金沢ラウンド・名古屋ラウンドが終了し、残すは最終戦の荒尾ラウンドのみとなった、今年のレディースジョッキーズシリーズ(LJS)。各レース共に熱戦が繰り広げられている中で、唯一2度の総合優勝を誇る、名古屋の山本茜騎手にインタビューしました。
赤見:まずは、騎手を目指したキッカケを教えて下さい。
山本:もともと動物が好きだったこともあったんですけど、子供の頃にお父さんと、横浜の根岸森林公園に行ったんです。その時、自分と同じような子供たちが馬に乗っているのを見て、やってみたいなと思って。
運良く、愛馬少年団に入ることが出来たので、小学校5年の時からずっと乗馬をしていました。
赤見:山本騎手は高校を卒業してから騎手学校に入ったんですよね?
山本:そうです。中学を卒業して、高校に入学した頃から将来の進路を考えるようになって。遊ぶために大学に行くのは嫌だったので、自分の進みたい道をみつけたいと思ってました。
ちょうどその頃、茜は背も低いし、騎手やってみればって言われて、そういう仕事があるんだって初めて認識したんです。
川崎競馬場が近かったので、自転車で行って、返し馬やレースを間近で見たら...ものすごい迫力でした。自分が今まで乗ってた馬とは全然違ってて、なんてゆうか、野性的な感じで。これに乗れたらかっこいいなーって思ったんです。
赤見:どうして名古屋所属になったんですか?
山本:高校を卒業して、1年間美浦の牧場で働いていたんですけど、そこの社長の伝手で南関東に入れないか聞いてもらいました。
話を聞いてもらう所まではいったんですけど、「南でデビューしても乗せてもらえない。まして女の子ならなおさら」ということで、上手くいかなかったんです。
赤見:なるほど。では実際に競馬サークルに入っての印象はどうでしたか?
山本:楽しかったですね。私は全く競馬に関係ない家庭に育ったので、トレセンの中のシステムとか全然わからなくて。それを知っていくのが楽しかったです。
赤見:デビューからすぐに大活躍して来ましたが、一昨年にはニュージーランドへ武者修行に行きましたよね。
山本:前からずっと行きたいと思っていたんです。日本で騎手になれなかったら、オーストラリアの学校に行くつもりで資料も集めていたし。海外に行って勉強したいと、今でも思っています。
赤見:次はどこへ行きたいですか?
山本:とりあえずは、アジア圏に行きたいです。色々な所に行って、いっぱい勉強したいですね。
赤見:ニュージーランドでは、かなり貴重な経験をしたのでは?
山本:本当にそうです。ライセンスを取るまで1年くらいかかってしまって、とにかくレースに乗りたいという気持ちが強かったですね。
それに、馬に対する姿勢も日本とは違ってかなり自然というか、そのままなんですよ。牛がいっぱいいる所をガーッと走らせたり、道もでこぼこしているし。
赤見:実際、レースに騎乗出来た時はどうでした?
山本:本当に久しぶりだったので、なんかデビューの時より緊張してましたね(笑)。馬場も芝でよくわからないし、メンバー的に強いのか弱いのかもわからないし、言葉も微妙だし、周りのジョッキーもよくわからない人ばっかりだし...。
日本とはゲートインのシステムも違って、ゲート裏で輪乗りとかしないんですよ。パラパラ集まって来てすぐ入れちゃうんで、え?もう?って感じでした。ゲートが開いて少しの間、目の前しか見えてなかったですよ。かなり視野が狭かったです。
でも、やっぱりレースはいいですね。楽しいです。かなり馬群もタイトだし、追い込みも迫力があって、本当に勉強になりました。
赤見:これまでで、思い出深いレースはありますか?
山本:いっぱいありますね。たくさんいい馬に乗せてもらって来ましたから。その中でも、初めて重賞を勝てたのは嬉しかったです。
赤見:今年の11月5日『ゴールドウイング賞』。【ミサキティンバー】とのコンビで、最内をこじ開けての勝利でしたね!
山本:この馬にはデビュー前からずっと調教に乗せてもらってました。デビューから何戦かは馬が重なってしまって乗れなかったんですが、厩舎スタッフと一緒に一丸となって育てて来て、それで重賞を勝てたことが本当に嬉しかったです。
【ミサキティンバー】
それに...ここまで1つも勝ってなかったというのが悔しいです。これからまた海外に行きたいのに、名古屋で1つも勝ってないのは...茜にも意地がありますから。
赤見:海外遠征も経験して、重賞も勝って...常に前に進んでいる山本騎手。LJSでは、フル参戦した2回共に優勝という凄い成績を残してますね。
山本:LJSはみんなに会えるので、とても楽しみにしています。ただ今年は、ここまで自分らしさを出せていない気がするんです。逃げて無理に競られたら嫌だから、とか無難な乗り方をしてるんですよ。考え過ぎてるというか...。優勝させてもらった2回は、デビューして1年だったり、ニュージーランドから帰って来たばかりで、メンタル面が違うんですよね。
今は総合5位でポイント差も少ないですから、最終戦の荒尾ラウンドでは、茜らしく積極的に乗りたいです!!
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※インタビュー / 赤見千尋