゃないかなと思います。
直線ではいい差し脚を見せましたが、進路を求めて外に切り替える時に少しロスがあったのが悔やまれます。
ちょうど前の馬が少し外に出てきてスピードが半減しましたが、それは競馬ですし仕方ないです。そんな中でも成長は感じられました。
ダノングッドでも今年だけで重賞4勝を挙げ、うち2勝が遠征での勝利。それゆえ、多田羅騎手は遠征で強いな、という印象です。
「遠征に行く馬」が強いんです(笑)。馬のおかげです。ダノングッドは最近3戦続けて2着と惜しいレースが続いているので、盛り返したいなと思っています。
園田FCスプリント(6月23日)を制したダノングッド
初めて行く競馬場だと戸惑いや緊張などありませんか?
普段と景色が違うので、どうしても違和感はありますけど、ある程度の特徴を把握していれば、特にやることは変わりないと思っています。
この先、ご自身のビジョンはどう描いていますか?
今年すごく重賞を勝たせていただいて、これ以上勝てる年はなかなかないのかなと思うほどですけど、来年も重賞を獲りないなと思っています。平場ではちょっと満足できない内容なので、もっと勝ちたいなと思います。
アンティキティラで若草賞制覇後、別府真司調教師と
最後に、オッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
高知でも県外でも、もっと活躍できるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子