2023年は名古屋リーディング第2位、東海リーディング第4位の好成績を挙げた加藤聡一騎手。2016年のデビューから順調に勝ち星を重ね、今や東海を代表するジョッキーの一人に成長しました。
今年に入ってすでに重賞2勝と、昨年に引き続き好調ですね。
ありがとうございます。たくさんいい馬に乗せていただいているお陰です。重賞に関しては、スティールアクターがとても強いレースをしてくれて、頑張ってくれている馬にも、関係者の方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。
スプリングカップ(2月15日・名古屋1700m)も強かったですが、ジュニアグローリー(3月7日・笠松1400m)ではさらに強い勝ち方でした。
もともと素質の高い馬ですが、1戦ごとにどんどん強くなってくれて、こちらが思っていた以上のパフォーマンスを見せてくれています。先行しても控えても競馬ができるというのは大きな武器ですし、この馬と一緒に自分も成長していけたら嬉しいです。とにかく無事に、順調に進んで欲しいです。
名古屋・スプリングカップをスティールアクターで勝利
昨年の名古屋リーディング第2位というのは、自信になったのではないですか?
数字の上では岡部(誠)さんの次ですけど、技術的にはまだまだ課題があるので、もっと上手くなって勝つのが当たり前だと思ってもらえる騎手になりたいです。岡部さんや吉原(寛人)さん、森(泰斗)さんのような方は、1番人気馬に乗って、当たり前のように勝たせられるじゃないですか。若い頃はいかにそういう馬を負かすか、人気薄でどう勝つかということを必死に考えてきましたが、昨年くらいから意識が変わってきて、人気の馬に乗せてもらった時に結果を出す、というところに重きを置いています。もちろん人気薄でいかに勝つか、上位に持ってくるかというところも大事にしていますが、勝たせるのが当たり前の立場になっていかないといけないと思っています。
意識されている内容が相当ハイレベルですね。
昨年は151勝させていただいたんですけど、2着(137回)3着(125回)の数字を見ると、もう少し違う乗り方をしていたら、あと10勝や20勝はできたのではないかと。人気馬である程度は結果が出せた面もありますけど、客観的に見て岡部さんや丸野(勝虎)さん、今井(貴大)さんや柿原(翔)さんのような安定感はまだ自分にはないですよね。どうしても勝ちたい気持ちが勝ってしまう時があるので、その気持ちをどのくらい抑えられるかが勝負だと思います。
昨年あたりから意識が変わってきたというのは、何か理由があるのでしょうか。
いろいろな要素はありますけど、やはり競馬場の移転は大きいと思います。今は馬場の変化が大きいですし、1日1日しっかりと取り組まないと結果が出ないんですよね。リーディング上位に食い込ませていただく中で、今まで以上に調教から1頭1頭としっかり向き合って考えるようになりました。
スティールアクターでは笠松・ジュニアグローリーも勝利
名古屋は塚本征吾騎手や細川智史騎手など、若手の活躍も目立ちますね。
ここ何年か毎年のように新人騎手がデビューして、みんなそれぞれ一生懸命頑張っていますから、自分にとってもすごく刺激になります。後輩たちに負けていられないという気持ちと、岡部さんや丸野さんといったベテラン勢になんとか近づきたいという気持ちもあって、すごくいい環境で騎乗させていただいています。
他に意識している方はいますか?
たくさんいますね。JRAの方とも話をしますし、同期の保園(翔也)や岡村(健司)とも話します。笠松リーディングの(渡邊)竜也とは公私ともに仲良くしているんですけど、自分とは騎乗スタイルや性格的なタイプが真逆で、とても刺激をもらう存在ですね。彼の方が1期後輩なので、先に1000勝したいという気持ちはありますが、向こうはリーディングで勢いもすごいですから。負けていられないという気持ちで頑張ります。
では、オッズパーク会員の方々にメッセージをお願いします。
いつも名古屋競馬を応援していただき、ありがとうございます。名古屋は元気のいい若手もたくさんいますし、技術力の高いベテラン勢も健在です。その中で自分はもっと上に行かないといけないと思っているので、それぞれが刺激し合って、切磋琢磨することで名古屋競馬を盛り上げていきたいです。
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※インタビュー / 赤見千尋 (写真:愛知県競馬組合/岐阜県地方競馬組合)
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昨年デビューした愛知の加藤聡一騎手は、初騎乗初勝利を果たすとそのままの勢いで56勝を挙げ、日本プロスポーツ大賞新人賞、NARグランプリ2016優秀新人騎手賞をダブル受賞しました。2年目の今年は、さらなる飛躍を目指します。
日本プロスポーツ大賞新人賞、NARグランプリ優秀新人騎手賞受賞、おめでとうございます。
ありがとうございます。新人賞は目標にしていたので、ダブルで受賞できたことは本当に嬉しいです。初騎乗初勝利もさせてもらって、(1年目)56勝もさせていただいて、本当に周りの方々に感謝しています。勝ち切れなかったレースもあるので、もっともっと腕を磨いて早く上手くなりたいです。
デビュー前にインタビューさせてもらった時、初騎乗初勝利が目標だと仰っていましたが、見事有言実行でしたね。
本当に馬と関係者のお陰です。デビュー戦はゲートを出るまでは緊張していました。勝負服着て、パドックで馬に跨って、たくさんのお客さんや家族が見に来ていたので、「デビューするんだ」って実感して。何が何でも前に行こうと考えていて、スタートして逃げることができたんですけど、向正面に入っても一人で走っていて誰も来ないので、ちょっと不安になりました。4コーナーでも後ろの音が聞こえなくて、「大丈夫かな?」という気持ちと、「もしかして勝てるかも?」という気持ちで乗っていました。直線に入って追い出して、最後に大畑(雅章)さんの馬の足音が聞こえて。すごい勢いで伸びて来たので、「差し切られた...。そんなに甘くないな」と思っていたら、大畑さんから「勝っているよ」って言われたんです。その時は意外に冷静だったというか、「やったー!」というよりも、あれだけバカバカ逃げて最後差されそうになってやっと勝ったわけで、「怒られるな...」と思いました。勝ったのはいいけど内容がぐちゃぐちゃでしたから。
川西毅調教師は何て言ってましたか?
その時は「おめでとう」って言ってもらいました。でも基本的に勝っても褒められませんし、毎日何かしら怒られてますね(苦笑)。でも先生には本当に感謝しています。僕が教養センターから帰って来た時、他の厩舎を一緒に回ってくれて、「乗せて下さい」って頭を下げてくれたんです。それに、自厩舎の馬で人気を背負うような馬にも乗せてもらっているし、負けても辛抱強く乗せてくれて...。感謝してもし切れません。
どういう縁で川西厩舎所属になったんですか?
実は父が騎手を目指していたんですけど、結局は別の道に進んだんです。小さい時から父に「馬に乗ってみれば?」って言われていて、最初はなんとなく反抗して「やだ!」って言ってたんですけど。中学の時に試しに乗ってみたら楽しくて(笑)。そこから中京競馬場の少年団に入って土日はみっちり乗馬をして、平日はお祭り用の馬を飼育しているところを手伝ったりしていました。中学3年からJRAを受けたんですけど落ちて、馬術部のある高校へ進学してからも毎年受けたんですけど落ち続けました...。高校2年の時には2次までいったんですけど、高校3年の時はまた1次で落ちて...。その時は相当凹みました。進路を考えた時に、地方を受けるか、馬術で大学に行くか、うちは美容院をやっているので美容系の専門学校に行くかの3択で考えたんです。父からは、「ジョッキーになるのは今しかできないだろ」って言われましたし、自分のケジメとしても、これでダメならという感じで地方を受けて。その時に父がいろいろ手を尽くして、知り合いを辿って川西先生を紹介してもらったんです。
名門厩舎に入るというプレッシャーはありましたか?
プレッシャーというか、川西厩舎に入るからにはしっかりやらないとと思いました。父もがんばって縁を繋いでくれたわけですし、川西先生も所属にしてくれるわけですから。教養センターは、馬術や馬の世話はみっちりやっていたので苦にはならなかったですね。時間に追われる生活や、好きなものが食べられないという息苦しさはありましたけど、辞めたいと思ったことは一度もないです。デビューしてからたくさんの馬たちに乗せていただいて本当にありがたいですし、自厩舎に乗せてもらえるのも嬉しくて。これだけ乗せてもらえるのは先生のお陰ですから。
1年目は見事期待に応えたんじゃないですか?
いや~、まだまだですね。先生からも言われますけど、今は馬の力で勝たせてもらっているだけなので。実際、僕は追って勝ったことってないんですよ。まぁ減量を活かして前に行くレースをしている分、仕方ない部分はありますけど、追うことが今後の課題です。
しっかり結果を出したのに、かなり謙虚ですね。
本当に周りの方々のお陰なので。実際にデビューしてみて、そういうことを実感するようになりました。最近、気が狂うんじゃないかっていうくらい「上手くなりたい!」ってずっと考えているんですよ。攻め馬中はもちろん、自分の部屋でも風呂の中でも考えます。馬のことしか考えてないですね。馬が大好きなので、今本当に楽しいです!
では、2年目の目標を教えて下さい。
数字的には去年を超えたいです。でも数字というよりも、今年はとにかく技術を磨きます。それから、周りの方々に感謝の気持ちを忘れず、気遣いができる大人になりたいです。騎手としても人間としても信頼されるようがんばります!!
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※インタビュー / 赤見千尋 (写真:愛知県競馬組合)