昨年自己最高の年間63勝を挙げた名古屋の友森翔太郎騎手。今年もウォーターループとのコンビで重賞2勝するなど存在感を増しています。デビューから10年の期間を経て覚醒した友森騎手に、現在の心境をうかがいました。
まずはジョッキーになろうと思ったきっかけから教えて下さい。
些細なことなんですけど、始まりはウイニングポストというゲームです。高校の時に友達から借りてハマりました。それまで競馬のけの字も知らなかったんですけど、めちゃくちゃ面白くてテレビでも競馬を見るようになって。そういえば自分体小さいから、もしかしたらなれるんじゃないかって思ったんです。ただその時点でもう高校2年の秋で、JRAの試験は終わっていて。両親が「地方競馬という道もあるよ」って教えてくれて、一回受けてみようってなったんです。それで合格できたので、高校を辞めてこの道に入りました。
よくご両親は前向きに応援してくれましたね。
そうですね。高校行っている時も、特に夢とか目標がなかったので、初めて自分でやりたいっていう目標を持てたからじゃないですかね。両親は最初から反対せずに応援してくれました。
高校2年の終わりに学校を辞めて、騎手へというのは大きな決断ですよね。
しかも僕、1回も馬に乗ったことがなくて(笑)。合格してから1回だけ乗馬クラブに行ってちょっと跨ったくらいでした。同期は僕以外みんな経験者だったので、最初の頃はかなり大変でしたね。心が折れかけた時もあったんですけど、両親や友達が応援してくれているのに、ここで辞めて帰ったらカッコ悪いなって思って頑張れました。
なぜ名古屋所属になったんですか?
名古屋所属の今井(貴大)さんとセンターにいた時期が少し被っていたんですけど、その時にすごく仲良くしてもらってて。「名古屋来いよ」って言われたので、「それなら行きます」みたいな軽い感じでした(笑)。
友森騎手は山口県ご出身だということで、身近に馴染みのある競馬場がないですよね。
そうなんですよ。知り合いもいないし伝手もなかったですから。名古屋は新人にもチャンスを多くもらえる競馬場だと聞いていましたし、所属できて本当に良かったです。
デビュー年は4勝と苦しいスタートでした。
4月にデビューして6月に大怪我して、10月くらいに復帰したんですけど、すぐまた怪我をしてしまって。最初の1年はほぼ乗っていないんです。デビューしてすぐそんな状況でしたし、かなり凹みました。その後も成績がなかなかついてこなくて、辞めたいと思うことも多かったです。でも3年目で結婚したので、簡単に辞めて他の仕事というわけにはいかなかったし、とにかく一生懸命やろうと思って。周りの方にも恵まれて、少しずつ乗せてもらえるようになりました。今は本当にいい環境でやらせてもらってます。
ここ2年で急激に成績がアップして存在感を増しているので、なんとなく最近デビューした若手のようなイメージがあるんですが、今年で11年目なんですよね。
そうなんです。低迷期間が長かったので。ここまで来るのにキツイ時期もありましたけど、いろいろな方に助けていただいたお陰で今があります。辛抱して騎手を続けてきて本当に良かったです。
きっかけになった馬はいますか?
一番はメモリーミラクルです。この馬に初めて勝たせてもらったレースというのが多くて。重賞もそうですし、新馬も認定もこの馬に初めて勝たせてもらいましたから。厩舎に来た時から馬っぷりも良かったですし、すべてに対して一生懸命な馬で。新馬から乗せてもらって、一緒に重賞を勝つというのは本当に難しいことですから、こんないい馬に巡り合えて感謝しています。
人馬とも重賞初制覇となったスプリングカップ(2017年2月28日、写真:愛知県競馬組合)
今では重賞でも常連のジョッキーですもんね。
いやいや、塚田(隆男)先生と馬たちのお陰です。デビューから8年くらいはそういう経験がまったくなかったのに、塚田厩舎所属になっていきなり重賞とかに乗れるようになって。僕がこんないい馬に乗っていいのだろうかって思うこともあります。ただ、一緒に下のクラスから上がって来ている馬が多いので、重賞になったからといって特別に緊張することはないですね。
最近のベストレースを教えて下さい。
すごく気持ちいいなと思ったのは、ウォーターループのぎふ清流カップです。それまで砂を被るとあんまり結果を出せなくて、逃げてこそみたいに言われていたんですけど、初めて好位の内で我慢して直線伸びるというレースができて。しかもハナ差で勝てたので、すごく嬉しかったです。今は砂を被っても平気ですし、どこからでも競馬ができるようになりました。
ウォーターループで制したぎふ清流カップ(2018年5月10日、写真:岐阜県地方競馬組合)
今の目標を教えて下さい。
重賞もたくさん勝たせてもらってますけど、今は塚田先生の力が100%で乗せてもらっているので、いつか恩返しできるよう頑張ります。このレースを勝ちたいというよりも、勝ち星を増やして順位を上げていきたいです。ベスト5に入ることが目標です。
では、オッズパーク会員の方にメッセージをお願いします。
いつも応援していただきありがとうございます。もっと上手くなって皆さんの馬券に貢献できるよう頑張ります!
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※インタビュー / 赤見千尋