第8回石川優駿をナミダノキスと共に勝利した、柴田勇真騎手(金沢)。2020年の金沢シンデレラカップ(マナバレンシア)以来の重賞制覇、現在のお気持ちを伺いました。
石川優駿制覇、おめでとうございます。
ありがとうございます。すごく嬉しいです。
見事な差し切り勝ちでしたが、序盤はあまり手応えが良さそうに見えませんでした。内心はいかがでしたか?
いつも道中の手応えはそんなにいい馬ではないので、今回もある程度は想像していましたが、もうちょっと前のポジションを取りたかったなと思っていました。なかなか前に行きたくても抜けられるスペースがなくて、抜けられるとしたら内々だったんですけど、「もうちょっと我慢しておこう」と判断しました。能力の高い馬ですし、その力を信じていたので、あまり焦りというのはなかったです。
1番人気だったリケアマロンと吉原騎手が早々に抜け出して、このまま勝つのかなというふうに見ていました。
馬群にいる時は吉原さんの姿が見えなくて、向正面でやっと外に出せた時に、「あんなに前にいるのか!」って。4コーナーを回る辺りでは、「これはやばいな...」と思ったんですが、直線の立ち上がりでもう一段加速したので、その瞬間「届く!」と思いました。加速してからの脚は今回もすごかったです。
ゴールした時はどんなお気持ちでしたか?
嬉しい気持ちと、ホッとした気持ちと両方でした。3歳頂上決戦である石川優駿で人気になる馬に乗せていただき、チャンスをくれたオーナーや関係者の方々に感謝しています。もちろん頑張ってくれた馬にも、とても感謝しています。プレッシャーもありましたが、馬が強いことはわかっていたので、無事に勝つことができてホッとしました。
ナミダノキスは今年の春、JRA未勝利から金沢に移籍して、4連勝で石川優駿を制しました。最初の頃の印象はいかがでしたか?
馬格もありますし、とてもいい馬だと思いました。1戦目のレースで追い出してからの反応が凄まじくて、これまで僕が乗ったことのないレベルだと感じました。性格はとてもおとなしくて、少し繊細なところもありますが、レースに行くと堂々としていて、序盤はなかなか進まないくらいおっとりしています。でもスイッチが入ってからの加速は、本当にすごいですね。
柴田騎手にとっては、2020年金沢シンデレラカップのマナバレンシア以来の重賞制覇でした。
久しぶりに重賞を勝てたことも嬉しいですし、それが石川優駿というのも嬉しいです。とても素晴らしい馬と出会えて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
2015年のデビューから10年目、ここまでを振り返っていかがですか。
決して順風満帆ではないですが、たくさんの方々と出会えましたし、いろいろな経験を積むことができました。昨年はケガで4か月騎乗できない時期があって苦しい時間でしたが、プライベートでは結婚して、今年は子供も生まれたんです。家族ができて頑張る活力をもらっているので、これまで以上に頑張ります。こういうタイミングで石川優駿を勝てたことがありがたいですし、このチャンスを活かしていきたいです。
今後の目標を教えてください。
ナミダノキスは現時点でも強いですが、まだ3歳なので、ここからさらに成長してくれると思います。金沢の看板になるような馬に成長して欲しいですし、自分も一緒に成長できるよう努力していきます。
では、オッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いいたします。
いつも金沢競馬を応援していただき、ありがとうございます。もっともっと腕を磨いて、信頼される騎手になれるよう頑張ります。
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※インタビュー / 赤見千尋 (写真:石川県競馬事業局)
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今年4月に金沢競馬場でデビューした柴田勇真騎手。約4か月で16勝を挙げ(8月18日現在)、順調なスタートを切りました。騎手を目指したキッカケから今後の目標まで、たっぷりと語っていただきます。
騎手になろうと思ったキッカケは何だったんですか?
テレビで競馬を見ていて、騎手ってカッコいいなと思ったんです。高校を卒業する時に将来のことを考えて、体も小さいし挑戦してみたいなと。その時、学校からの推薦で就職が決まりそうだったので、母は安定した職業に就いて欲しいって思っていたみたいですけど。でも騎手になるには年齢制限があるので、今しかチャレンジできないと思いました。高校を卒業してから茨城にある騎手になるための勉強をする専門学校に入って、最初はJRAの試験を受けたんです。そこは落ちてしまったんですけど、騎手になりたいという気持ちは変わらなかったので、地方競馬教養センターの試験を受けました。
教養センターでの生活はどうでしたか?
茨城の専門学校で一通り馬の経験を積んだので、入所した当初はすんなりと馴染めました。ただ、1期上の先輩たちが競馬場実習に行ってしまい、作業も馬に乗る頭数も倍になってからはけっこうしんどかったです。休む間もなく時間に追われて動き続けるので、そこが大変でした。
やめたいとは思わなかったですか?
騎手になりたいっていう気持ちが強かったですし、家族や友達に応援してもらって家を出て来たので、途中で帰るという選択肢はなかったです。
群馬県出身の柴田騎手が、金沢所属になった経緯というのは?
競馬の世界に知り合いがいなかったので、なかなか所属先が決まらなかったんです。最初の頃は南関東を希望していたんですけど、受け入れてくれる厩舎が見つかりませんでした。教官から「騎手は乗ってなんぼだぞ」って言われて、チャンスの多い競馬場がいいんじゃないかと思うようになって。ちょうどその頃、僕の1期上の中島龍也騎手が金沢でデビューしてすごく活躍していたので、金沢に行ってみたいなと思うようになったんです。それで希望を出したら、高橋俊之先生が所属にしてくれると言ってくれました。高橋先生はもともと高崎の調教師でしたから、僕が群馬県出身ということで受け入れてくれたみたいで。縁があって金沢所属になれて、本当によかったです。
デビュー戦(4月4日第1Rピースピース・5着)、そして初勝利(4月14日第11Rブラッシー)は覚えていますか?
覚えていますよ。デビュー戦は思っていた以上に緊張しなかったです。今思えばただつかまっていただけなんですけど、3、4番手に付けてジッと回って来た感じです。初勝利はデビューから10日後なので、そこだけ見ると早いって言われるかもしれないですけど、それまでに何度かチャンスをもらっていたので自分としては焦っていました。最初はあまり気にしていなかったんですけど、同期の栗原大河騎手が先に勝った時(4月12日第6R)にけっこう焦りましたね。初勝利は、あれはひどいレースでしたね(苦笑)。1~2コーナーで後方からブワーッとマクって行って。先生から「一周追ってこい」と言われていたので、心の中で「行けー!」と思いながら追ってました。先頭でゴールに入った時にはすごく気持ちが良くて、「これが勝つということなんだ」と実感しました。1つ勝ってからは気持ち的に楽になった気がします。
デビューから約4か月で16勝。いいペースですね。
たくさん乗せていただいて本当に感謝しています。でも、勝ち星には満足していません。乗り馬の質を考えたら20勝は越えていないといけなかったんです。僕のミスで取りこぼしたレースもありますし、その分、2着3着が多くて申し訳ないです。
柴田騎手は一般家庭から競馬界に入って来たわけですけれども、想像と違う部分はありましたか?
ありますね。ある程度想像はしていましたけど、デビューしてみて勝負の世界は甘くないなと痛感しました。まず普段の人との関わりが大事だし、少しずつ乗り馬を増やしていくことも、たくさんの先輩方がいる中で簡単なことではないなと。それに、レースでもデビューしたての時には危ない場面があると先輩方が気を使ってくれましたけど、それも甘えていたんだなと思います。当たり前のことですけど、勝負の時はみんな本気ですから、自分で馬をコントロールして危険を回避しないといけないし、その中で勝つというのは本当に難しいです。
尊敬している騎手はどなたですか?
先輩方みんな尊敬していますけど、目標は大きくミルコ・デムーロ騎手です! 成績をしっかりと出す騎手だし、誰が見ても上手いと思うじゃないですか。日本人と体の造りが同じじゃない部分もありますが、少しでも追いつけるように目標にしています。
故郷を離れて金沢所属になったわけですけれども、すんなりと馴染めましたか?
高橋先生がすごく良くしてくれますし、厩務員さんもいい方ばかりで恵まれた環境だと思います。競馬場の雰囲気にもすぐに馴染むことができました。いい馬にも乗せてもらっているので、早く上手くなって恩返しがしたいです。勝つことが一番の恩返しだと思うので。今は、金沢所属になれて本当によかったと思っています。それと、この前のお盆開催の時に両親が見に来てくれたんですけど、やっと目の前で勝つことができたんです。これまでデビュー戦と、ゴールデンウィークの開催の2回見に来てくれたんですけど、その時は勝てなくて...。お盆の時は目の前で2勝することができたので、ちょっとは親孝行できたかなと思いました。
では、今後の目標を教えて下さい。
まずは、今年中に減量を取る(30勝)ことです! 将来的には金沢のリーディングを獲って、全国で活躍できる騎手になりたいです。そのために、1レース1レースを大事に乗って、日々成長できるよう頑張ります。金沢は若手の先輩方がすごく活躍しているので、僕もその中の一人になりたいですね。同期の栗原大河といういいライバルがいるので、常にモチベーションを持ち続けながら成長していきたいです。
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※インタビュー / 赤見千尋